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46話 華音、兄と共に覚醒し アリマ、自らを変貌させる
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亜人を脅かした蟻の頂点、アリマは亜人を創造した神、アリアであると正和は推測した。 だが、彼女の言動は支離滅裂で自分の事がわかっていないようにも感じられる。 恐らくここに亜人の悲劇を引き起こした原因があるのだろう。 正和は家族と相談し、アリマに自分自身が何者であるかを自覚させる事で問題の解決を図ろうとしていた。
「じいちゃんはログハウスの入口があった場所わかる? わかるならそこに結界を張ってアリマさんを閉じ込めてから移動用の扉を守って」
「了解じゃよ」
「僕と華音はアリマさんの相手をするけど、直接の対応は華音に任せてもいいかな?」
「うん、いいよ。 任せてー」
「攻撃よりも防御重視で頼むよ。 僕が隙を見ながら彼女の記憶を引き出させるから」
正和は同じ神でもアリマの現段階の力量は、シロッコに届いていないと判断している。
「正和、父さんと母さんはどうすればいい?」
「プランBで」
「ないだろそんなの!」
「うん。 でも『この空間』で話がつけられるなら僕ら三人でなんとかなるから、父さんと母さんは向こうに戻っておいて。 むしろここで五対一だと狭すぎて危ない」
正和は適当な理由を述べているが、真意は別の所にある。 そして勝算もきちんと考えていた。
「戦闘面ならじいちゃん、華音、僕だから」
「何を言うんだ正和! 父さんも必要な時には戦うぞ!」
「母さんだってあなた達を守る為なら戦うわよ!?」
「アリマさんよりも僕や華音の攻撃が父さん達に命中する可能性があるからなんだけど......」
「......退避しておこうか幸依」
「......そうねアナタ」
朋広と幸依は応援の言葉を残して退避していった。
「さて...... これで全力をだせるだろ華音。 奇しくもこの展開はじいちゃんとの修行の形に近いもんな」
「!? な、なんの事か華音にはわからないなー」
「とぼけなくても大丈夫だよ、僕もじいちゃんと同じような事してたんだから」
「え? お兄ちゃんも? おじいちゃんがばらした訳じゃないの?」
「儂は何もしゃべっておらんぞ。 二人とも自分以外の家族には内緒でと言ってきた時には、やはり兄妹なんじゃなぁ。 とは思ったがの」
シロッコは笑いながら言う。 華音はシロッコ相手に戦闘訓練をしていた。 きっかけは家族を守る為。 色々な好奇心もあったかもしれない。 正和も今後の事を考えて同じ頼みをシロッコにしていた。
「期待しとくよ? 華音」
正和の瞳に赤い光が宿る。
「あれ、お兄ちゃんも......? なら華音もやっちゃいますかー」
華音はアイテムボックスから二本の丸い棒を取り出す。 片手で握れるサイズで長さは短めだ。
「名付けて華音二刀流。 そして......」
華音の瞳に金色の光が宿る。 それと同時に華音からの威圧感が増した。
「すごいな。 冷や汗がでたよ......」
「ふふーん。 まだパパやママには内緒にしておいてよ?」
「そこはお互いにね」
正和は盾だけ取り出す。
「アリマさん。 真実を取り戻してもらいますよ」
「......うう」
正和の呼びかけにアリマが反応した。 だが意識はまだ混濁状態にあるようだ。
「もしじいちゃんが標的になっても防御主体で対応してね」
「それは構わぬが、相手も神なんじゃろ? 一筋縄ではいかんのじゃないかのぅ?」
「神レベル? 神格? そういうのはわからないけど、力は現段階でじいちゃんの方が上だと断言できるよ」
「なぜ言いきれるのかきいても?」
正和はある一点を指差しながら言う。
「第一にアリマさんが力を解放したにも関わらず、結界は無事だと推測できる事。 証拠はそこの看板。 結界の内側のログハウスはなくなったのに、すぐ近くの結界で覆った看板は無傷」
「ほう、確かに」
