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小百合と優一の金曜日 1 お祝い会
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水曜日と木曜日も同じように何もないまま過ぎていった。違うことと言ったら、夕飯を優一が作ったことだけだった。
そして金曜日になった。
学校が終わり、優一は近くのもんじゃ屋に、サッカー部のメンバーと一緒に向かった。
店に着くと、優一は女子マネージャー達が集まっている席に行くように言われた。彼氏がサッカー部内にいる2人の女子は男子の中に混ざっているが、圧倒的に男子だけが集まっている席が多い。
おそらく、何か女子マネージャーから言われたに違いない。もちろん、男子達は反対したはずだ、その証拠に、みんな不貞腐れた顔をしている。
3年生は引退してしまうが、1、2年生はもちろん残る。多分、従わないなら、みんなマネージャーを辞めるとか言ったのかもしれない。
まぁ、途中で様子を見て抜け出そう。僕にはやらなければならないことがある。
キャプテンと顧問の話の後で、お祝い会が始まった。
男子達は、凄い勢いで注文している。まぁ、お金の心配はない。親から事前に部費という名のカンパが行われている。
「優一くん、何食べる?」隣の女子マネージャーが言った。
「みんなの頼んだものを貰うから、好きなの頼んでよ」
注文が終わり、女子マネージャー達が、みんな優一を見る。隣や近くは3年生のはずだ。その周りが1、2年生だろう。
もちろん引退してしまう3年生のマネージャーが優先とされたが、下級生もそんなことは言ってられない。肝心の優一がいなくなってしまうのだ。その辺りは、事前に話し合いが持たれた。いくら頑張ったところで、彼氏にできるわけではない。それなら、恨みっこ無しで、みんなで楽しもうと。
「ねぇ、怪我は平気なの?」と別の女子マネージャーが言った。
「まだ跡は残ってるけど、痛みとかはないから」
「見たい!」
「別にいいよ」と言ったら、別の女子マネージャーにジャケットを脱がされて、両脇にいる女子がワイシャツの袖をめくった。
「うわっ、凄いね」
「前よりは小さくなってるから」
「触っても大丈夫?」
優一が頷くと、恐る恐る指で押してきた。
「触ると普通ね」
「怪我は中だからね」
その後も、手を繋いできたり、腕を組んできたり、遠慮はないようだ。
そこに、もんじゃが運ばれてくる。女子が作り始めた。
出来上がると、
「あ~ん」と、もんじゃが乗ったヘラを出してきた。
両手は、繋がれている。
「自分で食べられるから」
それでも!もちろん両手が解放される様子はない。
「いいから、早く食べて」
仕方がないので、口に入れる。優一が食べ終わると、その女子はヘラをすぐに自分の口に入れた。
そして、別の女子が
「あ~ん」と出してくる。
女子の席が代わっていき、その都度ヘラが差し出されてきた。
一巡するまで、大人しくしくされるがままになる。
「少し食べるの休むから、みんなも食べなよ」
「えぇ~、もう少し」
「そんなに食べられないよ。トイレ行ってくるから」
それでも両腕を離そうとしない。
「ホントに、お願い」と優一が目を見て話すと、女子は赤面して、解放してくれた。
トイレの中に入り、ふぅ~と息を吐いた。
去年は、いつの間にか囲まれてはいたが、今年は最期だからエスカレートしているようだ。
でも、やらなくちゃならないことがある。
トイレを出ると、男子のテーブルに行った。
「勘弁してくれ。小百合に怒られるよ」と優一は小声で言った。
「しょうがない。今後のサッカー部のためだ」と言われる。
「やっぱり、そういうことなのか。それはいいとして、みんなとサッカーできて楽しかった」
「俺達こそ、ありがとう。夢が見れた。もしかしたら、勝てるんじゃないかって。あっ、負けたのは優一のせいじゃないからな。みんなの実力だ。でも、最後まで頑張れた。だから悔いはない」
「うん、みんな頑張ってたから、僕も頑張れた」
そんな話をしながら、目当ての相手に話しかけた。しかし、次々と彼女がいると言われた。
最後はキャプテンか。近くに行き、
「キャプテン」と声を掛ける。
「優一、本当にありがとう。みんなが満足した顔ができてるのも、優一のお陰だよ」
「そんなことないよ。みんな嘘偽りなく頑張ったから、結果がダメでも満足できてるんだよ」
