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54話 エイメイ、山賊を蹴散らし リン、味方となる人物と出会う
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カソー村に戻ったエイメイは村長の所に行き、リンとライミーネに用意してもらった品々を渡して都で起きたことを説明していた。
「なるほど...... これはその方達が」
「そうなんだよ。 これだけの事をしてもらったのに、村への帰り道でそのうちの一人がお尋ね者になって逃亡してるってのを聞いて驚いたよ。 せめてこっち方面に逃げてきてくれればと探しながら戻ってきたんだがね......」
「さすがに人目のある集落は避けるだろうな。 村の恩人ゆえ、ここならば匿う事もできたかもしれないが、今の村の現状ではわずかな謝礼金欲しさに情報を売る者が出たかもしれん」
村長は首を横に振りながら情けない話だが、ともらす。
「ああ、私も同感さね。 それにリン殿の性格上、村を巻き込むことは良しとしないだろう。 集落を避けるのは当然として、せめてどこに行くつもりかがわかればねぇ」
「もしこの辺りに潜んでいたとしても、この先に進むには砦を通らねばならん。 その方法がなければ足止めは確実であろうな」
「足止めされても生きていくには水分と食料は必要...... 飲まず食わずで進むにも限界がある」
エイメイは腕を組んで考えをまとめていたが、
「ひょっとしたら...... 村長、少しだけエールと保存食もらってくよ!」
「お前が持ってきてくれた物だ。 それは構わんが」
彼女は村長が言い終わらない内に荷物を掴んで外に飛び出した。
「それと、ちょっと屋根の上を借りるから!」
村長に振り向きつつそう言って。
(もし、この辺りにいたとして、アタシの読み通りなら......)
屋根の上から小高い森がある方向を凝視する。 ......そこにはエイメイが期待した光景があった。
(やはり! 食料がないなら現地調達。 そして調理が必須。 その煙があがっていればと思ったけど)
エイメイは屋根から飛び降り目星をつけた方角へ走りだす。
「あの距離なら道からは外れているとはいえ、割と近い。 アタシもまだ運には見放されていないようだね。 待っていておくれよ、リン殿!」
(......そう思った時期がアタシにもありましたねぇ、はい)
エイメイは自分の運の無さを心の中で呪った。 具体的にはよくよく私も運の無い女だな、と。
「おうおう。 こんな道を外れた場所を女一人で歩くのは襲ってくれって言ってるようなもんだぜ。 おい」
「なんであっし達がこんな所で野宿するはめにと思ってたでヤンスが、捨てる神あれば拾う神もいるもんでヤンスねぇ」
「まぁ、どちらにせよ私達に見つかったのが運の尽きと諦めていただきましょうか」
エイメイの嘆きの理由。 それは目的地近くで筋肉質の男、小柄な男、細身の男の三人組に絡まれたからだった。 どうやら屋根から見た煙はこの男達が起こしていた焚き火が原因だったようだ。
「......で、あんたらが何だって?」
「三鬼山賊団ですよ、お嬢さん」
物腰のやわらかい、細身の男がエイメイの質問に答えてくれる。
「俺がリーダーのリッチマン様よ」
筋肉質の男が名乗り、小柄な男がそれに続く。
「あっしはイ・ベントでヤンス」
「そして私がプレゼンターです」
(やれやれ。 偽名っぽいけど本名に微塵も興味がわかない)
「三人しかいない山賊といい、三人組の偽の近衛といい、アタシは変な三人組に絡まれる運命にでもあるってのかねぇ」
「「「変って言うな!」」」
「で、その三バカトリオが何だって?」
「「「話聞けよ!!」」」
「うっさいね。 アタシゃあてが外れたばかりで少々機嫌が悪いんだ。 その三バカ盗賊団とやらを壊滅させられたくなきゃ素直にどっかに行くんだね」
エイメイの悪態に三鬼山賊団のリーダー、リッチマンは閉口する。
「な、なんて口の悪い女だ」
「これは美しくありません」
「お仕置きが必要でヤンスかね」
貴重な時間をなんでこんな奴等に使っているんだろうと考えたエイメイはますますイライラを募らせた。
「お仕置きか...... そこのちっこいの、アンタいいこと言うねぇ。 確かにうちの村の近くでこんな事されても迷惑だし..... 潰しとくのもありかもしれないね。 時間は惜しいけどさ」
エイメイの迫力が増す。 その迫力に気圧されたイ・ベントが情けない声を出してリッチマンに泣きつく。
「ひ、ひぃ! サ、サミーヨの兄貴!」
「サミーヨじゃねぇ! リッチマンだ!」
「こ、この辺りの女性は皆こんな方ばかりなのですか!?」
「ええい! こっちは男三人だ! 女一人相手に前みたいな事がそうそうあってたまるか! 全員でいくぞ!」
