37 / 195
リリアside
しおりを挟む
「リリアお嬢様、よろしいでしょうか?」
扉の向こうから声が聞こえたから、ベッドでゴロゴロと休んでいたあたしは急いでドアを開けた。
「お荷物が届いておりますが、どのように致しましょうか?」
白髪交じりの初老の男性があたしの姿を認めて頭を下げる。
目の前に立っているのはこの男爵家の家政を取り仕切っている執事のテッド。
この人ケチだから、お小遣いもほんの少しだし、買い物をするのにも彼の許可がなければ自由にできないのよね。お義父様に愚痴ったら、贅沢はするもんじゃない。テッドの言う通りにしなさいだって、義娘の味方をするどころかテッドの肩を持つんだもん。やってられないわ。貴族ってサイン一つでなんでも買えると聞いていたけど、全然違ったわ。
でも、しょうがないかもね。うち、貧乏だもん。
「荷物はどこに?」
「玄関ですが、お嬢様あてだと聞いたのでお伺いに来ました」
「わかった。すぐに行くわ」
あたしはバートとドアの間をすり抜けて階段を下りていく。
この前、エドガーと買い物した品物が届いたのよね。待ち遠しかったわ。
玄関に着くと業者が忙しなく働いている。大小さまざまな箱が次から次へと重ねられていき、最後には家具がホールを占領していた。
眼前に所狭しと並べられた品物を見て自分でもびっくりした。こんなに買い物してたんだ。気に入ったものはすべて買ってくれたから。ほんとエドガーって気前がよいのよね。なんでも買ってくれるから、友達に話したら羨ましがってたもん。
「家具は二階のあたしの部屋へ運んでね。置き場所はマギーに聞いて。マギーお願いね」
「はい。畏まりました」
マギーはあたしの専属メイド。事前に説明しておいたから大丈夫でしょ。
ここに置かれているのは年季の入った物ばかりで、傷が入っていたり欠けていたりと傷みがひどかったんだよね。
うるうるとした目で訴えたらエドガーが新調しようと言ってくれて、ついでに古い家具は引き取ってもらうことになった。
持つべきものはお金持ちの婚約者よね。
うちではサイン一つさせてもらえず満足に買い物もできないけど、エドガーは違った。
店にはいるなり、彼の姿を見つけた店員が駆け寄ってくると高級な部屋に通されてお茶やお菓子で接待されたわ。 どこに行っても顔パスでVIP待遇だった。最高級の一流店に入って堂々としているエドガーがいつもの十倍増しでかっこよく見えた。
それにエドガーがあたしを婚約者だと紹介するとお似合いのカップルだと褒められて『これからもお付き合いのほどよろしくお願いします』と何度も頭を下げられたわ。あたしは鼻高々で気分がよかった。
さすが国で1、2を争う資産家ね。侯爵家に嫁ぐとこんな毎日が待っているのよね。楽しみ。早く結婚したい。
あらかた荷物がはけて玄関が片付いたと思っていたら人が立っていた。
黒髪に透き通るような青の瞳。整った顔に柔らかな笑顔を浮かべているのはあたしの義兄ジェフリーだった。
久しぶりに見た。何か月ぶりだっけ?
「お義兄様、お帰りなさい」
「ただいま」
仕事で飛び回っているらしくほとんど家にいなくて、あまり顔をあわせないから慣れなくて会話がちょっとぎこちない。何の仕事をしているか知らないけど。興味もないから聞いたこともない。あくせく働くなんて貧乏暇なしってやつ?
