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32話 斜陽の王国4
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剣と棍がぶつかり合う音が周辺に響く。それをライミーネが見守っている。ライミーネ自身の本領は魔法なので、武器を持って近接戦闘を行う事はないがそれでもオーシンとリンの凄さは知っている。エイメイと名乗った女はそのリンと互角の腕前を披露していた。
「嘘でしょ......? リンちゃんと互角に渡り合えるなんて」
リンの棍の間合いとエイメイの剣の間合いが交互にいれかわる。お互いの武器で受け、かわし、その動きはまるで息の合った演武のようだ。
「驚きました。これ程の使い手が野にいたとは」
「それはこっちも同じだよ。そのアンタが先生って呼ぶオーシンはやっぱり噂通り達人だったって事か」
二人は会話しながらもお互い攻撃の手をゆるめない。さらに五合程打ち合った時にエイメイが仕掛けた。
「アンタの技は素直だねぇ。なら......こんなのはどうだい!」
エイメイは自身の武器、幅広の剣の面の部分を使い、太陽光をリンに反射させる!
「うっ!?」
リンは瞬間的に視界を奪われ、そこへエイメイがさらに踏み込みそのまま刃の付いていない、厚みのある背の部分で流れるように横薙ぎを叩き込む!
「獲ったよ!」
「くっ!」
リンは回避できずに吹っ飛び地面に転がった。
「リンちゃん!」
ライミーネは驚くと同時に剣難の話を思い出し青くなった。急いでリンに駆け寄ろうとするが今度はエイメイに制止される。
「そこの姉さん、動かなくていいよ。指南役殿はアタシのように寝たふりしてるだけだからさ。あれをそれで受けられるとは思わなかったけど」
「え!?」
「初見で見抜かれるだけじゃなく、まさか真似までされるとはねぇ。......起きなよ、自分から跳んだんだからたいしてダメージはないだろ?」
エイメイとライミーネの視線を受けてリンは立ち上がった。ライミーネはホッとする。
「ぶっつけでしたがなんとかなりましたね。しかし瞬間的な隙を生み出すために太陽の位置まで計算に入れて私を誘導しましたか。お見事です」
「ハッ、無傷な上に技まで盗まれて何が見事なもんかい。相手を獲れなきゃ採算は合わないよ。さっきのアンタへの評価にセンスも加えなきゃいけない。もし天才ってのがいるならアンタみたいなのをそう呼ぶんだろうさ」
「そう言っていただけるなら、あなたもその言葉に当てはまると思いますけどね」
「おお、あの姉ちゃん起きあがったぞ!」
「おいおい頼むぜ、俺は剣の姉ちゃんに賭けてるんだからな!」
「いいぞ、もっとやれー」
「「「は?」」」
リン、ライミーネ、エイメイの三人は会話が聞こえた方を確認する。そこにはいつの間にか数人の野次馬がこちらを遠巻きに見て騒いでいた。厄介者のキトウさえいなくなってしまえば、武芸上級者同士の攻防、それも若い女同士となれば見世物になる条件は十分満たしていた。
「どうしたー姉ちゃん。さっきキトウをやっつけたみたいにその棒の姉ちゃんもやっつけてくれ!」
「棒の姉ちゃん負けるなー。俺はこいつと今夜の酒代賭けてるんだー!」
「ちっ! なんなんだいこいつら! アタシがさっきの奴等に絡まれていた時には目も合わせようともしなかったくせに」
「そうですね......この雰囲気では手合わせの続きとはいかないようですし、いかがでしょう。エイメイ殿も我が家へ一緒に来られませんか? 色々とご説明もできますし、お酒位ならありますので」
「へぇ? そりゃ嬉しい誘いだが、そっちの姉さんは構わないのかい?」
「別に構わないわよ。っていうかむしろ厄介事に巻き込まれないように、色々と話はしておいた方がいいと思う」
「ふーん? まぁいいさね。一緒に行く事にするよ」
リン達はエイメイを加え、騒ぐ野次馬を解散させてリン宅へ移動した。
