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「場所は言えないんだけど」と僕は切り出した。
「うんうん」2人は身を乗り出している。
「と言っても、あまりにも速く飛んだから、僕も覚えられなかったんだけどね」
「それで?」
もちろん核心部分は何一つ言えない。
「とても空気が澄んだところで、人がほとんど立ち入った様子もない。森が生い茂り、風で枝が擦れる音と色んな動物の鳴き声だけが聞こえるんだ」
「うん、そんな感じする」とサユリは言った。
「その森の中で一際大きい木があって、その枝の上に、ギンノジョウ様の家があったんだ」
「えっ、枝の上に家?」タカシが驚いたように言った。
「あんまり広くはないんだけどね。食事をする部屋と、他に寝る部屋が3つあった。部屋には大人が一人寝ると、いっぱいになっちゃうくらいのベッドがあって、他には、小さなタンスがあるくらいの狭い部屋」
「うわぁ、私も泊まってみたい」
「僕もだよ」
「近くに川が流れてて、そこで水浴びするんだけど、動物達も水を飲みに来てて。邪魔しないように静かに入るんだ」
「裸で?」サユリが言った。
「もちろん」
「それは恥ずかしいかも」
「でも、夜は真っ暗だし、本当に静か過ぎて、木の枝のザワザワする音だけで、ビクッとしちゃうよ」
「それも嫌だわ」サユリが両手で自分の体を抱えた。
「誰かに見られるわけじゃないし、動物が見るくらいだから、すぐに慣れるよ」
「そうかなぁ」
「それで、どんなことしたんだい?」前置きはもういいと言わんばかりに、タカシが身を乗り出した。
「ギンノジョウ様が僕の身体を調べて、こう言ったんだ」
僕は2人の顔を見て、少し勿体つけた。
「何かが魔力の放出を妨げているって」
「そのせいで、ユウタは魔法を余り使えなくなっていたの?」とサユリ。
「うん。僕の状態が特殊すぎて、ギンノジョウ様も、よく原因が分からなかったみたい。だけど、この場所は魔力に満ちているから、ここで過ごせば、自然とその原因も無くなるんじゃないかって言ってた」
「それで、特別に何かやったの?」
「そこに生えている木の実や草を食べて、少しだけ魚を食べた。たまにギンノジョウ様が、特別な回復魔法をかけてくれた。それくらいかな」
「なんだ」2人は背もたれに背中を付けた。
あれ?話し方失敗したかな?
「そこの木の実や草は、たくさんの魔力を含んでいるって言ってたよ」
「サナエ様も一緒だったんだよね?」
「うん。サナエ様、大変だったんだよ。毎晩、僕のベッドに潜り込んでくるし。本当に何しに来たのか、分からなかったよ」と調子に乗って話し終えて、ヤバっと思った。
案の定、2人は目を見開いている。
「ベッドに」とサユリが言うと、
「毎晩」とタカシが続いた。
「へっ、へんな誤解しないでよ。添い寝してただから、ホントにそれだけ。ちゃんと服も来てたし。サナエ様のオッパイが柔らかかったなんて知らないから」また、余計なことを口走ってしまった。
「柔らかかったんだ」サユリの声が低く変わった。
「だって、ずっと僕のこと抱きしめてきたんだから、しょうがないだろ」
サユリの冷たい視線に耐えきれずに下を向いた。
「まぁまぁ、でも、その魔力を抑えていた原因がなくなったんでしょ?良かったじゃん」タカシが助け舟を出してくれた。
「そっ、そうなんだよ。でも、やっとDランクだし」
「前も言っただろ。ユウタには必要ないって」
「そうなんだけどね」
まだサユリの顔は不機嫌そうだ。
「あっ!サユリ、久しぶりにお菓子作って持ってくるよ」
「えっ!ホントに!」サユリの顔が明るくなった。毎回困ったら、この手しかない。
サユリの機嫌が良くなったので、帰ることにした。
先にタカシと別れる。
「でも、無事に帰ってきて良かった。こんなに長くかかるとは思わなかったわ」
「心配させて、ごめんね」
サユリの家の前に着いた。
「私のも触る?」とサユリ
「えっ?」
「何でもない。また明日ね」とサユリは走って家に入った。
サユリの後ろを姿を見送ってから、僕は歩き始めた。
「どうすればいいんだろう?サユリがちゃんと言ってきたら。サユリの願いを叶えてあげるべきなのだろうか?」
こんなこと悩んだところで、答えなんか出るわけもない。ましてや先生に、いい?って聞くわけにもいかない。
