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55話 アズマド、不退転の決意で臨み 朋広、謎の行動を開始する
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「やっぱりまずい」
「まずいねパパ。 美味しくない」
砦で一夜を明かした朋広と華音は出された朝食に不満をぶつけていた。 二人は昨日の夜はじめて出された砦の夕食にも不満をぶつけていたのだが。
「純粋にこの世界の食事を食べたのは昨日が初めてだった訳だけど」
「そうだねー」
昨日の夕食は一口食べて全部残した。 朝食もやはり一口食べてもういらないという感想で一致したのだ。
「これはあれか。 パパ達が招かねざる客だからそれ用の食事を出したって事なんだろうか?」
「まねかねざる? お猿さん?」
「いや、歓迎されていないお客さんって事かな」
「え? 来たときは助かるって喜んでたのに」
「そうだよなぁ。 じゃあ多分これはそういう輩に出す食事じゃなくて、普段から食べてる食事なんだとしよう。 ......これを普段から食べてるのか......」
「す、すごいのかな?」
二人はテーブルの上の食事を無言で見つめる。 見つめられた食事が思わず照れたりはしなかったが、食欲はやはりそそられない。
「まぁ、別にこれを無理に食べなくても、こっちにはアイテムボックスに幸依の料理があるから空腹に困らされる事はないんだが......」
「華音達食べ物には恵まれてたんだね」
「時代が...... というより世界が違うからなぁ。 食材や調味料、調理法に溢れていた世界とここを比べるのは酷かもしれない」
「じゃあこの食事どうしよう? アイテムボックスにしまって食べた事にする?」
「持って帰っても誰も食べないんじゃないかなぁ。 幸依の料理を食べる前のオワタさんとオーシンさんなら食べたかもしれないけど」
「あー。 ママの料理の味知っちゃった人だとこれは拷問かもねー。 風邪ひいた時のお粥の方が美味しいもん」
「そういえばオワタさんが感激してたもんな、お粥」
「そうだった! すでに食べてたね。 じゃあやっぱりこれはもう無理に決定ー」
華音はこれを食べて顔をしかめるオワタ達二人を想像して笑った。
「だがパパ達には価値がなくてもそうじゃない人もいるかもしれない」
朋広は正和の本もどき交渉術編を取り出す。
「パパ何かする気なの?」
「日時がかわってもアズマドさんがやってくる気配がない。 これは隊長さん達の説得に苦労しているんだろう。 だからこっちからも何か出来そうな事はないかと思ってね」
「力ずくなら簡単なのにね」
「それじゃ皆は内心納得はしないだろうから、力ずくはあくまで話がこじれた時の最終手段な」
「はーい。 ......はやく解放されてお兄ちゃんを助けられる薬を探しに行ければいいね」
「......そうだな、うん」
アズマドは朋広が予想したように説得に苦労していた。 最初アズマドは朋広達の事を当たり障りなく、人柄やその行動目的などを説明し、信用できる人物であると話をしたのだが、馬の件でガーディより疑り深くなっているアンが「とにかく王都で確認をとってから」と譲らず、その日は平行線に終わってしまったのである。
あてがわれた部屋で色々考えた彼は手法を変え、朋広達の無罪、無害を訴えるのではなく、商人らしく利害を説いて納得させようと、翌日、ガーディとアンのいる公務室に足を運んだ。
「多少強引に出てでも彼等がこの砦にとって有益になる存在である事を理解させなければ!」
今、後世の『アズマド見聞録』での人気エピソードのひとつ『不退転の交渉』の幕があがる。
「失礼します!」
その砦の兵士が公務室に入室した時、部屋には熱気が渦巻いていたという。
「ですから、父親の彼は商人である以上にとても優れた職人でもあるのです! 商品の建材を見たでしょう?」
「確かに質は高そうなものでしたが......」
「それだけではありません。 彼等とは協力すべきであり、敵対する事は絶対に避けた方がこの砦の...... いや、ガーディさんとアンさんの為になると断言できるのです」