「......で凶作なんかも重なり、アタシの村全体が困窮しててね。アタシは腕に自信があったから、都で近衛にでもなって稼ごうかとここまで来たって訳さ」
「なるほど......武芸は誰かに教わったのですか?」
「家流というか、ほぼ我流だね。あえて言うなら、アタシのご先祖様達は戦争に駆り出されても戦死した者は一人もいないんだよ。ただひたすら戦場で生き残るための技術を研鑽し、一族に伝えてきたんだ。戦争のない時は村の用心棒をして襲撃してくる野盗や魔物なんかを撃退して報酬を貰い、技術を高めてきた。アタシはそれを叩き込まれてきたってところかな」
「それであんな実戦的な技が......」
「領主から仕官の誘いとか来なかったの?」
「あったりもしたようだけど、村の為に断ったって聞いてるね」
「じゃああなたはどんな心境の変化があってこの都に来たの?」
「......恥ずかしい話さ。戦争が起こらなくなり、襲撃してくる野盗や魔物もほとんどいなくなって商売あがったりな状態な上に村の窮状。下手をすると村全体が野盗に成りかねんような有り様でね」
エイメイは注がれて残っていた酒をグイッと飲み干し、
「皆他人を思いやるような余裕すらなくしちまった」
遠い目をしてそう言った。
「まぁ、それで安定した給金貰って少しでも村に送ろうかとしたんだが......立場が上がれば村の窮状を訴える事もできるかもしれないしさ」
「ところが都に着いて早々にキドウの息子に絡まれた訳ですか」
「参ったねぇ、その団長親子も話を聞く限りじゃろくなもんじゃなさそうだから近衛の線は消えた。でもただの衛兵じゃ給金が......」
「そうね......給金の事よりも、都に居たら間違いなく面倒事になるから離れた方がいいと思うわ」
「私もそう考えます」
ライミーネとリンはエイメイに都を離れる事をすすめる。
「うーん、それしかないんだろうねぇ。ただそれにはちょっと問題が......」
エイメイが歯切れ悪く言う。リンとライミーネが追求するとばつが悪そうに、
「着いてすぐ帰る想像なんてしてなかったから路銀が心許ないんだ......」
と言った。
「それに大口叩いて出てきた手前、戻っても村のみんなにあわせる顔が......」
気まずそうにどんどん声が小さくなっていくエイメイの様子を見て、リンとライミーネは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。戦いの時のエイメイと今の姿とのギャップがかけ離れすぎていたためだ。
「ちょ! ここは笑うとこじゃ」
「すみません思わず。ですがこれも何かの縁。微力ながら協力しますから」
「仕方ないわねぇ。リンちゃんがそう言うなら私も協力してあげるわ」
「ほ、本当かい!? あ、ありがとう、恩に着るよ!」
人呼んで黒豹のエイメイが二人に期待の眼差しを送る。リンとライミーネにはその時エイメイにあるはずのない耳と尻尾が見えた気がしたという。
「黒猫だ」
「黒猫ね」
リンとライミーネは、突然猫の話になり頭の上にはてなマークを浮かべているエイメイと今後の行動計画を立てる事にした。
「嘘でしょ......? リンちゃんと互角に渡り合えるなんて」
リンの棍の間合いとエイメイの剣の間合いが交互にいれかわる。お互いの武器で受け、かわし、その動きはまるで息の合った演武のようだ。
「驚きました。これ程の使い手が野にいたとは」
「それはこっちも同じだよ。そのアンタが先生って呼ぶオーシンはやっぱり噂通り達人だったって事か」
二人は会話しながらもお互い攻撃の手をゆるめない。さらに五合程打ち合った時にエイメイが仕掛けた。
「アンタの技は素直だねぇ。なら......こんなのはどうだい!」
エイメイは自身の武器、幅広の剣の面の部分を使い、太陽光をリンに反射させる!
「うっ!?」
リンは瞬間的に視界を奪われ、そこへエイメイがさらに踏み込みそのまま刃の付いていない、厚みのある背の部分で流れるように横薙ぎを叩き込む!