お義兄様といってもあたしは長男の子供でお義兄様は次男の子供。本当ならいとこ同士なんだよね。
「荷物がすごかったけど、買い物したのかい」
「そうよ。エドガーが買ってくれたのよ。凄いよね。お金持ちってサイン一つでなんでも買えるんだもの」
皮肉も込めて言ってみた。
「ああ、テンネル侯爵家か。あそこは資産家だからね。そうだった。婚約おめでとう。お祝いが遅くなってしまってごめん。忙しくてなかなか帰れなかったんだ」
「お仕事ならば仕方ないです。お義兄さま、ありがとうございます」
一応、カーテシーをしてお礼を言ったわ。
お義兄さまももう少し悔しそうな顔でもしたらいいのに。甲斐性がないと言ってるのに、通じなかったんだ。男爵家と侯爵家では比べ物にならないからしょうがないのかな。
「そういえば、ここに絵があったと思うんだけど、どこにいったの? お義兄さま知りません?」
あたしは玄関の正面に視線を移した。
そこには両手を広げたくらいの大きな金の額縁の風景画があったはず。実際はそれだけでなく、応接室のお高そうな花瓶とか家具類や絵画もいつの間にか無くなっている。
今では必要最小限度の物しか残ってないし、使用人もそう。半分くらいに減ってしまった。
「理由を聞きたいのかい?」
「いえ、いいです。聞かなくてもわかりますから。ごめんなさい。余計なことを聞いて」
「いや。いいんだよ。家の備品がなくなっているのを見れば心配するのも当たり前だ。すまないね。せっかく引き取って養女にしても、裕福な生活をさせてあげられなくて申し訳ない」
にこやかだったお義兄さまの表情が曇りみるみる陰りが帯びていった。
調度品が置かれていた玄関も今は申し訳程度に、どこにでもありそうな花瓶に花が飾られているだけ。
お金に困っているのよね。
「いえ。平民よりはましですから」
お父さんが亡くなってお母さんと二人で働かないと食べていけないからせいいっぱい頑張ってた。
仕事で無理をしたのかお母さんも病気になってあっという間に亡くなったわ。一人残されて途方に暮れたけど、そんな時にチェント男爵が現れたのよ。
実はお父さんはチェント男爵家の嫡男で跡取りだったと。それで一人娘のあたしを引き取って養女にしてくれたのよね。
あの日々のように朝から身を粉にして働かなくてよくなったし、住む家も食べ物もある。それを考えれば今の生活は天国だわ。
でも、上には上があるのよね。
これ以上の贅沢を知ってしまったら、こんな生活では満足しきれない。
貴族としての矜持なんてこの家にはないだろうし、裕福な生活なんて夢のまた夢。求めるだけ無駄というもの。期待なんてしてないわ。
けど、こんな生活もあと少しだから我慢する。
結婚したら贅沢三昧よ。どんなものだって買ってもらえるし美味しいものだって食べられる。ここは質素倹約っていう名の貧乏な食事。お肉も少ししか食べられないんだもん。もっと高級なものが食べたい。
さて、そろそろ部屋に戻ろうかな。
ドレスの試着もしてみたいし、アクセサリーもね。
辛気くさいことは考えてられないわ。貧乏くさいこの家とももうすぐおさらばね。
「お義兄さま。勉強があるので先に失礼しますね」
あたしは挨拶もそこそこに気を取り直し自分の部屋に戻っていった。
扉の向こうから声が聞こえたから、ベッドでゴロゴロと休んでいたあたしは急いでドアを開けた。
「お荷物が届いておりますが、どのように致しましょうか?」
白髪交じりの初老の男性があたしの姿を認めて頭を下げる。
目の前に立っているのはこの男爵家の家政を取り仕切っている執事のテッド。
この人ケチだから、お小遣いもほんの少しだし、買い物をするのにも彼の許可がなければ自由にできないのよね。お義父様に愚痴ったら、贅沢はするもんじゃない。テッドの言う通りにしなさいだって、義娘の味方をするどころかテッドの肩を持つんだもん。やってられないわ。貴族ってサイン一つでなんでも買えると聞いていたけど、全然違ったわ。
でも、しょうがないかもね。うち、貧乏だもん。
「荷物はどこに?」
「玄関ですが、お嬢様あてだと聞いたのでお伺いに来ました」
「わかった。すぐに行くわ」
あたしはバートとドアの間をすり抜けて階段を下りていく。
この前、エドガーと買い物した品物が届いたのよね。待ち遠しかったわ。
玄関に着くと業者が忙しなく働いている。大小さまざまな箱が次から次へと重ねられていき、最後には家具がホールを占領していた。
眼前に所狭しと並べられた品物を見て自分でもびっくりした。こんなに買い物してたんだ。気に入ったものはすべて買ってくれたから。ほんとエドガーって気前がよいのよね。なんでも買ってくれるから、友達に話したら羨ましがってたもん。
「家具は二階のあたしの部屋へ運んでね。置き場所はマギーに聞いて。マギーお願いね」
「はい。畏まりました」
マギーはあたしの専属メイド。事前に説明しておいたから大丈夫でしょ。
ここに置かれているのは年季の入った物ばかりで、傷が入っていたり欠けていたりと傷みがひどかったんだよね。
うるうるとした目で訴えたらエドガーが新調しようと言ってくれて、ついでに古い家具は引き取ってもらうことになった。
持つべきものはお金持ちの婚約者よね。
うちではサイン一つさせてもらえず満足に買い物もできないけど、エドガーは違った。
店にはいるなり、彼の姿を見つけた店員が駆け寄ってくると高級な部屋に通されてお茶やお菓子で接待されたわ。 どこに行っても顔パスでVIP待遇だった。最高級の一流店に入って堂々としているエドガーがいつもの十倍増しでかっこよく見えた。
それにエドガーがあたしを婚約者だと紹介するとお似合いのカップルだと褒められて『これからもお付き合いのほどよろしくお願いします』と何度も頭を下げられたわ。あたしは鼻高々で気分がよかった。
さすが国で1、2を争う資産家ね。侯爵家に嫁ぐとこんな毎日が待っているのよね。楽しみ。早く結婚したい。
あらかた荷物がはけて玄関が片付いたと思っていたら人が立っていた。
黒髪に透き通るような青の瞳。整った顔に柔らかな笑顔を浮かべているのはあたしの義兄ジェフリーだった。
久しぶりに見た。何か月ぶりだっけ?
「お義兄様、お帰りなさい」
「ただいま」
仕事で飛び回っているらしくほとんど家にいなくて、あまり顔をあわせないから慣れなくて会話がちょっとぎこちない。何の仕事をしているか知らないけど。興味もないから聞いたこともない。あくせく働くなんて貧乏暇なしってやつ?
お義兄様といってもあたしは長男の子供でお義兄様は次男の子供。本当ならいとこ同士なんだよね。
「荷物がすごかったけど、買い物したのかい」
「そうよ。エドガーが買ってくれたのよ。凄いよね。お金持ちってサイン一つでなんでも買えるんだもの」
皮肉も込めて言ってみた。
「ああ、テンネル侯爵家か。あそこは資産家だからね。そうだった。婚約おめでとう。お祝いが遅くなってしまってごめん。忙しくてなかなか帰れなかったんだ」
「お仕事ならば仕方ないです。お義兄さま、ありがとうございます」
一応、カーテシーをしてお礼を言ったわ。
お義兄さまももう少し悔しそうな顔でもしたらいいのに。甲斐性がないと言ってるのに、通じなかったんだ。男爵家と侯爵家では比べ物にならないからしょうがないのかな。
「そういえば、ここに絵があったと思うんだけど、どこにいったの? お義兄さま知りません?」
あたしは玄関の正面に視線を移した。
そこには両手を広げたくらいの大きな金の額縁の風景画があったはず。実際はそれだけでなく、応接室のお高そうな花瓶とか家具類や絵画もいつの間にか無くなっている。
今では必要最小限度の物しか残ってないし、使用人もそう。半分くらいに減ってしまった。
「理由を聞きたいのかい?」
「いえ、いいです。聞かなくてもわかりますから。ごめんなさい。余計なことを聞いて」
「いや。いいんだよ。家の備品がなくなっているのを見れば心配するのも当たり前だ。すまないね。せっかく引き取って養女にしても、裕福な生活をさせてあげられなくて申し訳ない」
にこやかだったお義兄さまの表情が曇りみるみる陰りが帯びていった。
調度品が置かれていた玄関も今は申し訳程度に、どこにでもありそうな花瓶に花が飾られているだけ。
お金に困っているのよね。
「いえ。平民よりはましですから」
お父さんが亡くなってお母さんと二人で働かないと食べていけないからせいいっぱい頑張ってた。
仕事で無理をしたのかお母さんも病気になってあっという間に亡くなったわ。一人残されて途方に暮れたけど、そんな時にチェント男爵が現れたのよ。
実はお父さんはチェント男爵家の嫡男で跡取りだったと。それで一人娘のあたしを引き取って養女にしてくれたのよね。
あの日々のように朝から身を粉にして働かなくてよくなったし、住む家も食べ物もある。それを考えれば今の生活は天国だわ。
でも、上には上があるのよね。
これ以上の贅沢を知ってしまったら、こんな生活では満足しきれない。
貴族としての矜持なんてこの家にはないだろうし、裕福な生活なんて夢のまた夢。求めるだけ無駄というもの。期待なんてしてないわ。
けど、こんな生活もあと少しだから我慢する。
結婚したら贅沢三昧よ。どんなものだって買ってもらえるし美味しいものだって食べられる。ここは質素倹約っていう名の貧乏な食事。お肉も少ししか食べられないんだもん。もっと高級なものが食べたい。
さて、そろそろ部屋に戻ろうかな。
ドレスの試着もしてみたいし、アクセサリーもね。
辛気くさいことは考えてられないわ。貧乏くさいこの家とももうすぐおさらばね。
「お義兄さま。勉強があるので先に失礼しますね」
あたしは挨拶もそこそこに気を取り直し自分の部屋に戻っていった。
6
あなたにおすすめの小説
お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のフランソアは、王太子殿下でもあるジェーンの為、お妃候補に名乗りを上げ、5年もの間、親元を離れ王宮で生活してきた。同じくお妃候補の令嬢からは嫌味を言われ、厳しい王妃教育にも耐えてきた。他のお妃候補と楽しく過ごすジェーンを見て、胸を痛める事も日常茶飯事だ。
それでもフランソアは
“僕が愛しているのはフランソアただ1人だ。だからどうか今は耐えてくれ”
というジェーンの言葉を糧に、必死に日々を過ごしていた。婚約者が正式に決まれば、ジェーン様は私だけを愛してくれる!そう信じて。
そんな中、急遽一夫多妻制にするとの発表があったのだ。
聞けばジェーンの強い希望で実現されたらしい。自分だけを愛してくれていると信じていたフランソアは、その言葉に絶望し、お妃候補を辞退する事を決意。
父親に連れられ、5年ぶりに戻った懐かしい我が家。そこで待っていたのは、初恋の相手でもある侯爵令息のデイズだった。
聞けば1年ほど前に、フランソアの家の養子になったとの事。戸惑うフランソアに対し、デイズは…
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる