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十七話 『ケツにムチの一撃』
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店の奥からおじいさんが舞に怒鳴る声が聞こえたので、私はバーガーを掴みながら声のする方へと向かう。
「どーいうことなんだ。こんな偽ジュエルで払えるわけないだろ! ワシは料理人だから分かるんだよ。かじれば本物のジュエルかどうかなんてな!」
舞は怒られているのにも関わらず凄く冷静だ。
「そんなに興奮しないでよ! お金なんてないわよ」
――舞はどうかしてるよ。お金もないのに……。私たち一体いくらのものを食べた?
髭のシェフは舞を睨みつけるが、私がかけてきたのを見ると穏やかな表情に戻り。
「ツグミちゃんは娘の友人だからしょうがないとしても、君は違うし、そもそも人を騙そうとしたことが許せない」
「どうして偽物のジュエルなんて使おうとしたのよ?」
私は舞の本当の気持ちを知りたい。もしかして人を騙すことに罪の意識なんて持ち合わせて居ないような人間なのだろうか?
これだけの人間がいれば本当の悪人も何人かいてもおかしくは無い。でも、変態だとしても平気で人を騙すようではおしまいじゃない!
そんなことを思っていたら、舞は顔を両手で覆うと泣きながら。
「違うの! 今まであった人の中でこんなに優しい人に会ったのは初めてで友達になりたかったの! まさかこんな街中のハンバーガーショップでこんなに高い値段になるわけないじゃないの? ツグミの食べてるそれいくらすると思ってるの? 私は500ジュエルぐらいの気持ちで頼んだのに」
「メニューには500万ジュエルと書かれていただろうに。もしかして冗談だと思ったのか?」
髭のシェフは頭をぽりぽりかき始めた。そして申し訳なさそうに言う。
「ワシも言わなかったから悪いのかもしれんが、この値段で適正なんじゃよ。このバーガーショップはたまに貴族や王族も訪れるからそんな高価な食材を使ったメニューも用意してあったんじゃ。運の悪いことに昨日陛下がお忍びでこられてその時のメニューを片ずけるのを忘れておったわい」
舞とふたり顔を見合わせる。舞は胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべるが、
「ただのお、孫娘のまどかの友達とは言っても陛下にお金を払わせて君らだけただという訳にはいかんだろう。どこの誰が見ているかもしれんからのお」
そう言うと、いつ入ったのか分からないが客席の方から声が聞こえている。
「すげー! これスペシャルメニューじゃないか?」
何やら騒々しい声がする。
「ここはツグミちゃんにどうするのがいいのか決めてもらおうか?」
そう言う髭のシェフの視線は舞の水着の胸のポッチを凝視して頬を赤らめている。
――さっき言ってたよね。夕方にカニを取リに出港すると。これはむしろチャンスなのかも。このおじいさんに話を通してもらえば船に乗りあわよくばかにの味噌の粉てにはいるかもしれない。
「いいわ! 私が500万ジュエルの代わりに食材を取ってくるわ。それで手を打ってほしいの!」
「それなら、ワシからから漁師に話してやるから、行ってみたらどうだ? まあ、いい経験になると思うし、行って損はないはずだ」
「しょうがないわね。私もついて行くわよ。私のまやかしのジュエルの術がバレたから」
舞は水着の中に手を突っ込むと胸をポリポリと掻き出した。――おばちゃんかい!
――いやいや舞のせいで、こんなことになったのよ
でもなんだか舞って憎めない。ひとりで屈強なカニ漁の人達の中に入っていくのは怖いし。とりあえずカニを捕獲するまでは舞と行動した方がいいのかもしれない。断るのはそのあとでも間に合うし。
私達は髭のシェフの許しを得て、高級すぎるハンバーガーを平らげると、カニ漁の船に乗せてもらえることになった。
なんでもカニ漁の船長はこの髭のシェフのお兄さんらしい。それなら安心だ。親友のまどかの親戚って事になるのだから。
「おー! こんな美女が俺たちの船に乗り込むのか。よっしゃー!」
水兵たちは皆喜んでいる。
「あんた達私の下僕よ!」
「あいあいさー!」
船員達は普段女性と接することが少ないのか、女性と言うだけで誰でも可愛く見えるらしい。そんな中に舞のようなフェロモンタップりの女性が現れたもんだから、船内は興奮モードに入っている。
――あー、ついていけない。舞はと言うと、男性のズボンを脱がしケツをムチで叩いている。
そしてそいつらは恍惚の表情を浮かべている。
私は地獄のような光景を目の当たりにしながら、この先不安を募らせながら、一つ目の素材深海ガニの味噌の採取へと向かう。
さきほどまでの平穏な海は1時間も船を走らせると風が徐々に吹き荒れてきた。波は大きくなり、船はそれに伴って左右に揺れ動く。
ど、どうしよう。なんか、気持ち悪い……。
私は慌ててトイレに向かう。
うーん。誰か入ってる。なんでこんな時に限って……
そうよ。袋よ!
でもこういう時に限って袋がない。
諦めた私は船縁に手を付き海に向かって口から放出した。
ゴホッゴホッ。
それから10分ほどノロノロと船を走らせていると船員が騒ぎ始めた。
「おい!誰だよ! メスガニのフェロモンに誘われてオスの巨大カニが一匹追いかけてきてるぞ」
私は少し落ち着きを取り戻し。船の進行方向とは逆の海の方を見ると。
大きい! なんて大きさなの? 想像を遥かに超える大きさで50メートルはあるのだろうか? こんな巨体を小さな10メートル位の船でどうするのよ。
「ひやっほーい! こんなこと今までないぞ。漁に出てカニの方から追っかけてくるなんてな!」
私は言えなかった。まさか私の口から出したシェフの作ったバーガーがメスガニでそのおかげでとは……
「俺たちはプロ!」
「どーいうことなんだ。こんな偽ジュエルで払えるわけないだろ! ワシは料理人だから分かるんだよ。かじれば本物のジュエルかどうかなんてな!」
舞は怒られているのにも関わらず凄く冷静だ。
「そんなに興奮しないでよ! お金なんてないわよ」
――舞はどうかしてるよ。お金もないのに……。私たち一体いくらのものを食べた?
髭のシェフは舞を睨みつけるが、私がかけてきたのを見ると穏やかな表情に戻り。
「ツグミちゃんは娘の友人だからしょうがないとしても、君は違うし、そもそも人を騙そうとしたことが許せない」
「どうして偽物のジュエルなんて使おうとしたのよ?」
私は舞の本当の気持ちを知りたい。もしかして人を騙すことに罪の意識なんて持ち合わせて居ないような人間なのだろうか?
これだけの人間がいれば本当の悪人も何人かいてもおかしくは無い。でも、変態だとしても平気で人を騙すようではおしまいじゃない!
そんなことを思っていたら、舞は顔を両手で覆うと泣きながら。
「違うの! 今まであった人の中でこんなに優しい人に会ったのは初めてで友達になりたかったの! まさかこんな街中のハンバーガーショップでこんなに高い値段になるわけないじゃないの? ツグミの食べてるそれいくらすると思ってるの? 私は500ジュエルぐらいの気持ちで頼んだのに」
「メニューには500万ジュエルと書かれていただろうに。もしかして冗談だと思ったのか?」
髭のシェフは頭をぽりぽりかき始めた。そして申し訳なさそうに言う。
「ワシも言わなかったから悪いのかもしれんが、この値段で適正なんじゃよ。このバーガーショップはたまに貴族や王族も訪れるからそんな高価な食材を使ったメニューも用意してあったんじゃ。運の悪いことに昨日陛下がお忍びでこられてその時のメニューを片ずけるのを忘れておったわい」
舞とふたり顔を見合わせる。舞は胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべるが、
「ただのお、孫娘のまどかの友達とは言っても陛下にお金を払わせて君らだけただという訳にはいかんだろう。どこの誰が見ているかもしれんからのお」
そう言うと、いつ入ったのか分からないが客席の方から声が聞こえている。
「すげー! これスペシャルメニューじゃないか?」
何やら騒々しい声がする。
「ここはツグミちゃんにどうするのがいいのか決めてもらおうか?」
そう言う髭のシェフの視線は舞の水着の胸のポッチを凝視して頬を赤らめている。
――さっき言ってたよね。夕方にカニを取リに出港すると。これはむしろチャンスなのかも。このおじいさんに話を通してもらえば船に乗りあわよくばかにの味噌の粉てにはいるかもしれない。
「いいわ! 私が500万ジュエルの代わりに食材を取ってくるわ。それで手を打ってほしいの!」
「それなら、ワシからから漁師に話してやるから、行ってみたらどうだ? まあ、いい経験になると思うし、行って損はないはずだ」
「しょうがないわね。私もついて行くわよ。私のまやかしのジュエルの術がバレたから」
舞は水着の中に手を突っ込むと胸をポリポリと掻き出した。――おばちゃんかい!
――いやいや舞のせいで、こんなことになったのよ
でもなんだか舞って憎めない。ひとりで屈強なカニ漁の人達の中に入っていくのは怖いし。とりあえずカニを捕獲するまでは舞と行動した方がいいのかもしれない。断るのはそのあとでも間に合うし。
私達は髭のシェフの許しを得て、高級すぎるハンバーガーを平らげると、カニ漁の船に乗せてもらえることになった。
なんでもカニ漁の船長はこの髭のシェフのお兄さんらしい。それなら安心だ。親友のまどかの親戚って事になるのだから。
「おー! こんな美女が俺たちの船に乗り込むのか。よっしゃー!」
水兵たちは皆喜んでいる。
「あんた達私の下僕よ!」
「あいあいさー!」
船員達は普段女性と接することが少ないのか、女性と言うだけで誰でも可愛く見えるらしい。そんな中に舞のようなフェロモンタップりの女性が現れたもんだから、船内は興奮モードに入っている。
――あー、ついていけない。舞はと言うと、男性のズボンを脱がしケツをムチで叩いている。
そしてそいつらは恍惚の表情を浮かべている。
私は地獄のような光景を目の当たりにしながら、この先不安を募らせながら、一つ目の素材深海ガニの味噌の採取へと向かう。
さきほどまでの平穏な海は1時間も船を走らせると風が徐々に吹き荒れてきた。波は大きくなり、船はそれに伴って左右に揺れ動く。
ど、どうしよう。なんか、気持ち悪い……。
私は慌ててトイレに向かう。
うーん。誰か入ってる。なんでこんな時に限って……
そうよ。袋よ!
でもこういう時に限って袋がない。
諦めた私は船縁に手を付き海に向かって口から放出した。
ゴホッゴホッ。
それから10分ほどノロノロと船を走らせていると船員が騒ぎ始めた。
「おい!誰だよ! メスガニのフェロモンに誘われてオスの巨大カニが一匹追いかけてきてるぞ」
私は少し落ち着きを取り戻し。船の進行方向とは逆の海の方を見ると。
大きい! なんて大きさなの? 想像を遥かに超える大きさで50メートルはあるのだろうか? こんな巨体を小さな10メートル位の船でどうするのよ。
「ひやっほーい! こんなこと今までないぞ。漁に出てカニの方から追っかけてくるなんてな!」
私は言えなかった。まさか私の口から出したシェフの作ったバーガーがメスガニでそのおかげでとは……
「俺たちはプロ!」
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