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第三部
第二王子ケイデン
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「そうそう。二人に並んで座って。はい。動かないで」
訳がわからないまま、ジャスティーナはイーサンの隣に腰掛けていた。動かないでと指示されたので、彼女はじっと息を止めるようにして、動きを止める。
けれども、隣の彼の様子が気になり目だけ動かした。
うっすらとイーサンの顔が見える。横目ではその表情まではわからかった。
「ジャスティーナ。イーサンの顔を気になるからって視線を動かして見ないように」
「顔ではないのです。どうしているか気になりまして」
「イーサンはすごい面白い顔をして、動きを止めているよ」
「え?」
可笑しそうに話すアレンに、ジャスティーナは興味本位でイーサンへ顔を向けてしまった。
すると、彼の黒い瞳と視線が重なる。
「面白い顔か。そんなに興味があったのか?」
そう問うイーサンの声が低く、ジャスティーナは己の失態に気がつく。何か言わなければと思っていると、笑い声が響いた。
「イーサン・デイビス。君はまだこだわっているのか?ジャスティーナがそのような意味で君の顔を見たいと思っているわけがないだろう。単に言葉の通りだよ」
「俺は別にそんな風には」
「なんだかがっかりしちゃったなあ。ジャスティーナ。もう一度婚約破棄するかい?僕には今度十六になる息子がいてね」
「陛下!」
イーサンがたまらず声を荒げてしまった。
するとアレンは目を細くして、彼を見つめる。
「僕はアレンだよ。何度も言っているだろう?」
「申し訳ありません、アレン様!けれども俺は承服しかねます!」
「私もです。私の婚約者はイーサン様で変わりありません」
二人が畳み掛けるように話し、壁に立っていた護衛がすこしだけ動いた。
その動きを目で止め、アレンは二人に微笑みかける。
「イーサン・デイビス。来週王子の誕生祝賀会がある。その際にジャスティーナを同伴して、参加してほしい。もし参加できないようであれば、婚約は破棄してもらうつもりだ」
「何をおっしゃってるのです」
イーサンがアレンに答え、ジャスティーナはただ呆然と彼を見返す。
「ジャスティーナ。君は数ヶ月前とは別人のように内面が輝いた。以前から私の息子が君のことは気に入っていてるのは知っていた。だけど、外見だけ美しい君は妃にふさわしくなかった。だが今の君なら妃として認められる」
「陛下!」
再び声をあげたイーサンにアレンは冷笑を浴びせた。
「今の君はまだ足りない。昆虫男爵であることを卑屈に思っているだろう。だから、顔のことに関しては敏感になる。長い間の葛藤も理解できるが、愛する者を疑ってしまうようでは、まだまだ駄目だ」
ーー駄目?どういう意味?
ジャスティーナがイーサンを見ると、彼は悔しそうに拳を握っているだけだった。
「そのおかしな劣等感をぬぐいさるためにも、誕生祝賀会には出席するのだ。わかったな。もし来なかった場合は二度目の婚約破棄になるな」
ーーそんな勝手に決められても困る。イーサン様は人に会うことにやっと慣れてきた。だけど、まだパーティなんて
「畏まりました。第二王子ケイデン殿下のご誕生祝賀会にはジャスティーナを同行し、出席します」
「よく言った。ならば、肖像画を早く仕上げなければな」
アレンは笑顔で頷いたが、それが肖像画とどう関係するのか、わからない。
二人の訝しげな表情に気がつき、彼は説明した。
「君たちの肖像画を、王妃や王子たちに見せておこうと思ってね。仲良くしている様子をみれば、そうそう諦めるだろう。まあ、諦めなければ、当日見せ付けてやりなさい」
――肖像画を見せることは意味のあることなのかしら?
けれども王に異見を唱えるのは問題外と、ジャスティーナは口を噤む。隣のイーサンも複雑な表情をしていたが、「はい」と返事を返していた。
こうして、二人はソファで仲良く並び、王もとい絵師アレンに肖像画を描かれることになった。
訳がわからないまま、ジャスティーナはイーサンの隣に腰掛けていた。動かないでと指示されたので、彼女はじっと息を止めるようにして、動きを止める。
けれども、隣の彼の様子が気になり目だけ動かした。
うっすらとイーサンの顔が見える。横目ではその表情まではわからかった。
「ジャスティーナ。イーサンの顔を気になるからって視線を動かして見ないように」
「顔ではないのです。どうしているか気になりまして」
「イーサンはすごい面白い顔をして、動きを止めているよ」
「え?」
可笑しそうに話すアレンに、ジャスティーナは興味本位でイーサンへ顔を向けてしまった。
すると、彼の黒い瞳と視線が重なる。
「面白い顔か。そんなに興味があったのか?」
そう問うイーサンの声が低く、ジャスティーナは己の失態に気がつく。何か言わなければと思っていると、笑い声が響いた。
「イーサン・デイビス。君はまだこだわっているのか?ジャスティーナがそのような意味で君の顔を見たいと思っているわけがないだろう。単に言葉の通りだよ」
「俺は別にそんな風には」
「なんだかがっかりしちゃったなあ。ジャスティーナ。もう一度婚約破棄するかい?僕には今度十六になる息子がいてね」
「陛下!」
イーサンがたまらず声を荒げてしまった。
するとアレンは目を細くして、彼を見つめる。
「僕はアレンだよ。何度も言っているだろう?」
「申し訳ありません、アレン様!けれども俺は承服しかねます!」
「私もです。私の婚約者はイーサン様で変わりありません」
二人が畳み掛けるように話し、壁に立っていた護衛がすこしだけ動いた。
その動きを目で止め、アレンは二人に微笑みかける。
「イーサン・デイビス。来週王子の誕生祝賀会がある。その際にジャスティーナを同伴して、参加してほしい。もし参加できないようであれば、婚約は破棄してもらうつもりだ」
「何をおっしゃってるのです」
イーサンがアレンに答え、ジャスティーナはただ呆然と彼を見返す。
「ジャスティーナ。君は数ヶ月前とは別人のように内面が輝いた。以前から私の息子が君のことは気に入っていてるのは知っていた。だけど、外見だけ美しい君は妃にふさわしくなかった。だが今の君なら妃として認められる」
「陛下!」
再び声をあげたイーサンにアレンは冷笑を浴びせた。
「今の君はまだ足りない。昆虫男爵であることを卑屈に思っているだろう。だから、顔のことに関しては敏感になる。長い間の葛藤も理解できるが、愛する者を疑ってしまうようでは、まだまだ駄目だ」
ーー駄目?どういう意味?
ジャスティーナがイーサンを見ると、彼は悔しそうに拳を握っているだけだった。
「そのおかしな劣等感をぬぐいさるためにも、誕生祝賀会には出席するのだ。わかったな。もし来なかった場合は二度目の婚約破棄になるな」
ーーそんな勝手に決められても困る。イーサン様は人に会うことにやっと慣れてきた。だけど、まだパーティなんて
「畏まりました。第二王子ケイデン殿下のご誕生祝賀会にはジャスティーナを同行し、出席します」
「よく言った。ならば、肖像画を早く仕上げなければな」
アレンは笑顔で頷いたが、それが肖像画とどう関係するのか、わからない。
二人の訝しげな表情に気がつき、彼は説明した。
「君たちの肖像画を、王妃や王子たちに見せておこうと思ってね。仲良くしている様子をみれば、そうそう諦めるだろう。まあ、諦めなければ、当日見せ付けてやりなさい」
――肖像画を見せることは意味のあることなのかしら?
けれども王に異見を唱えるのは問題外と、ジャスティーナは口を噤む。隣のイーサンも複雑な表情をしていたが、「はい」と返事を返していた。
こうして、二人はソファで仲良く並び、王もとい絵師アレンに肖像画を描かれることになった。
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