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学校
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月曜日になった。
朝早く起きてジョギングを済ませ、朝食を食べ家を出た。
『青龍、歩いてる時も意識するんだ』
あっ!いつも通り猫背になっていたらしい。僕は顔を上げた。
一ヶ月前は、桜でピンク色だった樹も葉が生い茂って緑色になっていた。
『白虎、一応言っとくけど、クラスでは僕はいないことになってるんだ』
『それってあれか?世の中がつまらないってやつか?』
『違うよ。僕が適合してないんだ』
『まぁ、分かった』と言って、白虎は何も言わなくなった。
いつも通り、誰とも話さずに学校に入り、席に着いて、図書館で借りてきた本を読み始めた。
そして、チャイムが鳴り、先生が入ってきた。
「はい、ホームルームを始めます」と先生が言った。
『あっ!』と白虎が頭の中で言って、
『めちゃくちゃ若くて美人じゃないか!』と嬉しそうな声で続けた。
僕の席はもちろん一番前、しかも、教壇の真ん前だ。でも、逆に一番の死角であると僕は思っている。先生も真ん前の僕を見るよりも、奥や両端を見る機会が多いはずだ。
美杉詩織先生は、確か27歳だ。確かに僕から見てもかなりの美人で、他のクラスからは羨ましがられている。
『何言ってるんだよ』
『いいなぁ、こんな先生に教えてもらってるなんて』
『そんなこと言ってるから、真理子さんに怒られるんだよ』
『なんだ、聞いてたのか?』
『もちろん』
『そう言えば白虎って、何歳なの?』
『生きてれば、今年で31だ』
『えっ!真理子さんと、そんなに離れてるの?』
『真理子はしょうがないだろ。俺が目をつけられたんだから』
『確かに』
「・・・・くん、星野くん・・・」
『おい!呼ばれてるぞ』
『えっ!』と僕は慌てて顔を上げた。
「星野くん、日直だからね」先生が僕を見ていた。
「あっ、はい・・・」
「どうしたの?珍しいわね。ぼうっとしてるなんて」
「えっ!え~と、最近、朝走り始めたんです」
「あら?そうなの。じゃあ、今日の体育が楽しみね」
「あっ、はい、頑張ります・・・」
先生は教室内にある自分の机に行った。
死角のはずなのに見られていたとは・・・、僕は少しショックを受けた。
『青龍、いないなんてことはない。お前は存在してるんだ』
『それは分かってるよ』
『そうか・・・』
僕は立ち上がり、日直の仕事をした。
そして体育の授業となった。
校庭に出た。今日は近々ある体力測定の練習だ。
まずは550メートル走。
『いいか、短距離のコツは、足を高く上げるんだ。そして、思いっきり地面を蹴るんだ。そして、腕は思いっきり前に出す。上に行く力を前に向けるんだ』
『うん、分かった』
背の順で並ばされるので、こういう時、僕は第一走者になってしまう。
「位置について、よーい、ピー」と笛が吹かれた。スタートの足を勢いよく蹴り出し、腕を前に振った。ぐっと身体が前に進む。前だけを向いてそれを蹴り返した。
そして、ゴールした。
気がついたら、前に誰もいなかった。産まれて初めて一番になったようだ。
「えっ!」と先生が左手に持ったバインダーと右手に持ったストップウオッチを見比べて驚いていた。
「星野くん!2秒も縮まってるわよ」と先生が嬉しそうに言った。
確か前は10秒を超えていたはずだ。
「そんなに!」
先生は嬉しそうに頷いた。
僕はスタート地点に戻って行った。
『どうだ?これがコツだ』
『こんなに早く結果が出るなんて』
『スタートを良くすれば、もっと縮まる』
『えっ!ホントに?』
『でも、今日は止めとこう。さっきの走り、良かったぞ』
『うん』
