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第二部
気づいた思いⅣ
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「招待状の返事も全部そろったわね。あとは席順を考えてチェックすれば、招待客の方は完成ね」
「はい。あとは料理と食器類テーブルセッティングも確認しなくてはですね」
「そうね。必要なものは揃っているから、ローシャス公爵邸で確認させてもらいましょう。予定は組んであるから約束の日に行けばいいわ」
「五日後でしたよね」
「そうよ。お願いね」
芝居の台本のような分厚いスケジュール帳をめくりながら、二週間後に迫ったお披露目パーティーの準備のために、今日はお母様と打ち合わせをしていました。
今回の会場はローシャス公爵邸。
元々は知り合いを招いてのアフタヌーンパーティーのはずだったのですが、せっかくお店をオープンするならば、ローシャス公爵邸で大々的にやって箔をつけちゃいましょうとのフェリシア様からのありがたい提案で決定しました。
急遽、アフタヌーンパーティーからレセプションパーティーに切り替えて計画を練ったのです。
会場である公爵家に相応しく招待客も厳選していますし、フェリシア様の意向も入っています。やはり公爵夫人らしく社交に長けていらっしゃって、人脈も広いですし、パーティー開催の熟練度が全然違いました。とても勉強になります。
「それと料理も作って模擬パーティーも行うから材料も揃えておかなくてはね。あとそれから」
お母様は冊子にペンを走らせ注意点を書き連ねていき、あっという間に空白がなくなってしまいました。当日まで気を抜けませんものね。主催者は大変です。
打ち合わせが済んだ頃、お茶が運ばれてきました。
テーブルの上を片付けてすっきりとしたところでティータイム。
紅茶を楽しんでいると
「やっと落ち着いたみたいね」
お母様が私をジッと見つめていました。
「私って、どこかおかしかったかしら?」
「おかしいというか、心ここにあらず、みたいで落ち着かない様子でそわそわしていたでしょう? いつもは冷静なあなたにしては珍しい行動だったもの」
お母様の指摘に冷や汗が流れます。
そんなにわかりやすかったのね。人前では平静を保っていたつもりだったのだけれど。
自分の気持ちをどう納めていいのかわからなくて、ふわふわと雲の上を歩いているようでおぼつかず。レイ様の顔を思い浮かべただけでドキドキしてくるし、居ても立っても居られなくて、意味もなく部屋の中を歩き回ったりして。でも、それは自室だけだと思っていたのですが、お母様も気づいていたなんて、恥ずかしい。
「そうでしたか? た、たぶん、仕事の、事を考えていたからですわ」
声が上擦ってしまったけれど、納得してくださいますか?
「そうねえ。忙しかったものね。負担をかけてしまったかしら。ごめんなさいね」
「いえ。そういうわけでは……」
失敗してしまったわ。余計に心配させてしまったのではないかしら。
「今は血色もよさそうだし、顔艶もよくなってきたわね。でも、無理はしないでね。なにより健康が一番よ」
忙しかったのは事実ですが、食欲がなかったのは別の理由もあったから。お母様は表立って口を挟むことはなかったけれど、随分と気を使わせてしまっていたみたい。
体を気遣う慈愛に満ちたお母様の言葉に頷くも、ここ数日の行動が誤解を生んでしまったことに心の中で謝りました。
パーティーが終わるまでは登城しないので、ちょうどよかったのかもしれないわ。本人を目の前にして冷静でいられるかどうかは自信がありませんもの。
時間の猶予があって助かったと思うことにするわ。
仕事に打ち込めば忘れていられるし、時間がたてば気持ちにもゆとりが出てくるかもしれないわ。
きっと、大丈夫よ。
今度お会いしたら、先日の非礼をお詫びしなくては。レイ様、怒っていらっしゃるわよね。着替える間もなく宮から退出してしまったから、ドレスやアクセサリーも持ち帰ったまま手元にあるわ。お返しするなら早い方がいいのよね。どうしましょう。
悩みを抱え迷いつつも、いつしか仕事に忙殺されて時間は過ぎていくのでした。
「はい。あとは料理と食器類テーブルセッティングも確認しなくてはですね」
「そうね。必要なものは揃っているから、ローシャス公爵邸で確認させてもらいましょう。予定は組んであるから約束の日に行けばいいわ」
「五日後でしたよね」
「そうよ。お願いね」
芝居の台本のような分厚いスケジュール帳をめくりながら、二週間後に迫ったお披露目パーティーの準備のために、今日はお母様と打ち合わせをしていました。
今回の会場はローシャス公爵邸。
元々は知り合いを招いてのアフタヌーンパーティーのはずだったのですが、せっかくお店をオープンするならば、ローシャス公爵邸で大々的にやって箔をつけちゃいましょうとのフェリシア様からのありがたい提案で決定しました。
急遽、アフタヌーンパーティーからレセプションパーティーに切り替えて計画を練ったのです。
会場である公爵家に相応しく招待客も厳選していますし、フェリシア様の意向も入っています。やはり公爵夫人らしく社交に長けていらっしゃって、人脈も広いですし、パーティー開催の熟練度が全然違いました。とても勉強になります。
「それと料理も作って模擬パーティーも行うから材料も揃えておかなくてはね。あとそれから」
お母様は冊子にペンを走らせ注意点を書き連ねていき、あっという間に空白がなくなってしまいました。当日まで気を抜けませんものね。主催者は大変です。
打ち合わせが済んだ頃、お茶が運ばれてきました。
テーブルの上を片付けてすっきりとしたところでティータイム。
紅茶を楽しんでいると
「やっと落ち着いたみたいね」
お母様が私をジッと見つめていました。
「私って、どこかおかしかったかしら?」
「おかしいというか、心ここにあらず、みたいで落ち着かない様子でそわそわしていたでしょう? いつもは冷静なあなたにしては珍しい行動だったもの」
お母様の指摘に冷や汗が流れます。
そんなにわかりやすかったのね。人前では平静を保っていたつもりだったのだけれど。
自分の気持ちをどう納めていいのかわからなくて、ふわふわと雲の上を歩いているようでおぼつかず。レイ様の顔を思い浮かべただけでドキドキしてくるし、居ても立っても居られなくて、意味もなく部屋の中を歩き回ったりして。でも、それは自室だけだと思っていたのですが、お母様も気づいていたなんて、恥ずかしい。
「そうでしたか? た、たぶん、仕事の、事を考えていたからですわ」
声が上擦ってしまったけれど、納得してくださいますか?
「そうねえ。忙しかったものね。負担をかけてしまったかしら。ごめんなさいね」
「いえ。そういうわけでは……」
失敗してしまったわ。余計に心配させてしまったのではないかしら。
「今は血色もよさそうだし、顔艶もよくなってきたわね。でも、無理はしないでね。なにより健康が一番よ」
忙しかったのは事実ですが、食欲がなかったのは別の理由もあったから。お母様は表立って口を挟むことはなかったけれど、随分と気を使わせてしまっていたみたい。
体を気遣う慈愛に満ちたお母様の言葉に頷くも、ここ数日の行動が誤解を生んでしまったことに心の中で謝りました。
パーティーが終わるまでは登城しないので、ちょうどよかったのかもしれないわ。本人を目の前にして冷静でいられるかどうかは自信がありませんもの。
時間の猶予があって助かったと思うことにするわ。
仕事に打ち込めば忘れていられるし、時間がたてば気持ちにもゆとりが出てくるかもしれないわ。
きっと、大丈夫よ。
今度お会いしたら、先日の非礼をお詫びしなくては。レイ様、怒っていらっしゃるわよね。着替える間もなく宮から退出してしまったから、ドレスやアクセサリーも持ち帰ったまま手元にあるわ。お返しするなら早い方がいいのよね。どうしましょう。
悩みを抱え迷いつつも、いつしか仕事に忙殺されて時間は過ぎていくのでした。
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