女子高生コスプイヤーは恋をする

ぱるゆう

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夏凛の部屋

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ヤバイ!どうしよう?と晴菜は焦った。嘘をついて早退してしまったからだ。

「九條くん。いるんでしょ?」とインターホンの向こうから声がした。

晴菜は観念して、
「はい」と答えた。

「やっぱり。早く開けて」

晴菜は悩んだが、やっぱり自分なんかより友達の方がいいに決まってると思い、ロックを解除した。

そして、玄関のチャイムが鳴り、ドアを開いた。
「どう?夏凛」

「解熱剤は飲ませました。あと、お粥も少し食べました」

「着替えさせた?」と同級生は言って、すぐに、
「さすがに無理か」と言った。

晴菜は頷いた。

「お粥ってレトルトの?」

「いえ、僕が作りました」

「えっ?お粥なんて作れるんだ?凄いじゃん」とキッチンに置いてあった鍋のフタを開けた。

「うっわ、美味しそう」

「起きたら、食べられるように冷蔵庫に・・・」

「分かった。食べたいって言ったら、食べさせるから」

「えっ?」

「大丈夫、学校にも家にも、ちゃんと言ってあるから。嘘はつかないでね」

「それは・・・」

「フフフッ、ホントに真面目ね。言わないから大丈夫よ。夏凛のことありがとう。心配してくれて」

「僕なんかより、友達が来てくれた方がいいって分かってるんですけど」

「何それ?九條くんって、周りで咳してたら、誰でも看病するの?」

「えっ!そんなことできるわけないじゃないですか」

「じゃあ、夏凛にはなぜ看病に来たの?」

「心配だったから・・・」

「じゃあ、心配なら、誰でも学校サボってまで看病するんだ?」

「そういうわけじゃ・・・」

「九條くんが、何がしたくて何がしたくないのか分かんないよ。けど、夏凛のことは、学校をサボってまで看病したかった。その気持ちはよく分かったわ」

「・・・」

「はいはい。後は任せて。夏凛の看病するの慣れてるから」

「ぼっ、僕にできることはないですか?」

「フフフッ、ちゃんと言えるじゃん。自分の気持ち。でも、残念ながら、今必要なのは着替えかな?後は、様子を見てお風呂」

「そうですよね。分かりました。帰ります」

「うん、ありがとう。また何かあったら助けてあげて」

晴菜は頷いて、部屋を出た。

ダメだ。昨日、寿璃叶と自分の気持ちについて話したのに。すぐ前に戻ってしまう。ちゃんと意識してないとダメだな。



その頃、同級生は洗面器にお湯とタオルを持って、夏凛の部屋に行った。

布団を剥いで、
「夏凛、着替えるわよ」と言った。

「うん、九條くん、私も」と夏凛は寝言を言った。

「ん?どういうこと?どんな夢見てるのよ」同級生は無理矢理上着を引っ張った。

「キャッ!」と夏凛は目を開いた。

「なんだ、大里空《ダリア》か・・・」

「何だって何よ。九條くんの方が良かった?」

夏凛は、昨日のことを思い出した。
「そういう訳じゃないけど・・・」

「ほら、着替えるよ。こんなにびっしょり汗かいて、風邪治んないよ」大里空は上着を引っ張った。夏凛は素直に脱がされた。

大里空は、タオルを絞って夏凛の背中を拭き始めた。
「はぁ~、気持ちいい」と夏凛は言った。

「九條くん、2時間目が終わったら、お腹痛いから早退するって先生に言って」

「あっ、そうだよね。まだ学校の時間だよね?」

「私はいつも通り、ちゃんと先生に言ってきたわよ」

「九條くん、そんなことを・・・」

「どうなの?コスプレの衣装のことで、仲良くしてたみたいだけど」大里空はまたタオルを濡らして絞り、腕を拭き始めた。

また夏凛は昨日のことを思い出した。
「でも、九條くん、彼女いるみたい」

「えっ!冗談でしょ!」大里空は驚いて言った。

夏凛は首を振った。
「可愛い女の子。確か年上なんじゃないかな」

「なるほど年上ならありかもしれない」大里空は何となく納得できたようだ。

「でも、それでも夏凛のこと心配で、学校をサボってまで来てくれたんだよ。有り難く思いなさい」

夏凛は弱々しく頷いた。

またタオルをお湯につけて絞り、夏凛の胸を拭き始めた。
「また大っきくなった?」

「そんなことないわよ」

「太ってないよね?バイト大丈夫なの?」

「太ってま~せ~ん!」夏凛は頬を膨らませた。

「夏凛は食べるの好きだから心配だよ」

「若いから平気ですぅ」

「お粥、美味しかった?」

「あんまり味が分からなかったんだけど、優しい味がした」

「九條くんの優しさかもしれないわね。先に上を着るわよ」大里空はクローゼットに行って、新しいティシャツとスエットを出して、着せた。

更に布団を剥いで、夏凛の下を脱がせた。

またタオルでお腹とお尻を拭く。
「本当に小さいお尻で羨ましいわ」

「大里空だって、そんなに大きくないじゃん」

「このツンって上がってるのがいいの」と拭き終わったお尻を撫でた。

「キャッ!もぉ」

「フフフッ、次は足ね」
またタオルを絞って拭いた。

「さっ、終わったわ」

「ありがとう。さっぱりした」

大里空は下の服を着せた。
「アイス食べる?」

「うん、食べるぅ」

大里空はキッチンに行って、アイスと風邪薬を持ってきた。

夏凛は、アイスをスプーンで掬って、
「うん!やっぱり熱がある時は、アイスに限る」

「だいぶ元気になったみたいね」

「薬飲んだからかな?」

「解熱剤だから、治ったわけじゃないからね。後で風邪薬飲みなさい」

「うん」

大里空は何気なく部屋の中を見回した。
「あっ?それ?九條くんが作った衣装って」大里空は指差した。

「うん、そう」


大里空は近くで見た。
「へぇ~、とても手作りとは思えないわね」

「うん、とっても丁寧に作ってくれた」

「九條くんのことだから、夏凛の喜ぶ顔を見たくて、作ったんだろね」




~回想シーン~

初めて晴菜の部屋で衣装を着て、化粧をしてもらった夏凛。

「どう?雫たんになってる?」と夏凛は不安そうに言った。

「はい!ちゃんと雫たんになってます」と嬉しそうな顔の晴菜。

「ホントに?」

「はい、立派に雫たんです」

夏凛は鏡を覗き込んだ。
顔がみるみる笑顔になっていく。
「雫たんだ!」と夏凛は叫んだ。

その姿を嬉しそうに見つめる晴菜。

「九條くん、ありがとう!私、雫たんになれた!」夏凛の目に涙が浮かんだ。

「ダメですよ。せっかく雫たんになれたんですから、泣いてる暇なんてありません」九條はハンカチで涙を優しく拭いた。

「うん!」

~回想シーン終わり~



「うん、私が喜んでたら、九條くんも同じくらい喜んでくれた」

「また作ってもらうの?」

「作ってくれるかな・・・」夏凛は下を向いた。

「夏凛らしくないぞ。楽しいことは全部やりたいのが、夏凛でしょ?それに、夏凛と付き合いたいから、作ってくれたんじゃないなら、別に気にすることないじゃん」

「そうなんだけどね」

「何?何かあったの?」

夏凛は、電車の中で晴菜に言われたことを思い出した。そして、お風呂場であの子に言った晴菜の声も。

「別に何もないけど・・・」

「言いたくないなら聞かない」

「ごめん。気持ちの整理がつかない」

「分かった。少し寝なさい。はい、風邪薬」

夏凛は水で薬を飲んだ。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

大里空は夏凛に布団を掛け、部屋を出ていった。

「九條くん・・・」そう呟いて、すぐに眠りに落ちた。

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