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第二部
テンネル侯爵夫人side
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「お姉様。わざわざ来ていただいたのに、申し訳ないわ」
「いいのよ。病気なら仕方ないですものね」
テラスでお茶を飲みながら謝った。
今日はリリアさんの侯爵夫人教育の日。チェント男爵家から風邪のために休むと知らされたのは、少し前の事。姉への連絡が間に合わなかった。
「いいじゃない? たまには姉妹でゆっくりとお茶を楽しむのもよいわ」
「そうね」
昨日の激しい雨とは打って変わったような快晴。晴れ渡った蒼穹には雲一つない。眼前の花々には、まだ夕べの名残の水玉が太陽の光に輝いている。
姉のエレガントな仕草には毎回見惚れてしまう。そろそろ中年期に差し掛かる年齢だけれど、手入れの行き届いたすべすべの肌に薄化粧なのにビューティフル。爪のエイルもおしゃれ。艶のある金色の髪は纏めただけなのに品がある。過度に着飾らないシンプルなドレスもよく似合っている。背筋を伸ばした姿勢が凛としていて、揺るぎのないまっすぐな生き方を貫く美しい姉はわたくしの憧れ。
「次は二週間後だったかしら?」
「ええ。来週は学園の試験があると言っていたから、そうなるわね」
今後のスケジュールを聞いてきた姉に頭の中で今後のことを確認しながら返事を返した。
「このまま、続けても大丈夫かしら?」
間が空くスケジュールが良い機会、ここが潮時ではないだろうかと考える。はかばかしくない侯爵夫人教育にわたくしの心が折れそうになっている。
「どういう意味なの?」
「お姉様を悩ませているではないかと思って。だって、全然進まないでしょう? 初歩の初歩でつまずいている感じですもの。こんな調子ではいつ終わるかわからないわ。いつまでもお姉様に無駄な時間を使わせてしまうのも申し訳なくて」
グレイス・レッシュ侯爵夫人の姉は、二、三年先まで予約で埋まっているという、貴族に引っ張りだこの淑女教育の人気講師でもある。生徒に合わせたカリキュラムを組み、懇切丁寧な指導に定評があって、生徒本人や夫人達にも評判がいい。娘と一緒に学び直す夫人達もいるほど。
わたくしは姉妹のよしみでお願いしたけれど、初日で後悔したわ。何も躾けられていない。元平民だからということを差し引いてもマイナスだった。
食事のマナーも教養も何一つ満足にできない。男爵令嬢となって三、四年は経つらしいのに……
チェント男爵家はマナー教師などつけなかったのか尋ねてみると、長続きしなかったと言われたわ。それには唖然とするしかなかった。
「そうね。あなたがわたくしに気を遣うのもわかるわ」
姉は微笑んで紅茶を一口飲む。
乾いた風が花々をそっと撫でていくと水玉が揺れながら落ちていった。
「今までいろんな階級の令嬢を教えてきたけれど、こんなに指導したことが身につかない令嬢は初めてだったわ」
「ごめんなさい」
まるで、わたくしに言われているようで恥ずかしくて身を縮こませた。
「咎めているわけではないわ。事実を述べただけ。あなたの責任だなんて思ってもいないわ」
「いずれは、侯爵夫人になるかもしれない将来の嫁だわ」
「そうね。リリア嬢がその自覚をちゃんと持っていればいいのだけれど、このままでは難しいわね」
そうなのだ。テンネル侯爵夫人になることがどういうことなのか、あの娘は理解していない。国で有数の資産家で多くの事業を持ち、国内での影響は計り知れない。
仕事関係だけでも貴族とのつきあいは広くて細部にわたる。夜会だけでなくお茶会などへの参加や時には主催も務めなくてはならない。社交は夫人の役割も大きくて重要なのだ。知らないことと覚えないことは同義ではない。その違いを理解しようともしない。
