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第二部
王族の責任Ⅴ
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お茶を楽しんだ後は図書室へと移動しました。
広い空間にはいくつもの書架が並びたくさんの本が収められています。
日の当たる南側の窓にはレースのカーテンが程よく日光を遮ってくれていました。その窓辺にはテーブルと椅子がいくつか備えられており、ソファもおかれています。ゆったりとした時間が過ごせそうな部屋の作りに頬が緩みます。
「ローラおねえちゃん。こっち」
図書室に入るなり、リッキー様が手を引っ張るとぐいぐいと先に進んでいきます。
「そんなに急がなくていいから」
レイ様の苦笑交じりの声がしましたが、聞こえていないのか、リッキー様はお構いなしに早足で歩く姿が微笑ましくて、導かれるままに歩いて行きました。
そうしてついた先は、上から下まで取り揃えられた数々の児童書コーナーの書架の前。絵本から図鑑、小説といった類のものまで、子供用の様々な本が取り揃えられていました。
小さい頃に読んだ本はたくさんあるけれど、これほどではないわ。分類されているプレートが多岐にわたっているのを見ると、子供の頃からレイ様って読書家なのかしら。
「壮観だわ」
思わず感嘆の声が漏れてしまいました。
「そうかい? 俺が小さい頃に見ていた本もたくさんあるけれど、リッキーのために揃えた本もあるんだ」
確かによく見てみると、やや年季の入った色褪せたような背表紙の中に新しいものが混ざっています。先ほどリッキー様が迷うことなくこの場所へと直行したのは、図書室へも通い慣れているからなのでしょう。
「そうなのですね」
「昔ながらの本もオーソドックスでよいけれど、本にも流行があるからね。新しいものも積極的に取り寄せてるんだ」
レイ様との話の最中に目当ての本を見つけたリッキー様の姿が目に入りました。視線は上の方に注がれていて、本を取ろうとして精一杯背伸びして手を伸ばしていますが、あと数センチというところで届かず。
「えいっ、えいっ」
今度は掛け声が聞こえてきました。
ピョンピョンと何度も飛び始めるリッキー様。本は指先に届くようになったのですが、取り出すには至らず。
一生懸命自分の力で本を取ろうとしている姿が微笑ましく、心の中で頑張ってと応援してしまいます。
レイ様も同じ気持ちだったのでしょうか。思わず二人で顔を見合わせて微笑みを交わしました。
その間もリッキー様は何度も飛び上がっては、本を取り出そうとしています。
大人がいるのですから頼めばすぐに取ってもらえるのに、どうしても自分でやりたいのか、それこそ一心不乱に本を取ることに集中しているみたい。
指に引っかかった本が少しずつ斜めになって、もう少しで取れそう、いえ、落ちそうってハラハラしたところに、レイ様が絶妙のタイミングでリッキー様の脇を抱えて持ち上げました。
「もう少しだったのにー」
不満げに口を尖らせるリッキー様に
「落としたら、本が傷つくぞ。それに怪我をしないとも限らないし」
レイ様がすぐさま諫めます。
リッキー様が手にしている本の表紙は頑丈そうな装丁ですし、落下して足にでも当たったら……軽くではすまないかもしれません。
「ごめんなさい」
先ほどのこともあってかリッキー様も素直だわ。
反省したのは一瞬。すぐに満足そうに本を胸に抱え込むと駆け出しました。
「部屋の中は走らない」
またもやレイ様の注意が飛びます。
「はーい」
元気な返事が返ってきて、走ることをやめたのはよかったのですが、その代わりスキップに変わっていました。あまり効果はなかったようです。
「まったく」
レイ様が呆れたように大きく息をつきました。
リッキー様はまだ五才ですから、まだやんちゃなお年頃。レイ様も本気で怒っている様子はなくて、甥っ子のやんちゃぶりに困った風でもあり、かわいらしくもありという気持ちが伝わってきます。
「申し訳ございません」
焦ったように謝ったのはリッキー様付きのエイブ。
付き人である彼からすれば、監督不行き届きだと咎められていると思ったのでしょう。
「いや、まだ五才だからな。すべて完璧になんて無理だろう。まあ、あまり厳しくしすぎてもな、窮屈だろうし。要所要所をきちんと指導してくれればいい」
「心得ました。寛大なお言葉、ありがとうございます」
「ところで、今日は随分と急だったな。いつもだったら先触れがでるはずだが?」
レイ様はエイブをジッと見据えます。
