自分隠しのナルシスト達は付き合いたくないようなので、告白します。

せにな

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これからは2人の問題③

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「そういえばあの2人、髪乾かさずに寝たけど大丈夫なのか?お兄さんは知らないけど姉さんはかなり自分の髪を気にする人だぞ」

 ゲーム画面を凝視した匠海がコントローラーのボタン──ポチポチと緑色の帽子の髭をはやしたおじさんのキャラ──を操作しながら突然そんなことを言い出す。
 ワタシもゲーム画面を凝視し、コントローラーのボタンをポチポチとロボのキャラを操作しながら言葉を返す。

「それについては大丈夫。ワタシの部屋と勇の部屋にはドライヤーがあるから」
「あーなるほど。なら大丈夫か」
「うん。あ、そういえば匠海ってオムライス好きなの?」
「好きだよ。てか今は匠海って呼ばなくてもいいぞ」
「逆に匠海の方が定着したからこのままがいいな。ワタシのことも千咲って読んでくれていいから」
「なら匠海でいいや。千咲のことも千咲って呼ばせてもらうわ」
「はいはーい」

 ゲームに集中するワタシ達の脳死な会話でお互いの今後の呼び名について決まってしまう。
 さん付けで呼び合っていたのは出会って数分間だけ、それ以降は名前で呼び合っている。今からでもさん付けに戻してもいいけど、呼び捨てに慣れてきたのにまたさん付けされるのは帰って違和感がある。だからこの脳死の会話での決定はある意味正解だったのかもしれない。
 呼び名が決まってから数試合は無言だったが、試合の終盤にワタシはとあることを思い出す。

「そういえばこれから星澤さんを勇のベッドの上に運ぶから手伝ってね」
「………………はい!?」

 一瞬キャラの動きが止まった後、ワタシの言葉を理解したのか驚いた声を上げた匠海が勢いよくワタシの方を向いてくる。
 その瞬間匠海のキャラがワタシの攻撃によって場外に吹き飛び、テレビからは勝利のBGMが流れ始める。

「だから星澤さんを勇のベッドに運ぶよ?」
「いやいやいやいやいやいや。運ぶのはいいけどお兄さん起きるよ?」
「いや気にするのそっちなんだ……」

 匠海の心配するところが勇ってところに呆れ混じりの溜息を吐き、そんなワタシをよそに「そりゃ」と言いながら話し始める匠海。

「この時間なら姉さんなにしても起きないもん。運ぶぐらいはなんともないよ」
「運ぶぐらいなんだ……まぁ、勇も全く起きないから心配しなくても大丈夫だよ」
「ならよかったー」

 安堵の溜息をついた匠海はゲーム画面に目を戻し、次の試合を始めようと言わんばかりにボタンを連打しだす。

「次の試合は星澤さん運んだあとでね」
「じゃあ今の試合はノーカンだよね?」
「んなわけないでしょ。ワタシの勝ち」
「今のはズルだって!」
「知らなーい。早く運びに行くよ~」

 勇達が部屋に戻ったあと、ワタシと匠海はお風呂の前の続きも含め約3時間、いや4時間もの時間をゲームで勝負し続けている。
 今までの勝敗は……全く覚えていない。感覚ではワタシの方が勝っているのでそれでいい気がするので深くは考えないでおこう。



「千咲そこの扉開けて」
「はいはーい」

 星澤さんを担いだ匠海から勇の部屋の扉を開けるよう指示されたワタシはウキウキでドアノブを引く。

「ほんとに起きないよな?」
「起きない起きないーほらほら横に寝かしちゃいな~」
「うぃーっす」

 作業人のように軽く返事をした匠海は2人を起こさないようゆっくり勇の隣に星澤さんを寝かせる。
 私も足音を立てないように忍び足かつ早足でベッドの横に移動する。

「じゃあこれをこうしてこうして~」

 ニヤニヤと口角を上げながら独りごち、ワタシは勇の胸に星澤さんの顔を埋める。

「そこまでするのか……」
「そりゃね~ついでに星澤さんのサラシも~」

 そう呟きながら星澤さんの服の中に手を入れて素早くサラシを解いていく。
 実の姉とは言え、女性である星澤さんから目を逸らした匠海はゆっくりとベッドのそばを離れて小さく頷く。
 これを「俺は手出ししないから好きなだけしろ」という合図だと感じ取ったワタシは軽く頷き、2人の前髪を分けて起きた時に気づきやすくする。

「こんなもんでいいかな?やりすぎても不自然だろうし」

 小声で呟きながら立ち上がり、忍び足で扉の方へ向かう。
 それに続くように匠海も一緒にワタシと勇の部屋を後にする。

「この後ゲームの続きするか?」
「そうだね~ワタシの部屋で2人が起きるまでゲームしてよー」
「りょうかーい」

 廊下でそんな会話をしながらワタシと匠海は家中の電気を消したことを確認し、ワタシの部屋に戻るのだった。
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