「そうなのよ。困ったことに、その自覚が全然ないのが致命的なのよ」
「ふふっ。そうね。ベス、あなたも苦労するわね。エドガーもリリア嬢にはとことん甘いものね。彼から自覚を促してくれるのが一番効き目があるとは思うのだけども、うまくいかないものね」
「そのことも頭の痛い原因の一つだわ。そんなに怒るな、厳しくするな、リリアはやればできる。もう少しだけ時間をくれって、この一点張りだもの。だから、リリアさんもそれに甘えるのよね。あれではいつまでたっても身につかないわ」
同じ学ぶのなら一緒の方がリリアさんの励みにもなって教育も進むだろうと思って、エドガーも参加させたのが徒になったわ。
「ほんとにねぇ。努力と頑張りの片鱗でも見えれば、まだ見込みもあるのだけれども、やる気がないのが見え見えですものね」
姉の言う通りなので何も言えないわ。最初から躓くなんて想像もしていなかった。
本音では、エドガーを後継者から外したいのだけれど、スティールが渋っている状態では外すに外せない。そんな理由もあって、侯爵夫人教育を始めることにしたのだ。
フローラさんとの婚約を解消してまでその座を手に入れたのだから、それ相応の成果を見せてほしかった。最初から難しいことを要求をしているわけではないし、すぐすぐに身に着くものではないことは重々承知の上。要はやる気なのよ。努力なのよ。それを見せてほしいのよ。
「お姉様、どうしたらいいのかしら? このままでは、いくらなんでも侯爵夫人にはできないわ。だからと言って、いつまでもお姉様に頼ってもいられないでしょう?」
「わたくしが辞めるのは簡単だけれども、そのあとはどうするの? 他の講師に頼むの? それとも諦める?」
「それは……」
「あの調子では、他の講師でも同じことでしょうし、野放しにすれば余計酷くなるかもしれないわね。そうすると、ますます侯爵夫人から遠のくわね」
はあ。わたくしはため息をついた。八方塞がりだわ。よい手立てが思い浮かばない。
フローラさんが婚約者なら、こんなに思い悩むことはなかったのに。侯爵夫人教育など必要ないくらいすべての教養が身についていたし、その上、事業まで携わってくれていた。
今更ながら、手放さざるを得なかった宝は大きかったのだと思い知る。
「どっちにしても講師は見つからないでしょうし、野放しも危険となれば、このままわたくしが続けるわ。それで、どうかしら?」
「いいのですか? お姉様の汚点になるかもしれないのに」
「汚点?」
姉は瞠目して首を傾げる。そんな仕草もエレガントでチャーミング。
「だって、お姉様でも教育できなかった令嬢がいたって、それが妹の嫁であるという汚点までついて、お姉様の評判が落ちるかもしれないわ」
カリキュラムをこなせていない今は、お試し期間だったと言い訳もつく。でも、長くなればそういうわけにもいかなくなる。姉の評判が落ちるのは、なんとしても回避したい。
姉はプッと噴き出した。そして、朗笑を響かせた。
真剣に考えて切り出したのに、姉は笑っている。なぜなのか? わたくしは姉の名誉を守りたいだけなのに。
「わたくしの講師としての評判を気にかけてくれたのね。ベスは優しいわね。でも大丈夫よ。リリア嬢が実にならなければ、それは、それ。自分の教育の仕方の反省材料にするだけよ。わたくしは人に教えるのが大好きなの。もしも、評判が落ちたとしても、真摯に受け止めてこれからも頑張っていくだけだわ」
「お姉様……」
逆境さえも味方にして、まっすぐ前だけを向いて進んでいく姉。
心が折れそうになっていたわたくしにカツを入れられたようだわ。遅々として進まない現状を考えれば、展望は明るいとは言えない。むしろ、問題だらけ。
でも、姉が頑張ってくれるのなら、わたくしも頑張るわ。
「それに、こういう口実がないとあなたになかなか会えないもの。実は毎週ベスに会えるのを楽しみにしているのよ」
