現世に疲れたので来世で一緒になります。～胡鳥の夢～

1話 堕ちたカップル

 俺、相沢鷹行(あいざわ・たかゆき)と討田小鳩(うちだ・こばと)はその日、デートを楽しんでいた。

 26才の俺(180センチ)と24才の小鳩(140センチ)は同じ職場で知り合い交際が始まったんだが、40センチの身長差は周囲からのからかいの対象になったもんだ。

 俺達はそんな周囲にラブラブっぷりを見せつけ結婚を意識するようになり次のステップへ。

 だがそのステップで二人とも親族一同に猛反対される。それからは小言、嫌がらせなんかは当たり前の毎日。そして現在に至る。

「ここは静かだね鷹行くん」
「波の音しか聞こえないな。嫌な事を考えずにすむよ」

　俺達は手を繋いで寄り添っていた。

「これが......最後のデートなんだね」
「......ああ」

　小鳩は震えている。俺はそんな小鳩を強く抱きしめる。二人で出した結論のために。

「私......目付きが悪くて冷たそうだけど本当は誰よりも優しくてあったかい鷹行くんの事、大好きだよ」
「小鳩。俺もちっちゃくて目がくりくりしてていつもおどおどしてる様に見えるけど、本当はのんびり屋で周りの事を考えて支えてくれる癒し系のお前が大好きだ」

 俺は右手で小鳩のショートカットの髪を触り頬に触れ......小鳩は背伸びをして俺はかがんでキスをした。

「じゃあ......行くか小鳩」
「......うん。心はいつまでも鷹行くんと一緒だよ」

 親指でそっと小鳩の目端に浮かんだ涙を拭い......俺達は一歩を踏み出す。

 今日二人で選んだデートコースは自殺者が後を絶たないという海の見える崖だった。