「それは王都での確認が済み次第になると何度も言っているではありませんか。 等級の高い馬は貴重なのですから」
やはり馬に関してはアンも譲らない。 だがアズマドは怯まずに言う。
「長く彼等を拘束すれば必ず怒りを買うでしょう。 そうなればこの砦は......」
「この砦は...... なんです?」
「あー......」
飛竜に襲われるより悲惨な事になるかもしれない。 とはさすがに言えない。 アズマドはどう続けようかと悩んだ。
「あの! すみません隊長!」
その沈黙の間を見逃さず、入室を気付かれなかった兵士が再度声をかける。 そこで初めてガーディとアン、アズマドの三人が兵士に気付いた。
「ん? あ? すまん、気付かなかった。 用件はなんだ?」
「はっ! おそらく今の話に出ていたと思われる、その親子の事でなのですが」
「! 何? 何かあったのですか?」
アンが即座に反応する。
「昨日の夕食、今日の朝食を出したのですが、それには一切手をつけておりません。 一応報告をと思いまして」
「食事に不備があったのか?」
「いえ、隊長のご指示通り我々と同じものを出したのですが......」
「食事に手をつけない事でこちらに抗議の意思を示しているのかしら?」
「さぁ...... 特に不満は言ってなかったと思いますが」
三人は朋広達の食事の次元の違いを想像もできない上、この食事が普通だと思い込んでいるので『まずいから食べない』という発想にたどり着かない。 この世界の食事事情では取捨選択できる範囲があまりに狭いためだ。 三人が朋広達の行動の意味に首を傾げていると新たな兵士が公務室にやってきた。
「失礼します!」
「うむ、どうした?」
「は! 昨日からいる親子の事でなのですが」
「またか。 今度はなんだ」
「それが伝言と預かりものがありまして......」
「伝言だと? 言ってみろ」
「は! 『話し合いが白熱しているならお互い意地にならずに一息入れてはいかがでしょうか』と。 そして渡されたものがこれです」
兵士がそれを出す。
「な、なんだそれは......?」
「え? なにそれ......」
「こ、これは......」
「は! 食べ物であります!」
兵士が持ってきたものは、朋広が用意した木の器に入った『ツナマヨサンド』『ハムサラダサンド』『タマゴサンド』が一切れづつのサンドイッチだった。
「こ、これが食べ物なの? すごく見た目がキレイ......」
「だ、だからといって味がすごい保証はないだろうがな」
「彼等は...... 道具や身体能力だけではない......? 食事にまで秘密が?」
三人が固まっているので持ってきた兵士が口を開く。
「あ、あの。 実は私も『朋広殿』に一切れ味見させて頂きましたが、はっきり言ってこの世の食べ物ではありません!」
兵士の言い方がまずかった。 三人が顔をしかめるのを見て兵士が慌てて訂正する。
「あ、いえ! 味がまずいのではなくその逆です! 私は生まれてこのかたこんな美味しいものを食べた事はありませんでした! ちなみに私が食べたのはこれですが......」
兵士の力説が始まったので仕方なくガーディがタマゴサンドを、アンがハムサラダサンド、アズマドがツナマヨサンドを手に取って口に運ぶ。 最初の兵士の羨ましそうな視線と、既に食べた兵士のもっと食べたそうな視線が手に取る際に集中した。
「「「!!?」」」
三人が背筋を伸ばして固まる。 持ってきた兵士がにやにやしながらリアクションを見ていた。 三人は最初の一口を咀嚼し、ゴクンとのどに送り込む。
「な、なんだこれは......?」
「う、うそでしょう......?」
「こ、これはいったい......?」
「「美味すぎる!!」」
「美味しすぎるわ!!」
「でしょう! すごいでしょう!」
先に食べた兵士もドヤ顔で話に加わり、四人が意見を交わしている。 最初に報告にきた兵士だけが蚊帳の外だ。
「材料はなんだ? 質のいいパンが使用されているのはわかるが、これはなんのタマゴだ?」