姉はとびっきりの笑顔で微笑んでくれた。
「実は、わたくしも、毎週心待ちにしてました」
忙しい姉に無理を言って講師を頼んだのも、姉に会いたかったからというのも大きかった。小さい頃からわたくしを可愛がってくれた姉が大好きだったから。
「じゃあ、お互い様ね。でも、講師としてちゃんと勤めるわよ。そこは線引きしますからね」
「はい。もちろんですわ。お姉様、これからもよろしくお願いします」
わたくしは晴れやかな気分で姉に頭を下げた。
「いいのよ。病気なら仕方ないですものね」
テラスでお茶を飲みながら謝った。
今日はリリアさんの侯爵夫人教育の日。チェント男爵家から風邪のために休むと知らされたのは、少し前の事。姉への連絡が間に合わなかった。
「いいじゃない? たまには姉妹でゆっくりとお茶を楽しむのもよいわ」
「そうね」
昨日の激しい雨とは打って変わったような快晴。晴れ渡った蒼穹には雲一つない。眼前の花々には、まだ夕べの名残の水玉が太陽の光に輝いている。
姉のエレガントな仕草には毎回見惚れてしまう。そろそろ中年期に差し掛かる年齢だけれど、手入れの行き届いたすべすべの肌に薄化粧なのにビューティフル。爪のエイルもおしゃれ。艶のある金色の髪は纏めただけなのに品がある。過度に着飾らないシンプルなドレスもよく似合っている。背筋を伸ばした姿勢が凛としていて、揺るぎのないまっすぐな生き方を貫く美しい姉はわたくしの憧れ。
「次は二週間後だったかしら?」
「ええ。来週は学園の試験があると言っていたから、そうなるわね」
今後のスケジュールを聞いてきた姉に頭の中で今後のことを確認しながら返事を返した。
「このまま、続けても大丈夫かしら?」
間が空くスケジュールが良い機会、ここが潮時ではないだろうかと考える。はかばかしくない侯爵夫人教育にわたくしの心が折れそうになっている。
「どういう意味なの?」
「お姉様を悩ませているではないかと思って。だって、全然進まないでしょう? 初歩の初歩でつまずいている感じですもの。こんな調子ではいつ終わるかわからないわ。いつまでもお姉様に無駄な時間を使わせてしまうのも申し訳なくて」
グレイス・レッシュ侯爵夫人の姉は、二、三年先まで予約で埋まっているという、貴族に引っ張りだこの淑女教育の人気講師でもある。生徒に合わせたカリキュラムを組み、懇切丁寧な指導に定評があって、生徒本人や夫人達にも評判がいい。娘と一緒に学び直す夫人達もいるほど。
わたくしは姉妹のよしみでお願いしたけれど、初日で後悔したわ。何も躾けられていない。元平民だからということを差し引いてもマイナスだった。
食事のマナーも教養も何一つ満足にできない。男爵令嬢となって三、四年は経つらしいのに……
チェント男爵家はマナー教師などつけなかったのか尋ねてみると、長続きしなかったと言われたわ。それには唖然とするしかなかった。
「そうね。あなたがわたくしに気を遣うのもわかるわ」
姉は微笑んで紅茶を一口飲む。
乾いた風が花々をそっと撫でていくと水玉が揺れながら落ちていった。
「今までいろんな階級の令嬢を教えてきたけれど、こんなに指導したことが身につかない令嬢は初めてだったわ」
「ごめんなさい」
まるで、わたくしに言われているようで恥ずかしくて身を縮こませた。
「咎めているわけではないわ。事実を述べただけ。あなたの責任だなんて思ってもいないわ」
「いずれは、侯爵夫人になるかもしれない将来の嫁だわ」
「そうね。リリア嬢がその自覚をちゃんと持っていればいいのだけれど、このままでは難しいわね」
そうなのだ。テンネル侯爵夫人になることがどういうことなのか、あの娘は理解していない。国で有数の資産家で多くの事業を持ち、国内での影響は計り知れない。
