子猫を拾ったはずなんだけど

ぱるゆう

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公園

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部屋に入るとワンルームだった。

「ろくなものないわよ」と美弥は冷蔵庫を開いた。

僕は中を見て、
「大丈夫」と言った。

「悟史くん、嫌いなものは?」

「この中にはないから大丈夫」

僕が朝食を作ってる間、美弥は布団を片付けて、テーブルを出した。

ご飯は炊いてあったので、少し甘めにした出汁巻き玉子と、味噌汁、野菜炒めを作った。

「できたよ」

部屋のテーブルに運ぶ。

「美味しそう」と美弥は言った。

「どうかな?好みの加減が分からないから」

「いただきます」と言って、美弥は出汁巻き玉子を口に入れた。

「うん!優しい甘さ、出汁が丁度いい」

「良かった」

「お兄ちゃん、玉子美味しい」

「良かった」と悟史の顔を見ながら若菜は言った。

「流石ね」美弥が感心したように言う。

「まぁ、何年もやってるから」

「実家って、皆で何度か行った所よね?」

「うん、そう。妹も結婚して、僕が美弥ちゃ、・・・美弥達を連れて帰ると流石に狭いから、しばらくは向こうでもアパートかな。でも、加藤さん、あっ!この前僕と一緒にいた人」

「うん、分かる」

「加藤さんが店を建て替える気でいるから、新しい店は敷地の別の所に作って、今ある店を壊して住む家を作る感じかな?」

「それだとお金かかるんじゃない?」

「大丈夫だよ。お陰様で店は繁盛してるみたいだから」

「そうなの・・・、でも、私でいいの?子供もいるのに」

「何言ってるんだよ。僕は美弥だから結婚したいと思ったんだ。もし美弥と再会しなかったら、多分、しなかったと思う」

「今の私は高校生の私じゃないのよ」

「それなら僕だって、と言いたいところだけど、あんまり成長してないかも・・・」

「ううん。前はそんなに楽しそうに話さなかったわよ」

あっ!確かに何処か人生を諦めてたように生きていたし、あの事件のことで結婚しようなんて考えもしなかった。本当にユリのお陰だ。

「そうだった?」

美弥は頷いた。

朝食も終わり、テーブルを片付けて、
「近くに公園あるから、そこで遊んでくる。美弥は寝てて」

「本当にいいの?」

「昼頃には帰ってくるから」

「うん、ありがとう」

「悟史くん、公園行こう」と若菜はしゃがみながら言った。

「うん!」

公園に行くと、母親と小さい子供という組み合わせで、けっこう人がいた。

手を繋いでいる悟史の歩みが遅くなった。
「大丈夫だよ。ちゃんと順番守って仲良く遊ぼう」

「うん・・・」

公園の敷地に入り、
「まずは何がいい?」と若菜は言った。

「スベり台」

「よし、じゃあ、並ぼう」とスベり台まで行った。

悟史と手を繋いだまま順番を待った。

悟史の順番が来ると、若菜は滑り終わる所で待った。

悟史が上に見えると、
「悟史くん!」と手を振った。

悟史が滑べり降りて立ち上がる時に、抱き上げ、高い高いをした。

「もう一回!」と悟史が嬉しそうな顔を上げた。

また手を繋いで階段の所に行く。そして、また抱き上げるを2度繰り返した。

すると、
「ねぇ、おじさん」と声がかかった。

おっ、おじさん!と少なからずショックを受けながら振り向くと、小さい女の子だった。

「私にもやって」

母親達が談笑している方を見ると、話に夢中のようだ。

「悟史くん、一人で上れる?」

「・・・」

若菜は女の子に顔を向けて、
「この子は悟史くん。仲良くしてくれる?」

「うん」

「それならいいよ。さっ!悟史くんと一緒に上ってきて」

「行こ!」女の子が悟史と手を繋いで、階段に向かった。

まずは女の子が降りてきた。若菜は高い高いをして、一回回った。

「もう一回!」と女の子は階段に走って行った。

次の悟史にも同じことをする。

そして、また女の子、次も女の子・・'・

階段を見ると、いつの間にか増えていた。悟史もちゃんと並んでいる。止めるに止められない。

それから2周して体力の限界を迎えた。小さい子供と言えど、こっちは運動不足なんだ。

「ちょっと休ませて」と声をかけて、降りてきた悟史を連れて、母親達とは別のベンチに座ろうと思ったが、無性に喉が渇いた。自販機で悟史の分も買ってからベンチに座りお茶を飲んだ。

「ふぅ~」と一息つくと、

「まだ遊びたい!」と悟史が言った。

「ちょっと待ってて」

「遊んできていい?」

大丈夫なのか?
「いいけど、怪我しないようにね」

「うん!」と悟史は走って行った。それを目で追う。

怪我しないように、つい言ってしまったが、怪我をしないと危ないってことが分からないし、怪我の痛みも分からない。

僕もボクシングで加減が分からない頃は、相手を倒してしまった。ボクシングって相手を倒すものだろ、と言われてしまえばそうなのだが、僕は、誰かを傷つけたくて始めた訳じゃない。幸いアマチュアは、プロのようにKOしないと文句を言われることはない。相手のパンチは避けて、自分のパンチは当てる、その技術だけで評価してもらえる。もちろんヘナヘナパンチでは当てても評価されないので、当たる直前で力を抜く。そうやってきた。

見ていると、悟史は上手くやっているようだ。

やっぱり根本的に僕とは違う血筋のようだ。間違いなく、僕ならもう帰ろうと言ったはずだ。

実家の近くにも公園はある。周辺は工場関係者が住んでいることが多いので、公園で遊んでいても、多分、顔は見たことあるのだろう。

「よし!もう人踏ん張りだな」と呟いて立ち上がり、子供の輪の中に入っていった。

    
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