「わかりました!」
「了解でヤンス!」
......こうして三鬼山賊団は壊滅した。
「うぐぐ...... でヤンス」
「つ、強えぇ......」
「描写すらないとはついてませんね......」
エイメイは剣を抜くことなく山賊三人を叩きのめし、ため息をつく。
「全然なっちゃいない。 あんたら、この辺で山賊稼業なんてやめておくことだね。 そんな腕前じゃ逆に狩られて命を落とすのが関の山さね。 というか、武芸に関してはまるで素人にしか思えなかったんだけどねぇ?」
「そりゃあ、あっしらは素人でヤンスから」
「おいドタ! 余計なことを言うんじゃねぇ」
「! あっしはイ・ベントでヤンスよ兄貴!」
「とほほ。 一人の女性に住み処を追われただけでなく、今度はこんな目にあうとは......」
「ナニモ! てめぇも情けない声だすんじゃねぇよ!」
「ちょっ! 私はプレゼンターですってば!」
三人が言い争いを始めた。 エイメイにとってそれ自体はどうでも良かったが、やりとりの中に彼女が興味を示す内容があり口を出す。
「ちょっとまてお前ら。 アタシにのされる前にも女一人にやられたってのは?」
「うるせい! お前に」
関係ないだろと言いかけたリッチマンだったが、エイメイに凄まれて最後まで言う事はできず、渋々ながらその時の状況を説明する。
「そもそもあっしらは元々は猟師だったんでヤンスよ」
「俺達は北の方にある村出身なんだが、村の連中と折り合いが悪く、三人で飛び出してな。 獲物を探しながら生活し、この辺りまで移動してきたんだ」
「しかしこの辺りではその獲物と全く遭遇する事もなくなりまして、元々楽ではなかった生活がますます苦しくなってしまったのですよ」
エイメイは村の凶作は知っていたが、この辺りの動物までもが姿を消していたとは考えていなかった。 このふたつは何か関連性があるのだろうかと考えたものの、今話題にするべきは別の事のため口には出さない。
「それでこの近くに洞窟を見つけてそこをねぐらにしていたんだが......」
「食べるものもなくなり、やむにやまれず、偶然近くを通った女に初めて山賊行為を働こうとしたのです」
「今冷静に考えれば、あんな場所を女一人でうろついている方がよっぽど不自然だったでヤンスよ」
「......で、返り討ちにあったって訳かい」
「あっし達の命をとるつもりはないが、見逃すかわりにねぐらを譲れと言われたでヤンス」
エイメイはその条件を出した理由を落ち着いて休める場所を確保する為だと推測した。 もし逃亡中の身ならなおさら隠れられる場所は確保したいはずだ。
「その女はあんたらに対して素手だったのかい? ひょっとして棒か棍を使ったんじゃないのかい?」
エイメイの武器は剣で、刃の部分がついているので殺傷力は高い。 故に相手との力量にはっきりと差がある場合は彼女は剣を抜かずに素手で戦う。 剣で手加減する事ももちろん可能ではあるのだが、刃の部分を当てない様に気を使わねばならない。 相手が下手だと自分から刃の部分に飛び込んでくる事さえある。 手加減と言う意味では刃のついていない棒や棍の方が圧倒的にやり易いので、もしこの三人の相手をしたのがリンであれば、得物を見せている可能性が高いのではないかとエイメイは予想した。
「よくわかりますね。 言われる通り棍を持っていましたよ。 まぁ次の瞬間には私達三人は地面に倒れていたんですけどね」
「何が起きたか今でもわからん。 ありゃ化け物だよ」
「ふふん、そりゃそうだろうさ。 もしその女がアタシの探している人物なら、あんたらじゃ何度挑んでも蹴散らされるだろうよ」
自分と引き分けた相手が凄いと言われるのは悪い気がしないのか、エイメイは機嫌が良くなり自慢気に説明する。
「姐さんも強かったでやすが、知り合いの可能性があるんでヤンスか?」
「まぁね」
(もし、こいつらのねぐらにいるのがリン殿だったら、休めばすぐに移動を開始するはず。 そうなる前に合流しないと)
「そうだね...... なんならアタシがあんたらのねぐらを取り返してやっても構わないよ? 案内する気はあるかい?」
「ほ、本当か!?」
「そいつはありがたい話でヤンス!」
「運が上向いてきましたか」
三人は喜んで洞窟までの案内を始め、エイメイは三人についていく。
「ここでさぁ! すぐにあの女を呼び出しますんで! おい聞こえるか! 俺達がねぐらを取り返しにきてやったぞ!」
「今度はこっちにも強い姐さんがいるでヤンスよ!」
「私達四鬼山賊団の恐ろしさを今度は身をもって知ることになるでしょう」
「な!? おいこら、アタシを勝手にお前達の仲間にすんじゃないよ! そんな呼び出しもしなくていいから!」
エイメイは迷惑だとばかりに否定し、挑発をやめさせようとした。 洞窟の中からは何の反応もない。
(しまった遅かった? もう移動した後だったか? ん?)