身内といえども気軽に会えないのですね。なんて、他人事のように考えていました。
広い空間にはいくつもの書架が並びたくさんの本が収められています。
日の当たる南側の窓にはレースのカーテンが程よく日光を遮ってくれていました。その窓辺にはテーブルと椅子がいくつか備えられており、ソファもおかれています。ゆったりとした時間が過ごせそうな部屋の作りに頬が緩みます。
「ローラおねえちゃん。こっち」
図書室に入るなり、リッキー様が手を引っ張るとぐいぐいと先に進んでいきます。
「そんなに急がなくていいから」
レイ様の苦笑交じりの声がしましたが、聞こえていないのか、リッキー様はお構いなしに早足で歩く姿が微笑ましくて、導かれるままに歩いて行きました。
そうしてついた先は、上から下まで取り揃えられた数々の児童書コーナーの書架の前。絵本から図鑑、小説といった類のものまで、子供用の様々な本が取り揃えられていました。
小さい頃に読んだ本はたくさんあるけれど、これほどではないわ。分類されているプレートが多岐にわたっているのを見ると、子供の頃からレイ様って読書家なのかしら。
「壮観だわ」
思わず感嘆の声が漏れてしまいました。
「そうかい? 俺が小さい頃に見ていた本もたくさんあるけれど、リッキーのために揃えた本もあるんだ」
確かによく見てみると、やや年季の入った色褪せたような背表紙の中に新しいものが混ざっています。先ほどリッキー様が迷うことなくこの場所へと直行したのは、図書室へも通い慣れているからなのでしょう。
「そうなのですね」
「昔ながらの本もオーソドックスでよいけれど、本にも流行があるからね。新しいものも積極的に取り寄せてるんだ」
レイ様との話の最中に目当ての本を見つけたリッキー様の姿が目に入りました。視線は上の方に注がれていて、本を取ろうとして精一杯背伸びして手を伸ばしていますが、あと数センチというところで届かず。
「えいっ、えいっ」
今度は掛け声が聞こえてきました。
ピョンピョンと何度も飛び始めるリッキー様。本は指先に届くようになったのですが、取り出すには至らず。
一生懸命自分の力で本を取ろうとしている姿が微笑ましく、心の中で頑張ってと応援してしまいます。
レイ様も同じ気持ちだったのでしょうか。思わず二人で顔を見合わせて微笑みを交わしました。
その間もリッキー様は何度も飛び上がっては、本を取り出そうとしています。
大人がいるのですから頼めばすぐに取ってもらえるのに、どうしても自分でやりたいのか、それこそ一心不乱に本を取ることに集中しているみたい。
指に引っかかった本が少しずつ斜めになって、もう少しで取れそう、いえ、落ちそうってハラハラしたところに、レイ様が絶妙のタイミングでリッキー様の脇を抱えて持ち上げました。
「もう少しだったのにー」
不満げに口を尖らせるリッキー様に
「落としたら、本が傷つくぞ。それに怪我をしないとも限らないし」
レイ様がすぐさま諫めます。
リッキー様が手にしている本の表紙は頑丈そうな装丁ですし、落下して足にでも当たったら……軽くではすまないかもしれません。
「ごめんなさい」
先ほどのこともあってかリッキー様も素直だわ。
反省したのは一瞬。すぐに満足そうに本を胸に抱え込むと駆け出しました。
「部屋の中は走らない」
またもやレイ様の注意が飛びます。
「はーい」
元気な返事が返ってきて、走ることをやめたのはよかったのですが、その代わりスキップに変わっていました。あまり効果はなかったようです。
「まったく」
レイ様が呆れたように大きく息をつきました。
リッキー様はまだ五才ですから、まだやんちゃなお年頃。レイ様も本気で怒っている様子はなくて、甥っ子のやんちゃぶりに困った風でもあり、かわいらしくもありという気持ちが伝わってきます。
「申し訳ございません」
焦ったように謝ったのはリッキー様付きのエイブ。
付き人である彼からすれば、監督不行き届きだと咎められていると思ったのでしょう。
「いや、まだ五才だからな。すべて完璧になんて無理だろう。まあ、あまり厳しくしすぎてもな、窮屈だろうし。要所要所をきちんと指導してくれればいい」
「心得ました。寛大なお言葉、ありがとうございます」
「ところで、今日は随分と急だったな。いつもだったら先触れがでるはずだが?」
レイ様はエイブをジッと見据えます。
身内といえども気軽に会えないのですね。なんて、他人事のように考えていました。
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