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第3章 帝国学園 2年生編
第83話-2 追い詰められた
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急に改まって、何を言うつもりだ。
ドキンとした。
『キター!!! まさか、シュールレアちゃんから言ってくるなんて!』
婚約の話なら、すぐにOKしてしまおう。
『公爵家の嫡男だったら、婚約話は遅いくらいだもんな。シュールレアちゃんなら美少女だし、実家は大金持ち。家格も公爵クラス。性格も真面目でオレのことを立ててくれるし。言うことナシ』
そう考えながらも、精一杯見栄を張って顔に出さないようにするガイウスだ。
「いったい、なんでしょう?」
静かに紅茶の香気を楽しみながら、涼しい顔を演じる。
「こうして個人的にお会いする時間は、今回を最後にさせていただきたく存じます」
「んっ(あちっ!)」
まだ熱湯レベルの紅茶をガブリと飲み込んでしまった。辛うじて「貴族のプライド」が働いたが、確実に食道まで火傷をしている。
「あの、今回が最後、ですか? 理由を伺っても?」
「私もそろそろ婚約者を決めなくてはなりませんので。誤解を招かないようにです」
「それなら、私とではいかがですか?」
暴走だとは思ったが、今まで自分が申し込まなくて怒らせたのかと、慌てて婚約申し込みをするガイウスである。
「ガイウス様のお力は存じておりますわ。私も心に秘めるモノはございます。けれども我が家としては兄が家を背負う以上、私は適切な婚家に嫁入りする必要があるのでございます」
「そ、それなら、なおさら。オレが公爵家の嫡男であることはご存知でしたよね?」
「あら?」
小首をかしげるシュールレアは「まさかご存じないのですか? ガイウス様が、私を口先だけで騙すような方だとは思っておりませんが」と驚きの表情を見せる。
「だ、騙してなんかない! オレはメディチ家の嫡男として認められているんだ」
「えぇ。今のところは」
シュールレアの表情は哀しげ、いや、憐れみを浮かべている。
「どういうこと?」
「本当にご存知ありませんこと? だとしたら、私は余計な差し出口を、すみません。お忘れください」
「ちょ、ちょ、ちょ! そこまで言っておいて。なぁ、教えてくれよ、何を知っているんだ」
ガイウスは思わず貴族口調を崩してしまう。いや、さっきから一人称が「オレ」である。それほど焦っていた。自分の知らない、何か大事なことを辺境伯家では掴んでいるに違いない。
そこから「お忘れください」と「頼む、教えて」を十数回繰り返した後で、そこまで仰るならとシュールレアはポツリポツリと話し始めたのだ。
かいつまんで言えば、メディチ家当主が分家筋、あるいはなんらかの関係のある家にまで声をかけて「男子の品定め」を始めたということ。そして「現在の嫡男は諦めた」と言う言葉をあちこちで漏らしているということ。
あくまでも「ウワサで」「その筋からの」という言葉をたびたび重ねつつ、シュールレアは「メディチ家当主は、嫡男を交代させようとしている」という話を信じさせたのだ。
しかも「当主教育が最近楽になった」「婚約話が一切ない不思議」「当主があっちこちの家に何かを話しに行っている」ということはガイウス自身が感じていることだ。
全て、交代すべき嫡男を選んでいる最中だと思えば、頷けることばかりだった。
ドキンとした。
『キター!!! まさか、シュールレアちゃんから言ってくるなんて!』
婚約の話なら、すぐにOKしてしまおう。
『公爵家の嫡男だったら、婚約話は遅いくらいだもんな。シュールレアちゃんなら美少女だし、実家は大金持ち。家格も公爵クラス。性格も真面目でオレのことを立ててくれるし。言うことナシ』
そう考えながらも、精一杯見栄を張って顔に出さないようにするガイウスだ。
「いったい、なんでしょう?」
静かに紅茶の香気を楽しみながら、涼しい顔を演じる。
「こうして個人的にお会いする時間は、今回を最後にさせていただきたく存じます」
「んっ(あちっ!)」
まだ熱湯レベルの紅茶をガブリと飲み込んでしまった。辛うじて「貴族のプライド」が働いたが、確実に食道まで火傷をしている。
「あの、今回が最後、ですか? 理由を伺っても?」
「私もそろそろ婚約者を決めなくてはなりませんので。誤解を招かないようにです」
「それなら、私とではいかがですか?」
暴走だとは思ったが、今まで自分が申し込まなくて怒らせたのかと、慌てて婚約申し込みをするガイウスである。
「ガイウス様のお力は存じておりますわ。私も心に秘めるモノはございます。けれども我が家としては兄が家を背負う以上、私は適切な婚家に嫁入りする必要があるのでございます」
「そ、それなら、なおさら。オレが公爵家の嫡男であることはご存知でしたよね?」
「あら?」
小首をかしげるシュールレアは「まさかご存じないのですか? ガイウス様が、私を口先だけで騙すような方だとは思っておりませんが」と驚きの表情を見せる。
「だ、騙してなんかない! オレはメディチ家の嫡男として認められているんだ」
「えぇ。今のところは」
シュールレアの表情は哀しげ、いや、憐れみを浮かべている。
「どういうこと?」
「本当にご存知ありませんこと? だとしたら、私は余計な差し出口を、すみません。お忘れください」
「ちょ、ちょ、ちょ! そこまで言っておいて。なぁ、教えてくれよ、何を知っているんだ」
ガイウスは思わず貴族口調を崩してしまう。いや、さっきから一人称が「オレ」である。それほど焦っていた。自分の知らない、何か大事なことを辺境伯家では掴んでいるに違いない。
そこから「お忘れください」と「頼む、教えて」を十数回繰り返した後で、そこまで仰るならとシュールレアはポツリポツリと話し始めたのだ。
かいつまんで言えば、メディチ家当主が分家筋、あるいはなんらかの関係のある家にまで声をかけて「男子の品定め」を始めたということ。そして「現在の嫡男は諦めた」と言う言葉をあちこちで漏らしているということ。
あくまでも「ウワサで」「その筋からの」という言葉をたびたび重ねつつ、シュールレアは「メディチ家当主は、嫡男を交代させようとしている」という話を信じさせたのだ。
しかも「当主教育が最近楽になった」「婚約話が一切ない不思議」「当主があっちこちの家に何かを話しに行っている」ということはガイウス自身が感じていることだ。
全て、交代すべき嫡男を選んでいる最中だと思えば、頷けることばかりだった。
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