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同級生ユウキ 1 (導入のためエロなし)
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藤堂アキラが聖アベニールに入学したのは、この学校が大学並みの研究施設を有していたからだ。入学後、研究に没頭するアキラを学校も支援し、アキラの研究は商用転用を睨んで、商社と契約を結ぶことになった。
学校側の協力に感謝していたアキラは、その契約金のほとんどを学校に寄付した。彼は研究そのものにしか興味はなく、それが生み出すお金には興味がなかったのだ。
しかし、一気に高額寄付者に名を連ねたアキラは、思わぬ厄介事を背負い込むことになった。
聖アベニールの高額寄付者には特権がある。
「藤堂くん」
アキラは全く面識のない先輩に呼び出されて、屋上にいた。
「藤堂くんはどんな子が好みなの?」
上目遣いでアキラの目を覗き込むこの先輩は、たしかに男心をよくわかっているとは思う。
「僕、藤堂くんのためならなんでもするよ。ねえ、どんな子がいいか教えて。僕、きっと君の好みになるよう頑張るからさ」
またか。アキラはため息をついた。
「先輩も特奨生なんですか」
「そうだよ。僕、藤堂くんに精一杯尽くすからさ。お願い、僕を選んで」
聖アベニール学園の高額寄付者は、この特殊奨学生たちと寝る権利がある。本来は特奨生を指名して一夜を共にする方式だが、まだ学生であるアキラが毎夜特奨生をとっかえひっかえ抱くのはさすがにマズイと学校は思ったらしく、この若い高額寄付者のために特別な方式を採用した。部屋子制である。
アキラが気に入った特奨生を一人、アキラの寮の同室にし、アキラが研究に没頭できるように身の回りの世話をさせるのだ。身の回りの世話とは、掃除や洗濯はもちろん、性処理までをも含む。
なんだそれ、とアキラは思った。そんなもの要らない。そもそもせっかく寮の特別室を一人で独占しているのに、なぜ誰かと同室にならなきゃならないんだ。
しかし抵抗する時間が惜しいので、とくに反対もしなかった。ただアキラが部屋子を選ばなければいいだけだと思っていたのだ。
ところが、なぜか特奨生はこの部屋子にものすごい魅力を感じるらしく、アプローチ合戦が始まったのである。毎日のように特奨生に付きまとわれて、アキラは心底辟易していた。
「先輩、僕のこと全然知らないでしょ? なんで僕の部屋子になりたいんですか」
「えー、だって、藤堂くんかっこいいもん」
「嘘つかないでください。教室で呼び出すとき、僕の顔も知らなかったくせに」
「うぅ……」
先輩は観念したらしく、上目遣いをやめた。
「僕たちはさ、毎日毎日いろんな男に抱かれてるわけ。ひどい時には毎日深夜まで相手させられて、でも授業は休めないし、勉強もしなきゃだし、はっきり言って超ハードなの! でも藤堂くん一人が相手なら毎日深夜まで犯されるってことはないでしょ。ていうか、藤堂くん忙しそうだから、部屋子にそんなにかまってられないだろうし」
「なるほど」
そう聞くと、確かに部屋子になるのは特奨生にとって魅力的だと思える。
「ねぇ。正直に言ったんだからさあ、僕を部屋子にしてよ。僕、結構テクはあるよ。天国見せたげる」
「いや、結構です。興味ないですから」
「そんなこと言わずにさぁ」
追いすがる先輩を振り切って、アキラは一目散に職員室へ向かった。この様子では全校の特奨生に延々アプローチされかねない。はっきり、部屋子は要らないと宣言しよう。じゃないと研究に差し障る。
急いでいたアキラは、職員室から出てきた同じクラスの下前ユウキとぶつかってしまった。
「あ、わり……」
「あ、いや、こちらこそごめん……」
謝りながら、ちらりとアキラを見上げたユウキの顔を見て、アキラは驚いた。ユウキは泣いていた。
「どうした、下前」
「え? や、なんでもないよ」
「なんでもなくないだろ」
「……」
ユウキは言うか言うまいか悩んでいたようだが、アキラの一歩も引かない様子を見て観念した。
「オレ、営業成績が悪くて……」
「営業? あ、そっか、お前特奨生なのか」
「え、あ、うん。そうなんだ」
ユウキが特奨生であることをアキラが把握していないことに、ユウキは少し驚いていた。身を売って学費を稼いでいる特奨生は、一般生徒から下に見られ、蔑まれるのに慣れてしまっている。
「それで、オレ、4ヶ月連続で奨学金額を下回る額しか稼げなかったから、奨学金打ち切りなんだ」
ユウキはアキラに蔑まれるのを覚悟で言った。しかしアキラは嘲笑もしなかった。
「え、マジで? どうすんだよ、お前」
そんな制度になっていることを、アキラは初めて知った。身売りまでさせといて、使えなきゃポイ捨てか。どこが奨学金なんだ。
「うち、お金ないから、学校辞めるしかないよ」
「そんな……」
「中退でも、藤堂くんみたいなすごい人と同じクラスだったって言ったら、ちょっとは自慢になるかな」
涙の溜まった目で無理やり微笑もうとするユウキをしばらく眺めていたアキラは、おもむろにユウキの腕を取って引っ張った。
「ついてこい」
「え? 藤堂くん?」
戸惑うユウキを連れて職員室に入り、担任の前に立つ。
