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二章 愛していない?
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「何するんだよ!」
解毒剤を飲まされ、媚薬効果が完全に抜けたローズが最初に発した言葉をそれだった。
「何って、解毒剤を飲ませただけだが」
ケヴィンはしれっとそう答えたが、ローズは唇を押さえて顔を真っ赤にして彼を睨みつけた。
(飲ませるって、口移しでありえん!まじ!っていうか私がロイだから、そういう気分にならないはずだろ?だったら何か?意地悪か?俺が勝手にいなくなって迷惑した?)
「ローズ」
ベッドの上で体を起こした彼女の側に寄り添うように、ケヴィンは腰を下ろす。
彼の表情は揶揄う様子もなく、眉間に皺を寄せて怒っているようでもなかった。
目を細め、彼はローズの髪を撫でる。
「な、何?!」
胸がドキドキしてローズはおかしな声をあげてしまう。顔は真っ赤なままだ。
「好きだ。愛している」
「はあ?」
「なんだ、その反応」
「だ、だって。わ、俺はロイだぞ。あんたの嫌いな」
「……別に俺は嫌ってなかったさ。ロイのこと」
「ふぇ?」
(な、なんかおかしいぞ)
媚薬の効果は消えているはずなのに体を熱を持ち始め、彼女はケヴィンの視線から逃れるように俯く。
「本当に何もなくてよかった。俺は、私は認めることにしたんだ。失いたくないと思った時、本当に怖くなった。だから認める。俺は、私は君を愛している。その外見だけじゃなくて、ロイでもある、お前の中身もだ」
「な、中身……」
「ローズ。君はどうだ?俺を見て」
「み、見れるわけないだろう」
「なんでだ?」
「て、照れるからだ」
「可愛い」
「か、可愛いって。なんでそんな突然」
「素直になれよ。俺が好きなんだろう?」
ケヴィンはにやにやと笑いながら聞いてきて、ローズはいらっとしてしまった。
(認めたくない。好きだけど。好きだけど。なんか負けた気がする)
なぜか勝負をしている気持ちになって、ローズは答えなかった。
「いいさ。答えはもう知ってるから。今夜はゆっくり休め。俺は別の部屋で休むから」
ケヴィンは腰をあげ、彼女に背を向ける。
しかし、ローズは反射的に彼の腕を掴んでしまった。
「何?」
「……一緒に寝てくれないか。あ、なんでもない」
(都合のいいことばかり言って)
ローズは手を離すと首を横に振る。
「後で戻ってくる。待ってろ」
ケヴィンは彼女の額に唇を寄せ、そう囁くと、今度こそ部屋からいなくなった。
(うわああ。なんで、なんで。急に。ジェイスなのかケヴィンなのかわからない。でもロイのことも認めたくれたし~~。嫌いじゃないって)
部屋に取り残され、ベッドの上でローズは悶える。
ケヴィンの行動は、媚薬を盛られ、ウィルソンに迫られたことを彼女に忘れさせるには十分だった。
☆
部屋から出たケヴィンはまっすぐティム伯爵夫妻と娘のいる部屋に向かった。伯爵も娘も罪を認めず濡れ衣と主張したため、王都に送り取り調べをさせることに決めた。こんな状況でもケヴィンに媚びた視線を向けてくる娘に対しては吐き気を覚えるほどで、彼らが王都に移送されるまで彼が面会することはなかった。
夜会が騒動のため中途半端に終わったため、他の地区の領主との面談の機会を設けた。ローズもその場に加わり、領主との信頼を確かめ合う。ティム伯爵はケヴィンに娘を当てがい四つの地区の中で一番の権力を得ようとしていたが、他の領主たちの思惑はまったく異なった。
ティム伯爵夫妻と娘が王都に移送された三日後、ケヴィンたちは王都のハイゼランドの屋敷に戻った。
旅路で宿屋で一泊する必要があるのだが、ケヴィンが色気を漂わせてくるので、ローズは息絶え絶えになりそうだった。
王都に戻り、しばらくしてからティム伯爵夫妻と娘の罪状が決定された。ティム家当主の座は王宮で騎士をしていた弟に移行した。前伯爵夫妻は平民に落とされ、娘は極寒の修道院に送られる。酷い罵り言葉ばかりなので、彼女の口は食事とする以外は常に塞がれている。
「ローズ。まだ返事をもらってないけど。俺のこと、私のことをどう思っている?」
騒動が落ち着き、ある夜ケヴィンが聞いてきた。
(最近見るようになった蕩けるような笑顔。彼は本当に私のことが好きなんだ。だったら私は……)
「私も好きだよ」
(きっとロイの時も、好きだったんだろうな)
その気持ちは伝えるつもりはないが、ローズはロイの気持ちをそう捉えている。
「両想いだな」
嬉しそうに聞く彼にローズは照れながらも頷く。
「ならいいよな。ローズ」
ケヴィンはローズに深いキスを落とす。
結婚式の時のキスよりも長く、激しく。噛み付くようなキスで、急にローズは怖くなった。
「怖い?」
「こ、怖くないから。全然」
「ならよかった。初夜のやり直しだ。ローズ、愛している」
ケヴィンは愛おしそうに彼女の頬を撫でる。
(こ、怖くない。怖くなんだから。正直になろう。ねぇ。ロイ)
「私も、愛してます。ケヴィン様」
彼女の返事を聞き、彼が再びキスをする。
そうして二人は初夜をやり直すことになった。
「愛している」と言った男は、前世を知って一旦冷たくなったが、再び彼女を愛した。外見だけじゃなく、その中身も全て。
(完)
解毒剤を飲まされ、媚薬効果が完全に抜けたローズが最初に発した言葉をそれだった。
「何って、解毒剤を飲ませただけだが」
ケヴィンはしれっとそう答えたが、ローズは唇を押さえて顔を真っ赤にして彼を睨みつけた。
(飲ませるって、口移しでありえん!まじ!っていうか私がロイだから、そういう気分にならないはずだろ?だったら何か?意地悪か?俺が勝手にいなくなって迷惑した?)
