続・クラスイチ(推定)ブスだった私が、浮気しない真面目なイケメン彼氏と別れた理由

ぱるゆう

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早苗

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次の日、会社に向かう電車の中で、

そろそろ早苗にも言わないとね。飲みに行こうとラインを送る。

しばらくしたら、水曜日は?と返事が来た。次の木曜は祝日だ。

オーケーのスタンプを送る。真田さんにも連絡をする。

すると、僕も行きたいと返事が来た。

ちゃんと2人だから安心して、と送る。

違うよ、恋音だから心配してないよ、と来る。

どういう意味!と怒ったスタンプを送る。

違う!花音は裏切らないって信じてるよ、という内容だが、土下座するスタンプがついている。

来てもいいけど、いきなりは止めて、私からちゃんと話したい、と送る。

分かった。少し遅れていくよ。



職場に着くと、つい眺めてしまった。

もしかしたら、再来年にはいないかもしれない。まだ先の話だが、そう思うと、違う景色のように感じる。

まぁ、今できることを一生懸命やろう。

近くの同僚に声を掛ける。
「システム部の真田さんって、いつか辞めちゃうんですか?」

「あぁ、そうみたいだね。噂では30歳までって聞いてるけど。あれ?山上さんも参戦するの?花嫁争いに」

「いえいえ、私なんかじゃ無理ですよ」

「猛獣ばっかりだからね。山上さんじゃ骨も残らないかもしれない」

「フフフッ。はい、猛獣注意で仕事頑張ります」

やっぱりみんな知ってるんだ。早苗は、会社のは興味がないと言っているので、井戸端会議がないこの部署にいては、情報が入らない。


そして、水曜日になった。終業後、早苗の職場に出迎えに行く。
そして、いつもの居酒屋に来た。

「久しぶりだね」

「そうね」

「早苗は大丈夫だったの、デートとか?」

「今日はあっちも飲み会だから、ちょうど良かったわ」

早苗は私より小さく、目が大きく可愛らしい顔をしている。しかし、中身は、本人も自覚があるようだが、おっさんだ。

確か今の彼氏とは2年くらい付き合っているはずだ。

店に着いて、座った。
「早苗さん、花音さん、久しぶりですね」店主の娘が席に来た。家族経営のアットホームな店だ。

「ごめんね。なかなか来れなくて」

「いいえ、その分、今日はたっぷりお金落としていってください」可愛い顔をして、なかなかはっきり言う看板娘だ。

「はいはい」ビールと刺身盛り、枝豆を注文した。

「毎度あり」と笑顔で席を離れる。

「彼氏とは順調なんだ」

「なんか最近、熟練夫婦みたいになってきた」

「結婚はしないの?」

「どうかしらね?分かんない」

「そういうもの?」

「う~ん。私もこの人だっていう決め手がないのよね」

「ふ~ん」

「珍しいわね。そういう話、興味ないのに」

「興味がないわけじゃなかったのよ。ただ聞いても、私には縁がない話だと思ってたから」

「思ってた?って言った?」
早苗の顔が段々と悪い顔になる。

それに対して、私は分かりやすく真っ赤になった。

「えっ!ホントに?どの段階なの?告白したとか、されたとか?付き合い始めたとか?」

「来年か再来年には結婚する」

「えっ!結婚!ちょ、ちょ、ちょっと待って。展開が早すぎるんだけだ。表紙をめくったら、次のページに、おしまいって書いてあった気分よ」

「フフフッ、早苗、相変わらず、面白いね」

「そうじゃなくて、いつから付き合い始めたの?」

「そうね。半年くらい前かな」

「いくらなんでも早すぎない?結婚でしょ。相手の両親には会ったの?」

「近いうちに会う」

「えっ!まだ会ってないの。何か買わされたりしてない?お金とか渡したりしてない?」

「してないわよ。私の貯金なんて、たかが知れてるし」

「そうだよね。まだそんなに働いてないもんね」

「そうでしょ」

「それで、中なの?」

私は頷いた。

「私の知っている人?」

「多分、知っていると思う」

「えぇ、教えてよ。誰?」

「システム部の・・・」

「システム部?あそこ独身なんていたっけ?。中途採用も多いし、よく分からないわ。でも、私が知ってるのよね?」

私は枝豆食べながら、頷く。

「もう分かんない!誰?」

「多分、信じないと思うけど」

「うんうん」

「真田さん」

「真田さん?あぁ、真田さん、御曹司の。そう言えば、システム部だったわね」

「そう、その真田さん」

「それで、その真田さんが、どうしたの?」

「早苗、ちゃんと聞いてた?私の結婚相手」

早苗は絶句した。
最近、こればっかりだ。まぁ、真田さん相手に、私も何度もしたが。

「ごめん、全然、想像できない。花音が真田さんと結婚!」

「そう、正解」

早苗は残りのビールを飲み干した。
「由紀ちゃん、ビール」と追加した。私も追加した。

「どうして、そうなった!」

「ごめん、ちょっと待って。電話がかかってきた」

真田さんからだ。

「うん、もう来てもいいよ、話したから。すぐに着く?分かった。待ってる」

「えっ、真田さん来るの?」

「良く分からないけど、来たいって」

「えぇ、先に行ってよ」

「いいじゃない。私も仕事服だし」

「まぁ、そうね。でも緊張する」

「なんでよ」

「営業部だと接点ないから。うちの職場でもファンの子いるわよ」

「はぁ、気が重い。相手が私だと知ったら、ショック受けるんだろうな」

「なんでよ。私は真田さんも中々見る目あるなって思うわよ」

「早苗、愛してる」

「はいはい」

