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36話 正和、真実を見抜き未知なる存在を知る
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正和が新種と仮定した赤い蟻、『赤蟻』が動いた。 その動きに正和が戸惑う!
「......ギ ......セ ......ヲ」
「え? 独自の言葉を話すのか?」
中型の赤蟻が何か言った様に聞こえ、正和はそちらに意識を向ける。 と同時にその赤蟻の周囲に炎の玉が出現し、正和めがけて飛んできたからだ。
「魔法を使えるのか!」
正和は驚きながらもそれを回避する。 回避した炎は後方の黒蟻に命中し......
「え?」
どうなったかまでは確認できなかった。 正和のすぐ眼前に小型の赤蟻がいたからだ。
「は、速い! いつの間に!」
正和はなんとか小型の赤蟻の一撃を角材で受ける。 赤蟻はすぐさま離れて最初の位置まで戻り、追撃しようとした正和の前に足が太い大型の赤蟻が立ち塞がる。
「うわぁ......。 なにこの息のあった連携攻撃。 今のは挨拶がわりだとでも言いたげなんだけど」
正和はそう言ってみたが、案外本当にそうなのかもしれない。 大型の赤蟻は四本足でどっしりと地面に立ち、上体を起こして二本の前足で腕組み?をしていたのだから。
「知能は黒蟻より高いって事で判断していいのかな。 魔法も使うし連携して動く事もできるとくればね」
正和はまさにファイヤーアントだな、と言いながらアイテムボックスから木の盾を取り出した。 盾と言っても木の板に取っ手がついたような簡素なもので、『強化された木の板』に近い。 朋広の強化が及ぶ範囲で生活の為の道具以外も考え、製作してもらったものだ。 ちなみに本格的なデザインの木製の『盾』には強化の効果は付与できなかった。
「色々試させて貰うかもしれないけど、こっちも身を守る為だから」
右手に角材、左手に木板。 武器というより『資材』を両手に持った正和が構える。
「赤蟻限定なら一対三。 黒蟻も含めるなら一対多数。 まずはこの構図を変えようか」
「! ギ......」
「ギ、ギ」
瞬間、蟻達に動揺が走った。 正和の存在感が増したとでも言えばいいのか。 蟻達は一人しかいないはずの正和に違和感を抱いたのである。
「これでこちらも複数、かな。 まだ家族にも気付かれていない僕の力。 試させて貰うよ」
正和の瞳に赤い光が宿っていた。 赤蟻(小)と赤蟻(大)が同時に動く! しかし正和は赤蟻(小)の攻撃を身体をひねって避け、赤蟻(大)の攻撃は盾で受け流した。
「次は大型の陰に隠れていて僕の死角にいる中型からの魔法攻撃」
正和は飛んできた炎を木材で弾く。 そこは赤蟻(小)が正和を攻撃するために移動しようとしていた線上であった。
「ギィ!」
赤蟻(小)は慌てて回避行動をとろうとするが間に合わない。 しかし赤蟻(大)が太い足を伸ばし赤蟻(小)をガードする! 炎は赤蟻(大)の足に当たって広がる。 ダメージはなさそうだが赤蟻(大)が一瞬ひるんだ!
「これで中型への援護が薄くなる」
正和は盾を正面に構え赤蟻(中)に突進する。 赤蟻(中)は炎の次弾を身体の正面に漂わせていたが、正和に盾ごとぶつかられ、炎も消し飛び、さらにそのままの勢いで後方に吹っ飛ばされた。
「ふーっ、ここまでは順調かな」
正和はすぐに次の展開を予想し始める。 同時に別の展開の可能性も推測し始めた。
『並列思考』
正和が覚醒させた力で同時に複数の別の事を思考できる。 開拓村では皆、同じような時間に起床し、同じような時間に就寝していたが正和だけは違っていた。 正和は就寝前や一人の時間は積極的に思考の海に潜り、貪欲に知識の吸収に努めたのである。 その結果、この力を覚醒させ思考による自身のタイムラグを無いに等しくする事に成功した。
ちなみに日常会話レベルのものであれば瞳に変化は見られないため、家族は正和のこの変化に気付いていない。 というか、正和が無反応になる状態をみかけなくなっている事にすら気付いていないと思われる。
「なんだ? 赤蟻の戦い方...... 僕の知っている戦い方と一致する?」
赤蟻(小)が仕掛けてくる!
