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寿璃叶の家
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「確かこの辺りだと思うんだけど」と晴菜はスマホの地図を見ながら、辺りを見回した。
どの家も塀が高く、その塀は長く続いている。
自分が住んでいる所ならまだしも、都内でこんなに広い家があるんだ、と晴菜は驚きながら歩いてきていた。
すると、『泉』と書かれた表札を見つけた。スマホを見ても、ここで間違いなさそうだ。
やはり門は大きかった。
「うわっ!こんな家なのか?もしかして寿璃叶ってお嬢様なのか?僕が入って大丈夫なのかな?」そう呟きながら、恐る恐るインターホンを押した。
「はい」と女の子の声がしたが、寿璃叶ではなさそうだった。
「九條ですけど」とインターホンのカメラに少し顔を近づけた。
「あっ!お姉ちゃんから聞いてます。今、門を開けるので、入って来てください」
すると、ガチャっと音がして、門が勝手に少し開いた。
「お邪魔しま~す」と晴菜は呟きながら、門を押して中に入った。晴菜が門を通り過ぎると、後ろでまたガチャッと音がした。
晴菜はビクッとして後ろを振り返った。門が閉まった音らしい。
晴菜は、ふぅ~と息を吐き、顔を前に向けた。
そんなに広い訳では無いが、ちゃんと遊べるくらいの庭があった。そして、家を見ると、やはり大きかった。
家の玄関が開いて、さっきの声の主らしき女の子が顔を出した。
晴菜は早歩きで近づいた。すると、女の子は扉を大きく開いたが、晴菜が目の前に来ると、
「あっ!」と言って扉を離して家の中に駆け込んで行った。
慌てて晴菜は扉を押さえた。
「お姉ちゃん!あんなに背が高いって聞いてない!」と声がした。
「別に身長で選んだわけじゃないわよ。たまたま背が高かっただけ」と寿璃叶の声がした。
「お姉ちゃんなら、もっと小さくたって、いいじゃん!」
「だから・・・」
「いいなぁ、いいなぁ、背が高い彼氏」
「そんなことより、晴菜はどうしたの?」
「あっ!」
「もういいわ。私が行くから」と声がしたかと思うと、廊下の右側ドアが開いて、寿璃叶が現れ、
「いらっしゃい」と言った。
その後ろに、さっきの女の子が隠れているつもりなのか立っていたが、寿璃叶より遥かに身長が高く、全く隠れていなかった。
「入ってもいいの?」と晴菜は申し訳なさそうに言った。
「入らないなら、何しに来たの?」
「それはそうなんだけど」
「いいから早くしなさい」寿璃叶は呆れるように言った。
「はい」と晴菜は玄関の中に入って扉を閉めた。
「鍵かけて」
「はい」と晴菜は扉の鍵をかけた。
廊下には、スリッパが置いてあった。
「スリッパくらい使い方は知ってるでしょ?」
「うん」晴菜は靴を脱いで、身体の向きに変えて揃え、スリッパを履いた。
寿璃叶は背中を向けて、開いたドアに向かった。
ドアの中に入ると、人形作りの作業場よりも広いのではないかと思えた。
「うわっ!広い」
「そう?」
テーブルも10人は座れるのではないか、という大きさだった。
「ここに座って」と寿璃叶は椅子を引いた。
テーブルには、お菓子と紅茶が置かれていた。
「紅茶でいい?」
「うん」と言いながら晴菜は椅子に座った。
向かい側に寿璃叶と女の子が座った。
「妹の杏寿《あんじゅ》よ」
「初めまして」と杏寿は頭を下げた。
「九條晴菜です」と晴菜も頭を下げながら言った。
「妹さんって何年生?」
「中3よ」
「中学生!」晴菜は驚いて大きな声を出して、杏寿を見た。身長もそうだが、胸で服が前に盛り上がっていた。
「煩いわね!近所迷惑よ。全く。それに何処見てるのよ!」
「ごめん・・~」晴菜は視線を寿璃叶に向けた。
「それにしても大きな家だね」
「そうなの?別に普通だと思うけど」
「僕の家に来たじゃん」
「あなたの家も大きかったじゃない」
「あれは人形を作る作業場があるからだよ。住む方は狭いよ」
「そう?お風呂は広かったけど」
「あっ!寿璃叶!」妹の前で何てことを言うんだ、と言う気持ちで言った。
「まぁ、いいわ」
「こんな広い部屋、掃除とかはどうしてるの?」
「いつもは家政婦さんがいるんだけど、今日は休んでもらってる」
「そうだよね・・・、両親は?」
「地方公演に行ってるわ。だから、しばらく帰って来ない」
「公演?」
「あら?言ってなかったかしろ。私達の親、舞台俳優なのよ」
「えっ!聞いてないよ。ごめん、僕、ほとんどテレビとか見ないから」
「舞台だから、そんなにテレビには出てないけど、けっこう忙しく全国を回ってるわ」
「そうなんだ・・・、もしかして有名?」
「そうみたいね。一応2人とも主役やってるから」
「えっ!ちなみに、僕のことは・・・」
「まだ言ってないわ」
「僕で大丈夫なのかな・・・」
「私が誰の子供でも関係ないし、別にあなたに贅沢をさせて欲しいとは思ってない。普通に家事できるわよ」
「贅沢はちょっと・・・」
「だから、いいって言ってるでしょ。それに私は私でちゃんと稼ぐつもりだから」
「寿璃叶もそっちの関係で?」
「違うわよ。私は小さ過ぎるし、杏寿は大き過ぎる。小学生までは私達も色々やらされたけど、今は好きにしていいって言われてるわ」
隣で杏寿が頷いている。
「でも、あなたもちゃんと1人前になってよね?」
「はい、一生懸命頑張ります・・・」
「じゃあ、私の部屋に行きましょうか」
「えぇっ!もっと話聞きたい」と杏寿が言った。
「やることがあるって言ったでしょ?」
「それは聞いたけど・・・」
「夕飯は一緒に食べるから」
「分かったよぉ・・・」
テーブルのお菓子を分けて、飲み物と一緒に寿璃叶の部屋に行った。
どの家も塀が高く、その塀は長く続いている。
自分が住んでいる所ならまだしも、都内でこんなに広い家があるんだ、と晴菜は驚きながら歩いてきていた。
すると、『泉』と書かれた表札を見つけた。スマホを見ても、ここで間違いなさそうだ。
やはり門は大きかった。
「うわっ!こんな家なのか?もしかして寿璃叶ってお嬢様なのか?僕が入って大丈夫なのかな?」そう呟きながら、恐る恐るインターホンを押した。
「はい」と女の子の声がしたが、寿璃叶ではなさそうだった。
「九條ですけど」とインターホンのカメラに少し顔を近づけた。
「あっ!お姉ちゃんから聞いてます。今、門を開けるので、入って来てください」
すると、ガチャっと音がして、門が勝手に少し開いた。
「お邪魔しま~す」と晴菜は呟きながら、門を押して中に入った。晴菜が門を通り過ぎると、後ろでまたガチャッと音がした。
晴菜はビクッとして後ろを振り返った。門が閉まった音らしい。
晴菜は、ふぅ~と息を吐き、顔を前に向けた。
そんなに広い訳では無いが、ちゃんと遊べるくらいの庭があった。そして、家を見ると、やはり大きかった。
家の玄関が開いて、さっきの声の主らしき女の子が顔を出した。
晴菜は早歩きで近づいた。すると、女の子は扉を大きく開いたが、晴菜が目の前に来ると、
「あっ!」と言って扉を離して家の中に駆け込んで行った。
慌てて晴菜は扉を押さえた。
「お姉ちゃん!あんなに背が高いって聞いてない!」と声がした。
「別に身長で選んだわけじゃないわよ。たまたま背が高かっただけ」と寿璃叶の声がした。
「お姉ちゃんなら、もっと小さくたって、いいじゃん!」
「だから・・・」
「いいなぁ、いいなぁ、背が高い彼氏」
「そんなことより、晴菜はどうしたの?」
「あっ!」
「もういいわ。私が行くから」と声がしたかと思うと、廊下の右側ドアが開いて、寿璃叶が現れ、
「いらっしゃい」と言った。
その後ろに、さっきの女の子が隠れているつもりなのか立っていたが、寿璃叶より遥かに身長が高く、全く隠れていなかった。
「入ってもいいの?」と晴菜は申し訳なさそうに言った。
「入らないなら、何しに来たの?」
「それはそうなんだけど」
「いいから早くしなさい」寿璃叶は呆れるように言った。
「はい」と晴菜は玄関の中に入って扉を閉めた。
「鍵かけて」
「はい」と晴菜は扉の鍵をかけた。
廊下には、スリッパが置いてあった。
「スリッパくらい使い方は知ってるでしょ?」
「うん」晴菜は靴を脱いで、身体の向きに変えて揃え、スリッパを履いた。
寿璃叶は背中を向けて、開いたドアに向かった。
ドアの中に入ると、人形作りの作業場よりも広いのではないかと思えた。
「うわっ!広い」
「そう?」
テーブルも10人は座れるのではないか、という大きさだった。
「ここに座って」と寿璃叶は椅子を引いた。
テーブルには、お菓子と紅茶が置かれていた。
「紅茶でいい?」
「うん」と言いながら晴菜は椅子に座った。
向かい側に寿璃叶と女の子が座った。
「妹の杏寿《あんじゅ》よ」
「初めまして」と杏寿は頭を下げた。
「九條晴菜です」と晴菜も頭を下げながら言った。
「妹さんって何年生?」
「中3よ」
「中学生!」晴菜は驚いて大きな声を出して、杏寿を見た。身長もそうだが、胸で服が前に盛り上がっていた。
「煩いわね!近所迷惑よ。全く。それに何処見てるのよ!」
「ごめん・・~」晴菜は視線を寿璃叶に向けた。
「それにしても大きな家だね」
「そうなの?別に普通だと思うけど」
「僕の家に来たじゃん」
「あなたの家も大きかったじゃない」
「あれは人形を作る作業場があるからだよ。住む方は狭いよ」
「そう?お風呂は広かったけど」
「あっ!寿璃叶!」妹の前で何てことを言うんだ、と言う気持ちで言った。
「まぁ、いいわ」
「こんな広い部屋、掃除とかはどうしてるの?」
「いつもは家政婦さんがいるんだけど、今日は休んでもらってる」
「そうだよね・・・、両親は?」
「地方公演に行ってるわ。だから、しばらく帰って来ない」
「公演?」
「あら?言ってなかったかしろ。私達の親、舞台俳優なのよ」
「えっ!聞いてないよ。ごめん、僕、ほとんどテレビとか見ないから」
「舞台だから、そんなにテレビには出てないけど、けっこう忙しく全国を回ってるわ」
「そうなんだ・・・、もしかして有名?」
「そうみたいね。一応2人とも主役やってるから」
「えっ!ちなみに、僕のことは・・・」
「まだ言ってないわ」
「僕で大丈夫なのかな・・・」
「私が誰の子供でも関係ないし、別にあなたに贅沢をさせて欲しいとは思ってない。普通に家事できるわよ」
「贅沢はちょっと・・・」
「だから、いいって言ってるでしょ。それに私は私でちゃんと稼ぐつもりだから」
「寿璃叶もそっちの関係で?」
「違うわよ。私は小さ過ぎるし、杏寿は大き過ぎる。小学生までは私達も色々やらされたけど、今は好きにしていいって言われてるわ」
隣で杏寿が頷いている。
「でも、あなたもちゃんと1人前になってよね?」
「はい、一生懸命頑張ります・・・」
「じゃあ、私の部屋に行きましょうか」
「えぇっ!もっと話聞きたい」と杏寿が言った。
「やることがあるって言ったでしょ?」
「それは聞いたけど・・・」
「夕飯は一緒に食べるから」
「分かったよぉ・・・」
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