もう一度走り、更に1秒近く速くなった。まぐれでないことを確信した。
朝早く起きてジョギングを済ませ、朝食を食べ家を出た。
『青龍、歩いてる時も意識するんだ』
あっ!いつも通り猫背になっていたらしい。僕は顔を上げた。
一ヶ月前は、桜でピンク色だった樹も葉が生い茂って緑色になっていた。
『白虎、一応言っとくけど、クラスでは僕はいないことになってるんだ』
『それってあれか?世の中がつまらないってやつか?』
『違うよ。僕が適合してないんだ』
『まぁ、分かった』と言って、白虎は何も言わなくなった。
いつも通り、誰とも話さずに学校に入り、席に着いて、図書館で借りてきた本を読み始めた。
そして、チャイムが鳴り、先生が入ってきた。
「はい、ホームルームを始めます」と先生が言った。
『あっ!』と白虎が頭の中で言って、
『めちゃくちゃ若くて美人じゃないか!』と嬉しそうな声で続けた。
僕の席はもちろん一番前、しかも、教壇の真ん前だ。でも、逆に一番の死角であると僕は思っている。先生も真ん前の僕を見るよりも、奥や両端を見る機会が多いはずだ。
美杉詩織先生は、確か27歳だ。確かに僕から見てもかなりの美人で、他のクラスからは羨ましがられている。
『何言ってるんだよ』
『いいなぁ、こんな先生に教えてもらってるなんて』
『そんなこと言ってるから、真理子さんに怒られるんだよ』
『なんだ、聞いてたのか?』
『もちろん』
『そう言えば白虎って、何歳なの?』
『生きてれば、今年で31だ』
『えっ!真理子さんと、そんなに離れてるの?』
『真理子はしょうがないだろ。俺が目をつけられたんだから』
『確かに』
「・・・・くん、星野くん・・・」
『おい!呼ばれてるぞ』
『えっ!』と僕は慌てて顔を上げた。
「星野くん、日直だからね」先生が僕を見ていた。
「あっ、はい・・・」
「どうしたの?珍しいわね。ぼうっとしてるなんて」
「えっ!え~と、最近、朝走り始めたんです」
「あら?そうなの。じゃあ、今日の体育が楽しみね」
「あっ、はい、頑張ります・・・」
先生は教室内にある自分の机に行った。
死角のはずなのに見られていたとは・・・、僕は少しショックを受けた。
『青龍、いないなんてことはない。お前は存在してるんだ』
『それは分かってるよ』
『そうか・・・』
僕は立ち上がり、日直の仕事をした。
そして体育の授業となった。
校庭に出た。今日は近々ある体力測定の練習だ。
まずは550メートル走。
『いいか、短距離のコツは、足を高く上げるんだ。そして、思いっきり地面を蹴るんだ。そして、腕は思いっきり前に出す。上に行く力を前に向けるんだ』
『うん、分かった』
背の順で並ばされるので、こういう時、僕は第一走者になってしまう。
「位置について、よーい、ピー」と笛が吹かれた。スタートの足を勢いよく蹴り出し、腕を前に振った。ぐっと身体が前に進む。前だけを向いてそれを蹴り返した。
そして、ゴールした。
気がついたら、前に誰もいなかった。産まれて初めて一番になったようだ。
「えっ!」と先生が左手に持ったバインダーと右手に持ったストップウオッチを見比べて驚いていた。
「星野くん!2秒も縮まってるわよ」と先生が嬉しそうに言った。
確か前は10秒を超えていたはずだ。
「そんなに!」
先生は嬉しそうに頷いた。
僕はスタート地点に戻って行った。
『どうだ?これがコツだ』
『こんなに早く結果が出るなんて』
『スタートを良くすれば、もっと縮まる』
『えっ!ホントに?』
『でも、今日は止めとこう。さっきの走り、良かったぞ』
『うん』
もう一度走り、更に1秒近く速くなった。まぐれでないことを確信した。
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