バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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12 満員バスの中の痴態④

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 僕の眼を吸い寄せたのは、一対の”手”だった。

 後ろから現れた手が、ヨミの胸に貼りついているのである。

 車内は混みあっており、ヨミの両サイドにも後ろにもぎっしり人が立っていて、立錐の余地もないほどだ。

 ヨミを取り囲む人種は、スーツ姿のサラリーマンやOL、制服に身を包んだ高校生など、さまざまだった。

 誰の仕業なのかー。

 とにかく、そのうちのひとりが背後からヨミの躰に手を回し、五本の指を蜘蛛の脚のように這い回らせている。

「お、おい・・・」

 声をかけようとしたけど、喉が枯れてしまって、音にならなかった。

 指は今や左右の胸の頂に移り、ピタTシャツを押し上げるふたつの乳首にかかっている。

 人差指と親指で薄い布越しに突起を抓むと、左右同時に指の腹でこじり始めた。

 コリコリコリ・・・。

 指に挟まれた肉の芽が一瞬のうちに大きくなるのが、白い布越しにも見て取れた。

 痴漢だった。

 あまりにもヨミは目立ち過ぎるのだ。

 ホモセクシャルな性向を持つ者が今の彼の肢体を目にしたら、衝動を抑えきれなくなったとしても無理はない。

 当然、一番近くにいる僕としては、大声で叫んでこの痴漢行為をやめさせるべきだったろう。

 けれど、僕はそうしなかった。

 理由はふたつ。

 ひとつは、明らかにヨミが”感じ”始めているのがわかったこと。

 その証拠に、ヨミは抵抗するどころか、吊り革を両手で掴んだまま、痴漢の手に自ら胸を押しつけるように、くねくねと上半身をくねらせている。

 しかもー。

 その股間では、へそを指す矢印のように、スキニーパンツの中で直立する円筒状の”畝”を、みるみるうちに大きくさせてー。

 そして、痴漢行為を止めなかった、もうひとつの理由はー。

 痴漢に嬲られるヨミの姿に、僕自身、異様なほどの興奮を覚えたからだった・・・。
 

 
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