すると、ドアが開いた。
「いらっしゃい」看板娘が急いで出迎えに行く。

私は手を振る。
真田さんは看板娘に何かを言って、こっちに歩いてきた。

早苗は立ち上がった。
「初めまして、営業部の鈴木早苗です」私は早苗の口から出ている声とは思えなかった。

「よく花音から、早苗さんのことは聞いてます。仲良くしてくれて、ありがとう」

「はい。嬉しい、初めてマジマジと見たよ。花音」

「はいはい、その声、誰かと思ったわよ」

3人分のビールが運ばれてきた。
改めて乾杯した。

「どうして、花音を選んだんですか?」

「僕は選んだんじゃないんです。花音だから、結婚しようと思ったんです」

「うわぁ、人生で一回は言われてみたいセリフ、ナンバーワンだ。でも、真田さんの選択は、私が保証しますよ。花音は当たりです」

「嬉しいな。そう言ってもらえると」

「2人とも止めて。顔が熱いわ」

「本当に可愛いやつだのう。花音は」

「本当に止めて」

「はいはい。でも、告白は真田さんから?」

「うん。人生で初めて告白したから、ドキドキしたよ」

「えっ!そうなの?」私は驚いた。

「そうだよ。されたことは何回かあったけど、したのは初めて。みんなこんな気持ちでしてきたんだと思うと、もっと優しく断ればよかったと反省してる」

「でも、断るんですね?」

「まだ子供で、好きって気持ちが分からなかったからね」

「まぁ、小さい頃は、女の子の方がおませちゃんですからね」

「そうなのかな。ただ僕が無沈着過ぎただけだと思うけど」

「今となっては、いい思い出になってますよ。きっと」

「そうだといいんだけど。なんか話しやすいな。早苗さん」

「そうですか?イケメンに言われると嬉しいな」

「そう言ってくれるのは有り難いんだけど、イケメンって、顔だけみたいな感じがして、あんまり好きじゃないんだ」

「あぁ、なるほど。言われる方は、そう思うんですね。私は可愛いって言われると、嬉しいですけどね。気をつけます」

「ごめん。そんなに気にしてるわけじゃないから」

「はい。花音、どうしたの?静かね」

「何か早苗と話してる真田さんが新鮮だなって思って」

「そう?」

「いつも職場で迷惑そうにしてるから、女の人、苦手なんだって、勝手に思ってた」

「あれは、こっちの状況を理解してくれないから、迷惑そうにしてるんだよ。別に普通に話せるさ」

「ふ~ん」

「えっ!何?花音以外と話してるのイヤ?」

「そうじゃないけど。真司のこと、もっと知らないとならないなって思っただけ」

「あら?ヤキモチ?」

「そうじゃないわよ。真司は優しいから、勘違いしちゃう子いるんだろうなって」

「えっ!僕はそんなつもり全くないよ」

「だから怖いのよ」

「花音以外絶対にないから」

「分かってるわよ」

「あらら。真田さん、しっかり尻に敷かれてますね。猛獣達が聞いたら、卒倒しそうだわ」

「猛獣?」

「真田さんを狙ってる人達よ。みんな、よくやるわって、思ってるわ」

「そうなんだ」

「いつ、みんなに言うの?」

「式の日にちが決まった後かな」

「猛獣達が可哀想に思えてきた。少しくらい匂わせたら?」

「どうする?真司」

「僕はすぐにでも言いたいけど。職場的なものがあるじゃん。僕か花音か異動になるよ」

「それは避けたいな」

「そういえば、真田さん、もうすぐですよね。会社辞めるの」

「あぁ、うん、来年いっぱいかな」

「花音はどうするの?」

「続けるつもりだけど。真司を支えるのが優先。それが無理なら辞めるかも」

「そうだよね。寂しくなるな」

「まだ決めたわけじゃないからね」

「でも、安心しました。真田さんが悪い人だとは思いませんけど、初めて名前を聞いた時は、花音のこと騙してるんじゃないかと思いました。でも、ちゃんと好きだってことが分かったんで」

「良かった。信じてもらえて」

「遅くなったけど、花音、おめでとう」

「早苗ぇ」私は涙が溢れた。

「止めてよ。私までつられちゃうじゃない」早苗の目にも涙が溢れた。

「うえぇん」私と早苗はお互いに手を握りあった。

それからは、楽しく飲んで食べた。

そして、真田さんがお金を払い、店を出た。

「じゃあ、私はここで。お邪魔虫は退散します」

「早苗、今日はありがとう」

「うん。真田さん、ご馳走様でした」早苗は手を振ってから背を向けた。


「どうする?帰る?」

「中で出さない?」

「うん、我慢する」

私は真田さんの腕に自分の腕を絡めた。

「また下着買わなくちゃ」

「そうだね。明後日の金曜は、忘れないようにしよう」

「また泊まるの?」

「うん、一緒にいたい」

「結婚する前に飽きちゃうよ」

「えっ!そうなの?」

「真司は飽きないの?」

「飽きたら、セーラー服を着せたり、バニーガールの服とか」

「変態!」

「冗談だよ。365日触っても飽きないよ」

「仕事は行くんだよ」

「テレワークにして」

「もう、バカ!早く行こ」

途中で母さんにラインした。

ほどほどにしなさいよ。いちおう嫁入り前なんだから、と帰ってきた。

はい、気をつけますと送った。まさか明後日も泊まるとは言えない。

真田さんに見せた。
「確かに、お母さんの言うとおりだ。僕が甘えすぎてる」

「じゃあ、止める?」

「うぅ、イヤだ、一緒にいたい」

「そうよね?」

「あっ!先に籍だけ入れよう。それなら1年も待たなくていい」

「えっ!大丈夫なの?」

「うん、そうだ。そうしよう」

「別にいいけど、子供は先よ」

「うん、それでいい」

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