「ギ! ......ガ!(にゃっ! にゃーっ!)」
赤蟻(大)も攻撃を重ねる!
「ゴ! ......ガアァッ!(ぬうぅん!)」
赤蟻(中)が魔法攻撃で援護!
「ゼ...... ヲ...... ル!(ファイヤー!)」
その時正和には赤蟻の動きが開拓村にいる亜人メンバーと重なって見えた。
「! これは亜人のパーティー編成での戦い方だ!」
正和は直後に次々と浮かぶ疑問に対し、並列思考で可能性の高そうな答えを当てはめていく。
なぜ赤蟻はこのような戦い方をするのか? 各々の体格の違いや得意な戦法を活かすため。
なぜ体格に違いがあるのか? 黒蟻の上級、進化した個体の可能性があるが、元々同じような個体からなぜここまで別物の体格の個体になれるかは不明。 現時点では保留。
赤蟻はいつから存在した? 亜人が赤蟻の話を一切しなかった事から、少なくとも亜人が黒蟻に襲撃されて以降に出現した可能性が高い。 自分が探索しているにもかかわらず出会った事がない事実で考えると、極端な可能性はここ最近。
赤蟻の戦い方は亜人との戦闘で学んだものなのか? それならば亜人から赤蟻の情報が出ていない事が不自然。 可能性は否。
では赤蟻には誕生した時から個体ごとの戦闘スタイルで戦い、魔法も使える存在がいるのか? 可能性はなくもないだろうが、その場合成長過程に不自然さを感じる。
その不自然さを解消するには? あくまで仮定としてだが、蟻の幼少期から特殊なエサを与えて特別な存在に育て上げる虫の生態を利用した可能性。
特殊なエサとは? 例えるなら亜人。 同じタイプの亜人をエサとして与え続ける。 蜂なら女王候補の個体にローヤルゼリーを与えて育てるように。
亜人がエサならタイプ別の区別法は? また亜人の生死は関係ないはず。 なぜ遺体は全く発見されていない? 区別法に関しては情報不足のため保留。 生死に関しては死んでいると都合が悪い理由があると考える。
その理由として考えられそうなものは? 生き餌でなければ効果がない、もしくは赤蟻は亜人から培養される、あるいは赤蟻の素体が亜人などの可能性。 しかし生き餌の線は説得力がやや弱く、培養しなければいけない理由も不明で手間などを考慮するなら素体を変化させる線が濃厚か。
亜人が赤蟻に変えられていると仮定してさっきの疑問に照らし合わせると? 抱いた疑問全てに辻褄をあわせる事が可能。
「そんなまさか! 嘘だろ!?」
正和は戦闘を継続させながら赤蟻を観察しつつ、ひとつの答えに辿り着き驚愕する。
「それを確認する方法は......」
すぐに二つの方法を考えつく。 正和はアイテムボックスに角材をしまい、かわりに別のアイテムを取り出しそうとした。 そこへ赤蟻の放った魔法が飛んでくる! 正和は冷静に...... それが黒蟻に当たるように盾で軌道を変えた。 見事に一匹の黒蟻に命中し黒蟻は炎に包まれる!
「よし、これで仮説の裏付けが取れる」
黒蟻はダメージを受けるどころか無傷だった。 ......蟻は亜人からの攻撃を受け付けない。 蟻同士ではダメージを与えられないとか赤蟻(中)の攻撃力が黒蟻の防御力を下回りノーダメージ、という可能性ももちろんある。 あるのだが......
「まさか華音が言ってた事が正解になってるなんて」
正和が先述の二つの可能性を否定した理由。 正和が取り出した亜人に反応するペンダントは、無情にも目の前の赤蟻に反応を示していた。
「赤蟻は黒蟻の上級種とかじゃなかった。 完全に別種だったんだ」
そしてその事実は正和に新たな問題を突きつける。
「黒蟻が赤蟻を誕生させた訳じゃないとするなら、この一連の騒動を描いた存在が別にいる。 そして、もしこの構図が亜人社会と蟻社会のぶつかり合いが発端だとすれば......」
女王蟻。 正和は蟻の生態系と亜人を赤蟻に変貌させている点から、強大な力を持つ女王蟻の存在を推測した。
「......ギ ......セ ......ヲ」
「え? 独自の言葉を話すのか?」
中型の赤蟻が何か言った様に聞こえ、正和はそちらに意識を向ける。 と同時にその赤蟻の周囲に炎の玉が出現し、正和めがけて飛んできたからだ。
「魔法を使えるのか!」
正和は驚きながらもそれを回避する。 回避した炎は後方の黒蟻に命中し......
