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兄と私の逃亡計画6
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目の前の竜の鱗は黒く光沢があり、まるで物語の竜王のようだった。
黒竜が【炎鳥】を同じ威力の【氷鳥】で打ち消した。
「いきなり飛び出すなよジル」
赤い髪の15歳くらいの少年が飛んできた。それを見た黒竜は【竜化】を解き、黒髪金眼の少年になった。
「すみません。あの子は俺らが相手にするんで、上層部の人らにこの事伝えといて貰っていいですか?」
赤髪の少年は申し訳なさそうな顔をして言った。
「分かりました。ご武運を」
俺達はあのお二人が強いことを知っている。
竜人の強さは髪色、もしくは鱗の色と輝き具合で分かる。そして貴族の大半は力の強い竜人であるため髪の色が明るく輝いている。
竜王国の王家は金竜。それを支えるのは銀竜、赤竜、青竜、緑竜、白竜を当主とする公爵家。
この6家以外にはこの色を持つ竜人は居ない。当主直系の者しか受け継がれない能力と色だからだ。一説には大半の竜人はこの6家から派生したといわれている。
そして彼らの強さは他の竜とは桁が違う。故に【始祖の竜人】と呼ばれる。
銀竜とエルフの強さを持つハーフに対抗するなら彼ら以外適任者は居ないだろう。
そうして俺達は本部へと向かった。
――――――――――――――――
目の前には穏やかな笑顔の美少女が立っている。見た目は5歳くらいだが、有り得ない程の魔力と気配を持っている。
ここ数年、各地の戦場で【天使】と呼ばれる甲冑を来た騎士がいることが話題となっている。甲冑によって顔も髪も全て隠されているのにも関わらず、その所作や声からその名が付けられた。
誰にも明かされなかった彼女の容姿は、この世のものとは思えないほど美しい。顔立ちはもちろん、彼女の心自身を現したような輝く銀髪、意思の強い紫の瞳、気配や所作全てが彼女を究極の美である事を思い知らせる。
「なぁジル…彼女が作戦…っておい」
ジルと呼ばれた少年は躊躇いもなく少女に近づいた。
「やっと会えた」
少年は蕩けるような笑顔で少女に話しかけた。
少女はその笑顔を見て一瞬驚いたような、泣きそうな表情を浮かべた。がまた最初の穏やかな笑顔いや、笑顔の仮面を被った。
「私達を助けて」
表情とは真逆の泣きそうな声が聞こえた途端、巨大な竜巻が少女を中心に吹き荒れた。
「グギャャャャャァァァァァァァァァ!!!!!!」
暴風が止んだそこには、陽の光を浴びキラキラと輝く美しい銀色の竜が、悲鳴のような叫びをあげ空から地上を見下ろした。
その瞳に光は無く、虚ろな目をした銀竜は地上に向け、極大魔法を放った。
「総員【絶対防御】!!魔力を出し惜しんでたら死ぬわよ!!」
「交戦している奴らは今すぐ止めて撤退しろ!戦場に居たら死ぬぞ!」
本部では後方支援のエルフ達によって戦場全体に【絶対防御】の結界を張り、指揮官は作戦の変更を伝えた。
ドガガガガガァンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
轟音と閃光をあげ、極大魔法を何とか凌いだ。
「はぁ…はぁ…すっごい威力ね…全力の…それも何人ものエルフがかけた【絶対防御】なのに不安定を覚えたわ…はぁ…はぁ」
そう言ってエルフの指揮官は魔力ポーションを煽った。
「あぁ…。ありゃ【始祖の竜人】の中でも桁外れの強さだな。」
この場にいる全ての生き物はその美しい銀色の竜を畏怖と尊敬の眼差しを向け、命の危機だという状態でもその美しさに目を奪われていた。
「分かった。今から君を解放するよ。」
そう言って少年は竜となり銀竜の元へ向かった。その瞳に愛情の色を写しながら。
黒竜が【炎鳥】を同じ威力の【氷鳥】で打ち消した。
「いきなり飛び出すなよジル」
赤い髪の15歳くらいの少年が飛んできた。それを見た黒竜は【竜化】を解き、黒髪金眼の少年になった。
「すみません。あの子は俺らが相手にするんで、上層部の人らにこの事伝えといて貰っていいですか?」
赤髪の少年は申し訳なさそうな顔をして言った。
「分かりました。ご武運を」
俺達はあのお二人が強いことを知っている。
竜人の強さは髪色、もしくは鱗の色と輝き具合で分かる。そして貴族の大半は力の強い竜人であるため髪の色が明るく輝いている。
竜王国の王家は金竜。それを支えるのは銀竜、赤竜、青竜、緑竜、白竜を当主とする公爵家。
この6家以外にはこの色を持つ竜人は居ない。当主直系の者しか受け継がれない能力と色だからだ。一説には大半の竜人はこの6家から派生したといわれている。
そして彼らの強さは他の竜とは桁が違う。故に【始祖の竜人】と呼ばれる。
銀竜とエルフの強さを持つハーフに対抗するなら彼ら以外適任者は居ないだろう。
そうして俺達は本部へと向かった。
――――――――――――――――
目の前には穏やかな笑顔の美少女が立っている。見た目は5歳くらいだが、有り得ない程の魔力と気配を持っている。
ここ数年、各地の戦場で【天使】と呼ばれる甲冑を来た騎士がいることが話題となっている。甲冑によって顔も髪も全て隠されているのにも関わらず、その所作や声からその名が付けられた。
誰にも明かされなかった彼女の容姿は、この世のものとは思えないほど美しい。顔立ちはもちろん、彼女の心自身を現したような輝く銀髪、意思の強い紫の瞳、気配や所作全てが彼女を究極の美である事を思い知らせる。
「なぁジル…彼女が作戦…っておい」
ジルと呼ばれた少年は躊躇いもなく少女に近づいた。
「やっと会えた」
少年は蕩けるような笑顔で少女に話しかけた。
少女はその笑顔を見て一瞬驚いたような、泣きそうな表情を浮かべた。がまた最初の穏やかな笑顔いや、笑顔の仮面を被った。
「私達を助けて」
表情とは真逆の泣きそうな声が聞こえた途端、巨大な竜巻が少女を中心に吹き荒れた。
「グギャャャャャァァァァァァァァァ!!!!!!」
暴風が止んだそこには、陽の光を浴びキラキラと輝く美しい銀色の竜が、悲鳴のような叫びをあげ空から地上を見下ろした。
その瞳に光は無く、虚ろな目をした銀竜は地上に向け、極大魔法を放った。
「総員【絶対防御】!!魔力を出し惜しんでたら死ぬわよ!!」
「交戦している奴らは今すぐ止めて撤退しろ!戦場に居たら死ぬぞ!」
本部では後方支援のエルフ達によって戦場全体に【絶対防御】の結界を張り、指揮官は作戦の変更を伝えた。
ドガガガガガァンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
轟音と閃光をあげ、極大魔法を何とか凌いだ。
「はぁ…はぁ…すっごい威力ね…全力の…それも何人ものエルフがかけた【絶対防御】なのに不安定を覚えたわ…はぁ…はぁ」
そう言ってエルフの指揮官は魔力ポーションを煽った。
「あぁ…。ありゃ【始祖の竜人】の中でも桁外れの強さだな。」
この場にいる全ての生き物はその美しい銀色の竜を畏怖と尊敬の眼差しを向け、命の危機だという状態でもその美しさに目を奪われていた。
「分かった。今から君を解放するよ。」
そう言って少年は竜となり銀竜の元へ向かった。その瞳に愛情の色を写しながら。
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