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十八話 『カニの捕獲』
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船員達と共に私と舞は蟹漁へと漁船に乗り込んだわけだが甲板はところどころ割れているし、マストは折れかけている。船の後部にあるモーターは焼かれているのか黒くなって穴が空いていた。
そもそも、こんな船で本当に漁できるのかな? 一抹の不安を抱きながらみんなの顔を見ていると、船員達30人ほどは大きなオールを手にして漕ぎ出す。特に問題ないんだよね……。
「あのっ……人力ですか?」
「そうだよ! この船は昔は何やら機械というもので動いていたアーティファクトだったようだが、壊れてしまってな。今はみんなで力を合わせて漕いでいる。この世界は魔法を後方に打ち出して船を進めるか、人力、もしくはアーティファクトの三種類の船があるんだよ!」
「もし巨大なモンスターに遭遇したらどうなるの? 私達こんなとこで死にたくないわ。もし危険かな目に合わせたらどうなるか分かってるんでしょうね?」
舞は大きな胸を強調させるように腕を組んで船員達に睨みをきかせている。
その時だ。
「おーい! やばいぞ。こっちに向かってる。今まで見た事もないくらいの大きさだ! 横幅50メートルのカニだあああああー!」
興奮した船員の声に船長が落ち着いた様子で帽子を深く被り直すと。
「ものどもおおおー、槍をなげろおおおおお!」
と、大声を張り上げ、その声に従い船員が10メートルはあろう先端に赤い尖った宝石の付いた槍を砲台にセットしていく。
五つの大きな槍が次々とカニへ向かって打ち込まれていく。
「凄い! これが当たれば、カニもひとたまりもないハズ。私も何かお手伝いして、カニを分けてもらわないといけないんだから」
「ツグミこっちよ!」
舞の呼びかけた方へ向かうと、砲台にむっちりとしたオシリで跨り、発射のレバーに手をかける舞の姿があった。
――そうよ! 私達の槍がカニに当たればいいんだわ!
つまり私達が攻撃した槍でカニに致命傷を与えられれば、船員達も納得して気持ちよくカニの素材を分けてもらえるというわけだ。 もちろんハンバーガーショップのまどかのおじいさんであるシェフにも分けてあげなければならない。
それにしてもこの砲台の専任はどこに行ったの?
「早く脚を揉みなさいよ! 私は立ちっぱなしで脚が浮腫んだじゃないどうしてくれるのよ!」
舞は砲台に長い脚を垂らしながら、厳しく船員を叱りつけるとその砲台の二人は怯えながら舞の透き通った白い脚を鼻の下を伸ばしながら揉んでいく。
脚をせっせと揉む船員達は頬を赤く染めながら顔をチラチラあげてその透けるふっくらした胸を見ようとするが、理性が働くのかたまにちらっと見るのに留めているようだ。
――なにやってんのよ。早く撃たないと私達の取り分が無くなってしまう。
「マイっ、船員さんに何やらせてんのよ! そんなことより早く撃たないと!」
後方から大波のような海水が飛んできた。
「うわぁぁぁぁああああー」
カニがハサミで海の表面を横から水切りのように切ると大量の海水が次々とこちらに向かって飛んできている。
こちらは船の後方なのでまだ影響は少ないが、直接海水を当てられた船員は海へと弾き飛ばされていた。
「あー、もうっ! 服がビショビショじゃないの! どうしてくれるのよ! あんた責任取りなさいよ!」
舞は脚を揉ませる船員の首根っこを掴むとさらにわけの分からないことを言い出す。船員は頬を赤く染めて俯く。
そういう舞の服は海水で透けて大きな胸が見えている状態になっていた。
「舞っ。ふくっ透けてるし、何で透ける水着みたいな服きてるのよ!」
両手を握りしめ興奮気味の私に向かってカニが飛ばした海水の塊がヒットした。
「あああああーっ」
ドッボーン!
「あっ、あっ……」
海水は冷たくて、私泳げない。
「マイイイイイイーっ、助けてー!」
「つぐーっ!」
甲板の上にいたマイや船員が、それと同時に海に飛び込むのが一瞬見えた気がした。もうそれどころじゃない、
わああああああっ、死んじゃうよー。何か、何か捕まるものないの? 海の中でジタバタするものの、やばい沈んでいく……。
なにかに抱きかかえられた気がした。船員かな。目を少しあげると必死に私を抱える舞の姿があった。
「ごめん、マイっ……」
「いいのよ! 私達パーティーなんだから。この先どんなことがあっても私があなたを守るわ!」
ウインクしながら、私に声をかけてくれる。
船にいた船員が浮き輪を投げてくれて私達は何とか上がることができた。
――この人見かけによらず、信用できるのかもしれない。
そうこうしていると、誰かの投げた槍がカニに当たり、歓声が湧き上がる。
私も一矢報いないと、フラフラになりながら砲台へと歩く私をマイが……支えてくれて、二人で槍の発射スイッチを押した。
ドーン! という打ち出し音とともに、カニのお腹を貫いた。
「やったああああああー!」
「やったわね!」
「バカやろう! カニ味噌があああああー」
船首の方で船長が膝を落としブチ切れていた。
弱ったカニどうやって捕まえるのよ? カニは海面にぷかぷかと浮かんでいた。私達の攻撃が致命傷になったようだ。
「カニがデカすぎる。今回は残念だが、回収は不可能だ」
船長は私達の方へと走ってきてこんなことを言い出した。
「何とか半分だけでも持って帰れませんか? 必要なんです。あ、そうだ。待ってくださいね」
私はポケットに入っていた銃に蜘蛛の糸の粉を入れるとカニ目掛けて引き金を引いた。
糸がカニの胴体部分に絡まる。
「ものどもおおおおー、あの糸にロープを取り付けおおおおおおー!」
船でカニを引っ張る形でようやくカニの回収の目処がたった。
港に帰る。
甲板で疲れきった私達は雑魚寝して空を仰ぎ見ていた。船員はぶどう酒を注ごうとしたが私は飲めないし、隣でマイはジョッキになみなみと注がれたお酒を何杯も飲んでいるようだった。
皆と談笑するマイを見てると、 私の思い過ごしだったみたい。人は見かけによらないっていう典型例なのかともおもえてくる。
ぶどう酒で完全にできあがったマイは立ち上がり、
「はー疲れたわ! 私の敷布団になりたいものは裸になり地べたに寝そべりなさい!」
背中に括り付けたムチを取り出し甲板をピシャリとひと打ちする。
「俺がなるぜー」
「いやいや、ここは俺がやるから、お前はひっこんでろ!」
「よっしゃ寝たぞー。早いもん勝ちだー!」
お酒で酔っ払った屈強な男たちは上着を脱ぎ甲板に寝そべり始めた。
――はあ……。やっぱりマイは変。でもこれから始まる冒険にこんな仲間が一人いてもいいのかな? いざと言う時頼りになるし……。
空を仰ぎ見るといつの間にか、白いひつじ雲が穏やかに青空を駆け巡っていた。
まずは1個目。『カニ味噌の粉』が作れそう。このカニを加工すれば手に入るよね。あと九個! このペースで一刻も早く素材を集めていかなきゃ。
そもそも、こんな船で本当に漁できるのかな? 一抹の不安を抱きながらみんなの顔を見ていると、船員達30人ほどは大きなオールを手にして漕ぎ出す。特に問題ないんだよね……。
「あのっ……人力ですか?」
「そうだよ! この船は昔は何やら機械というもので動いていたアーティファクトだったようだが、壊れてしまってな。今はみんなで力を合わせて漕いでいる。この世界は魔法を後方に打ち出して船を進めるか、人力、もしくはアーティファクトの三種類の船があるんだよ!」
「もし巨大なモンスターに遭遇したらどうなるの? 私達こんなとこで死にたくないわ。もし危険かな目に合わせたらどうなるか分かってるんでしょうね?」
舞は大きな胸を強調させるように腕を組んで船員達に睨みをきかせている。
その時だ。
「おーい! やばいぞ。こっちに向かってる。今まで見た事もないくらいの大きさだ! 横幅50メートルのカニだあああああー!」
興奮した船員の声に船長が落ち着いた様子で帽子を深く被り直すと。
「ものどもおおおー、槍をなげろおおおおお!」
と、大声を張り上げ、その声に従い船員が10メートルはあろう先端に赤い尖った宝石の付いた槍を砲台にセットしていく。
五つの大きな槍が次々とカニへ向かって打ち込まれていく。
「凄い! これが当たれば、カニもひとたまりもないハズ。私も何かお手伝いして、カニを分けてもらわないといけないんだから」
「ツグミこっちよ!」
舞の呼びかけた方へ向かうと、砲台にむっちりとしたオシリで跨り、発射のレバーに手をかける舞の姿があった。
――そうよ! 私達の槍がカニに当たればいいんだわ!
つまり私達が攻撃した槍でカニに致命傷を与えられれば、船員達も納得して気持ちよくカニの素材を分けてもらえるというわけだ。 もちろんハンバーガーショップのまどかのおじいさんであるシェフにも分けてあげなければならない。
それにしてもこの砲台の専任はどこに行ったの?
