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ヤミイ

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「いつまでやってるのよ?」
 肩を揺すられ、目を開いた。
 ジュリの声だった。
 腕の中には、先生がいた。
 胎児のように躰を丸めて、意識を失っているようだ。
 僕はその先生を背後から抱きしめ、肛門に勃起陰茎を挿入したままだ。
 先生の括約筋に締めつけられ、ペニスは十分な硬さを保っている。
「え?」
 振り向くと、服を着終えたジュリと塁が立っていた。
「もう遅いわ。寝る時間よ。明日があるから、そろそろ兄貴を解放してあげて」
 ジュリと塁は化粧も直していた。
 ウロボロスの輪と化した究極のあの四人プレイ。
 全員が同時に達してから、ずいぶん時間が経ってしまったようだ。
 どうやらその間、僕はずっと夢を見ていたらしい。
 よかった。
 僕はほっと安堵の吐息をついた。
 後半は、悪夢だったのだ。
 見知らぬ女たちに、先生とふたり、もみくちゃにされるだなんてー。
 正直、女性の手で無理やり逝かされるのは、あまりいい気分じゃない。
 どうせなら、やっぱり、僕は、男が相手のほうがいい。
「少年、餓鬼のくせに、あなたって本当に絶倫だよね。あんなことの後だっていうのに、すぐまた無抵抗な彼に襲いかかって、ずぼずぼ犯しちゃうんだもの」
 からかうような笑みを口元に浮かべて、塁が言う。
「よほど兄貴のことが好きなのね。まあ、正確には、兄貴の躰が、ってことなんでしょうけど」
 ため息交じりに、ジュリが後を引き取った。
「でも、残念でした。きょうはもうおしまい。後は明日、せいぜい兄貴が生き延びることを願うしかないわね。今年の拷問は、半端ない規模だから」
「わ、わかったよ…」
 先生の右肩に口づけし、その愛おしいお尻から肉棒を抜こうとした時だった。
「ちょっと待てよ」
 だしぬけにドアがスライドして、ひどく能天気な大声が頭の上から振ってきた。
 顏を上げた僕は見た。
 戸口に裸体の美大夫が立っている。
 先生よりひと回り大きな、筋肉質の躰。
 軽く巻いた髪の毛の色は明るいブラウンで、ハシバミ色の眼をしている。
 美形ではあるが、クールな先生とはまた別のタイプの、どこか愛嬌のある顔立ちをしている。
 逆三角形の上半身によく締まった腰。
 股間に際どいビキニブリーフをつけている。
 趣味の悪い赤色のブリーフの前は、凶悪に盛り上がったままだ。
「アキラ…」
 青年を見上げ、茫然と、ジュリがつぶやいた。
 嫌な予感がした。
「誰?」
 ジュリに耳打ちすると、
「あたしたちの従兄。ロンドンに留学中のはずなのに」
「それがな」
 ジュリの声が聞こえたのか、青年が人懐っこい顏で笑った。
「向こうで未知の感染症とやらが流行始めちまってよ。日本に帰れなくなる前に、急ぎ戻ってきたってわけ。もちろん、おいらのかわいこちゃんに会うためにな」
 おいらの、かわい子、ちゃんって?
 ジュリのことだろうか?
 が、僕の予想は、最悪の形で外れてしまった。
 のしのしと部屋に入ってきた青年が手を伸ばしてきたのは、僕に貫かれて気を失っている先生のほうだったのだ。
 僕は青くなった。
 先生には、僕やジュリ以外に、好きなひとがいるー。
 あれは、正夢だったのか…。

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