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異説. 桃太郎
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むかしむかし、あるところに鬼たちの棲む、鬼ヶ島がありました。
鬼たちは非常におとなしい性質なのですが、体は大きく、恐ろしげな姿をしていたので、人間たちからは忌み嫌われておりました。
住人の一人、赤鬼どんが青鬼どんに話しかけました。
「おい。知っとるか。青鬼どん。」
「なんじゃあ?赤鬼どん。」
「なんでも今人間が一人、この島にやってきとるそうじゃぞ。」
「ほう。一人で来るとはまた肝の座ったやつじゃ。どんな奴なのかのう。」
「遠くでみたという奴の話じゃと、なんでも犬と猿と雉を連れていたそうじゃぞ。」
「ほう。犬と猿と雉とな。そいつは曲芸師か何かかのう。」
「さあ、どうじゃろなあ。なんにせよ会うのが楽しみじゃのう。」
赤鬼どんと青鬼どんは、何年ぶりかの人間との出会いに胸踊らせていた。
すると、そこへ黄鬼どんが息を切らしながら必死の形相で走ってきました。
「た、大変じゃあ!ふ、二人とも、はよう逃げい…!」
「あれは黄鬼どんじゃ…。どうしたんじゃろ?」
普段見ない黄鬼どんの必死の形相に、二人は不思議に思いました。
するとこちらに向かってくる黄鬼どんが、突然倒れたではありませんか。
「き、黄鬼どん!」
「どうしたんじゃあ!黄鬼どん!」
黄鬼どんの元に駆け寄ると、二人とも悲鳴をあげました。黄鬼どんの全身は傷だらけだったのです。
「誰じゃ!誰がこんなことを…!」
「あ、あの人間じゃ…。みんなあいつにやられてしもうた…。わしらは抵抗せんかったのに…!」
黄鬼どんの目からは涙が流れておりました。
「女、子供、老人もお構いなしじゃ…。まるで狩りでも楽しむように、あやつは笑いながら皆を殺していったんじゃ…。」
「な、何という…。」
「村は!?村はどうなったんじゃ!」
赤鬼どんの答えに黄鬼どんは首を横に振った。
「…皆殺しじゃ。村はもう跡形も残っとらん。わしも命からがら逃げてきたが、深手を負ってしもうた…。」
「そ、そんな…!」
「無念じゃ…!何もできんかった…!奴は強すぎる!せめてお前たちだけでも…。」
と、突然黄鬼どんの眉間から剣が突き出しました。何者かが、黄鬼どんの頭を貫いたのでした。
「な……!」
見上げると、刀を両の手で突き出している少年がたっておりました。
背丈は自分たちの半分ほど。全身を返り血で真っ赤に染めながらも、眼だけが爛々とぎらついておりました。
「まあだ、こんなところに残っとったか。鬼さんが。」
黄鬼どんにトドメをさした少年は、赤鬼どんと青鬼どんに眼を向けました。
「ヒィッ!」
「お、おめえが海の向こうからきたっつう人間か!」
「おう。桃太郎っつうんだ。」
「なんでじゃ…!なんでこんなことをするんじゃ…!わしらが何したっつうんじゃ!」
赤鬼どんの問いに、桃太郎は冷たく答えました。
「鬼だから。」
そう言って、桃太郎は振りかぶって刀を横になぎ払いました。たちまち隣にいた青鬼どんの頸がとびました。
「あ…。あ…。」
「さあ、お前で最後だ。一つ聞きたいことがある。この島には鬼の宝が眠っているそうだが、お前、知っとるか?」
「あ、ああ!知っとる!場所を案内する!だから命だけは助けてくれ!」
「…じゃぁ、案内頼むぞ。」
赤鬼どんは鬼ヶ島の奥地まで桃太郎一行を案内しました。
「ここにその宝があるのか?」
「そ、そうじゃ!一族の宝じゃ!さあ、案内したぞ!見逃してくれ!」
「駄目だ。」
その日最後の断末魔が、鬼ヶ島に響き渡りました。