仕事関係だけでも貴族とのつきあいは広くて細部にわたる。夜会だけでなくお茶会などへの参加や時には主催も務めなくてはならない。社交は夫人の役割も大きくて重要なのだ。知らないことと覚えないことは同義ではない。その違いを理解しようともしない。
「そうなのよ。困ったことに、その自覚が全然ないのが致命的なのよ」
「ふふっ。そうね。ベス、あなたも苦労するわね。エドガーもリリア嬢にはとことん甘いものね。彼から自覚を促してくれるのが一番効き目があるとは思うのだけども、うまくいかないものね」
「そのことも頭の痛い原因の一つだわ。そんなに怒るな、厳しくするな、リリアはやればできる。もう少しだけ時間をくれって、この一点張りだもの。だから、リリアさんもそれに甘えるのよね。あれではいつまでたっても身につかないわ」
同じ学ぶのなら一緒の方がリリアさんの励みにもなって教育も進むだろうと思って、エドガーも参加させたのが徒になったわ。
「ほんとにねぇ。努力と頑張りの片鱗でも見えれば、まだ見込みもあるのだけれども、やる気がないのが見え見えですものね」
姉の言う通りなので何も言えないわ。最初から躓くなんて想像もしていなかった。
本音では、エドガーを後継者から外したいのだけれど、スティールが渋っている状態では外すに外せない。そんな理由もあって、侯爵夫人教育を始めることにしたのだ。
フローラさんとの婚約を解消してまでその座を手に入れたのだから、それ相応の成果を見せてほしかった。最初から難しいことを要求をしているわけではないし、すぐすぐに身に着くものではないことは重々承知の上。要はやる気なのよ。努力なのよ。それを見せてほしいのよ。
「お姉様、どうしたらいいのかしら? このままでは、いくらなんでも侯爵夫人にはできないわ。だからと言って、いつまでもお姉様に頼ってもいられないでしょう?」
「わたくしが辞めるのは簡単だけれども、そのあとはどうするの? 他の講師に頼むの? それとも諦める?」
「それは……」
「あの調子では、他の講師でも同じことでしょうし、野放しにすれば余計酷くなるかもしれないわね。そうすると、ますます侯爵夫人から遠のくわね」
はあ。わたくしはため息をついた。八方塞がりだわ。よい手立てが思い浮かばない。
フローラさんが婚約者なら、こんなに思い悩むことはなかったのに。侯爵夫人教育など必要ないくらいすべての教養が身についていたし、その上、事業まで携わってくれていた。
今更ながら、手放さざるを得なかった宝は大きかったのだと思い知る。
「どっちにしても講師は見つからないでしょうし、野放しも危険となれば、このままわたくしが続けるわ。それで、どうかしら?」
「いいのですか? お姉様の汚点になるかもしれないのに」
「汚点?」
姉は瞠目して首を傾げる。そんな仕草もエレガントでチャーミング。
「だって、お姉様でも教育できなかった令嬢がいたって、それが妹の嫁であるという汚点までついて、お姉様の評判が落ちるかもしれないわ」
カリキュラムをこなせていない今は、お試し期間だったと言い訳もつく。でも、長くなればそういうわけにもいかなくなる。姉の評判が落ちるのは、なんとしても回避したい。
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「お姉様……」
逆境さえも味方にして、まっすぐ前だけを向いて進んでいく姉。
心が折れそうになっていたわたくしにカツを入れられたようだわ。遅々として進まない現状を考えれば、展望は明るいとは言えない。むしろ、問題だらけ。
でも、姉が頑張ってくれるのなら、わたくしも頑張るわ。
「それに、こういう口実がないとあなたになかなか会えないもの。実は毎週ベスに会えるのを楽しみにしているのよ」
姉はとびっきりの笑顔で微笑んでくれた。
「実は、わたくしも、毎週心待ちにしてました」
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