エイメイはチャンスを逃してしまったかと内心焦る。 が、
「ここに長居をするつもりはなかったが、力量を弁えず再び絡むか。 無謀と蛮勇の代償は時に自らの命だと知るがいい」
「「「ひゃあ! 出たぁ!」」」
洞窟からではなくエイメイ達の後ろから声がかかり、男三人はとびあがって驚く。 さすがにエイメイは気配には気付いていたが。
(ああ。 この声は......)
「お前達のような者が何度挑んできても無駄だという事も学べないとは」
「「「ひいっ!」」」
その女に凄まれ三人は悲鳴をあげ、その場にへたりこむ。
「......アタシもそう言ったんだけどね、腕の立つ者が一時的に味方になったせいでこいつらちょーっと気が大きくなっちゃったようなのさ」
「何? ......あれ?」
女の関心がエイメイに向いた。 彼女は話ながらゆっくりと振り返る。
「良かった。 やっと会えたよ、リン殿」
目の前には薄汚れて疲労感が漂っているものの、助けてくれた恩人、リンの姿があった。
「エ、エイメイ殿ではありませんか!」
「結構探し回ったよ。 随分大変な目にあったみたいだね」
リンとエイメイとライミーネ。 別れた三人のうち、二人の道が今再び交わった。
「なるほど...... これはその方達が」
「そうなんだよ。 これだけの事をしてもらったのに、村への帰り道でそのうちの一人がお尋ね者になって逃亡してるってのを聞いて驚いたよ。 せめてこっち方面に逃げてきてくれればと探しながら戻ってきたんだがね......」
「さすがに人目のある集落は避けるだろうな。 村の恩人ゆえ、ここならば匿う事もできたかもしれないが、今の村の現状ではわずかな謝礼金欲しさに情報を売る者が出たかもしれん」
村長は首を横に振りながら情けない話だが、ともらす。
「ああ、私も同感さね。 それにリン殿の性格上、村を巻き込むことは良しとしないだろう。 集落を避けるのは当然として、せめてどこに行くつもりかがわかればねぇ」
「もしこの辺りに潜んでいたとしても、この先に進むには砦を通らねばならん。 その方法がなければ足止めは確実であろうな」
「足止めされても生きていくには水分と食料は必要...... 飲まず食わずで進むにも限界がある」
エイメイは腕を組んで考えをまとめていたが、
「ひょっとしたら...... 村長、少しだけエールと保存食もらってくよ!」
「お前が持ってきてくれた物だ。 それは構わんが」
彼女は村長が言い終わらない内に荷物を掴んで外に飛び出した。
「それと、ちょっと屋根の上を借りるから!」
村長に振り向きつつそう言って。
(もし、この辺りにいたとして、アタシの読み通りなら......)
