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恩知らず
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私はいわゆる結婚詐欺師。
適当な男と結婚して、男の名義でカードを使いまくってトンズラする。それでまた新しい男を探す…。そんな毎日の繰り返しだ。
ついさっきも男から金を搾り取るだけ搾り取って、逃げてきてやった。
「今度もうまくいったわね。欲しい物は買い放題。使い放題。金の管理ができない男はいいカモだわ。」
「でも…母さん、これって悪いことだよね?あの人も可哀想だよ…。」
私の娘が不安げに言う。
「何言ってんのよ。夫婦間の窃盗は罪には問われないのよ。つまり、私たちのやってることは合法、悪いことじゃないの。」
「でも…。」
「所詮、この世は金よ。欲しいものがあれば、取れるとこから取ればいい。騙された方が悪いのよ。」
「……。」
娘は何か言いたげだったが、結局黙り込んでしまった。
逃走先、もとい新居に着いたのは夕方頃。ここでまた新しい生活が始まる。
「さあて、次の獲物を探さなきゃね。またお見合いサイトにでも登録しますか。」
「母さん…。私もう、こんな生活嫌だよ。どこかに落ちついて当たり前の生活がしたい…。」
「それじゃ、したいことなんて何もできないじゃない!普通に暮らしてたら、いっぱい我慢しないといけないのよ!」
「でも…。」
「いいから、あんたは私の言うことに従っていればいいの!」
「…はい。ごめんなさい。」
娘も生意気な口をきくようになった。誰のおかげでここまで大きくなれたと思ってるのかしら。恩知らず。
それから10年。
私は変わらず何不自由ない生活をしていた。
「母さん。ちょっといいかな?」
すっかり大人になった娘が声をかけてきた。
「あら、何かしら?」
「ちょっと話があって…。とりあえず、はい。」
娘は一杯の紅茶を持ってきてくれた。
「あら、ありがとう。いただくわ。」
一口、私は紅茶を飲んだ。娘の紅茶は格別だ。そこらの喫茶店より美味い。…親バカかしら?
「話っていうのはね…。私結婚しようと思うの…。」
「あら、おめでとう。相手はいくら持ってるの?」
「ふふっ。母さんたら、持ってるお金の方が興味あるのね?」
「当たり前よ。ゆくゆくは私もそっちに養ってもらうんだから。もう私が結婚してふんだくるっていう手も、年齢的に難しいからね。」
「そうね。母さんには感謝してる。でも…。」
「何?同居は嫌なの?娘なんだからやって当然でしょう?」
「ううん。そうじゃないの。」
「じゃあ、な、、!ぶ、ぶぐっ。」
突然、苦しくなり何か熱いものがこみ上げてきた。
…血だ。…私は血を吐いている。
「母さんとはもうここでお別れ。一緒にはもう住めないわ。」
「…な、な…!」
「私、ずっと普通の生活がしたいって思ってた。普通の生活が欲しかったの。でもそのためには母さんが邪魔。私がいくら普通に暮らそうとしたって、母さんが絡んでくる。さっきだって、私たちにたかろうとしてた。」
「……!」
この子は何を言ってるの…?せっかく育ててやったのに…!恩知らず!恩知らずめ!
