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山上家
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いつもの通り、私と楓が隣に、向かい側に両親が座る。
「近い内に、向こうの両親と会うことにしたわ」
「僕も一緒に行って、ちゃんと挨拶してくる」
「それから、うちにも来てもらう」
「うん、分かったわ」
「それでね。私達もずっと知らなかったんだけど、大変なことが分かったの。それを話すから、驚かないでね」
両親は顔を見合わせた。2人とも眉間にしわが寄っている。
「まず、向こうは3人兄弟で、一番上のお姉さんが、楓の相手の小百合さん。2番目もお姉さんで、あら?そういえば、聞いたことないわ。何やってるんだろう」
「大丈夫なの?」
「今度、聞いておく。それで、最後が私の相手の真司さん」
「そこまでは分かったわ。それで、何なのよ、大変なことって」
「実はね。この兄弟の親が」
両親が私を見つめる。これから、この2人が驚くと思うと、少し楽しくなってきた。
「姉ちゃん、楽しむな」楓にはバレていた。
「◯▲エレクトロニクスの社長なんだって」
両親はしばらく絶句した。お互いに顔をみながら、口をパクパクとさせている。
やっと母さんが言葉を発した。
「そんな大切なことも知らずに付き合ってたの?」
「だって、真司さんもいい歳だし、親とか全然気にしなかったから」
「でも、真司さん?が次の社長になるかもしれないんでしょ」
「そうみたい」
両親は顔を見合わせて、2人とも背もたれに寄りかかった。
仲がいいわね、私は場違いなことを思った。
「本当に大丈夫なの?あなたで」
「それは分かんないよ。これから会うんだし」
「はぁ、こんなことなら、どこに出しても恥ずかしくないように育てれば良かった」
「ちょっと!失敗したみたいに言わないでよ。でも、父さんと母さんが産んでくれたから、私は幸せになれる。感謝してるよ」
「そう?それならいいんだけど。ねぇ、お父さん」
「まぁ、花音も言った通り、お互いにいい歳なんだから、私達からは何も言わない。ただ、私達の子供であることには変わりはない。いつ帰って来てもいいからな」
「お父さん、それはちょっと早すぎるわね」母さんがツッコミを入れた。
「そうか?」父さんは少し照れた。
「まだ、この家、出ていかないからね」私は念の為言っておいた。
「仕事は、どうするの?」母さんがいった。
「しばらくは続けようと思ってる」
「えっ!今の職場で?」
「うん」
「結婚生活、大丈夫なの?私が家事するんじゃないのよ」
「分かってるよぉ。無理だったら辞めるから」
「はいはい。それで、楓の相手の、小百合さんだっけ?大丈夫なの?」
「うん、僕のこと、信じてくれるって」
「そう。それにしても、花音、楓も何着てくのよ」
「私は真司さんと買いに行く」
「僕は制服かな」
「あっそうね。楓はそれでいいわね。花音は任せるしかないけど、少しは普段から気にしなさいよ」
「は~い」
「それにしても、お父さん、どうする?この家に来られても」
「そんなこと言ったって、店を取るにしても、中途半端な店じゃダメだぞ」
「あぁ、そうね」
「父さん達、別にいいから。中途半端なことしてる方が恥ずかしいから」
「そんなこと言ったって」
「別に家がどうのこうので、別れないから。ねっ、楓」
「うん、そうだよ。普通にしててくれればいいよ。小百合さんも真司さんも、言われなければ、普通の人だから」
「そうなの?」
「それに、今更、見栄張ってどうするんだよ。母さんはおしゃべりで、父さんはそれをうんうんと聞く、それで仲が良い。姉ちゃんはしっかり者で、僕は甘えん坊、それが我が家でしょ」
「そうだね。それが山上家だわ」
「分かったわ。何もできないけど、ご飯とか食べれるなら、好きなもの聞いておいて」
「分かった。聞いておく」
もう遅いので、寝ることにした。私がリビングのドアを閉めようとすると、
「はぁ、孫の顔が見れそうなのはいいんだけど、まさか、花音が、そんな相手を連れてくるとは」
「楓も野球にしか興味がないのかと思ってたよ」
「少し経ったら、寂しくなっちゃうわね」
「嬉しいことじゃないか。子供たちが私達を必要としなくなるくらい成長したんだ」
「そうなんだけど。あなたと結婚して、花音が産まれて、そして楓が産まれて、大変だったけど、楽しくて」
「またスタートに戻るんだ。なんなら、もう一人くらい作るか?」
「もう、お父さんったら」
私はそっとドアを閉めた。
楓と顔を見合わす。
