バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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49 大浴場の影②

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 大浴場は3つのスペースに分かれていた。

 入ってすぐ、一段高くなったところが脱衣所で、左手が洗面台、右手が着替えるスペースになっている。

 正面のすりガラスの引き戸を開けると、そこが瓢箪型の浴槽を中心として、薬湯、電気湯がある室内浴場だ。

 室内浴場の奥は更にガラスの壁で仕切られていて、その向こうがどうやら露天風呂のようだった。

 僕は脱衣所で汚れた衣服を脱いで手早く全裸になると、前をタオルで隠してすりガラスの引き戸を開けた。

 室内浴場はサウナ並みに暑く、浴槽から立ち昇る湯気で数メートル先も見えないほどだった。

 手さぐりに近い状態で洗い場にたどり着くと、備え付けのボディソープとシャンプーで全身を洗った。

 一息ついたところで、瓢箪型の大浴場に躰を沈めた。

 規模は小さいながらもどうやら本格的なかけ流しの温泉らしく、お湯が新鮮で肌がヒリヒリした。

 よくは見えないので断言はできないが、気配からしてこの大浴場には僕のほかに人はいないようだった。

 透明な湯にのびのびと手足を伸ばす。

 遅ればせながらようやく”賢者タイム”が訪れたかのような落ち着きが、僕の心を和ませていた。

 幸いなことに、あれほど怒張していた性器も今は萎びた蚯蚓のようになり、大人しく股間の茂みに隠れている。

 これからどうしたらいいのだろう?

 熱い湯で身体中の筋肉をほぐしながら、考える。

 はっきり言って、今のマンションに住み続けることは不可能だ。

 家賃が高すぎるし、だいたい、一人住まいには広すぎる。

 その点、一緒に住まないかというヨミの誘いは渡りに船だし、しかも僕は・・・。

 白状すると、異母兄弟で、しかも同性だというのに、なぜだか彼に惹かれてしまっている・・・。

 ただ、同居をためらわせる何かがこの家にあることは、事実だった。

 ある意味、色情狂みたいな、常軌を逸したヨミのふるまいの数々。

 それを黙認するばかりか、面白がっているかのような、僕らの”実父”、比良坂希京。

 そして何より気になるのは、あの写真集に写っていた、ヨミの相手の少年。

 地下室でヨミを弄んでいたのは、ひょっとしてあの写真集の少年ではなかったか…?

 そうしたさまざまな想念に囚われ、時間の経過を忘れかけていた時だった。

 ふいに僕はある気配に気づき、ハッと顏を上げた。

 僕以外に、誰か、いる?





 
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