「え?」
どうなったかまでは確認できなかった。 正和のすぐ眼前に小型の赤蟻がいたからだ。
「は、速い! いつの間に!」
正和はなんとか小型の赤蟻の一撃を角材で受ける。 赤蟻はすぐさま離れて最初の位置まで戻り、追撃しようとした正和の前に足が太い大型の赤蟻が立ち塞がる。
「うわぁ......。 なにこの息のあった連携攻撃。 今のは挨拶がわりだとでも言いたげなんだけど」
正和はそう言ってみたが、案外本当にそうなのかもしれない。 大型の赤蟻は四本足でどっしりと地面に立ち、上体を起こして二本の前足で腕組み?をしていたのだから。
「知能は黒蟻より高いって事で判断していいのかな。 魔法も使うし連携して動く事もできるとくればね」
正和はまさにファイヤーアントだな、と言いながらアイテムボックスから木の盾を取り出した。 盾と言っても木の板に取っ手がついたような簡素なもので、『強化された木の板』に近い。 朋広の強化が及ぶ範囲で生活の為の道具以外も考え、製作してもらったものだ。 ちなみに本格的なデザインの木製の『盾』には強化の効果は付与できなかった。
「色々試させて貰うかもしれないけど、こっちも身を守る為だから」
右手に角材、左手に木板。 武器というより『資材』を両手に持った正和が構える。
「赤蟻限定なら一対三。 黒蟻も含めるなら一対多数。 まずはこの構図を変えようか」
「! ギ......」
「ギ、ギ」
瞬間、蟻達に動揺が走った。 正和の存在感が増したとでも言えばいいのか。 蟻達は一人しかいないはずの正和に違和感を抱いたのである。
「これでこちらも複数、かな。 まだ家族にも気付かれていない僕の力。 試させて貰うよ」
正和の瞳に赤い光が宿っていた。 赤蟻(小)と赤蟻(大)が同時に動く! しかし正和は赤蟻(小)の攻撃を身体をひねって避け、赤蟻(大)の攻撃は盾で受け流した。
「次は大型の陰に隠れていて僕の死角にいる中型からの魔法攻撃」
正和は飛んできた炎を木材で弾く。 そこは赤蟻(小)が正和を攻撃するために移動しようとしていた線上であった。
「ギィ!」
赤蟻(小)は慌てて回避行動をとろうとするが間に合わない。 しかし赤蟻(大)が太い足を伸ばし赤蟻(小)をガードする! 炎は赤蟻(大)の足に当たって広がる。 ダメージはなさそうだが赤蟻(大)が一瞬ひるんだ!
「これで中型への援護が薄くなる」
正和は盾を正面に構え赤蟻(中)に突進する。 赤蟻(中)は炎の次弾を身体の正面に漂わせていたが、正和に盾ごとぶつかられ、炎も消し飛び、さらにそのままの勢いで後方に吹っ飛ばされた。
「ふーっ、ここまでは順調かな」
正和はすぐに次の展開を予想し始める。 同時に別の展開の可能性も推測し始めた。
『並列思考』
正和が覚醒させた力で同時に複数の別の事を思考できる。 開拓村では皆、同じような時間に起床し、同じような時間に就寝していたが正和だけは違っていた。 正和は就寝前や一人の時間は積極的に思考の海に潜り、貪欲に知識の吸収に努めたのである。 その結果、この力を覚醒させ思考による自身のタイムラグを無いに等しくする事に成功した。
ちなみに日常会話レベルのものであれば瞳に変化は見られないため、家族は正和のこの変化に気付いていない。 というか、正和が無反応になる状態をみかけなくなっている事にすら気付いていないと思われる。
「なんだ? 赤蟻の戦い方...... 僕の知っている戦い方と一致する?」
赤蟻(小)が仕掛けてくる!
