灼魂戦線

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1章

カワルシンカイ

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 崩れた瓦礫に縋り下を向いている茶髪の青年が1人。全身は、焦げ皮膚の一部が剥げかけている。

アリスは目を閉じて呟く。

「この感じ……違うな!13年前とは……!『聖獣』の力で崩壊したわけじゃない!」

 旧界の崩壊時、アリスが目にした光景は焼け焦げる街。しかし、グローク王国の崩壊は爆発による降灰のみ。明らかな違いは、炎上した痕跡が残っていないと言うこと。

「建物が崩れはしてるが、焦げては無い………間違いない!が帰って来たんだ!」

アリスは前を向いて、そう叫んだ瞬間前方の奥側から、汽笛のような音がグローク王国全域に鳴り響く。

「なんだよ!今度は!」

アリスが座る3キロ手前、黒装束の男が2人アリスの方へ向かって歩いている。

「今の声は生存者か?」
「崩壊の根源すら見つかってない!生存者など見つかるわけなかろう!」

アリスは慌てて立ち上がり走り出す。

(防衛隊の分隊か?いやそれにしては冷静すぎる!まさかッ!使……)

 ━━━━━━━━━━━━━━

 新界 首都 エリカリス とある聖堂━━━━━

 白装束の男女数人が、何らかの祭壇の前で跪いている。

『嗚呼!『星獸アメン』」様ッ!』

 一同が崇め、アメンと呼ぶ『星獸』とは、新界の王。
 云わば、の王である。

 祭壇の前で帽子を被り、指揮を執る神父のみが『星獸』と交信が出来るという。

「数日前ッ!我が祖は、再び『崩壊』が始まりを迎えると云われた。そして先日南東の独立国『グローク王国』が壊滅した!見事予言を当てられたのだッ!そしてこの『新界』も変わらればならぬ!今こそッ!祖へ最大の崇拝を与え讃えよッ!」

 神父の合図とともに再び始まる詠唱。その様子を聖堂の外で見る人物がいた。
 藍色のフードの上着を着込み、革ズボンのポケットに手を入れ聖堂の扉に縋っている。

 詠唱を見終えると、フードの青年はニヤッと笑みを浮かべ聖堂の階段を下っていく。

「『新界』を変える……か……ならばこちらも手を打つしかないな!」

 青年はそう言うと、首都の港へ走りだし巨大な黒船に大きく飛び移る。

「出すぞッ!これから我らは時代を変えるッ!だが、それを企むのは我らだけでは無い!ならば勝ち取るしかねぇよなぁッ!」

 フードを取り黒髪の長髪の青年がそう言うと、船員らしき男が前に出る。
「旦那ッ!変えると申しますと……」
「先日の崩壊始動で、『新界』の内情に変化が出てきてんだよ!気になんねぇか?」

 青年がそう言うと、船員一同の歓声が沸き上がる。

「見てろよ!星獸信者クソジジイ共ッ!世界の情勢は俺が崩す!」

 男はそう言うと、船の椅子に腰をかけ空を見上げ、手をかざした。







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