屋根の上から小高い森がある方向を凝視する。 ......そこにはエイメイが期待した光景があった。
(やはり! 食料がないなら現地調達。 そして調理が必須。 その煙があがっていればと思ったけど)
エイメイは屋根から飛び降り目星をつけた方角へ走りだす。
「あの距離なら道からは外れているとはいえ、割と近い。 アタシもまだ運には見放されていないようだね。 待っていておくれよ、リン殿!」
(......そう思った時期がアタシにもありましたねぇ、はい)
エイメイは自分の運の無さを心の中で呪った。 具体的にはよくよく私も運の無い女だな、と。
「おうおう。 こんな道を外れた場所を女一人で歩くのは襲ってくれって言ってるようなもんだぜ。 おい」
「なんであっし達がこんな所で野宿するはめにと思ってたでヤンスが、捨てる神あれば拾う神もいるもんでヤンスねぇ」
「まぁ、どちらにせよ私達に見つかったのが運の尽きと諦めていただきましょうか」
エイメイの嘆きの理由。 それは目的地近くで筋肉質の男、小柄な男、細身の男の三人組に絡まれたからだった。 どうやら屋根から見た煙はこの男達が起こしていた焚き火が原因だったようだ。
「......で、あんたらが何だって?」
「三鬼山賊団ですよ、お嬢さん」
物腰のやわらかい、細身の男がエイメイの質問に答えてくれる。
「俺がリーダーのリッチマン様よ」
筋肉質の男が名乗り、小柄な男がそれに続く。
「あっしはイ・ベントでヤンス」
「そして私がプレゼンターです」
(やれやれ。 偽名っぽいけど本名に微塵も興味がわかない)
「三人しかいない山賊といい、三人組の偽の近衛といい、アタシは変な三人組に絡まれる運命にでもあるってのかねぇ」
「「「変って言うな!」」」
「で、その三バカトリオが何だって?」
「「「話聞けよ!!」」」
「うっさいね。 アタシゃあてが外れたばかりで少々機嫌が悪いんだ。 その三バカ盗賊団とやらを壊滅させられたくなきゃ素直にどっかに行くんだね」
エイメイの悪態に三鬼山賊団のリーダー、リッチマンは閉口する。
「な、なんて口の悪い女だ」
「これは美しくありません」
「お仕置きが必要でヤンスかね」
貴重な時間をなんでこんな奴等に使っているんだろうと考えたエイメイはますますイライラを募らせた。
「お仕置きか...... そこのちっこいの、アンタいいこと言うねぇ。 確かにうちの村の近くでこんな事されても迷惑だし..... 潰しとくのもありかもしれないね。 時間は惜しいけどさ」
エイメイの迫力が増す。 その迫力に気圧されたイ・ベントが情けない声を出してリッチマンに泣きつく。
「ひ、ひぃ! サ、サミーヨの兄貴!」
「サミーヨじゃねぇ! リッチマンだ!」
「こ、この辺りの女性は皆こんな方ばかりなのですか!?」
「ええい! こっちは男三人だ! 女一人相手に前みたいな事がそうそうあってたまるか! 全員でいくぞ!」
「わかりました!」
「了解でヤンス!」
......こうして三鬼山賊団は壊滅した。
「うぐぐ...... でヤンス」
「つ、強えぇ......」
「描写すらないとはついてませんね......」
エイメイは剣を抜くことなく山賊三人を叩きのめし、ため息をつく。
「全然なっちゃいない。 あんたら、この辺で山賊稼業なんてやめておくことだね。 そんな腕前じゃ逆に狩られて命を落とすのが関の山さね。 というか、武芸に関してはまるで素人にしか思えなかったんだけどねぇ?」
「そりゃあ、あっしらは素人でヤンスから」
「おいドタ! 余計なことを言うんじゃねぇ」
「! あっしはイ・ベントでヤンスよ兄貴!」
「とほほ。 一人の女性に住み処を追われただけでなく、今度はこんな目にあうとは......」
「ナニモ! てめぇも情けない声だすんじゃねぇよ!」
「ちょっ! 私はプレゼンターですってば!」
三人が言い争いを始めた。 エイメイにとってそれ自体はどうでも良かったが、やりとりの中に彼女が興味を示す内容があり口を出す。
「ちょっとまてお前ら。 アタシにのされる前にも女一人にやられたってのは?」
「うるせい! お前に」
関係ないだろと言いかけたリッチマンだったが、エイメイに凄まれて最後まで言う事はできず、渋々ながらその時の状況を説明する。
「そもそもあっしらは元々は猟師だったんでヤンスよ」
「俺達は北の方にある村出身なんだが、村の連中と折り合いが悪く、三人で飛び出してな。 獲物を探しながら生活し、この辺りまで移動してきたんだ」
