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三十一話『ビンタで魔王が飛ぶ』
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「ドラゴはっきりいってまずい。一度作戦を練った方がいいかもしれない」
ドラゴは期待して俺の方をつぶらな瞳でみてくる。
「何か良いアイディアあるのか?」
「なんも浮かばない。かなり怒ってたし。そもそもジャンヌがドラゴの事を構いすぎてるのが問題なんじゃないか?」
「末っ子だからかもしれん」
どことなく嬉しそうに答える。この場合どうしたらいいんだ。遅かれ早かれドラゴも恋をして親から離れることもあるだろうに。
「まあとりあえず行ってみるか。ドラゴの父親にも会いたいし」
ドラゴの父親──最終ボスがどんな人なのか見てみたい。クリアするための何かきっかけを見つけたい気持ちもあった。
「父は女ったらしなんだ。ほかの女との間に子供がいて、それぞれ扉のボスになってる」
ドラゴはぽつりぽつり語り始めた。これは運営の悪意だ。
「もしかしてジャンヌの子ってドラゴだけだったりする?」
「ああ」
やっぱり、だからこそドラゴに対しては目をかけているんだ。どんどんめぐニャンを紹介するのが難しくなってきた。
こうなったら方法はただ1つメグニャンがジャンヌに好かれればいいんだ。そうすれば全て解決。
「ジャンヌってどんな彼女を連れてきたら喜ぶと思う?」
「それは分からない。でも、娘が欲しかったとか聞いたことはある」
てことは、上手く行けば何とかなるかもしれない。ジャンヌの性格からいけば息子を大切に思っているなら少しは許して貰えるかもしれない。
「とりあえず行ってみるか。援護はするから」
「ありがとう。めぐー! いくよー!」
ドラゴは明るいトーンでメグを呼ぶ。階段を降りてエレベーターが見えてきた。
「ここの地下10階がキッチンだから乗った乗った!」
「楽しみにゃんねー!」
メグニャンはプレゼントを抱えてスキップしながら乗り込む。この子なら上手くいくかもしれない。普通なら彼氏の親に会う時は緊張するもんなんだけどな。
エレベーターがチーンと音を立てて止まる。
「ところでプレゼントって何もってきた?」
「それはお楽しみだから、まだ言えないわ」
キラキラと目を輝かせている。めぐニャンにかかってる。ドラゴはキッチンのドアを開けた。
そこには長机に8人ほどが座って食卓を囲っていた。奥にいる一際禍々しいオーラを纏っているのが恐らくドラゴの父。残り7名はドラゴの腹違いの兄弟なのだろう。
頼むから揉め事だけは勘弁だ。確実に戦闘になれば死しかないのだから。こんなとこで死にたくは無い。
ドアを開けると皆テレビを見ながらジャンヌの料理を待っている様だった。和やかな風景。そんなとこに俺たちは軽装でやってきた。最終ボスに彼女の紹介をするためだ。
「ん? ドラゴじゃないか。久々に顔を出したかと思えばプレイヤーなんて連れてきてどういう事だ?」
「食べるために連れてきたんだろう。厨房の位置も忘れたのか?」
「お土産に人間を連れてくるとかドラゴも俺たち兄弟に気をきかせるようになったんだな」
と、何やら微笑ましい会話を繰り広げている。
その場に後ろから来たメグニャンは、自分の世界に入っているのだろう。100%招待されたと勘違いしてるのだから、
「本日は招待して頂きありがとうございます。ドラゴの彼女のめぐと申します」
ぺこりと頭を下げる。8匹のモンスターは目が点になり、
「なに? どーゆうことだ? プレイヤーを彼女にできるのか?」
「そんな話聞いたことないぞ!」
「違うだろ、ドラゴをそそのかして俺たちを倒しにやってきたんじゃないのか?」
奥に座るドラゴの父親は口を開いた。
「めぐと言ったな? ここに来たということは我らと戦闘するということでいいんじゃな?」
赤のマントを羽織ったイケメン白髪混じりのドラゴの父は恐ろしいことを言う。
「違います。ドラゴに言われて来たんです。その証拠にこの手紙もあります。あとこれクロワッサン焼いたので良かったらどうぞ」
バスケットに入ったバターの香りがするクロワッサンをテーブルに置く。
「毒とか入ってないよな?」
「俺たちを皆殺しにしに来たんじゃないのかよ?」
「お前がたべろよ! 毒入ってたらたまらんぞ!」
メグは心無い言葉に目に涙を浮かべ俯いてしまう。それを見たドラゴは興奮しながら、
「何言ってんだよ。めぐがそんなことするわけ無いだろ。お前らおかしいよ」
そう言ってテーブルの上のクロワッサンを
手にして、食べる
「凄く美味しい。初めて食べたけど料理も得意なんだ」
ドラゴは満足気にめぐを見る。ほかのボスたちも慎重にクロワッサンを掴むと口に投げ込む。
皆頬を両手で抑えながら、
「デリシャスーー!」
とか、何とか言っちゃってる。
そこへ料理を運んできたジャンヌ。みんなの喜ぶ顔を見て青ざめて手に持つシチューをゴミ箱に投げ込んだ。
「いったいどういうわけなの! 私が料理を作っているのに。なんで人のやつ食べてんのよ!」
ジャンヌは旦那に飛びかかり、ビンタをお見舞した。魔王は頬に赤い手のひらマークをつけて後ろの食器棚にすごい勢いで飛んで行った。
ドラゴは期待して俺の方をつぶらな瞳でみてくる。
「何か良いアイディアあるのか?」
「なんも浮かばない。かなり怒ってたし。そもそもジャンヌがドラゴの事を構いすぎてるのが問題なんじゃないか?」
「末っ子だからかもしれん」
どことなく嬉しそうに答える。この場合どうしたらいいんだ。遅かれ早かれドラゴも恋をして親から離れることもあるだろうに。
「まあとりあえず行ってみるか。ドラゴの父親にも会いたいし」
ドラゴの父親──最終ボスがどんな人なのか見てみたい。クリアするための何かきっかけを見つけたい気持ちもあった。
「父は女ったらしなんだ。ほかの女との間に子供がいて、それぞれ扉のボスになってる」
ドラゴはぽつりぽつり語り始めた。これは運営の悪意だ。
「もしかしてジャンヌの子ってドラゴだけだったりする?」
「ああ」
やっぱり、だからこそドラゴに対しては目をかけているんだ。どんどんめぐニャンを紹介するのが難しくなってきた。
こうなったら方法はただ1つメグニャンがジャンヌに好かれればいいんだ。そうすれば全て解決。
「ジャンヌってどんな彼女を連れてきたら喜ぶと思う?」
「それは分からない。でも、娘が欲しかったとか聞いたことはある」
てことは、上手く行けば何とかなるかもしれない。ジャンヌの性格からいけば息子を大切に思っているなら少しは許して貰えるかもしれない。
「とりあえず行ってみるか。援護はするから」
「ありがとう。めぐー! いくよー!」
ドラゴは明るいトーンでメグを呼ぶ。階段を降りてエレベーターが見えてきた。
「ここの地下10階がキッチンだから乗った乗った!」
「楽しみにゃんねー!」
メグニャンはプレゼントを抱えてスキップしながら乗り込む。この子なら上手くいくかもしれない。普通なら彼氏の親に会う時は緊張するもんなんだけどな。
エレベーターがチーンと音を立てて止まる。
「ところでプレゼントって何もってきた?」
「それはお楽しみだから、まだ言えないわ」
キラキラと目を輝かせている。めぐニャンにかかってる。ドラゴはキッチンのドアを開けた。
そこには長机に8人ほどが座って食卓を囲っていた。奥にいる一際禍々しいオーラを纏っているのが恐らくドラゴの父。残り7名はドラゴの腹違いの兄弟なのだろう。
頼むから揉め事だけは勘弁だ。確実に戦闘になれば死しかないのだから。こんなとこで死にたくは無い。
ドアを開けると皆テレビを見ながらジャンヌの料理を待っている様だった。和やかな風景。そんなとこに俺たちは軽装でやってきた。最終ボスに彼女の紹介をするためだ。
「ん? ドラゴじゃないか。久々に顔を出したかと思えばプレイヤーなんて連れてきてどういう事だ?」
「食べるために連れてきたんだろう。厨房の位置も忘れたのか?」
「お土産に人間を連れてくるとかドラゴも俺たち兄弟に気をきかせるようになったんだな」
と、何やら微笑ましい会話を繰り広げている。
その場に後ろから来たメグニャンは、自分の世界に入っているのだろう。100%招待されたと勘違いしてるのだから、
「本日は招待して頂きありがとうございます。ドラゴの彼女のめぐと申します」
ぺこりと頭を下げる。8匹のモンスターは目が点になり、
「なに? どーゆうことだ? プレイヤーを彼女にできるのか?」
「そんな話聞いたことないぞ!」
「違うだろ、ドラゴをそそのかして俺たちを倒しにやってきたんじゃないのか?」
奥に座るドラゴの父親は口を開いた。
「めぐと言ったな? ここに来たということは我らと戦闘するということでいいんじゃな?」
赤のマントを羽織ったイケメン白髪混じりのドラゴの父は恐ろしいことを言う。
「違います。ドラゴに言われて来たんです。その証拠にこの手紙もあります。あとこれクロワッサン焼いたので良かったらどうぞ」
バスケットに入ったバターの香りがするクロワッサンをテーブルに置く。
「毒とか入ってないよな?」
「俺たちを皆殺しにしに来たんじゃないのかよ?」
「お前がたべろよ! 毒入ってたらたまらんぞ!」
メグは心無い言葉に目に涙を浮かべ俯いてしまう。それを見たドラゴは興奮しながら、
「何言ってんだよ。めぐがそんなことするわけ無いだろ。お前らおかしいよ」
そう言ってテーブルの上のクロワッサンを
手にして、食べる
「凄く美味しい。初めて食べたけど料理も得意なんだ」
ドラゴは満足気にめぐを見る。ほかのボスたちも慎重にクロワッサンを掴むと口に投げ込む。
皆頬を両手で抑えながら、
「デリシャスーー!」
とか、何とか言っちゃってる。
そこへ料理を運んできたジャンヌ。みんなの喜ぶ顔を見て青ざめて手に持つシチューをゴミ箱に投げ込んだ。
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