「獲ったよ!」
「くっ!」
リンは回避できずに吹っ飛び地面に転がった。
「リンちゃん!」
ライミーネは驚くと同時に剣難の話を思い出し青くなった。急いでリンに駆け寄ろうとするが今度はエイメイに制止される。
「そこの姉さん、動かなくていいよ。指南役殿はアタシのように寝たふりしてるだけだからさ。あれをそれで受けられるとは思わなかったけど」
「え!?」
「初見で見抜かれるだけじゃなく、まさか真似までされるとはねぇ。......起きなよ、自分から跳んだんだからたいしてダメージはないだろ?」
エイメイとライミーネの視線を受けてリンは立ち上がった。ライミーネはホッとする。
「ぶっつけでしたがなんとかなりましたね。しかし瞬間的な隙を生み出すために太陽の位置まで計算に入れて私を誘導しましたか。お見事です」
「ハッ、無傷な上に技まで盗まれて何が見事なもんかい。相手を獲れなきゃ採算は合わないよ。さっきのアンタへの評価にセンスも加えなきゃいけない。もし天才ってのがいるならアンタみたいなのをそう呼ぶんだろうさ」
「そう言っていただけるなら、あなたもその言葉に当てはまると思いますけどね」
「おお、あの姉ちゃん起きあがったぞ!」
「おいおい頼むぜ、俺は剣の姉ちゃんに賭けてるんだからな!」
「いいぞ、もっとやれー」
「「「は?」」」
リン、ライミーネ、エイメイの三人は会話が聞こえた方を確認する。そこにはいつの間にか数人の野次馬がこちらを遠巻きに見て騒いでいた。厄介者のキトウさえいなくなってしまえば、武芸上級者同士の攻防、それも若い女同士となれば見世物になる条件は十分満たしていた。
「どうしたー姉ちゃん。さっきキトウをやっつけたみたいにその棒の姉ちゃんもやっつけてくれ!」
「棒の姉ちゃん負けるなー。俺はこいつと今夜の酒代賭けてるんだー!」
「ちっ! なんなんだいこいつら! アタシがさっきの奴等に絡まれていた時には目も合わせようともしなかったくせに」
「そうですね......この雰囲気では手合わせの続きとはいかないようですし、いかがでしょう。エイメイ殿も我が家へ一緒に来られませんか? 色々とご説明もできますし、お酒位ならありますので」
「へぇ? そりゃ嬉しい誘いだが、そっちの姉さんは構わないのかい?」
「別に構わないわよ。っていうかむしろ厄介事に巻き込まれないように、色々と話はしておいた方がいいと思う」
「ふーん? まぁいいさね。一緒に行く事にするよ」
リン達はエイメイを加え、騒ぐ野次馬を解散させてリン宅へ移動した。
「......で凶作なんかも重なり、アタシの村全体が困窮しててね。アタシは腕に自信があったから、都で近衛にでもなって稼ごうかとここまで来たって訳さ」
「なるほど......武芸は誰かに教わったのですか?」
「家流というか、ほぼ我流だね。あえて言うなら、アタシのご先祖様達は戦争に駆り出されても戦死した者は一人もいないんだよ。ただひたすら戦場で生き残るための技術を研鑽し、一族に伝えてきたんだ。戦争のない時は村の用心棒をして襲撃してくる野盗や魔物なんかを撃退して報酬を貰い、技術を高めてきた。アタシはそれを叩き込まれてきたってところかな」
「それであんな実戦的な技が......」
「領主から仕官の誘いとか来なかったの?」
「あったりもしたようだけど、村の為に断ったって聞いてるね」
「じゃああなたはどんな心境の変化があってこの都に来たの?」
「......恥ずかしい話さ。戦争が起こらなくなり、襲撃してくる野盗や魔物もほとんどいなくなって商売あがったりな状態な上に村の窮状。下手をすると村全体が野盗に成りかねんような有り様でね」
エイメイは注がれて残っていた酒をグイッと飲み干し、
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遠い目をしてそう言った。
「まぁ、それで安定した給金貰って少しでも村に送ろうかとしたんだが......立場が上がれば村の窮状を訴える事もできるかもしれないしさ」
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「参ったねぇ、その団長親子も話を聞く限りじゃろくなもんじゃなさそうだから近衛の線は消えた。でもただの衛兵じゃ給金が......」
「そうね......給金の事よりも、都に居たら間違いなく面倒事になるから離れた方がいいと思うわ」
「私もそう考えます」
ライミーネとリンはエイメイに都を離れる事をすすめる。
「うーん、それしかないんだろうねぇ。ただそれにはちょっと問題が......」
エイメイが歯切れ悪く言う。リンとライミーネが追求するとばつが悪そうに、
「着いてすぐ帰る想像なんてしてなかったから路銀が心許ないんだ......」
と言った。
「それに大口叩いて出てきた手前、戻っても村のみんなにあわせる顔が......」
気まずそうにどんどん声が小さくなっていくエイメイの様子を見て、リンとライミーネは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。戦いの時のエイメイと今の姿とのギャップがかけ離れすぎていたためだ。
「ちょ! ここは笑うとこじゃ」
「すみません思わず。ですがこれも何かの縁。微力ながら協力しますから」
「仕方ないわねぇ。リンちゃんがそう言うなら私も協力してあげるわ」
「ほ、本当かい!? あ、ありがとう、恩に着るよ!」
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