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1.ヨロシク
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『……世界大戦から今日で1年が経ちました。各国では戦没者の為に追悼を……』
「おい!親父!酒だ!酒!」
淡々とニュースを流すテレビの声を、粗雑な男の声が掻き消す。
20XX年。世界は第三次世界大戦によって灼かれてしまった。誰がどんな目的で始めたのか、そんな事もどうでも良くなるくらい、炎と銃弾、叫喚とそれを押し潰す鉄の音で覆い尽くされていた。
だがそれも最早過去の話。永遠のように続いた戦争も突如として終わってしまった。誰がどのように戦争を終わらせたのか、民は知る由もない。とにかく戦争は終わったのだ。
とはいえ戦争の傷跡は深く、人々は復興に向けて毎日を過ごしていた。瓦礫の山を一つ一つ取り払い、そうして一年。元の生活を取り戻した者もそうでない者もいた。
そんな社会の中、酒場だけには元のように人が集まっていた。
ある者は癒しを求めて、またある者は苦痛を忘れるために、それぞれがそれぞれの理由で酔いたいが為に酒場に集まっていた。
「おい主人!酒だって言ってんだ!早くしろ!」
「はいはい。酒一丁ね。ビールかい。」
「当たり前だ!聞かなくてもわかるだろ!」
「あいよ。…あんまりうるさいと出て行ってもらうよ。お客さん。」
「うるせえ!…くそっ。」
カウンターに腰掛けた男は明らかに荒れていた。だがそれを気にかける者はいない。そんな事は日常茶飯事だからだ。だから酒場の主人もそれ以上は追及しない。一応形の上で注意するだけ。あとは見ないふりがこの店の暗黙の了解だった。
その日のテーブル席は満席でそれぞれがワイワイと飲んでいたが、カウンター席は空いていて、先程の男とは別にもう一人しかいなかった。
そのもう一人の風貌が妙であった。西部劇のようなウエスタンハットを被り、マフラーを巻いて顔を隠している。さらにはコートを着込んで革の手袋までしている。まるで真冬の格好だ。そんな男が、カウンターの隅でグラス一杯の水をジッと凝視するように佇んでいたのだから、後から来た男はからかわずにはいられなかった。
「おいおいおいおい。何だよにいちゃん。そのカッコはよぉ。店ん中だぜ?せめて帽子は脱げよ。なぁ?」
荒れている男はそう言って、その客の帽子を奪おうとする。…が、その手は瞬時にして掴まれ、捻り折られた。
「痛っで…⁉︎て、テメェ…⁉︎」
男の手を掴んだまま、帽子の客は立ち上がる。顔はまだ見えないままだ。
「人を探している。」
「…あ⁉︎」
「ロジーという男だ。この街にいるはずだ。」
「し、知るか!テメェ!なんのつもりで…!」
「そうか。」
そう言うと、帽子の男はあっさりと手を放し、また元の席に座った。そうして「もうお前には興味はない」という風に、またジーッとグラスを見つめていた。
「て…!て…!テメェ…!」
男は面白くなかった。からかいついでに喧嘩をふっかけようとしたのを、一方的に抑えられた挙句に手を折られ、しかもその相手は悪びれる様子もなくまた席に座ってジッとしているのだ。頭にこないはずがなかった。
「ふざけてんじゃねえぞ!テメェ!」
男は再び帽子の客に殴りかかった。帽子の客は、今度は腕を掴まず、上体を少し反らして男の拳をかわした。
と、その時だった。
上体を反らした弾みで、帽子が落ちてしまった。
その帽子の下に隠されていた顔は、とても冷たい印象を受けた。
「個」を主張させないスキンヘッド、氷のように光を失った目、血の通っていないかのような青白い肌。
そして何よりも、頬に貼り付けられたかのように刻まれたナンバーコードが、その男の異質さを際立たせていた。
「こ…コイツ…⁉︎」
殴りかかった男は目を丸くして後ずさる。そして大きな声で叫ぶのだった。
「コイツ、"DALLS"だ!」
その一声が、酒場の喧騒をかき消した。
先程まで楽しそうに飲んでいたものも、チビチビと飲んでいたものも、皆一様に顔を引き攣らせ、カウンターに視線を集めていた。
「何だとぉ…⁉︎」
「DALLSが⁉︎」
店中の客が、それぞれ怒りを孕んだ表情で、一人、また一人と、DALLSと呼ばれた男に顔を向けて立ち上がった。
「DALLS」。
それは大戦の最中、突如として現れた殺戮集団である。
任務に対して、正確に、忠実にこなしていくキリングマシーン。自らが傷ついても、仲間が斃れても顔色一つ変えず、ただ任務を全うしていく様は、戦場で対峙した兵士を震え上がらせた。
「人の形をした人間ではない何か」。
そうしてついた渾名が、「DALLS(人形たち)」だった。
大戦を生き抜いた者達で「DALLS」の名前を知らないものはいない。
大戦が終わった後も、生き残ったDALLSは戦火の恨みの捌け口として迫害された。
それはこの酒場でも例外ではなかった。
「ぶっ殺せ!」
誰かが叫ぶや否や、店中の客がDALLSの男に飛びかかった。
1発、2発、3発と次々と客たちは殴りかかる。が、その全てを、DALLSの男はヒラリヒラリと躱していった。その様は、まるで風に揺れる柳の葉のようであった。
「このっ…!ちょこまか逃げやがって…!」
「囲んで取り押さえろ!」
客たちはDALLSの男の四方を囲み、一斉に飛び掛かる。が、男はポンと垂直に飛び上がり、それも軽々と躱してしまった。男の真下では客たちが顔をぶつけ合って、鼻血を流しながら気を失っている。
「この野郎!ふざけやがって!」
尚も襲い掛かろうとする客たちに、男は右手を広げて呼びかけた。
「人を探している。ロジーという人物なんだが…。」
「くたばれ!人形野郎!」
「話を聞いてほしい。私は人を…。」
「これでもくらえ!人殺しが!」
男の呼びかけに客たちは応じず、今度はテーブルの料理やらグラスやらを投げつけ始めた。男はまたヒョイヒョイと躱しながら呼びかけ続けるのだが、客たちは聞く耳を持たない。
と、その内に客の投げる食器の一つが別の客に当たった。
「痛っ…⁉︎何しやがる!この野郎!」
「あ⁉︎俺じゃねえよ!ボケ!」
「ボケっつったか⁉︎おお⁉︎テメェ!」
「何だぁ⁉︎やるかぁ⁉︎」
これを皮切りに、酒場内では次々と客同士の乱闘が始まった。
どうにも頼み事をする雰囲気ではないと感じ取ったのか、男は酒場の主人に話しかける。
「マスター、勘定を。」
「『勘定を。』じゃねえよ。バカタレ。水しか飲まなかったクセしやがって。酒を飲め、酒を。」
「すまない。いくらだろうか。」
「水でお代もらえるか。ボケ。でも店の備品は弁償してもらうよ。」
酒場の喧嘩は日時茶飯事。だから見て見ぬ振りをする。だが、お代はきっちりもらう。これがこの酒場の主人のモットーであった。
「そうだな…。とりあえず5万もらおうか。払えないとは言わせないよ。」
「払えない。」
「…ほんと、いい度胸してんな。兄ちゃん。いやまったく、いい度胸してるよ。ほんとに。」
あまりの狼狽で主人の声色が変わる。
と、そこへバシン!と景気良く札が、呆れ顔の主人の横で叩きつけられた。
「ハイ!アタシが代わりに払うよ!5万ピッタシ!これなら文句ないだろ⁉︎」
笑顔で代金を払ったのは、この酒場には似つかわしくない風貌、というか年齢の少女だった。
「ソーニャか。また酒場に入りやがって。悪ガキが。」
「うるせえ。こんな世の中だ。ガキだって呑みたいんだよ。」
