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第一章 無知な少女の成長記
魔物の王
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魔物は体が四散しないように細胞への魔力浸食を抑えるため体内に魔石を作っているわけです。自分の細胞に入る許容量以上の魔力を魔石として隔離・調節していたのです。ではそれが無くなればどうなるのでしょうか?
隔離していた魔石が無くなり新たに魔石を作ることが出来るようになると、細胞を浸食していたレッドラインぎりぎりの魔力も吸い取って新たな魔石を作り始めたのです。人間のように魔力を循環発散させるなんてしない魔物は、それにより急速に体内の魔力が循環し細胞が活性化。
つまり魔力浸食率100%になり魔人化したというわけです!
いやぁちょっと研究が面白くっていじりまくっていたらすっかり怯えられちゃいまして、話し合いの結果私と【主従契約】を結んでもらい皆に名前を贈ることにしました。
「ルル、ルクレツィア様、僕っ食べても美味しくないです!甲羅も苔まみれなのでお役に立てないと思いますっ」
このビクビクとした青年は甲羅だけで全長100メートルは裕に超す巨大な亀の魔物で名前を『ロータス』といいます。出会いは湿地帯で臆病なのか甲羅を叩き割らないと顔を出してくれなかった彼は、内気ですが花を愛する湿地帯の主です。
【人化】を覚え【翻訳】を習得させるのに苦労しました。短く切られた淡い緑の髪に芥子色の瞳の白皙の美青年です。本当は後ろも前も髪が長かったのですが、邪魔そうだったため他の子に任せたらこうなってました。ほっそりとした印象で180は超える身長がより一層細長く儚げな雰囲気を醸し出しています。
ロータスは水や土、植物の三属性を操ることに長け何気にハイスペックです。手先も器用で穏やかな性格?の彼は私と共に薬剤や染料、植物の育成に力を入れています。初めは面倒臭がった彼もちょっと甲羅を使ったお薬の話をすればやる気になってくれました。
「我が子のため…我が子のため…」
この私がまるで極悪人かのようなことを言っているお姉さんは土蜘蛛の魔物で、名前を『ルベラ』といいます。出会いは最悪で洞窟で私が彼女の罠にかかったことがきっかけで、当時お腹に子供がいた彼女を見逃した代わりに仲良くするようになりました。大きな黒い瞳にネオンピンクの美しい髪は肩まで伸び、かき分けた前髪と豊満な肉体が大人な女性であることを印象付けます。
私はまだ一度も彼女の子供を食べるなんてことしていないのに酷いです。彼女たち土蜘蛛の作る糸は丈夫で美しく、今はそれとワームのはく糸を研究し布を生産しているのです!私は魔力で何でも思い通り服が作れますが、今後は…初恋のあの人がどんな経済状況かもわからませんし将来お金を稼ぐためにも大切な研究なのです。
もちろん皆にはお給料もあげますし休みだって福祉だって充実していますよ?知識を与えデザインからお針子、布の研究や制作まで物理的に手が多いとやはり早く、蜘蛛の能力なのかて先が器用です。ただ魔物ゆえに洞窟の主でありプライドが高い彼女は下に着くことを嫌がり最初は反抗していましたが、少しお話をすると私を主と慕ってくれるようになりました。
「主!我と戦おうではないか!」
このアホな子は猿型の魔物で名前を『ラペーシュ』といいます。出会いは大きな桃の木の下…甘い匂いに誘われた私とそれを守っていた彼との戦いの末に自称私の下僕となってしまいました。戦闘狂というのかやたら私と戦いたがり「食っていいから戦おう」なんてことを言い始める始末です。彼のお陰で新技の練習が出来てよかったのですが、彼らの中で何故か私は負ければ自分たちを食材にする鬼だと思っている節があります。食材にしようとしたのだって数えるほどしかないのに失礼です!
ラペーシュは焦げ茶色の刈り上げた短髪に琥珀色の鋭い眼光の偉丈夫です。褐色の肌にある沢山の傷跡が彼の武勇を主張しその屈強な肉体を引き立てているようにも感じます。彼はここの森の大部分を占める森林の主でそれに勝ってしまったい、さらに子分にしてしまった私は差し詰め魔物の王ですねハハハッ…笑えねえです。
なので彼には私の日々の訓練の相手になってもらったり森の観光案内をしてもらっています。彼といると好戦的な魔物たちも寄ってこないので楽なのです。魔物は基本群れませんし強敵には近づかないのですが今は繁殖期で皆ピリピリしているそうで、縄張りに近づくものには誰であっても排除するのだそうです。私は自分が森の中を爆走し縄張りをいくつも荒らしまくったことを思い出し、頭を抱えたのは仕方がないと思います。
「主よ…妾の尾は健全な精神ゆえの美しさなのじゃ…だから毛皮にするのはやめてほしいのじゃ…」
一度毛皮にしたことが余程堪えたのでしょうね、このションボリ傷心中の氷狐の魔物は『ネージュ』といいます。初対面でいきなり丸のみにしようとしてきたのでお仕置に意識を保ったまま毛皮にしてやったのがトラウマなようで、普段は私に懐いてくれているのですが九つある尾の一つでもじっと見れば即座に震えてしまいます。なんでもストレスで毛並みが悪くなるそうで円形脱毛症になってしまったのは、彼女の名誉のため皆には内緒で治しておきました。
人化した状態でも彼女の背には九つの真っ白な尾を背負い、同じく真っ白の腰まで伸びた髪を姫カットにし、ツンとした赤い目の美少女さんです。プライドが山より高く海より広い彼女ですが、毛皮のことさえなければ一番私に懐いてくれています。ただ尾に触れないのが残念で仕方がないのでサラサラの頭を撫でて我慢します。キュウと目を細める仕草や手に頭を擦り付けてくる仕草が人化していても狐にみえたまらないのです。今私は17歳の成長した姿なので彼女はメンバーの中で唯一見た目は年下です。
彼女にはこの神殿の空調や整備などの管理をしてもらっています。
そうなのです。私はいま魔物の森を四つに支配していた四天王を倒し統合した新たな支配者となったわけです。つまり魔物の森の新たな王、魔物の王…魔王になったというわけです!三か月の森籠りは信じられないほど濃い日々でした。
魔物は高位になる程知能が高く魔人化していてここにいる四天王はあと一歩及ばないという状況でした。そのため最初は私に攻撃的でしたが今では可愛い私のペットであり仕事仲間です。そんな彼らを人化させ仕事を教えたりなんやらしているとこれが孤独な日々には楽しくて仕方がなく、縄張りから連行…誘拐…んー来てもらった彼らと人化できるまでみんなと暮らせる家を作ったというわけです。みんなの縄張りの中間地点ともいえる場所に作った家…というより神殿は前世建築を学んでいた知識を使い私が魔法で作った傑作です!
皆で自給自足をしながらの生活は森に着た頃には想像もつかないほど充実した日々だと思います。みんな私を鬼だなんだと言いまくっていますが、正直彼らの目は強者への畏怖や尊敬はあれど怯えてはいないので口癖のようなものだと思っています。
師匠やクロエ母様たちにいい土産話が出来そうです!
ーーーーーーーーーー
ロータスは『蓮』という意味で、出会った場所に咲いていたからです。
ルベラは『ルベライト』という宝石の名前でそれを彼女が洞窟で集めていたことに由来します。
ラペーシュは『桃』という意味で出会ったきっかけが彼が守っていた桃の木に由来します。
ネージュは『雪』という意味で雪に埋もれ隠れ襲ってきた彼女にピッタリだと付けた名前です。
神殿はヨルダンの『ペトラ遺跡』をイメージしています。
次回 弱肉強食
隔離していた魔石が無くなり新たに魔石を作ることが出来るようになると、細胞を浸食していたレッドラインぎりぎりの魔力も吸い取って新たな魔石を作り始めたのです。人間のように魔力を循環発散させるなんてしない魔物は、それにより急速に体内の魔力が循環し細胞が活性化。
つまり魔力浸食率100%になり魔人化したというわけです!
いやぁちょっと研究が面白くっていじりまくっていたらすっかり怯えられちゃいまして、話し合いの結果私と【主従契約】を結んでもらい皆に名前を贈ることにしました。
「ルル、ルクレツィア様、僕っ食べても美味しくないです!甲羅も苔まみれなのでお役に立てないと思いますっ」
このビクビクとした青年は甲羅だけで全長100メートルは裕に超す巨大な亀の魔物で名前を『ロータス』といいます。出会いは湿地帯で臆病なのか甲羅を叩き割らないと顔を出してくれなかった彼は、内気ですが花を愛する湿地帯の主です。
【人化】を覚え【翻訳】を習得させるのに苦労しました。短く切られた淡い緑の髪に芥子色の瞳の白皙の美青年です。本当は後ろも前も髪が長かったのですが、邪魔そうだったため他の子に任せたらこうなってました。ほっそりとした印象で180は超える身長がより一層細長く儚げな雰囲気を醸し出しています。
ロータスは水や土、植物の三属性を操ることに長け何気にハイスペックです。手先も器用で穏やかな性格?の彼は私と共に薬剤や染料、植物の育成に力を入れています。初めは面倒臭がった彼もちょっと甲羅を使ったお薬の話をすればやる気になってくれました。
「我が子のため…我が子のため…」
この私がまるで極悪人かのようなことを言っているお姉さんは土蜘蛛の魔物で、名前を『ルベラ』といいます。出会いは最悪で洞窟で私が彼女の罠にかかったことがきっかけで、当時お腹に子供がいた彼女を見逃した代わりに仲良くするようになりました。大きな黒い瞳にネオンピンクの美しい髪は肩まで伸び、かき分けた前髪と豊満な肉体が大人な女性であることを印象付けます。
私はまだ一度も彼女の子供を食べるなんてことしていないのに酷いです。彼女たち土蜘蛛の作る糸は丈夫で美しく、今はそれとワームのはく糸を研究し布を生産しているのです!私は魔力で何でも思い通り服が作れますが、今後は…初恋のあの人がどんな経済状況かもわからませんし将来お金を稼ぐためにも大切な研究なのです。
もちろん皆にはお給料もあげますし休みだって福祉だって充実していますよ?知識を与えデザインからお針子、布の研究や制作まで物理的に手が多いとやはり早く、蜘蛛の能力なのかて先が器用です。ただ魔物ゆえに洞窟の主でありプライドが高い彼女は下に着くことを嫌がり最初は反抗していましたが、少しお話をすると私を主と慕ってくれるようになりました。
「主!我と戦おうではないか!」
このアホな子は猿型の魔物で名前を『ラペーシュ』といいます。出会いは大きな桃の木の下…甘い匂いに誘われた私とそれを守っていた彼との戦いの末に自称私の下僕となってしまいました。戦闘狂というのかやたら私と戦いたがり「食っていいから戦おう」なんてことを言い始める始末です。彼のお陰で新技の練習が出来てよかったのですが、彼らの中で何故か私は負ければ自分たちを食材にする鬼だと思っている節があります。食材にしようとしたのだって数えるほどしかないのに失礼です!
ラペーシュは焦げ茶色の刈り上げた短髪に琥珀色の鋭い眼光の偉丈夫です。褐色の肌にある沢山の傷跡が彼の武勇を主張しその屈強な肉体を引き立てているようにも感じます。彼はここの森の大部分を占める森林の主でそれに勝ってしまったい、さらに子分にしてしまった私は差し詰め魔物の王ですねハハハッ…笑えねえです。
なので彼には私の日々の訓練の相手になってもらったり森の観光案内をしてもらっています。彼といると好戦的な魔物たちも寄ってこないので楽なのです。魔物は基本群れませんし強敵には近づかないのですが今は繁殖期で皆ピリピリしているそうで、縄張りに近づくものには誰であっても排除するのだそうです。私は自分が森の中を爆走し縄張りをいくつも荒らしまくったことを思い出し、頭を抱えたのは仕方がないと思います。
「主よ…妾の尾は健全な精神ゆえの美しさなのじゃ…だから毛皮にするのはやめてほしいのじゃ…」
一度毛皮にしたことが余程堪えたのでしょうね、このションボリ傷心中の氷狐の魔物は『ネージュ』といいます。初対面でいきなり丸のみにしようとしてきたのでお仕置に意識を保ったまま毛皮にしてやったのがトラウマなようで、普段は私に懐いてくれているのですが九つある尾の一つでもじっと見れば即座に震えてしまいます。なんでもストレスで毛並みが悪くなるそうで円形脱毛症になってしまったのは、彼女の名誉のため皆には内緒で治しておきました。
人化した状態でも彼女の背には九つの真っ白な尾を背負い、同じく真っ白の腰まで伸びた髪を姫カットにし、ツンとした赤い目の美少女さんです。プライドが山より高く海より広い彼女ですが、毛皮のことさえなければ一番私に懐いてくれています。ただ尾に触れないのが残念で仕方がないのでサラサラの頭を撫でて我慢します。キュウと目を細める仕草や手に頭を擦り付けてくる仕草が人化していても狐にみえたまらないのです。今私は17歳の成長した姿なので彼女はメンバーの中で唯一見た目は年下です。
彼女にはこの神殿の空調や整備などの管理をしてもらっています。
そうなのです。私はいま魔物の森を四つに支配していた四天王を倒し統合した新たな支配者となったわけです。つまり魔物の森の新たな王、魔物の王…魔王になったというわけです!三か月の森籠りは信じられないほど濃い日々でした。
魔物は高位になる程知能が高く魔人化していてここにいる四天王はあと一歩及ばないという状況でした。そのため最初は私に攻撃的でしたが今では可愛い私のペットであり仕事仲間です。そんな彼らを人化させ仕事を教えたりなんやらしているとこれが孤独な日々には楽しくて仕方がなく、縄張りから連行…誘拐…んー来てもらった彼らと人化できるまでみんなと暮らせる家を作ったというわけです。みんなの縄張りの中間地点ともいえる場所に作った家…というより神殿は前世建築を学んでいた知識を使い私が魔法で作った傑作です!
皆で自給自足をしながらの生活は森に着た頃には想像もつかないほど充実した日々だと思います。みんな私を鬼だなんだと言いまくっていますが、正直彼らの目は強者への畏怖や尊敬はあれど怯えてはいないので口癖のようなものだと思っています。
師匠やクロエ母様たちにいい土産話が出来そうです!
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ロータスは『蓮』という意味で、出会った場所に咲いていたからです。
ルベラは『ルベライト』という宝石の名前でそれを彼女が洞窟で集めていたことに由来します。
ラペーシュは『桃』という意味で出会ったきっかけが彼が守っていた桃の木に由来します。
ネージュは『雪』という意味で雪に埋もれ隠れ襲ってきた彼女にピッタリだと付けた名前です。
神殿はヨルダンの『ペトラ遺跡』をイメージしています。
次回 弱肉強食
応援ありがとうございます!
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