9 / 23
帰り道
しおりを挟む
春夏冬が運転席に、白虎が助手席に乗った。
車がスタートした。
「はぁ~、全く、真理子のやつ」と置いてあったペットボトルの蓋を開けて、口元に持っていった。
「あっ!」と春夏冬は叫んだ。
「何だ?こんなもの、コイツに飲ませたのか?」と白虎はペットボトルに口をつけずに春夏冬を見た。
「仕方なかったんです。場所を知られるようなことは・・・ 」
「全く」と窓からペットボトルの中身を道路に捨てた。
『何が入ってたの?』と頭の中の青龍。
『睡眠薬だ』
『あぁ、だから寝ちゃったのか。別に言う相手なんかいないって言ったのに』
『大人の世界なんて、こんなものだ。子供の純粋な言葉も信じないんだよ』
『フフフッ、そうなんだね』
『何だ?怒らないのか?』
『綺麗事は嫌いなんだ』
『フフフッ、何だ、それ?』
『まぁ、こんな僕だけど、よろしくね。白虎さん』
『白虎でいい。こちらこそ、よろしくな。しばらくは居候ってことで、お前に任せるからね』
『うん、白虎』
『じゃあ、代わるぞ』
白虎は目を閉じた。
「春夏冬さん、気にしないで」と僕は言った。
「あぁ、本当に申し訳ございません。今日もとんでもないことになってしまって」
「いえいえ。これからの生活がメチャクチャ楽しみで仕方ないです。産まれて初めてかも。春夏冬さんのお陰です」
「あぁ、本当にお優しい。私、お嬢様に言って、青龍さんの執事にしてもらいます」
「あっ!そうそう。総務省って?」
「あれは、私に白虎さんの身体を探させるために、お嬢様が無理矢理作らせた部署です」
「本当にあったんですか?」
「えぇ、部署は本物です。でも、もう必要なくなったので解散でしょうね」
「あぁ、そうですね。僕の執事って、他の執事の人が真理子さんにはいるんですか?」
「えぇ、大勢いるから大丈夫ですよ」
「そうなったら、もっと話せますね。楽しみだな」
「私もです。あっ!そうそう。私から一つ大事なお話があります」
「何ですか?」
「私が説明が下手なのは、この前お話しした通りで、本当に申し訳ございません」
「大丈夫ですよ」
「ご両親が、私の話に納得されたとお話したかと思いますが」
「はい、そうですね」
「青龍さんが自殺しようとしていると私から申し上げた時、ご両親は笑顔で、こうおっしゃいました。青龍は自殺なんてしませんよと」
「それなら、何故?」
「私も、そうですかとお嬢様の手前、簡単に引き下がるわけにもいかずに、事故でなくなった時の保険みたいなものですと苦しい話をしてしまい、それならと同意していただいたのでございます」
「そうだったんですね」
「帰った後、肝心な部分を話し忘れてしまったとを深く反省しました」
「気にしないでください。もう自殺なんてできなくなりましたからね」
「本当に良かったです」
「中学受験の話は、ちゃんと説明できますか?」
「えぇ、それは入念に考えておきますので」
「はい、よろしくお願いします」
家の近くで車を降りた。帰りが遅くなってしまったが、
「ただいま」と明るく言った。
「お帰り、遅かったわね」と母が言った。
「面白い本があって、あっと言う間に時間が過ぎてた」
「面白かったんなら買えば?それくらい大丈夫よ」
「ううん。また読みに行くからいい」
「そう?ご飯にしましょう」
いつものテーブルに、何度も見た料理が並んでいた。
僕は手を洗い、うがいをしてから椅子に座った。
「いただきます」と言って、里芋の煮物を口に入れた。
いつもの変わらない味だ。
『うまい!』と頭の中で声がした。
『えっ!普通の煮物じゃん』と僕は頭の中で思った。
『こういうのがいいんだよ。あぁ、なんか懐かしい感じがする』
『そう?』
それからも漬物や味噌汁なんかを口に入れるたびに、白虎は頭の中で、うまいと叫んだ。
「ご馳走様。ふぅ~、お腹いっぱい」と僕は言った。
「珍しくいっぱい食べたわね」母が言った。
「少し走ったりしたからかな?なんか疲れたから、先にお風呂入っていい?」
「いいぞ、出たらゆっくり休みなさい」と父が言った。
「ありがと」と僕は言って、自分の茶碗等を流し台に置いた。
そして、着替えを出して風呂場に入った。体を洗い、湯船に入った。
「ふぅ~」
『なぁ、青龍』と頭の中で声がした。
『何?』
『優しそうな両親だな。遅く帰っても小言とか言われないのか?』
『う~ん、5年生あたりから言われなくなったかな。別に変な所にも行かないし、変な連中とつるむこともない。大丈夫だと思ってるんじゃない?』
『そうか。自由にさせてもらってるんだな』
『そうだね』
『それで、俺から提案があるんだが』
『何?』
『床田のおっさんも言ってたが、俺が狙われないとも限らない。だから、最低限動けるようにしておきたいんだ』
『確かにそうだね。白虎がまた身体を得たということは、何かの拍子にバレるかもしれない。何せ、相手はスパイだから。それで、何をしたらいい?』
『まずは体力作り。朝早く走ることはできるか?夜だと、いくら日本と言えど、車の事もあるし、危険だ』
『うわっ!早起きするってこと?』
『そうだな。とりあえず30分でどうだ?』
『分かった。自分の身を守るためだから、しょうがないね。でも、明日は日曜だから、起きてからでいい?』
『こういうのは習慣にした方がいい。同じ時間に起きるんだ』
『えぇ~!分かったよぉ』
『よろしくな』
車がスタートした。
「はぁ~、全く、真理子のやつ」と置いてあったペットボトルの蓋を開けて、口元に持っていった。
「あっ!」と春夏冬は叫んだ。
「何だ?こんなもの、コイツに飲ませたのか?」と白虎はペットボトルに口をつけずに春夏冬を見た。
「仕方なかったんです。場所を知られるようなことは・・・ 」
「全く」と窓からペットボトルの中身を道路に捨てた。
『何が入ってたの?』と頭の中の青龍。
『睡眠薬だ』
『あぁ、だから寝ちゃったのか。別に言う相手なんかいないって言ったのに』
『大人の世界なんて、こんなものだ。子供の純粋な言葉も信じないんだよ』
『フフフッ、そうなんだね』
『何だ?怒らないのか?』
『綺麗事は嫌いなんだ』
『フフフッ、何だ、それ?』
『まぁ、こんな僕だけど、よろしくね。白虎さん』
『白虎でいい。こちらこそ、よろしくな。しばらくは居候ってことで、お前に任せるからね』
『うん、白虎』
『じゃあ、代わるぞ』
白虎は目を閉じた。
「春夏冬さん、気にしないで」と僕は言った。
「あぁ、本当に申し訳ございません。今日もとんでもないことになってしまって」
「いえいえ。これからの生活がメチャクチャ楽しみで仕方ないです。産まれて初めてかも。春夏冬さんのお陰です」
「あぁ、本当にお優しい。私、お嬢様に言って、青龍さんの執事にしてもらいます」
「あっ!そうそう。総務省って?」
「あれは、私に白虎さんの身体を探させるために、お嬢様が無理矢理作らせた部署です」
「本当にあったんですか?」
「えぇ、部署は本物です。でも、もう必要なくなったので解散でしょうね」
「あぁ、そうですね。僕の執事って、他の執事の人が真理子さんにはいるんですか?」
「えぇ、大勢いるから大丈夫ですよ」
「そうなったら、もっと話せますね。楽しみだな」
「私もです。あっ!そうそう。私から一つ大事なお話があります」
「何ですか?」
「私が説明が下手なのは、この前お話しした通りで、本当に申し訳ございません」
「大丈夫ですよ」
「ご両親が、私の話に納得されたとお話したかと思いますが」
「はい、そうですね」
「青龍さんが自殺しようとしていると私から申し上げた時、ご両親は笑顔で、こうおっしゃいました。青龍は自殺なんてしませんよと」
「それなら、何故?」
「私も、そうですかとお嬢様の手前、簡単に引き下がるわけにもいかずに、事故でなくなった時の保険みたいなものですと苦しい話をしてしまい、それならと同意していただいたのでございます」
「そうだったんですね」
「帰った後、肝心な部分を話し忘れてしまったとを深く反省しました」
「気にしないでください。もう自殺なんてできなくなりましたからね」
「本当に良かったです」
「中学受験の話は、ちゃんと説明できますか?」
「えぇ、それは入念に考えておきますので」
「はい、よろしくお願いします」
家の近くで車を降りた。帰りが遅くなってしまったが、
「ただいま」と明るく言った。
「お帰り、遅かったわね」と母が言った。
「面白い本があって、あっと言う間に時間が過ぎてた」
「面白かったんなら買えば?それくらい大丈夫よ」
「ううん。また読みに行くからいい」
「そう?ご飯にしましょう」
いつものテーブルに、何度も見た料理が並んでいた。
僕は手を洗い、うがいをしてから椅子に座った。
「いただきます」と言って、里芋の煮物を口に入れた。
いつもの変わらない味だ。
『うまい!』と頭の中で声がした。
『えっ!普通の煮物じゃん』と僕は頭の中で思った。
『こういうのがいいんだよ。あぁ、なんか懐かしい感じがする』
『そう?』
それからも漬物や味噌汁なんかを口に入れるたびに、白虎は頭の中で、うまいと叫んだ。
「ご馳走様。ふぅ~、お腹いっぱい」と僕は言った。
「珍しくいっぱい食べたわね」母が言った。
「少し走ったりしたからかな?なんか疲れたから、先にお風呂入っていい?」
「いいぞ、出たらゆっくり休みなさい」と父が言った。
「ありがと」と僕は言って、自分の茶碗等を流し台に置いた。
そして、着替えを出して風呂場に入った。体を洗い、湯船に入った。
「ふぅ~」
『なぁ、青龍』と頭の中で声がした。
『何?』
『優しそうな両親だな。遅く帰っても小言とか言われないのか?』
『う~ん、5年生あたりから言われなくなったかな。別に変な所にも行かないし、変な連中とつるむこともない。大丈夫だと思ってるんじゃない?』
『そうか。自由にさせてもらってるんだな』
『そうだね』
『それで、俺から提案があるんだが』
『何?』
『床田のおっさんも言ってたが、俺が狙われないとも限らない。だから、最低限動けるようにしておきたいんだ』
『確かにそうだね。白虎がまた身体を得たということは、何かの拍子にバレるかもしれない。何せ、相手はスパイだから。それで、何をしたらいい?』
『まずは体力作り。朝早く走ることはできるか?夜だと、いくら日本と言えど、車の事もあるし、危険だ』
『うわっ!早起きするってこと?』
『そうだな。とりあえず30分でどうだ?』
『分かった。自分の身を守るためだから、しょうがないね。でも、明日は日曜だから、起きてからでいい?』
『こういうのは習慣にした方がいい。同じ時間に起きるんだ』
『えぇ~!分かったよぉ』
『よろしくな』
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる