辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

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第22話 始まりの終わり 4【R-18】

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 仕掛けは上々だぜとうそぶく健の胸にチクリとした痛みが起きる。

『前に部屋にあったゴム。あれを使ってるのか?』

 いつか天音の部屋で見たゴムを思い出していた。状況から見て、あれは自分のために用意されたものだったはずだ。それを使ったのだろうか? 先を越された、という悔しさで胸の奥がググッと重くなる。

『ふん。その分だけヤツは幸せの絶頂ってわけだ』

 もともと、天音に「早くになっちゃえば?」と焚きつけたのは自分だ。その後で寝取った方が傷が深くなるとの判断からだ。結びつきが深ければ深くなるほど、奪われた後の傷は深くなるはずだ。

 合宿の夜、たった1回だが、セックスすることに成功した。その時、痛がるどころか、声を抑えるのに必死に見えたということは、相当に「仕込まれてる」としか思えなかった。

 大竹と天音がセックスしまくっているという現実。

『天音のバージンか。ヤツにはもったいなかったけどな』

 天音を「幼なじみという名のコマの一つ」としか思っていなかったはずが、結果として意外とダメージがあったことは認めざるを得ない。

 しかし、合宿の夜に「裏の彼氏」を認めさせたのは大きかった。

『ゴム越しだったけど、ヤツの彼女になった天音の中で出してやったんだ。しかも、天音のオマンコも、ケツの穴も、全部、オレも見てるし、イジりまくってイカせたんだ。お前がイカせた数よりも多くな』

 今も、言葉では拒否しているのは事実だ。しかし、二人がセックスしたのも、また事実だし、なんだったら、裸の写真もたっぷりと撮っている。

 泣いて嫌がっても「嫌なら、入れるぞ」と脅せば、最後は顔の映らないポーズなら、結局、どんな写真も応じている。

「これはこれでアリだな」

 満足しつつも、一面の悔しさがあるのは事実だ。

『あの身体をヤツが味わったのかよ』

 考えると胸の奥がチリチリと焼けるようだ。

「なぁに。幼なじみが寝取られただけでもダメージがあるんだ。彼女が寝取られたら、その比じゃないってことだろ。それにオレは寝取り返す立場なわけだしな」

 憎き仇は自分の唯一の理解者である「彼女」が寝取られたと知って、どれだけ絶望するか。

 考えただけでもニヤリとしてしまう。

『バージンはやったんだ。美味しい思いをしてんだろ? その分、たっぷりと地獄に落としてやるからな』

 上げて落とす。

『天音の身体に刻まれたの記憶を、オレのセックスで上書きしてやる。それで、大事な彼女は二度とお前を見なくなるわけだ』

 そのためにとは言わないが、陽キャの健は中学時代から、それなりに経験を積んでいる。頭の中の天音は「健の方がすごい。瞬なんか比べものにならないわ」と蕩けた顔で言っている。

 そんな言葉を録音してヤツに聞かせたらどうなる?

 どん底に落とされたヤツの顔が今から楽しみだ。

 黒い悦楽が頭に湧いた。

 どす黒い笑みを浮かべる健は、ふと現実に戻って何かを見つけた。

「あれ? オジさん?」

 駅からの細い道。

 背の高い中年の男に見覚えがある。街灯に隠れるようにしているせいで、かえって目立っていた。

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