「私のは野菜と肉ですが、どちらもみずみずしいほど新鮮さを感じます。 この場所でこれはありえません」
「こちらは独特の調味料っぽいものに魚の身のような食感が。 しかしアンさんと同じ意見ですが、こんな場所で用意できる代物ではない気がします」
しかしこの場の誰も正解にたどり着ける訳がないので、部屋には束の間の静寂が訪れる。
「あの親子にはまだ得体のしれない何かがあるのかもしれん。 この件も含めて直接問い質そう。 とりあえずこれを全部頂いてからな」
「そ、そうですね」
「やはり彼等とは敵対すべきではないのですよ」
「それは話の内容次第です」
ガーディが決定し、アンとアズマド、それに先程の兵士二人も追従して朋広達がいる小屋に向かう。 だが小屋に近付くにつれて食欲が刺激される匂いが風によって運ばれてくる。
「な、なんだこの匂いは?」
「先程のものはこのような香りはなかったはずです」
「なぜか食欲が刺激される匂いですね...... すでにうまそうとでも言えばいいのか......」
サンドイッチを食べれなかった兵士が感想を言う。 匂いは間違いなく小屋から漂っていた。
「こ、これは......」
ガーディ、アン、アズマドの三人はまずはその光景に閉口した。 小屋の入口には見張りを二人立たせるようにしていたのだが、その見張りの姿がない。 一人はサンドイッチを預かって持ってきたとしても最低残りの一人はいるはずだ。 だが見張りの者はいないのに近くの持ち場の者が皆小屋の近くに群がっており、何人かは中を覗こうと必死でガーディ達に気付いてすらいない。 こんな事は今までにない初めての事態だった。
「な、何をやっているか貴様達!」
アンが持ち場を離れて小屋に群がっている兵士達を一喝すると、気付いた兵士達がその場で直立不動になる。 アンが叱責しようと近付こうとするのをガーディがとめる。
「まて、アン」
「とめないで下さい隊長!」
「いや、とめはしないが、その前にあれはなんだ?」
「え?」
アンはガーディが呆然としながら指をさしている方向を目で追う。 そこには屋根から見慣れない突起物が突き出ており、そこからモウモウと煙が出ている光景があった。
「こ、小屋の形が変わっている!?」
「まずいねパパ。 美味しくない」
砦で一夜を明かした朋広と華音は出された朝食に不満をぶつけていた。 二人は昨日の夜はじめて出された砦の夕食にも不満をぶつけていたのだが。
「純粋にこの世界の食事を食べたのは昨日が初めてだった訳だけど」
「そうだねー」
昨日の夕食は一口食べて全部残した。 朝食もやはり一口食べてもういらないという感想で一致したのだ。
「これはあれか。 パパ達が招かねざる客だからそれ用の食事を出したって事なんだろうか?」
「まねかねざる? お猿さん?」
「いや、歓迎されていないお客さんって事かな」
「え? 来たときは助かるって喜んでたのに」
「そうだよなぁ。 じゃあ多分これはそういう輩に出す食事じゃなくて、普段から食べてる食事なんだとしよう。 ......これを普段から食べてるのか......」
「す、すごいのかな?」
二人はテーブルの上の食事を無言で見つめる。 見つめられた食事が思わず照れたりはしなかったが、食欲はやはりそそられない。
「まぁ、別にこれを無理に食べなくても、こっちにはアイテムボックスに幸依の料理があるから空腹に困らされる事はないんだが......」
「華音達食べ物には恵まれてたんだね」
「時代が...... というより世界が違うからなぁ。 食材や調味料、調理法に溢れていた世界とここを比べるのは酷かもしれない」
「じゃあこの食事どうしよう? アイテムボックスにしまって食べた事にする?」
「持って帰っても誰も食べないんじゃないかなぁ。 幸依の料理を食べる前のオワタさんとオーシンさんなら食べたかもしれないけど」
「あー。 ママの料理の味知っちゃった人だとこれは拷問かもねー。 風邪ひいた時のお粥の方が美味しいもん」
「そういえばオワタさんが感激してたもんな、お粥」
「そうだった! すでに食べてたね。 じゃあやっぱりこれはもう無理に決定ー」