「私達もこうなりたいわね」
「うん、そうだね」
私達はそれぞれの部屋に入った。
「近い内に、向こうの両親と会うことにしたわ」
「僕も一緒に行って、ちゃんと挨拶してくる」
「それから、うちにも来てもらう」
「うん、分かったわ」
「それでね。私達もずっと知らなかったんだけど、大変なことが分かったの。それを話すから、驚かないでね」
両親は顔を見合わせた。2人とも眉間にしわが寄っている。
「まず、向こうは3人兄弟で、一番上のお姉さんが、楓の相手の小百合さん。2番目もお姉さんで、あら?そういえば、聞いたことないわ。何やってるんだろう」
「大丈夫なの?」
「今度、聞いておく。それで、最後が私の相手の真司さん」
「そこまでは分かったわ。それで、何なのよ、大変なことって」
「実はね。この兄弟の親が」
両親が私を見つめる。これから、この2人が驚くと思うと、少し楽しくなってきた。
「姉ちゃん、楽しむな」楓にはバレていた。
「◯▲エレクトロニクスの社長なんだって」
両親はしばらく絶句した。お互いに顔をみながら、口をパクパクとさせている。
やっと母さんが言葉を発した。
「そんな大切なことも知らずに付き合ってたの?」
「だって、真司さんもいい歳だし、親とか全然気にしなかったから」
「でも、真司さん?が次の社長になるかもしれないんでしょ」
「そうみたい」
両親は顔を見合わせて、2人とも背もたれに寄りかかった。
仲がいいわね、私は場違いなことを思った。
「本当に大丈夫なの?あなたで」
「それは分かんないよ。これから会うんだし」
「はぁ、こんなことなら、どこに出しても恥ずかしくないように育てれば良かった」
「ちょっと!失敗したみたいに言わないでよ。でも、父さんと母さんが産んでくれたから、私は幸せになれる。感謝してるよ」
「そう?それならいいんだけど。ねぇ、お父さん」
「まぁ、花音も言った通り、お互いにいい歳なんだから、私達からは何も言わない。ただ、私達の子供であることには変わりはない。いつ帰って来てもいいからな」
「お父さん、それはちょっと早すぎるわね」母さんがツッコミを入れた。
「そうか?」父さんは少し照れた。
「まだ、この家、出ていかないからね」私は念の為言っておいた。
「仕事は、どうするの?」母さんがいった。
「しばらくは続けようと思ってる」
「えっ!今の職場で?」
「うん」
「結婚生活、大丈夫なの?私が家事するんじゃないのよ」
「分かってるよぉ。無理だったら辞めるから」
「はいはい。それで、楓の相手の、小百合さんだっけ?大丈夫なの?」
「うん、僕のこと、信じてくれるって」
「そう。それにしても、花音、楓も何着てくのよ」
「私は真司さんと買いに行く」
「僕は制服かな」
「あっそうね。楓はそれでいいわね。花音は任せるしかないけど、少しは普段から気にしなさいよ」
「は~い」
「それにしても、お父さん、どうする?この家に来られても」
「そんなこと言ったって、店を取るにしても、中途半端な店じゃダメだぞ」
「あぁ、そうね」
「父さん達、別にいいから。中途半端なことしてる方が恥ずかしいから」
「そんなこと言ったって」
「別に家がどうのこうので、別れないから。ねっ、楓」
「うん、そうだよ。普通にしててくれればいいよ。小百合さんも真司さんも、言われなければ、普通の人だから」
「そうなの?」
「それに、今更、見栄張ってどうするんだよ。母さんはおしゃべりで、父さんはそれをうんうんと聞く、それで仲が良い。姉ちゃんはしっかり者で、僕は甘えん坊、それが我が家でしょ」
「そうだね。それが山上家だわ」
「分かったわ。何もできないけど、ご飯とか食べれるなら、好きなもの聞いておいて」
「分かった。聞いておく」
もう遅いので、寝ることにした。私がリビングのドアを閉めようとすると、
「はぁ、孫の顔が見れそうなのはいいんだけど、まさか、花音が、そんな相手を連れてくるとは」
「楓も野球にしか興味がないのかと思ってたよ」
「少し経ったら、寂しくなっちゃうわね」
「嬉しいことじゃないか。子供たちが私達を必要としなくなるくらい成長したんだ」
「そうなんだけど。あなたと結婚して、花音が産まれて、そして楓が産まれて、大変だったけど、楽しくて」
「またスタートに戻るんだ。なんなら、もう一人くらい作るか?」
「もう、お父さんったら」
私はそっとドアを閉めた。
楓と顔を見合わす。
「私達もこうなりたいわね」
「うん、そうだね」
私達はそれぞれの部屋に入った。
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