重力系彼氏

了道暁

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昼休み

11話

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 寝ぼけ眼を擦って、ヨロヨロと起き上がると、時間はまだ朝の5時だった。
 慣れないことをするんだ。これくらい早起きしなくては。
 ご飯はしっかり炊けてる。塩もある。海苔もある。おにぎりくらいなら作れる。

 サランラップにご飯と塩を入れて包み込む。

「あちっ」

 炊飯器から出したばかりだからか、さわれないほど熱かった。
 でもそうこうしてる間に時間が過ぎてしまう。美味しいものを冬華にも食べて欲しい。でもうまく握れない。
 熱いのを我慢してご飯を握ると、形が歪になってしまった。

 形が三角というより、なんとなく角のある楕円だ。海苔が途中で破れた。

 完成したものを皿の上に並べて、眺める。

 これを冬華に見せるわけにはいかない。

 冬華が作るお弁当はいつだって美味しそうだった。丁寧に作っている人だというのはわかる。こんな歪なものを持っていったら、笑われる。クールな人などとは程遠いだろう。

 こっそり食べよう。

 学校に持っていって、冬華と会う前に食べてしまえばいい。

 歪なおにぎりをラップで包んで、鞄に入れた。


 昼休みが始まってすぐ、嬉しいことに冬華が僕のクラスまで迎えにきてくれた。
 やった。嬉しい。すぐに冬華とたくさん話したい。そう思ったけどおにぎりを持ってきてしまっている。しかもそれを見せるわけにはいかない。

「冬華」

 クールな人を意識して、表情に出さず名前を呼ぶことができた。一緒に食べられない悲しさが、表情を封じ込めてくれる。

「お弁当持ってきた」

 身体が固まる。一緒に食べたい。話したい。でも

「……ごめん、今日はいい」

 せっかく来てくれたのに。不器用だから期待に応えられない。

「いらない、ってこと?」

「そう」

 これ以上冬華の顔を見てたら、縋ってしまいそうだから急いで男子トイレへと逃げた。
 手を洗ってから隙を見ておにぎりを食べよう。
 しばらくぼーっとしてから教室に戻ると、当たり前だけど冬華はいなかった。
 胸が痛くなる感触。
 それを封じ込めるために、急いでおにぎりを持って、誰もいない階段の踊り場へと走った。

 屋上へと繋がる階段だけど、使わなくなった机とか椅子とか教科書が放置されてるから、違う方の階段から屋上に行く人が多い。
 なのでここに来る人はほとんどいない。

 今朝自分が握った歪なおにぎりを食べる。
 美味しくはなかった。塩を入れ過ぎたのか全体的に塩辛かった。でも食べる。
 冬華に渡さなくてよかった。
自分で作ったものだから、残すのは違う気がした。

 食べ終わって、ラップを丸めてゴミ箱に捨てた。

 よし、と思った。

 これでいい。自分で弁当を作った。冬華に頼らなかった。これがクールへの第一歩。そう思うしかないだろう。

 でも冬華に会いたい。

 ふらふらと屋上へ向かう。冬華の声が聞きたい。声さえ聞ければなんでもいい、だって近くに屋上への扉もあるんだから。

 そう思って屋上のドアを開けた。
 そこで嫌な光景を見た。
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