華音はこれを食べて顔をしかめるオワタ達二人を想像して笑った。
「だがパパ達には価値がなくてもそうじゃない人もいるかもしれない」
朋広は正和の本もどき交渉術編を取り出す。
「パパ何かする気なの?」
「日時がかわってもアズマドさんがやってくる気配がない。 これは隊長さん達の説得に苦労しているんだろう。 だからこっちからも何か出来そうな事はないかと思ってね」
「力ずくなら簡単なのにね」
「それじゃ皆は内心納得はしないだろうから、力ずくはあくまで話がこじれた時の最終手段な」
「はーい。 ......はやく解放されてお兄ちゃんを助けられる薬を探しに行ければいいね」
「......そうだな、うん」
アズマドは朋広が予想したように説得に苦労していた。 最初アズマドは朋広達の事を当たり障りなく、人柄やその行動目的などを説明し、信用できる人物であると話をしたのだが、馬の件でガーディより疑り深くなっているアンが「とにかく王都で確認をとってから」と譲らず、その日は平行線に終わってしまったのである。
あてがわれた部屋で色々考えた彼は手法を変え、朋広達の無罪、無害を訴えるのではなく、商人らしく利害を説いて納得させようと、翌日、ガーディとアンのいる公務室に足を運んだ。
「多少強引に出てでも彼等がこの砦にとって有益になる存在である事を理解させなければ!」
今、後世の『アズマド見聞録』での人気エピソードのひとつ『不退転の交渉』の幕があがる。
「失礼します!」
その砦の兵士が公務室に入室した時、部屋には熱気が渦巻いていたという。
「ですから、父親の彼は商人である以上にとても優れた職人でもあるのです! 商品の建材を見たでしょう?」
「確かに質は高そうなものでしたが......」
「それだけではありません。 彼等とは協力すべきであり、敵対する事は絶対に避けた方がこの砦の...... いや、ガーディさんとアンさんの為になると断言できるのです」
「それは王都での確認が済み次第になると何度も言っているではありませんか。 等級の高い馬は貴重なのですから」
やはり馬に関してはアンも譲らない。 だがアズマドは怯まずに言う。
「長く彼等を拘束すれば必ず怒りを買うでしょう。 そうなればこの砦は......」
「この砦は...... なんです?」
「あー......」
飛竜に襲われるより悲惨な事になるかもしれない。 とはさすがに言えない。 アズマドはどう続けようかと悩んだ。
「あの! すみません隊長!」
その沈黙の間を見逃さず、入室を気付かれなかった兵士が再度声をかける。 そこで初めてガーディとアン、アズマドの三人が兵士に気付いた。
「ん? あ? すまん、気付かなかった。 用件はなんだ?」
「はっ! おそらく今の話に出ていたと思われる、その親子の事でなのですが」
「! 何? 何かあったのですか?」
アンが即座に反応する。
「昨日の夕食、今日の朝食を出したのですが、それには一切手をつけておりません。 一応報告をと思いまして」
「食事に不備があったのか?」
「いえ、隊長のご指示通り我々と同じものを出したのですが......」
「食事に手をつけない事でこちらに抗議の意思を示しているのかしら?」
「さぁ...... 特に不満は言ってなかったと思いますが」
三人は朋広達の食事の次元の違いを想像もできない上、この食事が普通だと思い込んでいるので『まずいから食べない』という発想にたどり着かない。 この世界の食事事情では取捨選択できる範囲があまりに狭いためだ。 三人が朋広達の行動の意味に首を傾げていると新たな兵士が公務室にやってきた。
「失礼します!」
「うむ、どうした?」
「は! 昨日からいる親子の事でなのですが」
「またか。 今度はなんだ」
「それが伝言と預かりものがありまして......」
「伝言だと? 言ってみろ」
「は! 『話し合いが白熱しているならお互い意地にならずに一息入れてはいかがでしょうか』と。 そして渡されたものがこれです」
兵士がそれを出す。
「な、なんだそれは......?」
「え? なにそれ......」
「こ、これは......」
「は! 食べ物であります!」
