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第2章:【ナマケモノの爪の垢】

9.盗賊団アジトにgogo

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「まあ結局こうなるよな」

    ダミ子とマースの二人は軽トラに乗せられ揺られていた。
のんびり砂利道を走るそれに日が暮れる前に目的地に着くのか不安を覚える。

向かうのは盗賊団のアジト。

爪の垢を得るには捕らわれたナマケモノたちを救出するしかない。

「もうすぐ着くぞ~」

のほほんとハンドルを握る長老の言葉によりとりあえず先程抱えた一抹の不安は除去される。

盗賊団の住むアジトはナマケモノの町から近くの元鉱山の洞窟にあった。

昔はよく鉱石が採れ頻繁に人が訪れる鉱山だったが、発掘しすぎで鉱石が採れなくなり閉山。現在は盗賊団の住み処となっている。

せっかく(楽)なので長老に盗賊団のアジトまで送ってもらうことにした。

アジト前に到着。

盗賊たちにバレないようにアジトから少し離れた地点に降ろしてもらう。

「じゃあワシはここで待っとるから」

「ああ。住人たちを連れてくるまで待機しててくれ」

長老には救出した住民の確認(ナマケモノ個々の顔の区別がつかないため)と運搬を頼んである。

「長老さんも安全に気をつけてくださいね」

運転席に座るナマケモノに安全を呼び掛ける心優しき助手に長老はほほほ、と軽やかに笑った。

「ああ。もしも奴らに襲われそうになったらコレで轢いてやる」

「物騒なこと言わないでください!」
「……」
「ダミ子さん?  もしかしていいなって思ってます!?」

茶番を後に長老と別れダミ子たちは洞窟前の草の茂みに隠れる。
洞窟の前には盗賊らしきバンダナを巻いた男が二人。
「当然だが入口に門番がいるな」
「ここからじゃないと入れないですし」
やっぱアレでいきますか。
マースくんが耳もとで囁く。
「そうだな。アレを使うか」

長老の情報によると盗賊は全員で四十人程。
普通に考えて二人(しかも片方は薬剤師)しかいないダミ子たちが不利だ。
もしかしたら魔法使いのマースなら盗賊団を魔法でぶっ放せば余裕かもしれない。

だが最優先事項はナマケモノたちの救出。
大きな魔法を使い人質を傷つけるわけにいかない。

穏便に。かつ速やかに。

「アレの出番だな」

そこでダミ子が取り出したのが我が開発品【ネムクナール】だ。

胡椒瓶のような容器に中身も胡椒のような粉末が入っているがこれは胡椒ではない。いわゆる眠り薬だ。
不眠気味の人用にダミ子が開発した薬の一つ。需要なし。

「これをふりかければ相手は半日眠りこむ」
「よく持ってましたねそんなもの」
「そんなもの言うな。私は旅先で枕が変わるとよく眠れなくてね。繊細だから。だから旅のお供として持ち歩いてるんだ」
「旅先で半日眠らないでください!」
「それ行くぞ」
「あっダミ子さんちょ、早っ!」

ダミ子は胡椒瓶片手に茂みから飛び出し門番の盗賊二人にネムクナールをふりかける。

「うわッなんだ!?  侵入者か……ぐう」
「ここから先は通さ……ぐう」

「な?  効果抜群だろ」

「凄い、本当に瞬眠してる……」

「今のうちに行こう」

あっさり眠る門番たちを脇にずらし侵入スタート。

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