「そうだな。頑張ったかどうかなんて、本当は自分にしか分からない。僕が自分に聞いてみても、よくやったと胸を張って言える」
優一は意外な顔をした。
「へぇ~、キャプテンって、そんなこと考えてるんだ?」
「何が?」
「ちゃんと自分と向き合ってる」
「僕を何だと思ってるんだ?」
「キャプテンって、みんなをまとめるために、自分を殺してるのかと思ってた」
「まぁ、そういう所はあるよ。でも、後悔したくないから、言う時は言うよ。ただ優一みたいに、みんなを引っ張っていける訳じゃないから」
「そんなことないよ。みんなキャプテンがいて良かったと思ってる」
「そうかな?」キャプテンは少し照れた。
「あっ、そうだ。話が変わるけどいい?」
「何?」
「彼女いる?」
「えっ!」キャプテンがしばらく固まる。
「何だよ。急に」
「悪いんだけど、答えは?」
「いっ、いないよ」
「はぁ~、良かったぁ」優一はホッとして、つい口走ってしまった。
「はぁ?何が良かったんだよ」キャプテンはムッとした顔をした。
「ごめん。実は彼氏が欲しいって言ってる女の子がいて」
「ホントに?」
「うん、僕くらいの身長で、スポーツやってる人がいいって言うから、キャプテン、どう?彼女欲しい?」
「そっ、そっ、そりゃ欲しいに決まってるけど。誰?」
「会ってくれる?」
「会うの?」
「もちろん、来週くらいには」
「そっ、そんな急に?」
「ごめん、僕の都合なんだけど、野球部に助っ人を頼まれてるから」
「あぁ、そうだよね。それで、誰?」
「会ってくれる?付き合うかどうかは相手の子のこともあるから、今決めることじゃないし」
「うん、会う」キャプテンは真剣な顔になった。
「ありがとう。相手の子は、3年C組の海野渚さん」
「えっ?海野さん?」キャプテンはキョトンとした顔になった。
「えっ?知ってるの?」
「あぁ~、まぁ、僕は知ってるんだけど、多分、海野さんは僕のこと知らないかもしれない。だから、知ってることは黙ってて」
「うん、分かったけど、どう?もし海野さんがOKなら、付き合う?」
「そっ、それはもちろん付き合うよ。海野さんに彼氏がいないなんて思ってもみなかった。あっ、余計なことは言わないでね」
「分かってる。じゃあ、また連絡する」
優一は収穫があったので、女子の席に戻った。みんなお腹が満足したのか、鉄板の火は消されていた。
それからは、腕を組まれたり、手を繋がれたりしながら話をした。
そしてお祝い会は、新しいキャプテンの指名と、決意の一言でお開きとなった。
そして金曜日になった。
学校が終わり、優一は近くのもんじゃ屋に、サッカー部のメンバーと一緒に向かった。
店に着くと、優一は女子マネージャー達が集まっている席に行くように言われた。彼氏がサッカー部内にいる2人の女子は男子の中に混ざっているが、圧倒的に男子だけが集まっている席が多い。
おそらく、何か女子マネージャーから言われたに違いない。もちろん、男子達は反対したはずだ、その証拠に、みんな不貞腐れた顔をしている。
3年生は引退してしまうが、1、2年生はもちろん残る。多分、従わないなら、みんなマネージャーを辞めるとか言ったのかもしれない。
まぁ、途中で様子を見て抜け出そう。僕にはやらなければならないことがある。
キャプテンと顧問の話の後で、お祝い会が始まった。
男子達は、凄い勢いで注文している。まぁ、お金の心配はない。親から事前に部費という名のカンパが行われている。
「優一くん、何食べる?」隣の女子マネージャーが言った。
「みんなの頼んだものを貰うから、好きなの頼んでよ」
注文が終わり、女子マネージャー達が、みんな優一を見る。隣や近くは3年生のはずだ。その周りが1、2年生だろう。
もちろん引退してしまう3年生のマネージャーが優先とされたが、下級生もそんなことは言ってられない。肝心の優一がいなくなってしまうのだ。その辺りは、事前に話し合いが持たれた。いくら頑張ったところで、彼氏にできるわけではない。それなら、恨みっこ無しで、みんなで楽しもうと。
「ねぇ、怪我は平気なの?」と別の女子マネージャーが言った。
「まだ跡は残ってるけど、痛みとかはないから」
「見たい!」
「別にいいよ」と言ったら、別の女子マネージャーにジャケットを脱がされて、両脇にいる女子がワイシャツの袖をめくった。
「うわっ、凄いね」
「前よりは小さくなってるから」
「触っても大丈夫?」
優一が頷くと、恐る恐る指で押してきた。
「触ると普通ね」
「怪我は中だからね」
その後も、手を繋いできたり、腕を組んできたり、遠慮はないようだ。
そこに、もんじゃが運ばれてくる。女子が作り始めた。
出来上がると、
「あ~ん」と、もんじゃが乗ったヘラを出してきた。
両手は、繋がれている。
「自分で食べられるから」
それでも!もちろん両手が解放される様子はない。
「いいから、早く食べて」
仕方がないので、口に入れる。優一が食べ終わると、その女子はヘラをすぐに自分の口に入れた。
そして、別の女子が
「あ~ん」と出してくる。
女子の席が代わっていき、その都度ヘラが差し出されてきた。
一巡するまで、大人しくしくされるがままになる。
「少し食べるの休むから、みんなも食べなよ」
「えぇ~、もう少し」
「そんなに食べられないよ。トイレ行ってくるから」
それでも両腕を離そうとしない。
「ホントに、お願い」と優一が目を見て話すと、女子は赤面して、解放してくれた。
トイレの中に入り、ふぅ~と息を吐いた。
去年は、いつの間にか囲まれてはいたが、今年は最期だからエスカレートしているようだ。
でも、やらなくちゃならないことがある。
トイレを出ると、男子のテーブルに行った。
「勘弁してくれ。小百合に怒られるよ」と優一は小声で言った。
「しょうがない。今後のサッカー部のためだ」と言われる。
「やっぱり、そういうことなのか。それはいいとして、みんなとサッカーできて楽しかった」
「俺達こそ、ありがとう。夢が見れた。もしかしたら、勝てるんじゃないかって。あっ、負けたのは優一のせいじゃないからな。みんなの実力だ。でも、最後まで頑張れた。だから悔いはない」
「うん、みんな頑張ってたから、僕も頑張れた」
そんな話をしながら、目当ての相手に話しかけた。しかし、次々と彼女がいると言われた。
最後はキャプテンか。近くに行き、
「キャプテン」と声を掛ける。
「優一、本当にありがとう。みんなが満足した顔ができてるのも、優一のお陰だよ」
「そんなことないよ。みんな嘘偽りなく頑張ったから、結果がダメでも満足できてるんだよ」
「そうだな。頑張ったかどうかなんて、本当は自分にしか分からない。僕が自分に聞いてみても、よくやったと胸を張って言える」
優一は意外な顔をした。
「へぇ~、キャプテンって、そんなこと考えてるんだ?」
「何が?」
「ちゃんと自分と向き合ってる」
「僕を何だと思ってるんだ?」
「キャプテンって、みんなをまとめるために、自分を殺してるのかと思ってた」
「まぁ、そういう所はあるよ。でも、後悔したくないから、言う時は言うよ。ただ優一みたいに、みんなを引っ張っていける訳じゃないから」
「そんなことないよ。みんなキャプテンがいて良かったと思ってる」
「そうかな?」キャプテンは少し照れた。
「あっ、そうだ。話が変わるけどいい?」
「何?」
「彼女いる?」
「えっ!」キャプテンがしばらく固まる。
「何だよ。急に」
「悪いんだけど、答えは?」
「いっ、いないよ」
「はぁ~、良かったぁ」優一はホッとして、つい口走ってしまった。
「はぁ?何が良かったんだよ」キャプテンはムッとした顔をした。
「ごめん。実は彼氏が欲しいって言ってる女の子がいて」
「ホントに?」
「うん、僕くらいの身長で、スポーツやってる人がいいって言うから、キャプテン、どう?彼女欲しい?」
「そっ、そっ、そりゃ欲しいに決まってるけど。誰?」
「会ってくれる?」
「会うの?」
「もちろん、来週くらいには」
「そっ、そんな急に?」
「ごめん、僕の都合なんだけど、野球部に助っ人を頼まれてるから」
「あぁ、そうだよね。それで、誰?」
「会ってくれる?付き合うかどうかは相手の子のこともあるから、今決めることじゃないし」
「うん、会う」キャプテンは真剣な顔になった。
「ありがとう。相手の子は、3年C組の海野渚さん」
「えっ?海野さん?」キャプテンはキョトンとした顔になった。
「えっ?知ってるの?」
「あぁ~、まぁ、僕は知ってるんだけど、多分、海野さんは僕のこと知らないかもしれない。だから、知ってることは黙ってて」
「うん、分かったけど、どう?もし海野さんがOKなら、付き合う?」
「そっ、それはもちろん付き合うよ。海野さんに彼氏がいないなんて思ってもみなかった。あっ、余計なことは言わないでね」
「分かってる。じゃあ、また連絡する」
優一は収穫があったので、女子の席に戻った。みんなお腹が満足したのか、鉄板の火は消されていた。
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