死んでる場合じゃない 〜小学生とエリートスパイとの奇妙な共同作戦〜

ぱるゆう

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白虎の秘密

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「はい、春夏冬さん」と青龍は言った。

「別の意識があることを除いて、気持ち悪かったり、痛かったりする部分はありますか?」

青龍は少し身体を動かした。
「特にありません。身体も自由に動かせます」

「分かりました。白虎さんに代わってもらえますか?」

青龍は目を閉じた。再び目を開くと、少し目の形が変わったように、春夏冬は感じだ。

「真理子!とんでもないことをしてれたな!」と真理子を睨みつけた。

「私は、正直、どっちでも良くなったわ。青龍くんだっけ?あの子を私を裏切らない私好みに育てるのもありかなって思ってる」と楽しそうに白虎を見つめた。

「はぁ~、なんて女だ」と白虎は頭を振った。

「お前は下半身で選ぶのか?」

「だって、何時間も脳をイジられたのよ。それなのに音を上げないって、相当根性が座ってるわよ。春夏冬、本当に、この子、自殺しようとしてたの?」

「えぇ、口ではそうおっしゃっていました」

「理由は聞いた?」

「えぇ、世の中がつまらない、とおっしゃっていました」

「フフフッ、面白い子じゃないの」

「あっ!お・・・い!今は・・・」白虎が頭を抱えた。

「青龍さん、落ち着いてください。後でちゃんと話は聞きますから」慌てて春夏冬は言った。

「はぁはぁはぁ、変な話をするな!」と白虎は怒った口調で言った。

真理子はつまらなそうな顔をして、目を逸らせた。

「改めて、白虎さん、身体は自由に動かせますか?」と春夏冬は言った。

白虎は立ち上がって、身体を軽く動かした。
「あぁ、少し反応が鈍いが、筋肉の問題だと思う。普通に生活する分には問題ない」

「ありがとうございます」と言って、春夏冬は床田の方を向いた。

「完全に2人が一つの身体を共有していると思われますが」

「おっしゃる通りのようですね。目と耳から、2人とも同じ情報を得ているのは間違いないようです。では、白虎さん」と床田は白虎の方を向いた。

「記憶はどうですか?」

白虎は目をつぶった。
しばらくして、
「子供の頃の記憶もある。欠落しているようなことはないと思う」

「分かりました。青龍くんに代わってもらえますか?」と床田は言った。

白虎は目をつぶった。
そして、目を開き、
「春夏冬さん!そういう言い方はしてませんよ!」と青龍は大きな声で言った。

「あら?そうでしたか?申し訳ありません。そのように聞こえたものですから」

「僕は自分が社会に適合できないから、それが続くのが苦痛だと言ったんです」

「あぁ、そうでしたね。改めて謝罪します」と春夏冬は頭を下げた。

「いや、そんなに謝られても・・・」

「ちゃんと聞こえてるってことでいいかな?」と床田が言った。

「えっ!あぁ、はい。意識しなくても、聞こえてます」

「青龍くんにも同じことを聞く。記憶はどうだい?」

青龍は目を閉じた。そして、
「前と同じだと思います」

「それは君の記憶で間違いないかい?」

「えっ!えぇ、普通に幼稚園とか小学校、親と出かけた記憶とか、本で読んだ内容とか、そんなものですけど」

「戦争の記憶はあるかい?」床田は変わらず落ち着いた声で言った。

「戦争!」青龍は目を見開いた。

「どうして、そんな記憶が?前世のことを言ってるんですか?」

「あぁっ、難しいことを知ってるんだね」と床田は微笑んだ。

「本で読みました。たまに前世の記憶が残ったまま産まれる子供がいると」

「あぁ、まだ科学的に解明されてないがね。でも、今は違うんだ。
白虎さん、この子も危険にさらされる可能性がある。だから、話しておくべきだと僕は思うんだ。だから、落ち着いていて欲しい」

「えっ、白虎さんって、戦争やってたんですか?」僕は驚いた。

「あぁ、彼は望まない戦争をやらされていた。それも君よりずっと小さい頃からだ」

「えっ!白虎さんって日本人じゃ?」

「彼は日本人だ。ただ親の仕事である国に住んでいた。ある日、違う国から来た連中に誘拐された。もちろん日本政府からの身代金目当てだ。
残念ながら悪質な連中で、端から生かして帰すつもりはなかった。親は殺され、幼かった白虎さんは兵士となることを強要された」

青龍は床田さんの目をじっと見た。体の中が熱くなってくるのを感じたが、それは僕のせいで、白虎さんは大人しくしているようだ。

「彼は生きるために、生き残るために、戦争をした。そして、優秀な兵士となった彼は、新たな役目を与えられた」

「新たな役目・・・」

「欧米諸国へ行き、政治的情報、最新技術の情報を盗み、その組織に知らせること」

「それって、スパイ!」青龍の興奮は最高潮となった。小説や映画のだけだと思っていた世界。

「そうだ」

「でも、何で逃げなかったの?亡命とか?」

「幼い頃に植え付けられた恐怖は、そう簡単に消せるものではないんだよ」

「そうなんですね・・・」興奮していたことが恥ずかしくなった。そんな辛い目にあったのに。

床田は話を続けた。
「でも、幸いなことにアメリカがその組織を壊滅させた。自分への危害がなくなって、初めて白虎さんは本当の自分を取り戻した。そして、日本大使館に名乗り出て、日本に戻ってくることができたんだ」

「あぁ!良かった」青龍はホッとした。まるで小説がハッピーエンドに終わったかのように。

ちょっと待て。僕に危害が及ぶって言ってなかったか?
「床田さん、僕にどんな危険が?」

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