「しかしこの辺りではその獲物と全く遭遇する事もなくなりまして、元々楽ではなかった生活がますます苦しくなってしまったのですよ」
エイメイは村の凶作は知っていたが、この辺りの動物までもが姿を消していたとは考えていなかった。 このふたつは何か関連性があるのだろうかと考えたものの、今話題にするべきは別の事のため口には出さない。
「それでこの近くに洞窟を見つけてそこをねぐらにしていたんだが......」
「食べるものもなくなり、やむにやまれず、偶然近くを通った女に初めて山賊行為を働こうとしたのです」
「今冷静に考えれば、あんな場所を女一人でうろついている方がよっぽど不自然だったでヤンスよ」
「......で、返り討ちにあったって訳かい」
「あっし達の命をとるつもりはないが、見逃すかわりにねぐらを譲れと言われたでヤンス」
エイメイはその条件を出した理由を落ち着いて休める場所を確保する為だと推測した。 もし逃亡中の身ならなおさら隠れられる場所は確保したいはずだ。
「その女はあんたらに対して素手だったのかい? ひょっとして棒か棍を使ったんじゃないのかい?」
エイメイの武器は剣で、刃の部分がついているので殺傷力は高い。 故に相手との力量にはっきりと差がある場合は彼女は剣を抜かずに素手で戦う。 剣で手加減する事ももちろん可能ではあるのだが、刃の部分を当てない様に気を使わねばならない。 相手が下手だと自分から刃の部分に飛び込んでくる事さえある。 手加減と言う意味では刃のついていない棒や棍の方が圧倒的にやり易いので、もしこの三人の相手をしたのがリンであれば、得物を見せている可能性が高いのではないかとエイメイは予想した。
「よくわかりますね。 言われる通り棍を持っていましたよ。 まぁ次の瞬間には私達三人は地面に倒れていたんですけどね」
「何が起きたか今でもわからん。 ありゃ化け物だよ」
「ふふん、そりゃそうだろうさ。 もしその女がアタシの探している人物なら、あんたらじゃ何度挑んでも蹴散らされるだろうよ」
自分と引き分けた相手が凄いと言われるのは悪い気がしないのか、エイメイは機嫌が良くなり自慢気に説明する。
「姐さんも強かったでやすが、知り合いの可能性があるんでヤンスか?」
「まぁね」
(もし、こいつらのねぐらにいるのがリン殿だったら、休めばすぐに移動を開始するはず。 そうなる前に合流しないと)
「そうだね...... なんならアタシがあんたらのねぐらを取り返してやっても構わないよ? 案内する気はあるかい?」
「ほ、本当か!?」
「そいつはありがたい話でヤンス!」
「運が上向いてきましたか」
三人は喜んで洞窟までの案内を始め、エイメイは三人についていく。
「ここでさぁ! すぐにあの女を呼び出しますんで! おい聞こえるか! 俺達がねぐらを取り返しにきてやったぞ!」
「今度はこっちにも強い姐さんがいるでヤンスよ!」
「私達四鬼山賊団の恐ろしさを今度は身をもって知ることになるでしょう」
「な!? おいこら、アタシを勝手にお前達の仲間にすんじゃないよ! そんな呼び出しもしなくていいから!」
エイメイは迷惑だとばかりに否定し、挑発をやめさせようとした。 洞窟の中からは何の反応もない。
(しまった遅かった? もう移動した後だったか? ん?)
エイメイはチャンスを逃してしまったかと内心焦る。 が、
「ここに長居をするつもりはなかったが、力量を弁えず再び絡むか。 無謀と蛮勇の代償は時に自らの命だと知るがいい」
「「「ひゃあ! 出たぁ!」」」
洞窟からではなくエイメイ達の後ろから声がかかり、男三人はとびあがって驚く。 さすがにエイメイは気配には気付いていたが。
(ああ。 この声は......)
「お前達のような者が何度挑んできても無駄だという事も学べないとは」
「「「ひいっ!」」」
その女に凄まれ三人は悲鳴をあげ、その場にへたりこむ。
「......アタシもそう言ったんだけどね、腕の立つ者が一時的に味方になったせいでこいつらちょーっと気が大きくなっちゃったようなのさ」
「何? ......あれ?」
女の関心がエイメイに向いた。 彼女は話ながらゆっくりと振り返る。
「良かった。 やっと会えたよ、リン殿」
目の前には薄汚れて疲労感が漂っているものの、助けてくれた恩人、リンの姿があった。
「エ、エイメイ殿ではありませんか!」
「結構探し回ったよ。 随分大変な目にあったみたいだね」
リンとエイメイとライミーネ。 別れた三人のうち、二人の道が今再び交わった。
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