「早く脚を揉みなさいよ! 私は立ちっぱなしで脚が浮腫んだじゃないどうしてくれるのよ!」
舞は砲台に長い脚を垂らしながら、厳しく船員を叱りつけるとその砲台の二人は怯えながら舞の透き通った白い脚を鼻の下を伸ばしながら揉んでいく。
脚をせっせと揉む船員達は頬を赤く染めながら顔をチラチラあげてその透けるふっくらした胸を見ようとするが、理性が働くのかたまにちらっと見るのに留めているようだ。
――なにやってんのよ。早く撃たないと私達の取り分が無くなってしまう。
「マイっ、船員さんに何やらせてんのよ! そんなことより早く撃たないと!」
後方から大波のような海水が飛んできた。
「うわぁぁぁぁああああー」
カニがハサミで海の表面を横から水切りのように切ると大量の海水が次々とこちらに向かって飛んできている。
こちらは船の後方なのでまだ影響は少ないが、直接海水を当てられた船員は海へと弾き飛ばされていた。
「あー、もうっ! 服がビショビショじゃないの! どうしてくれるのよ! あんた責任取りなさいよ!」
舞は脚を揉ませる船員の首根っこを掴むとさらにわけの分からないことを言い出す。船員は頬を赤く染めて俯く。
そういう舞の服は海水で透けて大きな胸が見えている状態になっていた。
「舞っ。ふくっ透けてるし、何で透ける水着みたいな服きてるのよ!」
両手を握りしめ興奮気味の私に向かってカニが飛ばした海水の塊がヒットした。
「あああああーっ」
ドッボーン!
「あっ、あっ……」
海水は冷たくて、私泳げない。
「マイイイイイイーっ、助けてー!」
「つぐーっ!」
甲板の上にいたマイや船員が、それと同時に海に飛び込むのが一瞬見えた気がした。もうそれどころじゃない、
わああああああっ、死んじゃうよー。何か、何か捕まるものないの? 海の中でジタバタするものの、やばい沈んでいく……。
なにかに抱きかかえられた気がした。船員かな。目を少しあげると必死に私を抱える舞の姿があった。
「ごめん、マイっ……」
「いいのよ! 私達パーティーなんだから。この先どんなことがあっても私があなたを守るわ!」
ウインクしながら、私に声をかけてくれる。
船にいた船員が浮き輪を投げてくれて私達は何とか上がることができた。
――この人見かけによらず、信用できるのかもしれない。
そうこうしていると、誰かの投げた槍がカニに当たり、歓声が湧き上がる。
私も一矢報いないと、フラフラになりながら砲台へと歩く私をマイが……支えてくれて、二人で槍の発射スイッチを押した。
ドーン! という打ち出し音とともに、カニのお腹を貫いた。
「やったああああああー!」
「やったわね!」
「バカやろう! カニ味噌があああああー」
船首の方で船長が膝を落としブチ切れていた。
弱ったカニどうやって捕まえるのよ? カニは海面にぷかぷかと浮かんでいた。私達の攻撃が致命傷になったようだ。
「カニがデカすぎる。今回は残念だが、回収は不可能だ」
船長は私達の方へと走ってきてこんなことを言い出した。
「何とか半分だけでも持って帰れませんか? 必要なんです。あ、そうだ。待ってくださいね」
私はポケットに入っていた銃に蜘蛛の糸の粉を入れるとカニ目掛けて引き金を引いた。
糸がカニの胴体部分に絡まる。
「ものどもおおおおー、あの糸にロープを取り付けおおおおおおー!」
船でカニを引っ張る形でようやくカニの回収の目処がたった。
港に帰る。
甲板で疲れきった私達は雑魚寝して空を仰ぎ見ていた。船員はぶどう酒を注ごうとしたが私は飲めないし、隣でマイはジョッキになみなみと注がれたお酒を何杯も飲んでいるようだった。
皆と談笑するマイを見てると、 私の思い過ごしだったみたい。人は見かけによらないっていう典型例なのかともおもえてくる。
ぶどう酒で完全にできあがったマイは立ち上がり、
「はー疲れたわ! 私の敷布団になりたいものは裸になり地べたに寝そべりなさい!」
背中に括り付けたムチを取り出し甲板をピシャリとひと打ちする。
「俺がなるぜー」
「いやいや、ここは俺がやるから、お前はひっこんでろ!」
「よっしゃ寝たぞー。早いもん勝ちだー!」
お酒で酔っ払った屈強な男たちは上着を脱ぎ甲板に寝そべり始めた。
――はあ……。やっぱりマイは変。でもこれから始まる冒険にこんな仲間が一人いてもいいのかな? いざと言う時頼りになるし……。
空を仰ぎ見るといつの間にか、白いひつじ雲が穏やかに青空を駆け巡っていた。
まずは1個目。『カニ味噌の粉』が作れそう。このカニを加工すれば手に入るよね。あと九個! このペースで一刻も早く素材を集めていかなきゃ。
応援ありがとうございます!
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