むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス

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29話 テスト開戦

屋敷での勉強会から数日後。
月末、教室の空気はどこかぴりっとしていた。
廊下を吹き抜ける風が、プリントの端をめくる。

期末テスト前――戦場の静けさ、ってやつだ。

「ねぇ、健斗くん」

声をかけてきたのは橘。
今日の橘は、制服の上着を脱いで半袖シャツに短めのスカート。
うなじを出して髪をゆるくまとめている。
いつもの明るい笑顔……のはずなのに、どこか目が据わっていた。

「どうした?」
「別に~。ちょっと、気合い入ってるだけ」

そう言いながら、彼女は参考書をぱんっと閉じた。
「今日から“本気スイッチ”入れるんで。邪魔しないでね?」
「は、はい……」

(なんか怖いんだけど!?)

一方、斜め前の席では白石が黙々と問題集を解いていた。
ペンの音も静かで、姿勢も完璧。
クラスのざわめきすら遮る集中力――“理想的な受験生”そのものだ。

「……」
「……」

橘がちらりと白石を見やる。
白石も一瞬だけ視線を返す。

その瞬間、言葉はなくても“勝負開始”の合図が交わされた。

(怖ぇぇ……女子の目って、どうしてあんな静かに燃えるんだ……!)

放課後。
帰りの昇降口で、美優さんとばったり会った。
彼女は仕事帰りの大学生スタイル――
薄手のシャツにカーディガン、髪を一つにまとめた姿が、どこか夏らしい。

「健斗くん、勉強の調子はどう?」
「うーん……まあ、そこそこです」
「“そこそこ”って言葉は、テスト前には信用できないわね」

くすっと笑って、彼女は俺の額を指で軽くつついた。
「もっと自信を持ちなさい。ちゃんと努力してるんだから」
「……ありがとうございます」

「でも、気をつけて。努力を見てる人は、意外と多いわよ」
「え?」
「頑張ってる人ってね、不思議と目立つの。……特に、女の子の目にはね」

そう言って、美優さんは柔らかく微笑んだ。
視線の先では、昇降口の外で白石と橘が何か話している。
二人とも笑ってはいたが、その笑顔の奥には確実に火花が散っていた。

「勝負って、どちらにしてもいい刺激になるわね」
美優さんの言葉に、俺は苦笑するしかなかった。
(刺激が強すぎるんだよなぁ……)

翌日。
テスト初日。

黒板の上には「期末試験・1日目」の文字。
いつもより静かな教室。
ページをめくる音と鉛筆の走る音だけが響いていた。

(よし……英語は大丈夫。美優さんにも見てもらったし……)

問題を解きながら、ふと隣の席に視線をやる。
白石は真剣そのもの。ペンを握る手が一切ぶれない。
(すげぇ……集中力)

少し後ろの橘も、口を真一文字に結び、
珍しく真面目な顔で問題に向かっていた。
(……あいつ、ほんとに頑張ってるな)

その姿を見た瞬間、
なぜか自分も負けたくないという気持ちが湧いてきた。

昼休み。
テストが終わった教室は、緊張がほどけて少しざわめいていた。

「ふぅ~……あたし、けっこうできたかも!」
橘が机に突っ伏しながらも満足げに笑う。

「“けっこう”ってどのくらいです?」
白石が苦笑する。

「うーん、たぶん前回より20点アップ?」
「それ、前回の点数がわからないと評価できませんけど」
「いいの! 自己ベスト狙いだから!」

そのやり取りに笑いながら、
俺は二人にジュースを差し出した。

「はい、お疲れ。冷たいの飲めよ」
「ありがと~!」
「……ありがとうございます」

ストローをくわえながら橘が言う。
「ねぇ、健斗くん。テスト終わったら、みんなでどっか行こうよ」
「みんなで?」
「そ、みんなで。打ち上げってやつ!」

白石もその言葉に頷いた。
「悪くないですね。……でも、その“みんな”の中に、
誰が“特別”なのかは、まだ分かりませんけど」

「……!」
橘が口を開きかけて、言葉を飲み込む。
そしてニッと笑って、
「ま、楽しみにしてなよ」

火花は一瞬で再点火。
教室の空気が、また熱を帯びた。

放課後。
日が傾くころ、校門を出ようとした俺の肩を、誰かが軽く叩いた。

「健斗くん」
振り向くと白石だった。

「次の数学、少し不安なので……あとで質問、いいですか?」
「もちろん。家に来ても――」
「いえ、今はやめておきます。……橘さんもいるでしょうし」

言い方は穏やかだったけれど、
そこにはほんの少しの寂しさが混じっていた。

「……ありがとう。気をつけて帰ってね」
「はい」

彼女が歩き去る背中を見送ると、
今度は別の方向から声が飛んできた。

「けーんとくーん!」

橘が手を振って走ってくる。
「ねぇ、明日も一緒に勉強しよ? 一緒にやった方が集中できそうだし!」
「お、おう……!」

橘は笑顔でピースをして、
「じゃ、また明日!」と元気よく去っていった。

その背中を見送りながら、
さっき別れた白石の静かな横顔がふと脳裏に浮かぶ。

(……二人とも、本気だな)

校門の向こうで、夏の風が吹いた。
蝉の声が遠くで鳴き始める。

まるで、これから始まる“夏の本番”を告げるかのように。
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