スリーピング・サーガ~世界が眠りに堕ちる前に~

秋月流弥

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第2章:【ナマケモノの爪の垢】

11.VS盗賊団!

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「早く!急いで!」
『のろのろ~』
解放されたナマケモノたちはのらりくらりと一歩を踏み出す。
そして踏み出してはボーッと立ち止まってみたり戻ってみたりする。
「ダッシュしろダッシュ!  また盗賊たちに捕まるぞ!」

もあ~……?
優雅に首を傾けるナマケモノたち。この間十二秒。
ダメだこいつら自分たちがピンチだと思っちゃいない。

牢屋が解放されてからもナマケモノたちはカタツムリが這うかのようなまったりした歩調で牢屋を出ていく。

「このままじゃ一匹残らずまた捕まってしまう!」
「もーっ急いで急いで!  ファイト頑張って!」

ナマケモノたちの背を押しやっと牢屋がある部屋から出るも、その先の蟻の巣のようなアジトの道中で次々と盗賊たちと鉢合わせする。その度胡椒瓶ネムクナールをふりかけて逃亡。

ちゃんとついてきてるか後ろを振り返ると胡椒瓶ネムクナールの残り香で地面に倒れ伏すナマケモノ数匹がいたので背負って(火事場の馬鹿力だちくしょう)出口へ向かう。

「やった出口だ!」

洞窟に射し込む光へ飛び込む。

「よっしゃ住民救出&アジト脱出成功……って、」

出口には残りの起きている盗賊暫定20人が待ち構えていた。
「よくもやってくれたなァ」
「覚悟できてんだろうなオラ」
「許さねェぞ」
「どこからさばいてやろうか」
「血祭りにしてやるぜ」
「ひゃっはーッ血・血・血ーーッ!!」

まさかの出待ち。
しかも総動員体制。
しかも全員もれなくデンジャーな香り。

「ダミ子さん【ネムクナール】は!?」
「ヤバイ。さっきので消費しまくっちゃった」
胡椒瓶の中身はすっからかんだった。

「これは……戦うパターンか?」

「戦うってどうやって勝つつもりですか盗賊20人相手に!  僕の攻撃魔法じゃナマケモノさんたちごと巻き込んでしまいます!」

マースが後ろでぞろぞろ歩くナマケモノたちを見て叫ぶ。

「だから、こうやって」

ダミ子は肩にかけたショルダーバックから小型の丸い筒を取り出した。

そしてさらにマッチを取り出しそれに着火。

「そーい」

筒を盗賊たちの方へ投げる。

コロコロと筒は転がり盗賊たちの背後、ちょうど洞窟から出た外の辺りに着地した。


刹那。

筒は凄まじい音を立てて爆発した。


間近にいた盗賊たちは爆撃に直撃しボーリングのピンのように吹き飛ばされる。

「さぁ逃げるか」

ダミ子は転がる盗賊たちの屍(?)を冷めた目で見ると後ろで巻き添えで倒れるナマケモノ数匹を拾い残りの住人たちも同じ要領でバケツリレーのように二人でせっせと出口へ運ぶ。

「いろいろ言いたいことは山ほどありますが盗賊たちピクリとも動かないんですけど」

「安心しろ。先程の【ネムクナール】の爆弾版だ。さっきより効き目が強く軽く一日は眠るだろう」

たしかに倒れたナマケモノたちは鼻ちょうちんを浮かべていた。

「だが急いだ方がいい。さっさと退散しよう」

あっけからんとダミ子は言う。


『ZZZ……』

地面に転がる盗賊たちは大イビキをかいて眠っている。

「……ダミ子さんそんな恐ろしいもの持ってたんですね」
「相手が恐ろしいのがいけない」
「さいですか……」

悪びれもなく言う上司にマースはそう返事するしかできなかった。

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