「ギ! ......ガ!(にゃっ! にゃーっ!)」
赤蟻(大)も攻撃を重ねる!
「ゴ! ......ガアァッ!(ぬうぅん!)」
赤蟻(中)が魔法攻撃で援護!
「ゼ...... ヲ...... ル!(ファイヤー!)」
その時正和には赤蟻の動きが開拓村にいる亜人メンバーと重なって見えた。
「! これは亜人のパーティー編成での戦い方だ!」
正和は直後に次々と浮かぶ疑問に対し、並列思考で可能性の高そうな答えを当てはめていく。
なぜ赤蟻はこのような戦い方をするのか? 各々の体格の違いや得意な戦法を活かすため。
なぜ体格に違いがあるのか? 黒蟻の上級、進化した個体の可能性があるが、元々同じような個体からなぜここまで別物の体格の個体になれるかは不明。 現時点では保留。
赤蟻はいつから存在した? 亜人が赤蟻の話を一切しなかった事から、少なくとも亜人が黒蟻に襲撃されて以降に出現した可能性が高い。 自分が探索しているにもかかわらず出会った事がない事実で考えると、極端な可能性はここ最近。
赤蟻の戦い方は亜人との戦闘で学んだものなのか? それならば亜人から赤蟻の情報が出ていない事が不自然。 可能性は否。
では赤蟻には誕生した時から個体ごとの戦闘スタイルで戦い、魔法も使える存在がいるのか? 可能性はなくもないだろうが、その場合成長過程に不自然さを感じる。
その不自然さを解消するには? あくまで仮定としてだが、蟻の幼少期から特殊なエサを与えて特別な存在に育て上げる虫の生態を利用した可能性。
特殊なエサとは? 例えるなら亜人。 同じタイプの亜人をエサとして与え続ける。 蜂なら女王候補の個体にローヤルゼリーを与えて育てるように。
亜人がエサならタイプ別の区別法は? また亜人の生死は関係ないはず。 なぜ遺体は全く発見されていない? 区別法に関しては情報不足のため保留。 生死に関しては死んでいると都合が悪い理由があると考える。
その理由として考えられそうなものは? 生き餌でなければ効果がない、もしくは赤蟻は亜人から培養される、あるいは赤蟻の素体が亜人などの可能性。 しかし生き餌の線は説得力がやや弱く、培養しなければいけない理由も不明で手間などを考慮するなら素体を変化させる線が濃厚か。
亜人が赤蟻に変えられていると仮定してさっきの疑問に照らし合わせると? 抱いた疑問全てに辻褄をあわせる事が可能。
「そんなまさか! 嘘だろ!?」
正和は戦闘を継続させながら赤蟻を観察しつつ、ひとつの答えに辿り着き驚愕する。
「それを確認する方法は......」
すぐに二つの方法を考えつく。 正和はアイテムボックスに角材をしまい、かわりに別のアイテムを取り出しそうとした。 そこへ赤蟻の放った魔法が飛んでくる! 正和は冷静に...... それが黒蟻に当たるように盾で軌道を変えた。 見事に一匹の黒蟻に命中し黒蟻は炎に包まれる!
「よし、これで仮説の裏付けが取れる」
黒蟻はダメージを受けるどころか無傷だった。 ......蟻は亜人からの攻撃を受け付けない。 蟻同士ではダメージを与えられないとか赤蟻(中)の攻撃力が黒蟻の防御力を下回りノーダメージ、という可能性ももちろんある。 あるのだが......
「まさか華音が言ってた事が正解になってるなんて」
正和が先述の二つの可能性を否定した理由。 正和が取り出した亜人に反応するペンダントは、無情にも目の前の赤蟻に反応を示していた。
「赤蟻は黒蟻の上級種とかじゃなかった。 完全に別種だったんだ」
そしてその事実は正和に新たな問題を突きつける。
「黒蟻が赤蟻を誕生させた訳じゃないとするなら、この一連の騒動を描いた存在が別にいる。 そして、もしこの構図が亜人社会と蟻社会のぶつかり合いが発端だとすれば......」
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