死んでる場合じゃない 〜小学生とエリートスパイとの奇妙な共同作戦〜

ぱるゆう

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帰り道

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春夏冬が運転席に、白虎が助手席に乗った。

車がスタートした。

「はぁ~、全く、真理子のやつ」と置いてあったペットボトルの蓋を開けて、口元に持っていった。

「あっ!」と春夏冬は叫んだ。

「何だ?こんなもの、コイツに飲ませたのか?」と白虎はペットボトルに口をつけずに春夏冬を見た。

「仕方なかったんです。場所を知られるようなことは・・・ 」

「全く」と窓からペットボトルの中身を道路に捨てた。

『何が入ってたの?』と頭の中の青龍。

『睡眠薬だ』

『あぁ、だから寝ちゃったのか。別に言う相手なんかいないって言ったのに』

『大人の世界なんて、こんなものだ。子供の純粋な言葉も信じないんだよ』

『フフフッ、そうなんだね』

『何だ?怒らないのか?』

『綺麗事は嫌いなんだ』

『フフフッ、何だ、それ?』

『まぁ、こんな僕だけど、よろしくね。白虎さん』

『白虎でいい。こちらこそ、よろしくな。しばらくは居候ってことで、お前に任せるからね』

『うん、白虎』

『じゃあ、代わるぞ』
白虎は目を閉じた。



「春夏冬さん、気にしないで」と僕は言った。

「あぁ、本当に申し訳ございません。今日もとんでもないことになってしまって」

「いえいえ。これからの生活がメチャクチャ楽しみで仕方ないです。産まれて初めてかも。春夏冬さんのお陰です」

「あぁ、本当にお優しい。私、お嬢様に言って、青龍さんの執事にしてもらいます」

「あっ!そうそう。総務省って?」

「あれは、私に白虎さんの身体を探させるために、お嬢様が無理矢理作らせた部署です」

「本当にあったんですか?」

「えぇ、部署は本物です。でも、もう必要なくなったので解散でしょうね」

「あぁ、そうですね。僕の執事って、他の執事の人が真理子さんにはいるんですか?」

「えぇ、大勢いるから大丈夫ですよ」

「そうなったら、もっと話せますね。楽しみだな」

「私もです。あっ!そうそう。私から一つ大事なお話があります」

「何ですか?」

「私が説明が下手なのは、この前お話しした通りで、本当に申し訳ございません」

「大丈夫ですよ」

「ご両親が、私の話に納得されたとお話したかと思いますが」

「はい、そうですね」

「青龍さんが自殺しようとしていると私から申し上げた時、ご両親は笑顔で、こうおっしゃいました。青龍は自殺なんてしませんよと」

「それなら、何故?」

「私も、そうですかとお嬢様の手前、簡単に引き下がるわけにもいかずに、事故でなくなった時の保険みたいなものですと苦しい話をしてしまい、それならと同意していただいたのでございます」

「そうだったんですね」

「帰った後、肝心な部分を話し忘れてしまったとを深く反省しました」

「気にしないでください。もう自殺なんてできなくなりましたからね」

「本当に良かったです」

「中学受験の話は、ちゃんと説明できますか?」

「えぇ、それは入念に考えておきますので」

「はい、よろしくお願いします」





家の近くで車を降りた。帰りが遅くなってしまったが、
「ただいま」と明るく言った。

「お帰り、遅かったわね」と母が言った。

「面白い本があって、あっと言う間に時間が過ぎてた」

「面白かったんなら買えば?それくらい大丈夫よ」

「ううん。また読みに行くからいい」

「そう?ご飯にしましょう」

いつものテーブルに、何度も見た料理が並んでいた。

僕は手を洗い、うがいをしてから椅子に座った。
「いただきます」と言って、里芋の煮物を口に入れた。

いつもの変わらない味だ。
『うまい!』と頭の中で声がした。

『えっ!普通の煮物じゃん』と僕は頭の中で思った。

『こういうのがいいんだよ。あぁ、なんか懐かしい感じがする』

『そう?』

それからも漬物や味噌汁なんかを口に入れるたびに、白虎は頭の中で、うまいと叫んだ。

「ご馳走様。ふぅ~、お腹いっぱい」と僕は言った。

「珍しくいっぱい食べたわね」母が言った。

「少し走ったりしたからかな?なんか疲れたから、先にお風呂入っていい?」

「いいぞ、出たらゆっくり休みなさい」と父が言った。

「ありがと」と僕は言って、自分の茶碗等を流し台に置いた。

そして、着替えを出して風呂場に入った。体を洗い、湯船に入った。
「ふぅ~」

『なぁ、青龍』と頭の中で声がした。

『何?』

『優しそうな両親だな。遅く帰っても小言とか言われないのか?』

『う~ん、5年生あたりから言われなくなったかな。別に変な所にも行かないし、変な連中とつるむこともない。大丈夫だと思ってるんじゃない?』

『そうか。自由にさせてもらってるんだな』

『そうだね』

『それで、俺から提案があるんだが』

『何?』

『床田のおっさんも言ってたが、俺が狙われないとも限らない。だから、最低限動けるようにしておきたいんだ』

『確かにそうだね。白虎がまた身体を得たということは、何かの拍子にバレるかもしれない。何せ、相手はスパイだから。それで、何をしたらいい?』

『まずは体力作り。朝早く走ることはできるか?夜だと、いくら日本と言えど、車の事もあるし、危険だ』

『うわっ!早起きするってこと?』

『そうだな。とりあえず30分でどうだ?』

『分かった。自分の身を守るためだから、しょうがないね。でも、明日は日曜だから、起きてからでいい?』

『こういうのは習慣にした方がいい。同じ時間に起きるんだ』

『えぇ~!分かったよぉ』

『よろしくな』
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