「ローズ」
ベッドの上で体を起こした彼女の側に寄り添うように、ケヴィンは腰を下ろす。
彼の表情は揶揄う様子もなく、眉間に皺を寄せて怒っているようでもなかった。
目を細め、彼はローズの髪を撫でる。
「な、何?!」
胸がドキドキしてローズはおかしな声をあげてしまう。顔は真っ赤なままだ。
「好きだ。愛している」
「はあ?」
「なんだ、その反応」
「だ、だって。わ、俺はロイだぞ。あんたの嫌いな」
「……別に俺は嫌ってなかったさ。ロイのこと」
「ふぇ?」
(な、なんかおかしいぞ)
媚薬の効果は消えているはずなのに体を熱を持ち始め、彼女はケヴィンの視線から逃れるように俯く。
「本当に何もなくてよかった。俺は、私は認めることにしたんだ。失いたくないと思った時、本当に怖くなった。だから認める。俺は、私は君を愛している。その外見だけじゃなくて、ロイでもある、お前の中身もだ」
「な、中身……」
「ローズ。君はどうだ?俺を見て」
「み、見れるわけないだろう」
「なんでだ?」
「て、照れるからだ」
「可愛い」
「か、可愛いって。なんでそんな突然」
「素直になれよ。俺が好きなんだろう?」
ケヴィンはにやにやと笑いながら聞いてきて、ローズはいらっとしてしまった。
(認めたくない。好きだけど。好きだけど。なんか負けた気がする)
なぜか勝負をしている気持ちになって、ローズは答えなかった。
「いいさ。答えはもう知ってるから。今夜はゆっくり休め。俺は別の部屋で休むから」
ケヴィンは腰をあげ、彼女に背を向ける。
しかし、ローズは反射的に彼の腕を掴んでしまった。
「何?」
「……一緒に寝てくれないか。あ、なんでもない」
(都合のいいことばかり言って)
ローズは手を離すと首を横に振る。
「後で戻ってくる。待ってろ」
ケヴィンは彼女の額に唇を寄せ、そう囁くと、今度こそ部屋からいなくなった。
(うわああ。なんで、なんで。急に。ジェイスなのかケヴィンなのかわからない。でもロイのことも認めたくれたし~~。嫌いじゃないって)
部屋に取り残され、ベッドの上でローズは悶える。
ケヴィンの行動は、媚薬を盛られ、ウィルソンに迫られたことを彼女に忘れさせるには十分だった。
☆
部屋から出たケヴィンはまっすぐティム伯爵夫妻と娘のいる部屋に向かった。伯爵も娘も罪を認めず濡れ衣と主張したため、王都に送り取り調べをさせることに決めた。こんな状況でもケヴィンに媚びた視線を向けてくる娘に対しては吐き気を覚えるほどで、彼らが王都に移送されるまで彼が面会することはなかった。
夜会が騒動のため中途半端に終わったため、他の地区の領主との面談の機会を設けた。ローズもその場に加わり、領主との信頼を確かめ合う。ティム伯爵はケヴィンに娘を当てがい四つの地区の中で一番の権力を得ようとしていたが、他の領主たちの思惑はまったく異なった。
ティム伯爵夫妻と娘が王都に移送された三日後、ケヴィンたちは王都のハイゼランドの屋敷に戻った。
旅路で宿屋で一泊する必要があるのだが、ケヴィンが色気を漂わせてくるので、ローズは息絶え絶えになりそうだった。
王都に戻り、しばらくしてからティム伯爵夫妻と娘の罪状が決定された。ティム家当主の座は王宮で騎士をしていた弟に移行した。前伯爵夫妻は平民に落とされ、娘は極寒の修道院に送られる。酷い罵り言葉ばかりなので、彼女の口は食事とする以外は常に塞がれている。
「ローズ。まだ返事をもらってないけど。俺のこと、私のことをどう思っている?」
騒動が落ち着き、ある夜ケヴィンが聞いてきた。
(最近見るようになった蕩けるような笑顔。彼は本当に私のことが好きなんだ。だったら私は……)
「私も好きだよ」
(きっとロイの時も、好きだったんだろうな)
その気持ちは伝えるつもりはないが、ローズはロイの気持ちをそう捉えている。
「両想いだな」
嬉しそうに聞く彼にローズは照れながらも頷く。
「ならいいよな。ローズ」
ケヴィンはローズに深いキスを落とす。
結婚式の時のキスよりも長く、激しく。噛み付くようなキスで、急にローズは怖くなった。
「怖い?」
「こ、怖くないから。全然」
「ならよかった。初夜のやり直しだ。ローズ、愛している」
ケヴィンは愛おしそうに彼女の頬を撫でる。
(こ、怖くない。怖くなんだから。正直になろう。ねぇ。ロイ)
「私も、愛してます。ケヴィン様」
彼女の返事を聞き、彼が再びキスをする。
そうして二人は初夜をやり直すことになった。
「愛している」と言った男は、前世を知って一旦冷たくなったが、再び彼女を愛した。外見だけじゃなく、その中身も全て。
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