僕としてはタカシとうまくいって欲しい。それがサユリにとって一番幸せだと思う。
「うんうん」2人は身を乗り出している。
「と言っても、あまりにも速く飛んだから、僕も覚えられなかったんだけどね」
「それで?」
もちろん核心部分は何一つ言えない。
「とても空気が澄んだところで、人がほとんど立ち入った様子もない。森が生い茂り、風で枝が擦れる音と色んな動物の鳴き声だけが聞こえるんだ」
「うん、そんな感じする」とサユリは言った。
「その森の中で一際大きい木があって、その枝の上に、ギンノジョウ様の家があったんだ」
「えっ、枝の上に家?」タカシが驚いたように言った。
「あんまり広くはないんだけどね。食事をする部屋と、他に寝る部屋が3つあった。部屋には大人が一人寝ると、いっぱいになっちゃうくらいのベッドがあって、他には、小さなタンスがあるくらいの狭い部屋」
「うわぁ、私も泊まってみたい」
「僕もだよ」
「近くに川が流れてて、そこで水浴びするんだけど、動物達も水を飲みに来てて。邪魔しないように静かに入るんだ」
「裸で?」サユリが言った。
「もちろん」
「それは恥ずかしいかも」
「でも、夜は真っ暗だし、本当に静か過ぎて、木の枝のザワザワする音だけで、ビクッとしちゃうよ」
「それも嫌だわ」サユリが両手で自分の体を抱えた。
「誰かに見られるわけじゃないし、動物が見るくらいだから、すぐに慣れるよ」
「そうかなぁ」
「それで、どんなことしたんだい?」前置きはもういいと言わんばかりに、タカシが身を乗り出した。
「ギンノジョウ様が僕の身体を調べて、こう言ったんだ」
僕は2人の顔を見て、少し勿体つけた。
「何かが魔力の放出を妨げているって」
「そのせいで、ユウタは魔法を余り使えなくなっていたの?」とサユリ。
「うん。僕の状態が特殊すぎて、ギンノジョウ様も、よく原因が分からなかったみたい。だけど、この場所は魔力に満ちているから、ここで過ごせば、自然とその原因も無くなるんじゃないかって言ってた」
「それで、特別に何かやったの?」
「そこに生えている木の実や草を食べて、少しだけ魚を食べた。たまにギンノジョウ様が、特別な回復魔法をかけてくれた。それくらいかな」
「なんだ」2人は背もたれに背中を付けた。
あれ?話し方失敗したかな?
「そこの木の実や草は、たくさんの魔力を含んでいるって言ってたよ」
「サナエ様も一緒だったんだよね?」
「うん。サナエ様、大変だったんだよ。毎晩、僕のベッドに潜り込んでくるし。本当に何しに来たのか、分からなかったよ」と調子に乗って話し終えて、ヤバっと思った。
案の定、2人は目を見開いている。
「ベッドに」とサユリが言うと、
「毎晩」とタカシが続いた。
「へっ、へんな誤解しないでよ。添い寝してただから、ホントにそれだけ。ちゃんと服も来てたし。サナエ様のオッパイが柔らかかったなんて知らないから」また、余計なことを口走ってしまった。
「柔らかかったんだ」サユリの声が低く変わった。
「だって、ずっと僕のこと抱きしめてきたんだから、しょうがないだろ」
サユリの冷たい視線に耐えきれずに下を向いた。
「まぁまぁ、でも、その魔力を抑えていた原因がなくなったんでしょ?良かったじゃん」タカシが助け舟を出してくれた。
「そっ、そうなんだよ。でも、やっとDランクだし」
「前も言っただろ。ユウタには必要ないって」
「そうなんだけどね」
まだサユリの顔は不機嫌そうだ。
「あっ!サユリ、久しぶりにお菓子作って持ってくるよ」
「えっ!ホントに!」サユリの顔が明るくなった。毎回困ったら、この手しかない。
サユリの機嫌が良くなったので、帰ることにした。
先にタカシと別れる。
「でも、無事に帰ってきて良かった。こんなに長くかかるとは思わなかったわ」
「心配させて、ごめんね」
サユリの家の前に着いた。
「私のも触る?」とサユリ
「えっ?」
「何でもない。また明日ね」とサユリは走って家に入った。
サユリの後ろを姿を見送ってから、僕は歩き始めた。
「どうすればいいんだろう?サユリがちゃんと言ってきたら。サユリの願いを叶えてあげるべきなのだろうか?」
こんなこと悩んだところで、答えなんか出るわけもない。ましてや先生に、いい?って聞くわけにもいかない。
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