「10年早えよ。クソガキ。…ところで、お代は本当にもらっていいのかい。」
「いいって。いいって。どうせアタシの金じゃねーんだ。」
ソーニャと呼ばれたその少女は、大金の入ってそうな財布片手に、向こうで乱闘をしている男たちを親指でクイクイと指差した。
「…盗んだのか。全く手癖の悪い奴だ。」
「そこの旦那のおかげさ。貰う金は何だろうが問題なし、だろ?」
「ああ。その通りだ。」
「へへっ。」
ソーニャはそうやって笑うと、横でボーっと立ち尽くしていた男の手を引く。
「さ、行こうぜ。ここにいたらまた面倒に巻き込まれる。」
「俺は人探しを…。」
「ロジーだろ?大丈夫。アタシが知ってる。アンタをそこまで連れてってやるよ。」
「そうか。助かる。」
「いいってことよ。アタシも儲けさせてもらったしね。アタシはソーニャだ。よろしくな!」
ソーニャはそう言って、右手を差し出した。
「……?」
男はしばらくその右手を不思議そうに見つめている。
「何をしている?」
「何って、握手だよ。ほら。」
ソーニャは男の右手を取ると、自分の右手を握らせた。
「ほら、こうしてお互い握り合って『よろしく』ってな。」
「握手…。なるほど。人が協力関係を築くための儀式のようなものか。」
「そんな大層なもんでもないと思うけど…。」
「覚えておこう。ヨロシク。」
「ああ、よろしくな!アンタの名前は?」
「名前…。識別番号は『117』だ。」
「いや、そういうんじゃなくて…。」
「名前には不足だろうか?」
「不足っていうかさ、なんかないの?こう呼んでほしい!みたいなさ。」
「ふむ…。」
男はコートをゴソゴソとまさぐると、ひとかけらのパンの切れ端を取り出した。
「『ラスク』でどうだろうか。」
「どうって言われても…。アンタはそれでいいの?」
「別に構わない。名前というものにこだわりはない。」
「…ま、何もないよりマシか。じゃ、よろしくな!ラスク!」
「ヨロシク。ソーニャ。」
こうしてラスクとソーニャ。
二人の旅が始まるのであった。
「おい!親父!酒だ!酒!」
淡々とニュースを流すテレビの声を、粗雑な男の声が掻き消す。
20XX年。世界は第三次世界大戦によって灼かれてしまった。誰がどんな目的で始めたのか、そんな事もどうでも良くなるくらい、炎と銃弾、叫喚とそれを押し潰す鉄の音で覆い尽くされていた。
だがそれも最早過去の話。永遠のように続いた戦争も突如として終わってしまった。誰がどのように戦争を終わらせたのか、民は知る由もない。とにかく戦争は終わったのだ。
とはいえ戦争の傷跡は深く、人々は復興に向けて毎日を過ごしていた。瓦礫の山を一つ一つ取り払い、そうして一年。元の生活を取り戻した者もそうでない者もいた。
そんな社会の中、酒場だけには元のように人が集まっていた。
ある者は癒しを求めて、またある者は苦痛を忘れるために、それぞれがそれぞれの理由で酔いたいが為に酒場に集まっていた。
「おい主人!酒だって言ってんだ!早くしろ!」
「はいはい。酒一丁ね。ビールかい。」
「当たり前だ!聞かなくてもわかるだろ!」
「あいよ。…あんまりうるさいと出て行ってもらうよ。お客さん。」
「うるせえ!…くそっ。」
カウンターに腰掛けた男は明らかに荒れていた。だがそれを気にかける者はいない。そんな事は日常茶飯事だからだ。だから酒場の主人もそれ以上は追及しない。一応形の上で注意するだけ。あとは見ないふりがこの店の暗黙の了解だった。
その日のテーブル席は満席でそれぞれがワイワイと飲んでいたが、カウンター席は空いていて、先程の男とは別にもう一人しかいなかった。
そのもう一人の風貌が妙であった。西部劇のようなウエスタンハットを被り、マフラーを巻いて顔を隠している。さらにはコートを着込んで革の手袋までしている。まるで真冬の格好だ。そんな男が、カウンターの隅でグラス一杯の水をジッと凝視するように佇んでいたのだから、後から来た男はからかわずにはいられなかった。
「おいおいおいおい。何だよにいちゃん。そのカッコはよぉ。店ん中だぜ?せめて帽子は脱げよ。なぁ?」
荒れている男はそう言って、その客の帽子を奪おうとする。…が、その手は瞬時にして掴まれ、捻り折られた。
「痛っで…⁉︎て、テメェ…⁉︎」
男の手を掴んだまま、帽子の客は立ち上がる。顔はまだ見えないままだ。
「人を探している。」
「…あ⁉︎」
「ロジーという男だ。この街にいるはずだ。」
「し、知るか!テメェ!なんのつもりで…!」
「そうか。」
そう言うと、帽子の男はあっさりと手を放し、また元の席に座った。そうして「もうお前には興味はない」という風に、またジーッとグラスを見つめていた。
「て…!て…!テメェ…!」
男は面白くなかった。からかいついでに喧嘩をふっかけようとしたのを、一方的に抑えられた挙句に手を折られ、しかもその相手は悪びれる様子もなくまた席に座ってジッとしているのだ。頭にこないはずがなかった。
「ふざけてんじゃねえぞ!テメェ!」
男は再び帽子の客に殴りかかった。帽子の客は、今度は腕を掴まず、上体を少し反らして男の拳をかわした。
と、その時だった。
上体を反らした弾みで、帽子が落ちてしまった。
その帽子の下に隠されていた顔は、とても冷たい印象を受けた。
「個」を主張させないスキンヘッド、氷のように光を失った目、血の通っていないかのような青白い肌。
そして何よりも、頬に貼り付けられたかのように刻まれたナンバーコードが、その男の異質さを際立たせていた。
「こ…コイツ…⁉︎」
殴りかかった男は目を丸くして後ずさる。そして大きな声で叫ぶのだった。
「コイツ、"DALLS"だ!」
その一声が、酒場の喧騒をかき消した。
先程まで楽しそうに飲んでいたものも、チビチビと飲んでいたものも、皆一様に顔を引き攣らせ、カウンターに視線を集めていた。
「何だとぉ…⁉︎」
「DALLSが⁉︎」
店中の客が、それぞれ怒りを孕んだ表情で、一人、また一人と、DALLSと呼ばれた男に顔を向けて立ち上がった。
「DALLS」。
それは大戦の最中、突如として現れた殺戮集団である。
任務に対して、正確に、忠実にこなしていくキリングマシーン。自らが傷ついても、仲間が斃れても顔色一つ変えず、ただ任務を全うしていく様は、戦場で対峙した兵士を震え上がらせた。
「人の形をした人間ではない何か」。
そうしてついた渾名が、「DALLS(人形たち)」だった。
大戦を生き抜いた者達で「DALLS」の名前を知らないものはいない。
大戦が終わった後も、生き残ったDALLSは戦火の恨みの捌け口として迫害された。
それはこの酒場でも例外ではなかった。
「ぶっ殺せ!」
誰かが叫ぶや否や、店中の客がDALLSの男に飛びかかった。
1発、2発、3発と次々と客たちは殴りかかる。が、その全てを、DALLSの男はヒラリヒラリと躱していった。その様は、まるで風に揺れる柳の葉のようであった。
「このっ…!ちょこまか逃げやがって…!」
「囲んで取り押さえろ!」
客たちはDALLSの男の四方を囲み、一斉に飛び掛かる。が、男はポンと垂直に飛び上がり、それも軽々と躱してしまった。男の真下では客たちが顔をぶつけ合って、鼻血を流しながら気を失っている。
「この野郎!ふざけやがって!」
尚も襲い掛かろうとする客たちに、男は右手を広げて呼びかけた。
「人を探している。ロジーという人物なんだが…。」
「くたばれ!人形野郎!」
「話を聞いてほしい。私は人を…。」
「これでもくらえ!人殺しが!」
男の呼びかけに客たちは応じず、今度はテーブルの料理やらグラスやらを投げつけ始めた。男はまたヒョイヒョイと躱しながら呼びかけ続けるのだが、客たちは聞く耳を持たない。
と、その内に客の投げる食器の一つが別の客に当たった。
「痛っ…⁉︎何しやがる!この野郎!」
「あ⁉︎俺じゃねえよ!ボケ!」
「ボケっつったか⁉︎おお⁉︎テメェ!」
「何だぁ⁉︎やるかぁ⁉︎」
これを皮切りに、酒場内では次々と客同士の乱闘が始まった。
どうにも頼み事をする雰囲気ではないと感じ取ったのか、男は酒場の主人に話しかける。
「マスター、勘定を。」
「『勘定を。』じゃねえよ。バカタレ。水しか飲まなかったクセしやがって。酒を飲め、酒を。」
「すまない。いくらだろうか。」
「水でお代もらえるか。ボケ。でも店の備品は弁償してもらうよ。」
酒場の喧嘩は日時茶飯事。だから見て見ぬ振りをする。だが、お代はきっちりもらう。これがこの酒場の主人のモットーであった。
「そうだな…。とりあえず5万もらおうか。払えないとは言わせないよ。」
「払えない。」
「…ほんと、いい度胸してんな。兄ちゃん。いやまったく、いい度胸してるよ。ほんとに。」
あまりの狼狽で主人の声色が変わる。
と、そこへバシン!と景気良く札が、呆れ顔の主人の横で叩きつけられた。
「ハイ!アタシが代わりに払うよ!5万ピッタシ!これなら文句ないだろ⁉︎」
笑顔で代金を払ったのは、この酒場には似つかわしくない風貌、というか年齢の少女だった。
「ソーニャか。また酒場に入りやがって。悪ガキが。」
「うるせえ。こんな世の中だ。ガキだって呑みたいんだよ。」
「10年早えよ。クソガキ。…ところで、お代は本当にもらっていいのかい。」
「いいって。いいって。どうせアタシの金じゃねーんだ。」
ソーニャと呼ばれたその少女は、大金の入ってそうな財布片手に、向こうで乱闘をしている男たちを親指でクイクイと指差した。
「…盗んだのか。全く手癖の悪い奴だ。」
「そこの旦那のおかげさ。貰う金は何だろうが問題なし、だろ?」
「ああ。その通りだ。」
「へへっ。」
ソーニャはそうやって笑うと、横でボーっと立ち尽くしていた男の手を引く。
「さ、行こうぜ。ここにいたらまた面倒に巻き込まれる。」
「俺は人探しを…。」
「ロジーだろ?大丈夫。アタシが知ってる。アンタをそこまで連れてってやるよ。」
「そうか。助かる。」
「いいってことよ。アタシも儲けさせてもらったしね。アタシはソーニャだ。よろしくな!」
ソーニャはそう言って、右手を差し出した。
「……?」
男はしばらくその右手を不思議そうに見つめている。
「何をしている?」
「何って、握手だよ。ほら。」
ソーニャは男の右手を取ると、自分の右手を握らせた。
「ほら、こうしてお互い握り合って『よろしく』ってな。」
「握手…。なるほど。人が協力関係を築くための儀式のようなものか。」
「そんな大層なもんでもないと思うけど…。」
「覚えておこう。ヨロシク。」
「ああ、よろしくな!アンタの名前は?」
「名前…。識別番号は『117』だ。」
「いや、そういうんじゃなくて…。」
「名前には不足だろうか?」
「不足っていうかさ、なんかないの?こう呼んでほしい!みたいなさ。」
「ふむ…。」
男はコートをゴソゴソとまさぐると、ひとかけらのパンの切れ端を取り出した。
「『ラスク』でどうだろうか。」
「どうって言われても…。アンタはそれでいいの?」
「別に構わない。名前というものにこだわりはない。」
「…ま、何もないよりマシか。じゃ、よろしくな!ラスク!」
「ヨロシク。ソーニャ。」
こうしてラスクとソーニャ。
二人の旅が始まるのであった。
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