「…ぐ!がああ…!」
私は娘に掴みかかろうとしたが、もはや私の足は言うことをきかず、力も入らなくなっていった。
「…母さん、いつも言ってたよね?欲しいものがあったら取れるとこから取れって。だから私も母さんからもらうわ。母さんの遺産をね。」
「…!」
「悔しい?でもこうも言ってたんじゃない?騙された奴が悪いんだって。」
そう言って、娘は家から出て行こうとした。
「そうそう…。電話しても無駄だよ。この家、人里から離れてるから、救急車が来るのもかなり遅いし、助けを呼んでも目印になるようなものもないから辿り着けない。もっとも、母さんには助けに来てくれる人なんていないだろうけど。」
「あ…。」
私を嘲笑いながら娘は出ていった。
「さようなら。恩知らずな母さん。」
適当な男と結婚して、男の名義でカードを使いまくってトンズラする。それでまた新しい男を探す…。そんな毎日の繰り返しだ。
ついさっきも男から金を搾り取るだけ搾り取って、逃げてきてやった。
「今度もうまくいったわね。欲しい物は買い放題。使い放題。金の管理ができない男はいいカモだわ。」
「でも…母さん、これって悪いことだよね?あの人も可哀想だよ…。」
私の娘が不安げに言う。
「何言ってんのよ。夫婦間の窃盗は罪には問われないのよ。つまり、私たちのやってることは合法、悪いことじゃないの。」
「でも…。」
「所詮、この世は金よ。欲しいものがあれば、取れるとこから取ればいい。騙された方が悪いのよ。」
「……。」
娘は何か言いたげだったが、結局黙り込んでしまった。
逃走先、もとい新居に着いたのは夕方頃。ここでまた新しい生活が始まる。
「さあて、次の獲物を探さなきゃね。またお見合いサイトにでも登録しますか。」
「母さん…。私もう、こんな生活嫌だよ。どこかに落ちついて当たり前の生活がしたい…。」
「それじゃ、したいことなんて何もできないじゃない!普通に暮らしてたら、いっぱい我慢しないといけないのよ!」
「でも…。」
「いいから、あんたは私の言うことに従っていればいいの!」
「…はい。ごめんなさい。」
娘も生意気な口をきくようになった。誰のおかげでここまで大きくなれたと思ってるのかしら。恩知らず。
それから10年。
私は変わらず何不自由ない生活をしていた。
「母さん。ちょっといいかな?」
すっかり大人になった娘が声をかけてきた。
「あら、何かしら?」
「ちょっと話があって…。とりあえず、はい。」
娘は一杯の紅茶を持ってきてくれた。
「あら、ありがとう。いただくわ。」
一口、私は紅茶を飲んだ。娘の紅茶は格別だ。そこらの喫茶店より美味い。…親バカかしら?
「話っていうのはね…。私結婚しようと思うの…。」
「あら、おめでとう。相手はいくら持ってるの?」
「ふふっ。母さんたら、持ってるお金の方が興味あるのね?」
「当たり前よ。ゆくゆくは私もそっちに養ってもらうんだから。もう私が結婚してふんだくるっていう手も、年齢的に難しいからね。」
「そうね。母さんには感謝してる。でも…。」
「何?同居は嫌なの?娘なんだからやって当然でしょう?」
「ううん。そうじゃないの。」
「じゃあ、な、、!ぶ、ぶぐっ。」
突然、苦しくなり何か熱いものがこみ上げてきた。
…血だ。…私は血を吐いている。
「母さんとはもうここでお別れ。一緒にはもう住めないわ。」
「…な、な…!」
「私、ずっと普通の生活がしたいって思ってた。普通の生活が欲しかったの。でもそのためには母さんが邪魔。私がいくら普通に暮らそうとしたって、母さんが絡んでくる。さっきだって、私たちにたかろうとしてた。」
「……!」
この子は何を言ってるの…?せっかく育ててやったのに…!恩知らず!恩知らずめ!
「…ぐ!がああ…!」
私は娘に掴みかかろうとしたが、もはや私の足は言うことをきかず、力も入らなくなっていった。
「…母さん、いつも言ってたよね?欲しいものがあったら取れるとこから取れって。だから私も母さんからもらうわ。母さんの遺産をね。」
「…!」
「悔しい?でもこうも言ってたんじゃない?騙された奴が悪いんだって。」
そう言って、娘は家から出て行こうとした。
「そうそう…。電話しても無駄だよ。この家、人里から離れてるから、救急車が来るのもかなり遅いし、助けを呼んでも目印になるようなものもないから辿り着けない。もっとも、母さんには助けに来てくれる人なんていないだろうけど。」
「あ…。」
私を嘲笑いながら娘は出ていった。
「さようなら。恩知らずな母さん。」
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