「先生」
「藤堂くん。どうした?」
当たり前のようにユウキを無視して、担任はアキラに目線を合わせて話しかけた。
「僕、決めました。下前くんを僕の部屋子にします」
学校側の協力に感謝していたアキラは、その契約金のほとんどを学校に寄付した。彼は研究そのものにしか興味はなく、それが生み出すお金には興味がなかったのだ。
しかし、一気に高額寄付者に名を連ねたアキラは、思わぬ厄介事を背負い込むことになった。
聖アベニールの高額寄付者には特権がある。
「藤堂くん」
アキラは全く面識のない先輩に呼び出されて、屋上にいた。
「藤堂くんはどんな子が好みなの?」
上目遣いでアキラの目を覗き込むこの先輩は、たしかに男心をよくわかっているとは思う。
「僕、藤堂くんのためならなんでもするよ。ねえ、どんな子がいいか教えて。僕、きっと君の好みになるよう頑張るからさ」
またか。アキラはため息をついた。
「先輩も特奨生なんですか」
「そうだよ。僕、藤堂くんに精一杯尽くすからさ。お願い、僕を選んで」
聖アベニール学園の高額寄付者は、この特殊奨学生たちと寝る権利がある。本来は特奨生を指名して一夜を共にする方式だが、まだ学生であるアキラが毎夜特奨生をとっかえひっかえ抱くのはさすがにマズイと学校は思ったらしく、この若い高額寄付者のために特別な方式を採用した。部屋子制である。
アキラが気に入った特奨生を一人、アキラの寮の同室にし、アキラが研究に没頭できるように身の回りの世話をさせるのだ。身の回りの世話とは、掃除や洗濯はもちろん、性処理までをも含む。
なんだそれ、とアキラは思った。そんなもの要らない。そもそもせっかく寮の特別室を一人で独占しているのに、なぜ誰かと同室にならなきゃならないんだ。
しかし抵抗する時間が惜しいので、とくに反対もしなかった。ただアキラが部屋子を選ばなければいいだけだと思っていたのだ。
ところが、なぜか特奨生はこの部屋子にものすごい魅力を感じるらしく、アプローチ合戦が始まったのである。毎日のように特奨生に付きまとわれて、アキラは心底辟易していた。
「先輩、僕のこと全然知らないでしょ? なんで僕の部屋子になりたいんですか」
「えー、だって、藤堂くんかっこいいもん」
「嘘つかないでください。教室で呼び出すとき、僕の顔も知らなかったくせに」
「うぅ……」
先輩は観念したらしく、上目遣いをやめた。
「僕たちはさ、毎日毎日いろんな男に抱かれてるわけ。ひどい時には毎日深夜まで相手させられて、でも授業は休めないし、勉強もしなきゃだし、はっきり言って超ハードなの! でも藤堂くん一人が相手なら毎日深夜まで犯されるってことはないでしょ。ていうか、藤堂くん忙しそうだから、部屋子にそんなにかまってられないだろうし」
「なるほど」
そう聞くと、確かに部屋子になるのは特奨生にとって魅力的だと思える。
「ねぇ。正直に言ったんだからさあ、僕を部屋子にしてよ。僕、結構テクはあるよ。天国見せたげる」
「いや、結構です。興味ないですから」
「そんなこと言わずにさぁ」
追いすがる先輩を振り切って、アキラは一目散に職員室へ向かった。この様子では全校の特奨生に延々アプローチされかねない。はっきり、部屋子は要らないと宣言しよう。じゃないと研究に差し障る。
急いでいたアキラは、職員室から出てきた同じクラスの下前ユウキとぶつかってしまった。
「あ、わり……」
「あ、いや、こちらこそごめん……」
謝りながら、ちらりとアキラを見上げたユウキの顔を見て、アキラは驚いた。ユウキは泣いていた。
「どうした、下前」
「え? や、なんでもないよ」
「なんでもなくないだろ」
「……」
ユウキは言うか言うまいか悩んでいたようだが、アキラの一歩も引かない様子を見て観念した。
「オレ、営業成績が悪くて……」
「営業? あ、そっか、お前特奨生なのか」
「え、あ、うん。そうなんだ」
ユウキが特奨生であることをアキラが把握していないことに、ユウキは少し驚いていた。身を売って学費を稼いでいる特奨生は、一般生徒から下に見られ、蔑まれるのに慣れてしまっている。
「それで、オレ、4ヶ月連続で奨学金額を下回る額しか稼げなかったから、奨学金打ち切りなんだ」
ユウキはアキラに蔑まれるのを覚悟で言った。しかしアキラは嘲笑もしなかった。
「え、マジで? どうすんだよ、お前」
そんな制度になっていることを、アキラは初めて知った。身売りまでさせといて、使えなきゃポイ捨てか。どこが奨学金なんだ。
「うち、お金ないから、学校辞めるしかないよ」
「そんな……」
「中退でも、藤堂くんみたいなすごい人と同じクラスだったって言ったら、ちょっとは自慢になるかな」
涙の溜まった目で無理やり微笑もうとするユウキをしばらく眺めていたアキラは、おもむろにユウキの腕を取って引っ張った。
「ついてこい」
「え? 藤堂くん?」
戸惑うユウキを連れて職員室に入り、担任の前に立つ。
「先生」
「藤堂くん。どうした?」
当たり前のようにユウキを無視して、担任はアキラに目線を合わせて話しかけた。
「僕、決めました。下前くんを僕の部屋子にします」
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