「結界が残ってるって事はここは凄い狭い空間な訳で、やや形は違うけどじいちゃんと戦闘訓練をした......」
「あ! 結界でつくった四角い空間にそっくり!」
華音が気付いて声をあげる。 華音達の修行場とは家の三階の空き部屋の中の事で、そこに結界(防音効果つき)を張って秘密裏に行っていた。
「そう。 そしてアリマさんが結界を破壊できないという事実は、じいちゃんの能力を力で凌駕できない証明になる」
「ふむ」
「また、アリマさんは精神的な能力の面でもじいちゃんにはおよばない」
「なんでそんな目に見えない部分までわかるの?」
華音が正和に質問する。
「アリマさんと会話ができたからだよ。 華音」
「......どういう事かわかんない。 話せない方が良かったの?」
「アリマさんと言葉が通じたろ?」
「うん」
「なんで通じたのさ」
「え、だって日本語なんだからそりゃ通じるよ。 ......あ!」
華音が気付いた。 シロッコも納得する。
「なるほど。 世界の基本言語を日本語にした儂の能力に無意識ながらも影響されておるという訳じゃな? 儂より力か抵抗力が上回っておれば日本語は使わんかったじゃろう」
「うん。 暗示がかけられるなら、僕の力も通用する可能性があって、狙いも実現できるかもしれない」
「じゃあその為に華音がお兄ちゃんの壁になってればいいんだね?」
「そういう作戦になるね。 ただ相手はじいちゃんとタイプが違うだろうから慎重に頼むよ?」
三人は頷きあう。
「アリマさん、あなたは今のままではこの世界に存在する者全てを蟻にするまで止まる事ができなくなってしまう! 本来の自分を思い出してください!」
「うう...... 妾は...... 妾だ!」
アリマが動いた! 狙いを正和に決めたのか距離を詰めようとしたがその間に華音が割ってはいる。
「そうはさせないよ!」
「邪魔をするな小娘!」
アリマはそのまま華音に掌底をくりだすが、華音の左手で持った棒でいなされた。 アリマは払われた手を引きつつ、その反動を利用して蹴りを放つ。 華音が右手の棒でそれを反らすとアリマの背後に正和が回り込む。
「あなたは亜人の神だった。 神族と戦っていた記憶があるはずです」
「だまりゃ! 神族も貴様達も妾の敵ぞ!」
アリマは正和の顔に裏拳を当てにいくが、正和はしゃがんでそれをかわす。 アリマの死角から華音が仕掛ける。
「華音を忘れないでね!」
「くっ! 下等な存在が小賢しい!」
アリマは華音の攻撃を回避する。
「まだまだー!」
華音の連続攻撃! アリマは華音の連続攻撃を全て回避する。
「え! 嘘でしょ!?」
「なめるな小娘!」
「アリマさん!」
正和もアイテムボックスから角材を取り出し華音を援護する攻撃を行う。
「ええい、こうるさい!」
アリマは正和の攻撃もかわし二人から少し距離を取る。
「なにアリマさんのあの回避力! まさか全然当たらないとは思わなかった。 自信なくしちゃうよ」
「......心眼と言いたいところだけど、頭の複眼によるものだろうね。 こちらも攻撃を当てる事が目的じゃないけど、素直にすごいね」
「お兄ちゃん。 華音、突撃するよ!」
「了解!」
「いい気になるなよ、童(わっぱ)どもが!」
再び兄妹対アリマの攻防が始まる。 ハイスピードな接近戦が行われているのだが、全員が相手に攻撃を当てられない。 そんな中でも正和はアリマへの語りかけを続けている。
(ほう、こういう偶然もあるものか。 華音ちゃんは身体能力と戦闘能力を向上させ、反射神経と感覚で相手の攻撃を避けておる。 対して正和君は思考の能力を極限まで高め、相手の先を何手も読んで攻撃を受けぬ。 正反対の性質の『武』と『知』が極まって同じ結果の『先読み』を発現させるとは実に興味深い)
シロッコは感嘆のため息をもらす。
(そしてアリマは虫の特性...... この場合は複眼か? それを最大限活かして二人の攻撃を『見切って』いる。 一見、錯乱状態で素手のアリマが不利に見えるが、仮にも元神で蟻の頂点の存在ならまだ戦う為の手段は持っておると見てよいじゃろうな。 そうなると長引くと不利になるのは......)