こうして桃太郎は鬼の宝を持ち帰りました。街では鬼を倒した英雄と呼ばれ、おじいさん、おばあさんと宝を売った金で幸せに暮らしたそうです。
めでたし めでたし…。
鬼たちは非常におとなしい性質なのですが、体は大きく、恐ろしげな姿をしていたので、人間たちからは忌み嫌われておりました。
住人の一人、赤鬼どんが青鬼どんに話しかけました。
「おい。知っとるか。青鬼どん。」
「なんじゃあ?赤鬼どん。」
「なんでも今人間が一人、この島にやってきとるそうじゃぞ。」
「ほう。一人で来るとはまた肝の座ったやつじゃ。どんな奴なのかのう。」
「遠くでみたという奴の話じゃと、なんでも犬と猿と雉を連れていたそうじゃぞ。」
「ほう。犬と猿と雉とな。そいつは曲芸師か何かかのう。」
「さあ、どうじゃろなあ。なんにせよ会うのが楽しみじゃのう。」
赤鬼どんと青鬼どんは、何年ぶりかの人間との出会いに胸踊らせていた。
すると、そこへ黄鬼どんが息を切らしながら必死の形相で走ってきました。
「た、大変じゃあ!ふ、二人とも、はよう逃げい…!」
「あれは黄鬼どんじゃ…。どうしたんじゃろ?」
普段見ない黄鬼どんの必死の形相に、二人は不思議に思いました。
するとこちらに向かってくる黄鬼どんが、突然倒れたではありませんか。
「き、黄鬼どん!」
「どうしたんじゃあ!黄鬼どん!」
黄鬼どんの元に駆け寄ると、二人とも悲鳴をあげました。黄鬼どんの全身は傷だらけだったのです。
「誰じゃ!誰がこんなことを…!」
「あ、あの人間じゃ…。みんなあいつにやられてしもうた…。わしらは抵抗せんかったのに…!」
黄鬼どんの目からは涙が流れておりました。
「女、子供、老人もお構いなしじゃ…。まるで狩りでも楽しむように、あやつは笑いながら皆を殺していったんじゃ…。」
「な、何という…。」
「村は!?村はどうなったんじゃ!」
赤鬼どんの答えに黄鬼どんは首を横に振った。
「…皆殺しじゃ。村はもう跡形も残っとらん。わしも命からがら逃げてきたが、深手を負ってしもうた…。」
「そ、そんな…!」
「無念じゃ…!何もできんかった…!奴は強すぎる!せめてお前たちだけでも…。」
と、突然黄鬼どんの眉間から剣が突き出しました。何者かが、黄鬼どんの頭を貫いたのでした。
「な……!」
見上げると、刀を両の手で突き出している少年がたっておりました。
背丈は自分たちの半分ほど。全身を返り血で真っ赤に染めながらも、眼だけが爛々とぎらついておりました。
「まあだ、こんなところに残っとったか。鬼さんが。」
黄鬼どんにトドメをさした少年は、赤鬼どんと青鬼どんに眼を向けました。
「ヒィッ!」
「お、おめえが海の向こうからきたっつう人間か!」
「おう。桃太郎っつうんだ。」
「なんでじゃ…!なんでこんなことをするんじゃ…!わしらが何したっつうんじゃ!」
赤鬼どんの問いに、桃太郎は冷たく答えました。
「鬼だから。」
そう言って、桃太郎は振りかぶって刀を横になぎ払いました。たちまち隣にいた青鬼どんの頸がとびました。
「あ…。あ…。」
「さあ、お前で最後だ。一つ聞きたいことがある。この島には鬼の宝が眠っているそうだが、お前、知っとるか?」
「あ、ああ!知っとる!場所を案内する!だから命だけは助けてくれ!」
「…じゃぁ、案内頼むぞ。」
赤鬼どんは鬼ヶ島の奥地まで桃太郎一行を案内しました。
「ここにその宝があるのか?」
「そ、そうじゃ!一族の宝じゃ!さあ、案内したぞ!見逃してくれ!」
「駄目だ。」
その日最後の断末魔が、鬼ヶ島に響き渡りました。
こうして桃太郎は鬼の宝を持ち帰りました。街では鬼を倒した英雄と呼ばれ、おじいさん、おばあさんと宝を売った金で幸せに暮らしたそうです。
めでたし めでたし…。
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