兵士が持ってきたものは、朋広が用意した木の器に入った『ツナマヨサンド』『ハムサラダサンド』『タマゴサンド』が一切れづつのサンドイッチだった。
「こ、これが食べ物なの? すごく見た目がキレイ......」
「だ、だからといって味がすごい保証はないだろうがな」
「彼等は...... 道具や身体能力だけではない......? 食事にまで秘密が?」
三人が固まっているので持ってきた兵士が口を開く。
「あ、あの。 実は私も『朋広殿』に一切れ味見させて頂きましたが、はっきり言ってこの世の食べ物ではありません!」
兵士の言い方がまずかった。 三人が顔をしかめるのを見て兵士が慌てて訂正する。
「あ、いえ! 味がまずいのではなくその逆です! 私は生まれてこのかたこんな美味しいものを食べた事はありませんでした! ちなみに私が食べたのはこれですが......」
兵士の力説が始まったので仕方なくガーディがタマゴサンドを、アンがハムサラダサンド、アズマドがツナマヨサンドを手に取って口に運ぶ。 最初の兵士の羨ましそうな視線と、既に食べた兵士のもっと食べたそうな視線が手に取る際に集中した。
「「「!!?」」」
三人が背筋を伸ばして固まる。 持ってきた兵士がにやにやしながらリアクションを見ていた。 三人は最初の一口を咀嚼し、ゴクンとのどに送り込む。
「な、なんだこれは......?」
「う、うそでしょう......?」
「こ、これはいったい......?」
「「美味すぎる!!」」
「美味しすぎるわ!!」
「でしょう! すごいでしょう!」
先に食べた兵士もドヤ顔で話に加わり、四人が意見を交わしている。 最初に報告にきた兵士だけが蚊帳の外だ。
「材料はなんだ? 質のいいパンが使用されているのはわかるが、これはなんのタマゴだ?」
「私のは野菜と肉ですが、どちらもみずみずしいほど新鮮さを感じます。 この場所でこれはありえません」
「こちらは独特の調味料っぽいものに魚の身のような食感が。 しかしアンさんと同じ意見ですが、こんな場所で用意できる代物ではない気がします」
しかしこの場の誰も正解にたどり着ける訳がないので、部屋には束の間の静寂が訪れる。
「あの親子にはまだ得体のしれない何かがあるのかもしれん。 この件も含めて直接問い質そう。 とりあえずこれを全部頂いてからな」
「そ、そうですね」
「やはり彼等とは敵対すべきではないのですよ」
「それは話の内容次第です」
ガーディが決定し、アンとアズマド、それに先程の兵士二人も追従して朋広達がいる小屋に向かう。 だが小屋に近付くにつれて食欲が刺激される匂いが風によって運ばれてくる。
「な、なんだこの匂いは?」
「先程のものはこのような香りはなかったはずです」
「なぜか食欲が刺激される匂いですね...... すでにうまそうとでも言えばいいのか......」
サンドイッチを食べれなかった兵士が感想を言う。 匂いは間違いなく小屋から漂っていた。
「こ、これは......」
ガーディ、アン、アズマドの三人はまずはその光景に閉口した。 小屋の入口には見張りを二人立たせるようにしていたのだが、その見張りの姿がない。 一人はサンドイッチを預かって持ってきたとしても最低残りの一人はいるはずだ。 だが見張りの者はいないのに近くの持ち場の者が皆小屋の近くに群がっており、何人かは中を覗こうと必死でガーディ達に気付いてすらいない。 こんな事は今までにない初めての事態だった。
「な、何をやっているか貴様達!」
アンが持ち場を離れて小屋に群がっている兵士達を一喝すると、気付いた兵士達がその場で直立不動になる。 アンが叱責しようと近付こうとするのをガーディがとめる。
「まて、アン」
「とめないで下さい隊長!」
「いや、とめはしないが、その前にあれはなんだ?」
「え?」
アンはガーディが呆然としながら指をさしている方向を目で追う。 そこには屋根から見慣れない突起物が突き出ており、そこからモウモウと煙が出ている光景があった。
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