子猫を拾ったはずなんだけど

ぱるゆう

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誰?

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えっ!と思ったが、声が出なかった。僕は一人暮らし、他には誰もいないはずだ。

恐る恐る振り返ると、懐かしい制服を着た女の子が自分の方に歩いてきた。女の子は僕の隣に立って、皮を剥いたリンゴの半分の塊を手に取った。

そして、口に入れて、
「シャキッ」と音を立てて噛み切った。

「うん、やっぱりリンゴは、この音がないと食べた気がせんな」と満足そうに微笑んでいる。

「みっ、美弥ちゃん?」と僕は忘れられない名前を言った。

「なんだ。この女、美弥と言うのか」と女の子は言って、僕の方を向いた。

僕は信じられないと言う目をしながら、頷いた。

「お前の記憶の中にいた女の中で、一番輝いて見えたから、この女を選んだんじゃ。嬉しいか?」と女の子は、またリンゴを噛った。

「えっ?」

「好きだったんじゃろ?この女のこと」

僕は顔が赤くなった。その通り高校時代、部活のマネジャーだった美弥のことは好きだった。

「どうしてそれを?」

「さっきも言ったじゃろ。お前の記憶の中で一番輝いていた」

「記憶?どうやって?」

女の子は、リンゴを持っていない方の手で、僕の頭を押さえた。

「こうやって」

「はぁ?そもそも、お前は、どうやって部屋の中に入ったんだ?」

「何を言っておる。お前が入れてくれたんじゃないか」

「はぁ?僕は子猫しか・・・」僕はテーブルの上を見た。

いない・・・。

「あれ?子猫が」と言いながら、キッチンを離れて、部屋の中を探した。

「子猫ちゃん、どこ?」

ミャーコがいなくなった時の記憶が蘇ってくる。ベッド、お風呂場、トイレを探す。やはりいない。

部屋に戻って来て、部屋を見回す。泣き出しそうな顔になる。

また・・・か?

「何をしておるんじゃ?」と言って、女の子は最後のリンゴを口に入れた。

「子猫が、子猫がいたんだ。あぁ、また・・・」

「目の前におるではないか」

「えっ!どこ?」

「はぁ~、しょうがないのぉ。姿を変えるのは、かなり妖力を使うんじゃが」

女の子はぶつぶつと何かを言い始めた。

そして、くるりと横に一回転した。スカートの裾がフワリと浮かぶ。

「にゃ~あ」女の子がいた場所には、間違いなく昨日拾ってきた子猫がいた。


僕は声が出なかった。子猫は、僕の胸をめがけてジャンプした。僕は両手を組んで受け止めた。

子猫は僕を見上げながら、
「にゃ~お」と鳴いた。

「お前なのか?さっきの女の子は」

「にゃ~お」

「この姿だと話せないの?さっきの姿になれる?」

猫は頭を振って、床にジャンプした。
そして、また何かを呟いて、クルッとバク転した。

すると、さっきの女の子になった。
「ふぅ~、連続で姿を変えるのは疲れる」とキッチンにあった丸々一つのリンゴに齧りついた。

「リンゴ?リンゴが何か関係あるの?」

「あぁ、リンゴは妖力の元じゃ。リンゴを食べて妖力を貯めておるのじゃ」

「妖力?ってことは、化け猫?」

「そうじゃ、ワシは化け猫じゃ」女の子は淡々と言った。

「ええっ!」僕は大声で叫んだ。

「煩いのぉ」と女の子は顔をしかめながら、耳を塞いだ。

「どっ、どうして僕なんかに?」

「お前、猫のことを考えておったじゃろ」

確かに、その通りだ。
「ミャーコがいなくなって、寂しかったんだ」

「ミャーコというのか、新米は」

「新米?」

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