女子高生コスプイヤーは恋をする

ぱるゆう

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校門の前で

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そして、水曜日になった。

晴菜は、寿璃叶が通う高校がある駅に着いた。

駅には、初めて出会った時に寿璃叶が着ていた制服と同じ制服を着た女の子達がホームに溢れていた。駅を出ても学校までの道には、制服姿の女の子達が並んで歩いていた。

この周辺に住んでいる以外の男子高校生は、この道を歩かないんだろうと晴菜は思った。

当然のように、晴菜はチラチラと女の子達から見られた。

この身長は目立つから本当に嫌だ、と晴菜は思いながら歩いていた。すれ違う時だけでなく、遠くから自分の方に歩いてくる女の子達とも目が合う。

当然のことながら、女の子達が歩いてくる方向に向かえば道を間違えることはない。そして、校門に到着した。

晴菜はキョロキョロとあたりを見回した。しかし、寿璃叶はいなかった。

まだ終わってないのか・・・。晴菜は仕方なく校門とは道を挟んで反対側の道の壁に寄りかかった。

道と言っても、車が2台すれ違うくらいの道幅だ。校門を次々と出てくる女の子達が自分を見ながら通り過ぎていくことは分かる。

こんなあからさまに校門の前にいるということは、不審者か、この高校の中の誰かを待っているかの2択しかないだろう。

早く来て、と晴菜は思った。

そして、約10分後、5人くらいの女の子と一緒に寿璃叶が歩いてきた。

寿璃叶は、
「今日は用があるから」と他の女の子達に言って、一人高校の前にある横断歩道の信号を待った。他の女の子達は駅へと向かった。

やっと来たか、と思うよりも、大丈夫なのか?と晴菜は思っていた。

信号が変わり、寿璃叶が来た。
「お待たせ。早かったのね」

「寿璃叶のこと持たせたら悪いと思って」

「私の学校なんだから、別に平気なのに」

「そんなことより、大丈夫なの?」

「何のこと?」

「校則で男女交際禁止とか」

「もちろん、そうよ」

「えっ!それなら、こんな所で待ち合わせたら」

「一度やってみたかったの。彼氏ができたら。嫌だった?」

「嫌だと言えば、嫌かな。動物園にいる動物達の気持ちが分かったから」

「この駅には、この高校しかないから、違う征服が珍しいだけよ」

「本気で言ってる?」

「あら?あなたにしては勘がさえてるわね。そうよ、あなたのこと自慢したかったの」

「僕なんて自慢になるわけないじゃないか。頭のいい高校の制服じゃないんだから」

「まぁ、いいわ。行きましょう」と寿璃叶は手を繋いできた。

「まだ他の子達歩いてるよ」

「いいの。見せつけてるんだから」

「はぁ~」と晴菜は頭を振って、視角の幅を狭くして、真っすぐ前だけ見た。

「次からは駅にして欲しいんだけど」

「駅の方がかえって目立つわよ」

「ううっ!他の駅で」

「私は少しでも早く会いたいわ」

「うっ!・・・、僕も」



駅に着き、電車に乗る。当然、電車の中にも制服姿の女の子達はいる。

晴菜は、寿璃叶をドア側にして、ドアの方を向く。

「晴菜」と言って、寿璃叶は顎を上げる。

「できると思う?」

「早く」

「無理だって」

「したくないんだ?」

「僕で遊んでるでしょ?」

「うん」と寿璃叶は頷いた。

「止めてください」

「しょうがないわね」

「あっ!」と晴菜は呟いた。

「どうしたの?」

「姫川さんに生地買いに行く時に言ってって言われてたのに」

「姫川さんって、この前の子?」

「うん、寿璃叶がジュジュだって話したら、会いたいって」

「はぁ?あんな所を見られたのに?」

「僕もそう思ったんだけど、姫川さんって好きなものには妥協しない人なんだ」

「私は嫌よ。前も言ったけど、自分のためにコスプレしてるだけなんだから」

「それは分かってるんだけど、流石に今日は無理だから、仮縫い終わってサイズ確認する時は、お願い」と寿璃叶の前で手を合わせた。

「えっ!もぉ、分かったわよ」

「良かった。ありがとう、寿璃叶」

「しょうがないわね。じゃあ、キス」寿璃叶は顎を上げた。

「本気?」

「早く」

「軽くだよ」

「分かったから、早く」

晴菜は身体を屈めて、唇を軽く合わせた。

「みんな見てるわよ」

「えっ!」晴菜は怖くて周りが見れなかった。

「フフフッ、冗談よ」

「本当にこんなことして大丈夫なの?」

「もしかしたら怒られるかも」

「それなら無理しなくたって」

「いいのよ。こんなことして嬉しいなんて今しかないんだから。大人になったら、顔も見たくなくなってるかもしれないし」

「僕は、絶対にそんなことにはならない」

「太ってブスになってるかもよ」

「そんなことくらいじゃ嫌いにならない。でも、健康的じゃないなら、注意する。僕より先に寿璃叶がいなくなるなんて嫌だ」

「晴菜を残して死ぬなんて、心配で死んでも死に切れないわ。化けて出るかも」

「一緒にお墓に入る」

「止めて。子供はどうするの?」

「だから、おじいちゃん、おばあちゃんになるまで一緒にいる」

「はいはい。頑張るわ」

そして、生地の店に入った。
「うわぁ、凄いわね」と寿璃叶は嬉しそうな声を出した。

「僕も初めて来た時は、ビックリしたよ」

「この中から選ぶの?大変じゃない?」

「ゆっくり選ぼう。時間はあるんだし」

「そうね」

晴菜達は店の中をゆっくりと見て回った。
「この合皮っぽいのにするか?さっき見たベルベット、メルトンって所かな」

「う~ん。軽さなら、この合皮ね」

「とりあえず、これにする?もし作ってみて違ったら、他のでまた作ればいいし」

「そんな、大変じゃない」

「寿璃叶のためなら、何度だって作るよ」

「でも、もう一回見てきていい?」

「うん、行こ」と店の中を何度も周り、やっぱり合皮にすることにした。

「コートの生地はどうする?」

「またにしよ。まずは服だけ作って」

「うん」

後は、金色のボタンとアクセント部分の生地、パニエを選んで買って店を出た。

「やっぱりイチから作るって大変ね」

「元がアニメや漫画だからね。作ってる人達は、そんなことされるとは思ってないだろうし」

「フフフッ、確かにそうね。この服ってどんな生地ですか?って聞かれたら困りそうね」

「見る人によって全然違うだろうね。寿璃叶には寿璃叶の正解がある」

「それを改めて聞かれると困るけど」

「まぁ、下駄も履くまで分からないって言うし。生地だけ見ても分からない。出来上がって初めて分かる。だから、遠慮なく言って」

「ありがと。晴菜」

「僕も楽しみだよ。寿璃叶のコスプレ姿」

「晴菜は着てない方がいいんでしょ?」

「どっちも好きだよ。寿璃叶なら」

「バカ・・・」

「フフフッ」
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