シロッコは二人に最適な援護は何か考える。
「妾の言葉を聞き入れぬばかりか、またしても刃向かうとは憎き神族よ!」
「僕達は神族ではありません! あなたの眷族である亜人と協力している者ですアリマさん!」
「眷族に協力する者がなぜその創造主の邪魔をするのか。 気に入らぬ!」
「お兄ちゃんを婿にって言ってたのに気に入らないとか勝手だよね!」
華音が棒を振りながら言う。
「何? 婿? ! うう......」
「あ」
「ぐはっ!」
華音の言葉でアリマが一瞬動きを止めた。 そこに華音の攻撃が命中してしまい、アリマは吹っ飛ばされるがすぐ結界のある位置の空中に停止する。 これは対象が結界を越えられない為に起きる現象だ。 吹き飛んだ威力が相殺されるまで空中に固定されるとはいえ、これ自体はダメージにならない。 与えたダメージは意図せず命中した分だけとなるが、その出来事はアリマに屈辱を与えるには充分だった。
「妾が...... この妾を殴り付けるとは...... よいだろう。 消滅が望みとあらば叶えてやる」
「え゛? お、お兄ちゃんの望みはアリマお姉ちゃんが優しい亜人の女神アリア様に戻ってくれる事だよ! 華音も一緒かなー」
華音が慌ててアリマに言い訳するが、聞き入れられる訳もない。
「たわけた事を...... 妾の意に従っていた方が幸せだったと後悔させてやろう...... 妾の真実でな!」
アリマが空中にいる状態で再び黒いオーラに包まれる。 だが先程のオーラとは禍々しさが比べ物にならない。
「あ、華音知ってるよ。 ......これなんかいけないやつだ」
「くっ......」
「ぬぅ、この力はなんじゃ!?」
どさり。 黒いオーラに包まれたアリマが地面に落下した。 オーラがアリマに吸い込まれる様にして姿が現れていく。 そこには......
「え、えええ!?」
「な、なるほど。 これなら確かに女王蟻じゃな」
「アリマさん...... 蟻魔......」
サイズこそ大きくはないが、蟻の下半身とアリマの上半身を持つ存在が居た。
「まだ...... じゃ...... 妾の...... は......」
「......そう ......妾は ......闇より産まれし ......闇姫!」
メキメキという音と共にアリマの容姿にさらなる変貌が加わる! 今度はオーラに包まれた視覚的に優しい変貌ではなく、一人の人間がいきなり狼男に変わっていくような、本能的におぞましさや恐怖感を訴えるような変貌だ。 あまりの予想外な展開に正和、華音、シロッコの三人も動けない。
「ひええ! こ、こんなのありなの? お兄ちゃん?」
「さ、さすがにこれは...... ありじゃない」
「まさか...... 力の根源が闇などとはありえん。 ありえんが......」
「ス...... ベテ...... ホロ...... ビヨ...... ソ...... シテ」
変貌を成し遂げ、大きさも二メートル近くになったアリマが叫ぶ。
「ワラワノ...... コドクトゼツボウトウラミ...... オモイシレェッ!」
「じいちゃんはログハウスの入口があった場所わかる? わかるならそこに結界を張ってアリマさんを閉じ込めてから移動用の扉を守って」
「了解じゃよ」
「僕と華音はアリマさんの相手をするけど、直接の対応は華音に任せてもいいかな?」
「うん、いいよ。 任せてー」
「攻撃よりも防御重視で頼むよ。 僕が隙を見ながら彼女の記憶を引き出させるから」
正和は同じ神でもアリマの現段階の力量は、シロッコに届いていないと判断している。
「正和、父さんと母さんはどうすればいい?」
「プランBで」
「ないだろそんなの!」
「うん。 でも『この空間』で話がつけられるなら僕ら三人でなんとかなるから、父さんと母さんは向こうに戻っておいて。 むしろここで五対一だと狭すぎて危ない」
正和は適当な理由を述べているが、真意は別の所にある。 そして勝算もきちんと考えていた。
「戦闘面ならじいちゃん、華音、僕だから」
「何を言うんだ正和! 父さんも必要な時には戦うぞ!」
「母さんだってあなた達を守る為なら戦うわよ!?」
「アリマさんよりも僕や華音の攻撃が父さん達に命中する可能性があるからなんだけど......」
「......退避しておこうか幸依」
「......そうねアナタ」
朋広と幸依は応援の言葉を残して退避していった。
「さて...... これで全力をだせるだろ華音。 奇しくもこの展開はじいちゃんとの修行の形に近いもんな」
「!? な、なんの事か華音にはわからないなー」
「とぼけなくても大丈夫だよ、僕もじいちゃんと同じような事してたんだから」
「え? お兄ちゃんも? おじいちゃんがばらした訳じゃないの?」
「儂は何もしゃべっておらんぞ。 二人とも自分以外の家族には内緒でと言ってきた時には、やはり兄妹なんじゃなぁ。 とは思ったがの」
シロッコは笑いながら言う。 華音はシロッコ相手に戦闘訓練をしていた。 きっかけは家族を守る為。 色々な好奇心もあったかもしれない。 正和も今後の事を考えて同じ頼みをシロッコにしていた。
「期待しとくよ? 華音」
正和の瞳に赤い光が宿る。
「あれ、お兄ちゃんも......? なら華音もやっちゃいますかー」
華音はアイテムボックスから二本の丸い棒を取り出す。 片手で握れるサイズで長さは短めだ。
「名付けて華音二刀流。 そして......」
華音の瞳に金色の光が宿る。 それと同時に華音からの威圧感が増した。
「すごいな。 冷や汗がでたよ......」
「ふふーん。 まだパパやママには内緒にしておいてよ?」
「そこはお互いにね」
正和は盾だけ取り出す。
「アリマさん。 真実を取り戻してもらいますよ」
「......うう」
正和の呼びかけにアリマが反応した。 だが意識はまだ混濁状態にあるようだ。
「もしじいちゃんが標的になっても防御主体で対応してね」
「それは構わぬが、相手も神なんじゃろ? 一筋縄ではいかんのじゃないかのぅ?」
「神レベル? 神格? そういうのはわからないけど、力は現段階でじいちゃんの方が上だと断言できるよ」
「なぜ言いきれるのかきいても?」
正和はある一点を指差しながら言う。
「第一にアリマさんが力を解放したにも関わらず、結界は無事だと推測できる事。 証拠はそこの看板。 結界の内側のログハウスはなくなったのに、すぐ近くの結界で覆った看板は無傷」
「ほう、確かに」
「結界が残ってるって事はここは凄い狭い空間な訳で、やや形は違うけどじいちゃんと戦闘訓練をした......」
「あ! 結界でつくった四角い空間にそっくり!」
華音が気付いて声をあげる。 華音達の修行場とは家の三階の空き部屋の中の事で、そこに結界(防音効果つき)を張って秘密裏に行っていた。
「そう。 そしてアリマさんが結界を破壊できないという事実は、じいちゃんの能力を力で凌駕できない証明になる」
「ふむ」
「また、アリマさんは精神的な能力の面でもじいちゃんにはおよばない」
「なんでそんな目に見えない部分までわかるの?」
華音が正和に質問する。
「アリマさんと会話ができたからだよ。 華音」
「......どういう事かわかんない。 話せない方が良かったの?」
「アリマさんと言葉が通じたろ?」
「うん」
「なんで通じたのさ」
「え、だって日本語なんだからそりゃ通じるよ。 ......あ!」
華音が気付いた。 シロッコも納得する。
「なるほど。 世界の基本言語を日本語にした儂の能力に無意識ながらも影響されておるという訳じゃな? 儂より力か抵抗力が上回っておれば日本語は使わんかったじゃろう」
「うん。 暗示がかけられるなら、僕の力も通用する可能性があって、狙いも実現できるかもしれない」
「じゃあその為に華音がお兄ちゃんの壁になってればいいんだね?」
「そういう作戦になるね。 ただ相手はじいちゃんとタイプが違うだろうから慎重に頼むよ?」
三人は頷きあう。
「アリマさん、あなたは今のままではこの世界に存在する者全てを蟻にするまで止まる事ができなくなってしまう! 本来の自分を思い出してください!」
「うう...... 妾は...... 妾だ!」
アリマが動いた! 狙いを正和に決めたのか距離を詰めようとしたがその間に華音が割ってはいる。
「そうはさせないよ!」
「邪魔をするな小娘!」
アリマはそのまま華音に掌底をくりだすが、華音の左手で持った棒でいなされた。 アリマは払われた手を引きつつ、その反動を利用して蹴りを放つ。 華音が右手の棒でそれを反らすとアリマの背後に正和が回り込む。
「あなたは亜人の神だった。 神族と戦っていた記憶があるはずです」
「だまりゃ! 神族も貴様達も妾の敵ぞ!」
アリマは正和の顔に裏拳を当てにいくが、正和はしゃがんでそれをかわす。 アリマの死角から華音が仕掛ける。
「華音を忘れないでね!」
「くっ! 下等な存在が小賢しい!」
アリマは華音の攻撃を回避する。
「まだまだー!」
華音の連続攻撃! アリマは華音の連続攻撃を全て回避する。
「え! 嘘でしょ!?」
「なめるな小娘!」
「アリマさん!」
正和もアイテムボックスから角材を取り出し華音を援護する攻撃を行う。
「ええい、こうるさい!」
アリマは正和の攻撃もかわし二人から少し距離を取る。
「なにアリマさんのあの回避力! まさか全然当たらないとは思わなかった。 自信なくしちゃうよ」
「......心眼と言いたいところだけど、頭の複眼によるものだろうね。 こちらも攻撃を当てる事が目的じゃないけど、素直にすごいね」
「お兄ちゃん。 華音、突撃するよ!」
「了解!」
「いい気になるなよ、童(わっぱ)どもが!」
再び兄妹対アリマの攻防が始まる。 ハイスピードな接近戦が行われているのだが、全員が相手に攻撃を当てられない。 そんな中でも正和はアリマへの語りかけを続けている。
(ほう、こういう偶然もあるものか。 華音ちゃんは身体能力と戦闘能力を向上させ、反射神経と感覚で相手の攻撃を避けておる。 対して正和君は思考の能力を極限まで高め、相手の先を何手も読んで攻撃を受けぬ。 正反対の性質の『武』と『知』が極まって同じ結果の『先読み』を発現させるとは実に興味深い)
シロッコは感嘆のため息をもらす。
(そしてアリマは虫の特性...... この場合は複眼か? それを最大限活かして二人の攻撃を『見切って』いる。 一見、錯乱状態で素手のアリマが不利に見えるが、仮にも元神で蟻の頂点の存在ならまだ戦う為の手段は持っておると見てよいじゃろうな。 そうなると長引くと不利になるのは......)
シロッコは二人に最適な援護は何か考える。
「妾の言葉を聞き入れぬばかりか、またしても刃向かうとは憎き神族よ!」
「僕達は神族ではありません! あなたの眷族である亜人と協力している者ですアリマさん!」
「眷族に協力する者がなぜその創造主の邪魔をするのか。 気に入らぬ!」
「お兄ちゃんを婿にって言ってたのに気に入らないとか勝手だよね!」
華音が棒を振りながら言う。
「何? 婿? ! うう......」
「あ」
「ぐはっ!」
華音の言葉でアリマが一瞬動きを止めた。 そこに華音の攻撃が命中してしまい、アリマは吹っ飛ばされるがすぐ結界のある位置の空中に停止する。 これは対象が結界を越えられない為に起きる現象だ。 吹き飛んだ威力が相殺されるまで空中に固定されるとはいえ、これ自体はダメージにならない。 与えたダメージは意図せず命中した分だけとなるが、その出来事はアリマに屈辱を与えるには充分だった。
「妾が...... この妾を殴り付けるとは...... よいだろう。 消滅が望みとあらば叶えてやる」
「え゛? お、お兄ちゃんの望みはアリマお姉ちゃんが優しい亜人の女神アリア様に戻ってくれる事だよ! 華音も一緒かなー」
華音が慌ててアリマに言い訳するが、聞き入れられる訳もない。
「たわけた事を...... 妾の意に従っていた方が幸せだったと後悔させてやろう...... 妾の真実でな!」
アリマが空中にいる状態で再び黒いオーラに包まれる。 だが先程のオーラとは禍々しさが比べ物にならない。
「あ、華音知ってるよ。 ......これなんかいけないやつだ」
「くっ......」
「ぬぅ、この力はなんじゃ!?」
どさり。 黒いオーラに包まれたアリマが地面に落下した。 オーラがアリマに吸い込まれる様にして姿が現れていく。 そこには......
「え、えええ!?」
「な、なるほど。 これなら確かに女王蟻じゃな」
「アリマさん...... 蟻魔......」
サイズこそ大きくはないが、蟻の下半身とアリマの上半身を持つ存在が居た。
「まだ...... じゃ...... 妾の...... は......」
「......そう ......妾は ......闇より産まれし ......闇姫!」
メキメキという音と共にアリマの容姿にさらなる変貌が加わる! 今度はオーラに包まれた視覚的に優しい変貌ではなく、一人の人間がいきなり狼男に変わっていくような、本能的におぞましさや恐怖感を訴えるような変貌だ。 あまりの予想外な展開に正和、華音、シロッコの三人も動けない。
「ひええ! こ、こんなのありなの? お兄ちゃん?」
「さ、さすがにこれは...... ありじゃない」
「まさか...... 力の根源が闇などとはありえん。 ありえんが......」
「ス...... ベテ...... ホロ...... ビヨ...... ソ...... シテ」
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