死んでる場合じゃない 〜小学生とエリートスパイとの奇妙な共同作戦〜

ぱるゆう

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友達?

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授業が終わり、休み時間となった。青龍はトイレに行こうと、机の間を進んだ。

途中で、机の上にあった物にぶつかって床に落ちた。

「ごめんなさい」と言いながら、青龍は屈んで拾おうとした。

落ちたものは、単行本だった。
手作りの和紙のブックカバーがはずれて、江戸川乱歩の『宇宙怪人』と題名が書かれていた。

青龍は拾ってカバーを直しながら、立ち上がった。
「ごめんなさい」と直し終わった本を机に置いた。

「ううん、そんな所に置いてた私も悪いから」と席に座っている美杉詩織は言った。

「でも、江戸川乱歩なんて読んでるんだ」

「何?女の子は恋愛小説でも読んでろって言いたいの?」詩織の眉間にシワが寄った。

「いやいや、そういう訳じゃないよ。かなり古い作品だから、そう思ったんだよ」青龍は慌てて説明した。

「この頃の作品って、表現が独特だし、言い回しとかそういうのが面白くて。もちろん内容も面白いし」

「うん、よく分かるよ。僕は全部読んだから」

「えっ!全部って、少年探偵シリーズのこと?」

「ううん、江戸川乱歩の作品は全部」

「嘘!・・・」と詩織は目を見開いて、
「私はまだ10冊目なのに¡・・・」

「僕は暇で、土日はずっと図書館にいるから読めただけだよ」

「毎週?凄いわ」

「全然凄くなんかない。暇潰しだよ」

そこで次の授業のチャイムが鳴った。

「あっ!トイレ行こうとしてたんだ!」

先生が教壇に立った。

「先生、ごめんなさい。トイレ行ってきます」と言いながら、青龍は慌てて教室を出ていった。

「休み時間中に行っておきなさいよ!」と言う先生の言葉を背中から聞きながら。



そして、放課後となった。
詩織が青龍の所に来た。
「星野君、この後予定は?」

「帰るだけだけど・・・」青龍は驚いて言った。

「帰った後は?」

「何もないけど・・・」

「少し喫茶店で話さない?」

「喫茶店?僕、お金持って来て・・・」

「大丈夫、私が誘ったんだから」

「でも・・・」

「いいから。コンビニの所で待ち合わせね」

「うん、分かった」

詩織は他の女の子達と連れ立って教室を出ていった。

『何だろう?何か気に触ること言ったかなぁ?』

『そんなことなかったぞ。別に怒ってる様子もないしな。それどころか嬉しそうだった』

『そう?』

『ここで考えてても分からないだろ。早く行け』

『分かったよ』青龍は荷物をランドセルに入れて立ち上がった。

『随分、綺麗な子だな。歳の割には大人っぽい』

『えっ!白虎!』

『おいおい、流石にない。絵を見て綺麗だというくらいの感想だ』

『ホントに?』

『俺の子供でもおかしくない歳なんだぞ』

『そう言えば、白虎っていくつなの?』

『俺か?俺はずっと生きていれば32だ』

『えっ!そんなに?』

『まぁ、アチコチでスパイやってたからな』

『真理子さんと違い過ぎない?』

『それは真理子に聞いてくれ。俺は気に入られた方なんだから』

『あぁ、確かに。好きになった事情が事情だもんね』

『そういうことだ。あっ、待ってるぞ』

青龍が先を見ると、コンビニの所で詩織が立っているのが見えた。青龍は走った。

「ごめんなさい。待たせちゃって」

「そんなに待ってないわよ。さっ、行くわよ」と詩織は先を歩き始めた。

青龍は隣に並ぶと、詩織の顔を見上げた。身長は青龍よりも10センチくらい高い。

「何か付いてる?」と詩織も大きい瞳で青龍を見た。

「ううん」青龍は顔を逸らして、前を向いた。

「ごめんね。突然」

「別に暇だからいいけど、ビックリした」

「学校で仲良く話してると、他の子に睨まれちゃうから」

「えっ?何で?」と青龍はキョトンとした顔をして、詩織を見た。

「最近、女子の間で人気あるのよ。星野君」

「はぁ?僕が?何かの冗談?」

「走るのも速いし、サッカーやバスケも上手い。それに勉強もできる」

「そんなの最近の話だよ」

「何かを頑張ってる人は、かっこよく見えるものよ」

「僕が?かっこいい?そんなことあるわけないじゃないか」

「フフフッ、そういう所よ。頑張ってる素振りなんて全然見せないし、必死さも感じない。でも、ちゃんと結果を出してる。あっ、着いたわ」詩織は足を止めた。

青龍が見ると、昔からある喫茶店のようだ。しかし、青龍は全然知らなかった。
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