7 / 23
白虎の秘密
しおりを挟む
「はい、春夏冬さん」と青龍は言った。
「別の意識があることを除いて、気持ち悪かったり、痛かったりする部分はありますか?」
青龍は少し身体を動かした。
「特にありません。身体も自由に動かせます」
「分かりました。白虎さんに代わってもらえますか?」
青龍は目を閉じた。再び目を開くと、少し目の形が変わったように、春夏冬は感じだ。
「真理子!とんでもないことをしてれたな!」と真理子を睨みつけた。
「私は、正直、どっちでも良くなったわ。青龍くんだっけ?あの子を私を裏切らない私好みに育てるのもありかなって思ってる」と楽しそうに白虎を見つめた。
「はぁ~、なんて女だ」と白虎は頭を振った。
「お前は下半身で選ぶのか?」
「だって、何時間も脳をイジられたのよ。それなのに音を上げないって、相当根性が座ってるわよ。春夏冬、本当に、この子、自殺しようとしてたの?」
「えぇ、口ではそうおっしゃっていました」
「理由は聞いた?」
「えぇ、世の中がつまらない、とおっしゃっていました」
「フフフッ、面白い子じゃないの」
「あっ!お・・・い!今は・・・」白虎が頭を抱えた。
「青龍さん、落ち着いてください。後でちゃんと話は聞きますから」慌てて春夏冬は言った。
「はぁはぁはぁ、変な話をするな!」と白虎は怒った口調で言った。
真理子はつまらなそうな顔をして、目を逸らせた。
「改めて、白虎さん、身体は自由に動かせますか?」と春夏冬は言った。
白虎は立ち上がって、身体を軽く動かした。
「あぁ、少し反応が鈍いが、筋肉の問題だと思う。普通に生活する分には問題ない」
「ありがとうございます」と言って、春夏冬は床田の方を向いた。
「完全に2人が一つの身体を共有していると思われますが」
「おっしゃる通りのようですね。目と耳から、2人とも同じ情報を得ているのは間違いないようです。では、白虎さん」と床田は白虎の方を向いた。
「記憶はどうですか?」
白虎は目をつぶった。
しばらくして、
「子供の頃の記憶もある。欠落しているようなことはないと思う」
「分かりました。青龍くんに代わってもらえますか?」と床田は言った。
白虎は目をつぶった。
そして、目を開き、
「春夏冬さん!そういう言い方はしてませんよ!」と青龍は大きな声で言った。
「あら?そうでしたか?申し訳ありません。そのように聞こえたものですから」
「僕は自分が社会に適合できないから、それが続くのが苦痛だと言ったんです」
「あぁ、そうでしたね。改めて謝罪します」と春夏冬は頭を下げた。
「いや、そんなに謝られても・・・」
「ちゃんと聞こえてるってことでいいかな?」と床田が言った。
「えっ!あぁ、はい。意識しなくても、聞こえてます」
「青龍くんにも同じことを聞く。記憶はどうだい?」
青龍は目を閉じた。そして、
「前と同じだと思います」
「それは君の記憶で間違いないかい?」
「えっ!えぇ、普通に幼稚園とか小学校、親と出かけた記憶とか、本で読んだ内容とか、そんなものですけど」
「戦争の記憶はあるかい?」床田は変わらず落ち着いた声で言った。
「戦争!」青龍は目を見開いた。
「どうして、そんな記憶が?前世のことを言ってるんですか?」
「あぁっ、難しいことを知ってるんだね」と床田は微笑んだ。
「本で読みました。たまに前世の記憶が残ったまま産まれる子供がいると」
「あぁ、まだ科学的に解明されてないがね。でも、今は違うんだ。
白虎さん、この子も危険にさらされる可能性がある。だから、話しておくべきだと僕は思うんだ。だから、落ち着いていて欲しい」
「えっ、白虎さんって、戦争やってたんですか?」僕は驚いた。
「あぁ、彼は望まない戦争をやらされていた。それも君よりずっと小さい頃からだ」
「えっ!白虎さんって日本人じゃ?」
「彼は日本人だ。ただ親の仕事である国に住んでいた。ある日、違う国から来た連中に誘拐された。もちろん日本政府からの身代金目当てだ。
残念ながら悪質な連中で、端から生かして帰すつもりはなかった。親は殺され、幼かった白虎さんは兵士となることを強要された」
青龍は床田さんの目をじっと見た。体の中が熱くなってくるのを感じたが、それは僕のせいで、白虎さんは大人しくしているようだ。
「彼は生きるために、生き残るために、戦争をした。そして、優秀な兵士となった彼は、新たな役目を与えられた」
「新たな役目・・・」
「欧米諸国へ行き、政治的情報、最新技術の情報を盗み、その組織に知らせること」
「それって、スパイ!」青龍の興奮は最高潮となった。小説や映画のだけだと思っていた世界。
「そうだ」
「でも、何で逃げなかったの?亡命とか?」
「幼い頃に植え付けられた恐怖は、そう簡単に消せるものではないんだよ」
「そうなんですね・・・」興奮していたことが恥ずかしくなった。そんな辛い目にあったのに。
床田は話を続けた。
「でも、幸いなことにアメリカがその組織を壊滅させた。自分への危害がなくなって、初めて白虎さんは本当の自分を取り戻した。そして、日本大使館に名乗り出て、日本に戻ってくることができたんだ」
「あぁ!良かった」青龍はホッとした。まるで小説がハッピーエンドに終わったかのように。
ちょっと待て。僕に危害が及ぶって言ってなかったか?
「床田さん、僕にどんな危険が?」
「別の意識があることを除いて、気持ち悪かったり、痛かったりする部分はありますか?」
青龍は少し身体を動かした。
「特にありません。身体も自由に動かせます」
「分かりました。白虎さんに代わってもらえますか?」
青龍は目を閉じた。再び目を開くと、少し目の形が変わったように、春夏冬は感じだ。
「真理子!とんでもないことをしてれたな!」と真理子を睨みつけた。
「私は、正直、どっちでも良くなったわ。青龍くんだっけ?あの子を私を裏切らない私好みに育てるのもありかなって思ってる」と楽しそうに白虎を見つめた。
「はぁ~、なんて女だ」と白虎は頭を振った。
「お前は下半身で選ぶのか?」
「だって、何時間も脳をイジられたのよ。それなのに音を上げないって、相当根性が座ってるわよ。春夏冬、本当に、この子、自殺しようとしてたの?」
「えぇ、口ではそうおっしゃっていました」
「理由は聞いた?」
「えぇ、世の中がつまらない、とおっしゃっていました」
「フフフッ、面白い子じゃないの」
「あっ!お・・・い!今は・・・」白虎が頭を抱えた。
「青龍さん、落ち着いてください。後でちゃんと話は聞きますから」慌てて春夏冬は言った。
「はぁはぁはぁ、変な話をするな!」と白虎は怒った口調で言った。
真理子はつまらなそうな顔をして、目を逸らせた。
「改めて、白虎さん、身体は自由に動かせますか?」と春夏冬は言った。
白虎は立ち上がって、身体を軽く動かした。
「あぁ、少し反応が鈍いが、筋肉の問題だと思う。普通に生活する分には問題ない」
「ありがとうございます」と言って、春夏冬は床田の方を向いた。
「完全に2人が一つの身体を共有していると思われますが」
「おっしゃる通りのようですね。目と耳から、2人とも同じ情報を得ているのは間違いないようです。では、白虎さん」と床田は白虎の方を向いた。
「記憶はどうですか?」
白虎は目をつぶった。
しばらくして、
「子供の頃の記憶もある。欠落しているようなことはないと思う」
「分かりました。青龍くんに代わってもらえますか?」と床田は言った。
白虎は目をつぶった。
そして、目を開き、
「春夏冬さん!そういう言い方はしてませんよ!」と青龍は大きな声で言った。
「あら?そうでしたか?申し訳ありません。そのように聞こえたものですから」
「僕は自分が社会に適合できないから、それが続くのが苦痛だと言ったんです」
「あぁ、そうでしたね。改めて謝罪します」と春夏冬は頭を下げた。
「いや、そんなに謝られても・・・」
「ちゃんと聞こえてるってことでいいかな?」と床田が言った。
「えっ!あぁ、はい。意識しなくても、聞こえてます」
「青龍くんにも同じことを聞く。記憶はどうだい?」
青龍は目を閉じた。そして、
「前と同じだと思います」
「それは君の記憶で間違いないかい?」
「えっ!えぇ、普通に幼稚園とか小学校、親と出かけた記憶とか、本で読んだ内容とか、そんなものですけど」
「戦争の記憶はあるかい?」床田は変わらず落ち着いた声で言った。
「戦争!」青龍は目を見開いた。
「どうして、そんな記憶が?前世のことを言ってるんですか?」
「あぁっ、難しいことを知ってるんだね」と床田は微笑んだ。
「本で読みました。たまに前世の記憶が残ったまま産まれる子供がいると」
「あぁ、まだ科学的に解明されてないがね。でも、今は違うんだ。
白虎さん、この子も危険にさらされる可能性がある。だから、話しておくべきだと僕は思うんだ。だから、落ち着いていて欲しい」
「えっ、白虎さんって、戦争やってたんですか?」僕は驚いた。
「あぁ、彼は望まない戦争をやらされていた。それも君よりずっと小さい頃からだ」
「えっ!白虎さんって日本人じゃ?」
「彼は日本人だ。ただ親の仕事である国に住んでいた。ある日、違う国から来た連中に誘拐された。もちろん日本政府からの身代金目当てだ。
残念ながら悪質な連中で、端から生かして帰すつもりはなかった。親は殺され、幼かった白虎さんは兵士となることを強要された」
青龍は床田さんの目をじっと見た。体の中が熱くなってくるのを感じたが、それは僕のせいで、白虎さんは大人しくしているようだ。
「彼は生きるために、生き残るために、戦争をした。そして、優秀な兵士となった彼は、新たな役目を与えられた」
「新たな役目・・・」
「欧米諸国へ行き、政治的情報、最新技術の情報を盗み、その組織に知らせること」
「それって、スパイ!」青龍の興奮は最高潮となった。小説や映画のだけだと思っていた世界。
「そうだ」
「でも、何で逃げなかったの?亡命とか?」
「幼い頃に植え付けられた恐怖は、そう簡単に消せるものではないんだよ」
「そうなんですね・・・」興奮していたことが恥ずかしくなった。そんな辛い目にあったのに。
床田は話を続けた。
「でも、幸いなことにアメリカがその組織を壊滅させた。自分への危害がなくなって、初めて白虎さんは本当の自分を取り戻した。そして、日本大使館に名乗り出て、日本に戻ってくることができたんだ」
「あぁ!良かった」青龍はホッとした。まるで小説がハッピーエンドに終わったかのように。
ちょっと待て。僕に危害が及ぶって言ってなかったか?
「床田さん、僕にどんな危険が?」
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる