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3 女への疑惑
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サヴァリアは外国との交流がほぼない島国だ。
交流がないというよりは、交流する術がないと言った方が正しいか。
だだっ広い海を簡単に越える技術をこの国は持ち合わせてはいなかった。
そんなサヴァリアにも月に数度他の国からの交易船が来る。
ほとんどは食料や衣類、生活に必要な最低限度のもののやり取りだがごくたまに娯楽としての品物も入ってくる。
外国の書物もその一つだった。
といっても最新のものはあまり無く、使い込まれた古いものばかりが流れてくる。
アダムはこういった書物にはあまり興味はないが、知らない外国のことが知れるとノエルは毎回楽しみにしていた。
何か興味を引くものはないだろうか。
積まれた本を手に取ってみると、アダムは目を引くフレーズを見つけた。
ーーーアミュレスが滅んだのは1人の魔女のせいだった?!
ボロボロになった雑誌。
そこにはご丁寧にもアンジェラによく似た女の顔写真が掲載されていた。
この本が書かれたのは約10年前。
写真に映る彼女は今とほとんど変わらないように見える。
どういうことだ?
ただの他人の空似だろうか。
それにしては似すぎている。
以前ふとした雑談で聞いたことがある。
確かアンジェラもアミュレスから移住してきたはずだ。
アダムは確かめるようにその本をパラパラと捲る。
『またしても滅びの魔女現る。死者数百万人。アミュレスは崩壊し、災悪を呼び込んだ魔女は消息不明。』
物騒なフレーズがいくつも並ぶ。
「すまない、少しいいか?」
アダムは商人の男を呼び止めた。
「はい、なんでございましょうか。」
「この滅びの魔女に関する書物を集めてほしい。」
「滅びの魔女…ですか。かしこまりました。次回の寄港になりますがよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。」
「懐かしい記事ですねぇ。確かあの戦闘でアミュレスは滅んだとか…。生き残った人間もほとんどいなかったようですな。」
「この魔女はどうなったんだ?」
「さぁ?この事件以来目撃情報が途絶えましてね。この戦闘で死んだのか、はたまたどこかで身を潜めているのか。皆目見当もつきません。」
「そうか…。」
確証が得られるまで自分だけの秘密に留めておこう。
アダムはそう考え、その雑誌を懐に隠す。
こんな本、とても国民の目には触れさせられない。
何かの間違いやただのゴシップならいいが。
この本に写っているのがアンジェラ本人だとして、書かれている内容が本当だとしたら、自分はこの国の王としてどうするべきなのだろうか。
そして彼女に長年片想いをしているノエルの親友として、自分は彼にどんな言葉をかけたらいいのだろうか。
交易品の選別、輸送は一兵卒に任せアダムは足早に城へと戻った。
「しばらく誰も近づけないでくれ。」
そう見張りの戦士に言い残し、1人王の執務室へと籠る。
先ほどの雑誌を再び開いてみた。
滅びの魔女に関するページはたったの4ページ。
本によれば、その魔女が現れた国は必ず滅びてしまうらしい。
彼女は数百年前から存在し、ほとんど変わらない容姿で現れるという。
天使を思わせる純粋無垢で可憐な風貌。
その容姿とは裏腹に、街を火の海に変え殺戮の限りを尽くす。
彼女が現れた国で生き残った者はほとんどいない。
そのため彼女についての詳細は謎に包まれている。
不老不死だとか、世界を滅ぼす程の力があるだとか。
憶測を含めた内容だが、読めば読むほど物騒な話だ。
思えば、自分はアンジェラのことをそれほどよく知らない。
自分が王になる7年前から女王としてこの国を治めているが、彼女が何者でどんな能力を持つのかさえ知らない。
女王という肩書があるくらいだ。外見だけで選ばれるはずがない。何かしらの能力に秀でているはず。
しかし、その片鱗でさえも見たことがないのだ。
戦闘には出ず、政治にも不参加でただお飾りのように女王として国内行事にのみ参加している姿しか知らない。
知らなければ。彼女を。
アダムは迷った末、ノエルを呼ぶことにした。
ーーーーー
「君に仕事を依頼したい。」
アダムはノエルに視線を向けることなく言った。
あいもかわらずアダムは書類仕事に追われているらしい。
視線は忙しなく書類を滑り、右手は別の書類につらつらと何かを書き連ねている。
「今回はなんだ?」
「ある人物の調査だ。簡単に言えば素行調査だな。」
「素行調査?んなもん探偵にでも任せればいいんじゃないのか?」
「いや、それはできない。だから君に頼んでいる。」
俺様素行調査なんてガラじゃないんだけど…と呆れつつノエルは聞く。
「ちなみにある人物ってのは?」
「アンジェラだ。」
「は?!」
思わぬ人物の名に、ノエルは思わず声を上げる。
「お前…そんなストーカーみたいな真似できるかよ!」
「君、ストーカーは得意だろう。毎朝わざわざ早起きしてカフェで待ち伏せして彼女の姿眺めてるんだろう。この国の人間ならみんな知ってるぜ。」
「それは…っ!否定できないけど!!断じてストーカーじゃないし!たまたまいつも行くカフェからアンジェラさんが見えるだけで…っ!ストーカーなんてそんなつもりないからな!」
「まぁこの際そんなことはどうでもいい。」
心底興味がないとでも言いたげにアダムは呆れたように息を吐いて顔を上げる。
「君はおかしいと思わないのか?」
書類を置き、強い金の瞳が真っ直ぐにノエルを見つめる。
「彼女はサヴァリアの女王となって10年。1度も戦闘に出たという記録がない。たった1度もだ。この国では強い者が王の名を手にする。この俺のようにな。女王の名も同じはずだ。武力かそうでないにしろ、なんらかの能力に秀でているはずだ。まさか彼女がお飾りで女王を名乗っているわけではないだろう。」
「お飾り…って言い方はどうかと思うが、昔からこの国の女王はシンボル的な意味合いが強い。それは歴史も証明している。それに、王や女王、俺達トップ7の選出は評議会の決定で行われている。何もおかしなことはないだろう?」
アダムは納得できないというふうに、うーんと唸る。
「彼女の能力は不明。10年前にアミュレスからこの地に来たことはわかっているがそれだけだ。以前の経歴は全くの白紙。これでおかしいと思わないほうがおかしいだろう。」
「そう言われると…確かにそうだけど…。お前は何を疑っているんだ?」
「彼女は…。いや、なんでもない。」
アダムは躊躇うように口を開き、そして閉じた。
No.2である自分にさえ言えないことなのか。
「とにかく。俺は調査には向かない。今回はノエルが適任だと思った。頼むぞ。まぁ、君のことだ。ヘマしてバレても『好きすぎてストーカーしちゃいました』とでも言えば許されるだろう。」
「んなことで許されるかよ。二重の意味で俺様社会的に死んじゃう。」
気乗りしないものの半ば無理矢理にアダムからの依頼を受けたノエルはとりあえず城の書庫へ向かった。
司書に声をかけ、重要書類を閲覧したいと言うと司書は二つ返事でノエルに答える。
ノエルはこの国のナンバー2だ。
顔パスで大抵の場所に入ることができる。
司書に案内されたのは厳重な扉を何個もくぐった先。
地下の隠し書庫だった。
ノエルはその中から騎士団の名簿を探す。
「おっ、これか。」
高い位置にあるファイルを手に取る。
勝手に好きな女性の個人情報を暴くことへの罪悪感を抱きつつ、手にした本をパラパラと捲るとアンジェラの情報が書かれた項目を見つけた。
「これはまぁ、見事に真っ白。」
彼女のページには名前と性別以外何も書いていなかった。
年齢、出身、経歴。
本当に何もない。
よくもまぁこれで書類提出ができたものだと思うくらい何も書かれていなかった。
「まぁそうだよなぁ。ここでわかることならわざわざアダムが俺に依頼するわけねぇもんな…。」
わかってはいたけど無駄足だったな、と思いつつ眺めるようにページを捲る。
次のページに現れたのはジャックだった、
ジャック・スターローン、年齢27,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住、以前はアミュレスの魔道士ギルドで天才と呼ばれていた。
「いや、偶然か?」
ノエルはページを進める。
焔、年齢56、10年前にアミュレスからサヴァリアに移住、アミュレスの騎士団ギルドに所属していた。それ以前は傭兵として世界を渡り歩いていた。出身は東洋の島国ヤマト。
エレナ・シュヴァルツ、年齢28,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住。以前はアミュレスで大学の教授をしていた。
ベル・リンガル、年齢18,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住。移住後からガンナー、スナイパーとしての頭角を現す。
ページを捲り続けると、同じような経歴の持ち主が数人確認できた。
アンジェラがアミュレスからサヴァリアに来たのが10年前。
ジャックや焔たちがこの地へ来たのも10年前。
10年前と言えばノエルたちはまだ孤児院暮らしで遠征から帰る騎士団たちに、羨望の憧れの目を向けていた頃だ。
ジャック、焔、エレナ、ベル。
彼らから何か有益な情報を得られるだろうか。
ノエルは迷った末、彼らに会いに行くことにした。
とりあえず誰からあたろうかと考えながら城の長い廊下を歩いていると見慣れた男の姿が見えた。
戦闘帰りだろうか、重厚な鎧の上から耐火コートを羽織った姿の彼はこちらの姿を見て微笑む。
ちょうどいいタイミングだ。
「アンジェラさんのこと?うーん知らないな。僕と彼女じゃ接点ないし…力になってあげられなくてごめんね?」
焔は申し訳無さそうに言った。
焔は嘘を付くような人じゃない。
彼が知らないと言えば本当に知らないのだろう。
ならば他を当たるかぁ、ノエルはジャックに会いに魔道士ギルドへ向かった。
しかし、魔道士ギルドに彼の姿はなかった。
「ジャック様ですか?すみません、今は不在でして…。」
受付の女性は申し訳無さそうに言う。
「あーそっかぁ。ありがとう、出直すよ。」
そう上手くはいかないか。
魔道士ギルドを出ようと踵を返すとヒソヒソと可愛らしい声が聞こえた。
「ねぇ、あれってノエル様じゃない?」
「本当だ、ノエル様だ!」
「今日もカッコいい~!」
自覚はあまりないけれど、この国のでナンバー2という立場はよほど魅力的に見えるらしい。
今のように若い女性からの黄色い声援を受けることもしばしばある。
ノエルはにっこり笑って彼女たちに手を振る。
彼女たちはキャーと悲鳴に似た声を上げる。
どんな時でもファンサービスは欠かさない。
これはアダムによる教えでもあった。
王がいるから国がある。
国民に支えられているから王がいる。
人無くして国は成り立たない。
だから国民を大事にしろ。
イメージを壊すな。夢を見せろ。
自分がこの国のナンバー2という自覚を持て。
そう口を酸っぱくして何度も教え込まれた。
最初は気恥ずかしくてうまくできなかったけど、最近は板についてきたよな、と思いながら魔道士ギルドを後にしようと歩き出す。
その最中、控えめに裾をクイッと引かれた。
「あの…ジャック様なら多分表のカフェにいると思いますよ…。」
小柄な少女が俯きながら言う。
人見知りなのかあっちこっちと視線が忙しない。
ノエルはその手を取り、跪いて視線の高さを合わせて軽く微笑む。
「ありがとう。行ってみるよ。」
その瞬間割れんばかりの黄色い声が響く。
こんなおとぎ話の王子様みたいなことは柄に合わないと思いながらも、国民が求めているのはこういう自分らしい。
むず痒さを抱えながらノエルは魔道士ギルドを後にして表のカフェへと向かった。
到着早々、ノエルは信じがたい光景を目にする。
カラフルなアイスが山盛りに乗ったパフェ、果物を入れすぎて畳めていないクレープ、生クリームを絞りすぎてメインが何かわからないパンケーキ、自分の顔よりも大きいティラミス、もはやパズルか何かなんかじゃないかと思うほど皿に盛られたケーキ、砂糖やチョコレートでデコレーションされた菓子パンは皿に乗り切らずに重ねられてまるでタワーのようになっている。
それを平気で食らうヒョロヒョロの線が細い男。
「お前…それ1人で食えんの?」
思わず溢れた言葉にジャックは顔を上げる。
「おや、ノエルですか。」
ノエルの手で掴めそうなくらい細いウエストのどこにその量が入ると言うのだろうか。
それも甘いものばかり。見てるだけで胸焼けがしそうだ。
「今日は演習だったんでね。魔術ってのはカロリー消費が激しいんですよ。本当に非効率で仕方ねぇ。」
店員が紅茶のおかわりと角砂糖の入ったビンを持ってくる。
ありがとうございます、とジャックは運ばれてきたばかりの紅茶にポトポトと角砂糖を投げ込む。
ビンいっぱいに詰め込まれていた角砂糖は全て紅茶の中へ入れられた。
ティースプーンでかき混ぜる音がジャリジャリと、とても紅茶を飲む時に聞いたことのない音を立てている。
「んな甘いものばっか食ってたら長生きできねぇぞ…。」
「ご心配なく。これでも健康そのものですよ。それに別に長生きなんて興味ないですし。」
目の前の男は再び甘味に手をつける。
ノエルは溜息をつきながらジャックの向かいの席へと腰を下ろした。
「聞きたいこと、あんだけど。」
「なんです?」
「…アンジェラさんのこと。なんでもいいから教えてくれ。」
「お前…。」
ジャックはナイフとフォークを置く。
口の端についたクリームをペロリと舐めてノエルに向き直る。
「いきなりなんです?デートに誘う口実でも考えてんですか?」
「いや、それは…!まだ考えてないけど…。っていうか…自分から誘うとかそんな…。まだそこまでの関係じゃないし…。」
思ってもいなかった方向に舵を切られ、ノエルはしどろもどろになる。
大きな図体の男がまるで恋する乙女のようにモジモジする様にジャックは大きな溜息をついた。
「はぁ~~~。お前は拗らせすぎですよ。男ならビシッと決めんしゃい。」
「わかってるけど!それとこれは別なんだって!」
「何が別なんですか。お前、そのままじゃ一生進展しねぇじゃねぇですか。」
「うるせー、ほっとけよ。」
ノエルは拗ねたように唇を尖らせる。
「俺は興味ないんでほっときたいんですがね。毎回ウジウジウジウジしながら相談してくるのはどこのどいつですか。こちとらもう腹いっぱいで胸焼けしそうだわ。」
そう言いながらジャックは再び大量の甘味を口に放り込む。
確かに数年に渡り進展しないノエルの恋の相談に乗ってくれているのはジャックだ。
自分が意気地がないばかりに堂々巡りの同じ話ばかりを話している気がする。
「今日はそんな話をしに来たんじゃなくて!…お前、アミュレスの出身だよな?」
「そうですけど?」
「アンジェラさんもアミュレスだよな?焔さんも。…アンジェラさんってアミュレスで何してた人なんだ?」
「さぁ?」
「さぁって。」
「お前は東地区の一番南の家の夫婦の息子が何してる奴か知ってます?西地区の学校で一番足が速い子供の父親は?南地区の一番小さい商店の主人の妹は今何歳?北地区の公園の木は誰が何本植えた?」
「はぁ?なんだよそれ。知るわけないだろう。」
「同じことです。出身が同じだからと言ってその国全員のことを事細かに把握してるわけないでしょう。それに、アミュレスはこの国の何十倍も大きい大都市です。その中からたった一人のことなんてわかるわけないじゃないですか。」
「そう言われれば…そうだけど。」
淡々と語るジャックに納得した反面、上手く言いくるめられた気もする。
「だいたい、知りたいなら俺じゃなくて本人聞けばいいじゃねぇですか。何を回りくどいことをしてるんです?」
「本人に聞けたら苦労してないって…。それに、俺だって本当はこんなアンジェラさんのこと探るような真似したくないし。」
「じゃあどうしてわざわざ俺に彼女のことを聞きに来たんですか。」
「それは…アダムがアンジェラさんのことを調べてほしいって。」
「…ふぅん。またどうして?」
「そこまでは知らない。聞いても教えてくれなさそうだったから聞いてない。」
「わざわざNo.2を使ってまで暴きたい秘密ねぇ。王様は一体何を考えてるんだか。」
ジャックは紅茶に口をつける。
ティーカップを傾けたところで眉を顰めた。
砂糖が溶けきっていなかったのか、ティーカップを一度テーブルに置き、ティースプーンでその中身をクルクルと混ぜる。
「お前、本当にアンジェラさんと接点ないんだよな?」
「ええ、全く。興味もないですね、あんな性格悪そうな女。」
「酷い言い草だな…。アンジェラさんは絶対そんなんじゃねぇし。」
「どうですかね。あんな顔した女はだいたい性格に難があるもんですよ。お前もいつまでも足踏みしてないでさっさとあの女諦めて次いったらどうです?」
「絶対諦めない。いつかきっと、振り向かせてみせる。」
「ほんと、口だけは一丁前ですよねぇ。行動に移さないと意味ないですよ。まぁ、せいぜい頑張ってください。ビビリ君。」
ジャックは砂糖だらけの紅茶を飲み干し、席を立つ。
いつの間にか山のように積まれていたスイーツは一欠片も残すことなく平らげられていた。
空っぽになった皿とノエルだけが残される。
これといった話は聞き出せなかった。
焔さんもジャックも空振り。
ノエルはどうしたものかと空を仰ぐ。
後はエレナとベル。
エレナはアンジェラと親しくしているから何か聞き出せるだろうか。
ベルはどうだろう。彼女がアンジェラと話しているところを見たことがない。
これといった成果は見込めないかもしれない。
あまり期待しない方がいいだろう。
アダムからの依頼のタイムリミットは指定されてないし、今日はここまでにしよう。
明日はこの国一番の祭、収穫祭だ。
王と女王、この国のトップ7が一同に会する数少ない機会だ。
エレナやベルと話すチャンスならいくらでもある。
今日は諦めて自分の仕事を片付けるとしようとノエルはカフェを後にした。
交流がないというよりは、交流する術がないと言った方が正しいか。
だだっ広い海を簡単に越える技術をこの国は持ち合わせてはいなかった。
そんなサヴァリアにも月に数度他の国からの交易船が来る。
ほとんどは食料や衣類、生活に必要な最低限度のもののやり取りだがごくたまに娯楽としての品物も入ってくる。
外国の書物もその一つだった。
といっても最新のものはあまり無く、使い込まれた古いものばかりが流れてくる。
アダムはこういった書物にはあまり興味はないが、知らない外国のことが知れるとノエルは毎回楽しみにしていた。
何か興味を引くものはないだろうか。
積まれた本を手に取ってみると、アダムは目を引くフレーズを見つけた。
ーーーアミュレスが滅んだのは1人の魔女のせいだった?!
ボロボロになった雑誌。
そこにはご丁寧にもアンジェラによく似た女の顔写真が掲載されていた。
この本が書かれたのは約10年前。
写真に映る彼女は今とほとんど変わらないように見える。
どういうことだ?
ただの他人の空似だろうか。
それにしては似すぎている。
以前ふとした雑談で聞いたことがある。
確かアンジェラもアミュレスから移住してきたはずだ。
アダムは確かめるようにその本をパラパラと捲る。
『またしても滅びの魔女現る。死者数百万人。アミュレスは崩壊し、災悪を呼び込んだ魔女は消息不明。』
物騒なフレーズがいくつも並ぶ。
「すまない、少しいいか?」
アダムは商人の男を呼び止めた。
「はい、なんでございましょうか。」
「この滅びの魔女に関する書物を集めてほしい。」
「滅びの魔女…ですか。かしこまりました。次回の寄港になりますがよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。」
「懐かしい記事ですねぇ。確かあの戦闘でアミュレスは滅んだとか…。生き残った人間もほとんどいなかったようですな。」
「この魔女はどうなったんだ?」
「さぁ?この事件以来目撃情報が途絶えましてね。この戦闘で死んだのか、はたまたどこかで身を潜めているのか。皆目見当もつきません。」
「そうか…。」
確証が得られるまで自分だけの秘密に留めておこう。
アダムはそう考え、その雑誌を懐に隠す。
こんな本、とても国民の目には触れさせられない。
何かの間違いやただのゴシップならいいが。
この本に写っているのがアンジェラ本人だとして、書かれている内容が本当だとしたら、自分はこの国の王としてどうするべきなのだろうか。
そして彼女に長年片想いをしているノエルの親友として、自分は彼にどんな言葉をかけたらいいのだろうか。
交易品の選別、輸送は一兵卒に任せアダムは足早に城へと戻った。
「しばらく誰も近づけないでくれ。」
そう見張りの戦士に言い残し、1人王の執務室へと籠る。
先ほどの雑誌を再び開いてみた。
滅びの魔女に関するページはたったの4ページ。
本によれば、その魔女が現れた国は必ず滅びてしまうらしい。
彼女は数百年前から存在し、ほとんど変わらない容姿で現れるという。
天使を思わせる純粋無垢で可憐な風貌。
その容姿とは裏腹に、街を火の海に変え殺戮の限りを尽くす。
彼女が現れた国で生き残った者はほとんどいない。
そのため彼女についての詳細は謎に包まれている。
不老不死だとか、世界を滅ぼす程の力があるだとか。
憶測を含めた内容だが、読めば読むほど物騒な話だ。
思えば、自分はアンジェラのことをそれほどよく知らない。
自分が王になる7年前から女王としてこの国を治めているが、彼女が何者でどんな能力を持つのかさえ知らない。
女王という肩書があるくらいだ。外見だけで選ばれるはずがない。何かしらの能力に秀でているはず。
しかし、その片鱗でさえも見たことがないのだ。
戦闘には出ず、政治にも不参加でただお飾りのように女王として国内行事にのみ参加している姿しか知らない。
知らなければ。彼女を。
アダムは迷った末、ノエルを呼ぶことにした。
ーーーーー
「君に仕事を依頼したい。」
アダムはノエルに視線を向けることなく言った。
あいもかわらずアダムは書類仕事に追われているらしい。
視線は忙しなく書類を滑り、右手は別の書類につらつらと何かを書き連ねている。
「今回はなんだ?」
「ある人物の調査だ。簡単に言えば素行調査だな。」
「素行調査?んなもん探偵にでも任せればいいんじゃないのか?」
「いや、それはできない。だから君に頼んでいる。」
俺様素行調査なんてガラじゃないんだけど…と呆れつつノエルは聞く。
「ちなみにある人物ってのは?」
「アンジェラだ。」
「は?!」
思わぬ人物の名に、ノエルは思わず声を上げる。
「お前…そんなストーカーみたいな真似できるかよ!」
「君、ストーカーは得意だろう。毎朝わざわざ早起きしてカフェで待ち伏せして彼女の姿眺めてるんだろう。この国の人間ならみんな知ってるぜ。」
「それは…っ!否定できないけど!!断じてストーカーじゃないし!たまたまいつも行くカフェからアンジェラさんが見えるだけで…っ!ストーカーなんてそんなつもりないからな!」
「まぁこの際そんなことはどうでもいい。」
心底興味がないとでも言いたげにアダムは呆れたように息を吐いて顔を上げる。
「君はおかしいと思わないのか?」
書類を置き、強い金の瞳が真っ直ぐにノエルを見つめる。
「彼女はサヴァリアの女王となって10年。1度も戦闘に出たという記録がない。たった1度もだ。この国では強い者が王の名を手にする。この俺のようにな。女王の名も同じはずだ。武力かそうでないにしろ、なんらかの能力に秀でているはずだ。まさか彼女がお飾りで女王を名乗っているわけではないだろう。」
「お飾り…って言い方はどうかと思うが、昔からこの国の女王はシンボル的な意味合いが強い。それは歴史も証明している。それに、王や女王、俺達トップ7の選出は評議会の決定で行われている。何もおかしなことはないだろう?」
アダムは納得できないというふうに、うーんと唸る。
「彼女の能力は不明。10年前にアミュレスからこの地に来たことはわかっているがそれだけだ。以前の経歴は全くの白紙。これでおかしいと思わないほうがおかしいだろう。」
「そう言われると…確かにそうだけど…。お前は何を疑っているんだ?」
「彼女は…。いや、なんでもない。」
アダムは躊躇うように口を開き、そして閉じた。
No.2である自分にさえ言えないことなのか。
「とにかく。俺は調査には向かない。今回はノエルが適任だと思った。頼むぞ。まぁ、君のことだ。ヘマしてバレても『好きすぎてストーカーしちゃいました』とでも言えば許されるだろう。」
「んなことで許されるかよ。二重の意味で俺様社会的に死んじゃう。」
気乗りしないものの半ば無理矢理にアダムからの依頼を受けたノエルはとりあえず城の書庫へ向かった。
司書に声をかけ、重要書類を閲覧したいと言うと司書は二つ返事でノエルに答える。
ノエルはこの国のナンバー2だ。
顔パスで大抵の場所に入ることができる。
司書に案内されたのは厳重な扉を何個もくぐった先。
地下の隠し書庫だった。
ノエルはその中から騎士団の名簿を探す。
「おっ、これか。」
高い位置にあるファイルを手に取る。
勝手に好きな女性の個人情報を暴くことへの罪悪感を抱きつつ、手にした本をパラパラと捲るとアンジェラの情報が書かれた項目を見つけた。
「これはまぁ、見事に真っ白。」
彼女のページには名前と性別以外何も書いていなかった。
年齢、出身、経歴。
本当に何もない。
よくもまぁこれで書類提出ができたものだと思うくらい何も書かれていなかった。
「まぁそうだよなぁ。ここでわかることならわざわざアダムが俺に依頼するわけねぇもんな…。」
わかってはいたけど無駄足だったな、と思いつつ眺めるようにページを捲る。
次のページに現れたのはジャックだった、
ジャック・スターローン、年齢27,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住、以前はアミュレスの魔道士ギルドで天才と呼ばれていた。
「いや、偶然か?」
ノエルはページを進める。
焔、年齢56、10年前にアミュレスからサヴァリアに移住、アミュレスの騎士団ギルドに所属していた。それ以前は傭兵として世界を渡り歩いていた。出身は東洋の島国ヤマト。
エレナ・シュヴァルツ、年齢28,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住。以前はアミュレスで大学の教授をしていた。
ベル・リンガル、年齢18,10年前にアミュレスからサヴァリアに移住。移住後からガンナー、スナイパーとしての頭角を現す。
ページを捲り続けると、同じような経歴の持ち主が数人確認できた。
アンジェラがアミュレスからサヴァリアに来たのが10年前。
ジャックや焔たちがこの地へ来たのも10年前。
10年前と言えばノエルたちはまだ孤児院暮らしで遠征から帰る騎士団たちに、羨望の憧れの目を向けていた頃だ。
ジャック、焔、エレナ、ベル。
彼らから何か有益な情報を得られるだろうか。
ノエルは迷った末、彼らに会いに行くことにした。
とりあえず誰からあたろうかと考えながら城の長い廊下を歩いていると見慣れた男の姿が見えた。
戦闘帰りだろうか、重厚な鎧の上から耐火コートを羽織った姿の彼はこちらの姿を見て微笑む。
ちょうどいいタイミングだ。
「アンジェラさんのこと?うーん知らないな。僕と彼女じゃ接点ないし…力になってあげられなくてごめんね?」
焔は申し訳無さそうに言った。
焔は嘘を付くような人じゃない。
彼が知らないと言えば本当に知らないのだろう。
ならば他を当たるかぁ、ノエルはジャックに会いに魔道士ギルドへ向かった。
しかし、魔道士ギルドに彼の姿はなかった。
「ジャック様ですか?すみません、今は不在でして…。」
受付の女性は申し訳無さそうに言う。
「あーそっかぁ。ありがとう、出直すよ。」
そう上手くはいかないか。
魔道士ギルドを出ようと踵を返すとヒソヒソと可愛らしい声が聞こえた。
「ねぇ、あれってノエル様じゃない?」
「本当だ、ノエル様だ!」
「今日もカッコいい~!」
自覚はあまりないけれど、この国のでナンバー2という立場はよほど魅力的に見えるらしい。
今のように若い女性からの黄色い声援を受けることもしばしばある。
ノエルはにっこり笑って彼女たちに手を振る。
彼女たちはキャーと悲鳴に似た声を上げる。
どんな時でもファンサービスは欠かさない。
これはアダムによる教えでもあった。
王がいるから国がある。
国民に支えられているから王がいる。
人無くして国は成り立たない。
だから国民を大事にしろ。
イメージを壊すな。夢を見せろ。
自分がこの国のナンバー2という自覚を持て。
そう口を酸っぱくして何度も教え込まれた。
最初は気恥ずかしくてうまくできなかったけど、最近は板についてきたよな、と思いながら魔道士ギルドを後にしようと歩き出す。
その最中、控えめに裾をクイッと引かれた。
「あの…ジャック様なら多分表のカフェにいると思いますよ…。」
小柄な少女が俯きながら言う。
人見知りなのかあっちこっちと視線が忙しない。
ノエルはその手を取り、跪いて視線の高さを合わせて軽く微笑む。
「ありがとう。行ってみるよ。」
その瞬間割れんばかりの黄色い声が響く。
こんなおとぎ話の王子様みたいなことは柄に合わないと思いながらも、国民が求めているのはこういう自分らしい。
むず痒さを抱えながらノエルは魔道士ギルドを後にして表のカフェへと向かった。
到着早々、ノエルは信じがたい光景を目にする。
カラフルなアイスが山盛りに乗ったパフェ、果物を入れすぎて畳めていないクレープ、生クリームを絞りすぎてメインが何かわからないパンケーキ、自分の顔よりも大きいティラミス、もはやパズルか何かなんかじゃないかと思うほど皿に盛られたケーキ、砂糖やチョコレートでデコレーションされた菓子パンは皿に乗り切らずに重ねられてまるでタワーのようになっている。
それを平気で食らうヒョロヒョロの線が細い男。
「お前…それ1人で食えんの?」
思わず溢れた言葉にジャックは顔を上げる。
「おや、ノエルですか。」
ノエルの手で掴めそうなくらい細いウエストのどこにその量が入ると言うのだろうか。
それも甘いものばかり。見てるだけで胸焼けがしそうだ。
「今日は演習だったんでね。魔術ってのはカロリー消費が激しいんですよ。本当に非効率で仕方ねぇ。」
店員が紅茶のおかわりと角砂糖の入ったビンを持ってくる。
ありがとうございます、とジャックは運ばれてきたばかりの紅茶にポトポトと角砂糖を投げ込む。
ビンいっぱいに詰め込まれていた角砂糖は全て紅茶の中へ入れられた。
ティースプーンでかき混ぜる音がジャリジャリと、とても紅茶を飲む時に聞いたことのない音を立てている。
「んな甘いものばっか食ってたら長生きできねぇぞ…。」
「ご心配なく。これでも健康そのものですよ。それに別に長生きなんて興味ないですし。」
目の前の男は再び甘味に手をつける。
ノエルは溜息をつきながらジャックの向かいの席へと腰を下ろした。
「聞きたいこと、あんだけど。」
「なんです?」
「…アンジェラさんのこと。なんでもいいから教えてくれ。」
「お前…。」
ジャックはナイフとフォークを置く。
口の端についたクリームをペロリと舐めてノエルに向き直る。
「いきなりなんです?デートに誘う口実でも考えてんですか?」
「いや、それは…!まだ考えてないけど…。っていうか…自分から誘うとかそんな…。まだそこまでの関係じゃないし…。」
思ってもいなかった方向に舵を切られ、ノエルはしどろもどろになる。
大きな図体の男がまるで恋する乙女のようにモジモジする様にジャックは大きな溜息をついた。
「はぁ~~~。お前は拗らせすぎですよ。男ならビシッと決めんしゃい。」
「わかってるけど!それとこれは別なんだって!」
「何が別なんですか。お前、そのままじゃ一生進展しねぇじゃねぇですか。」
「うるせー、ほっとけよ。」
ノエルは拗ねたように唇を尖らせる。
「俺は興味ないんでほっときたいんですがね。毎回ウジウジウジウジしながら相談してくるのはどこのどいつですか。こちとらもう腹いっぱいで胸焼けしそうだわ。」
そう言いながらジャックは再び大量の甘味を口に放り込む。
確かに数年に渡り進展しないノエルの恋の相談に乗ってくれているのはジャックだ。
自分が意気地がないばかりに堂々巡りの同じ話ばかりを話している気がする。
「今日はそんな話をしに来たんじゃなくて!…お前、アミュレスの出身だよな?」
「そうですけど?」
「アンジェラさんもアミュレスだよな?焔さんも。…アンジェラさんってアミュレスで何してた人なんだ?」
「さぁ?」
「さぁって。」
「お前は東地区の一番南の家の夫婦の息子が何してる奴か知ってます?西地区の学校で一番足が速い子供の父親は?南地区の一番小さい商店の主人の妹は今何歳?北地区の公園の木は誰が何本植えた?」
「はぁ?なんだよそれ。知るわけないだろう。」
「同じことです。出身が同じだからと言ってその国全員のことを事細かに把握してるわけないでしょう。それに、アミュレスはこの国の何十倍も大きい大都市です。その中からたった一人のことなんてわかるわけないじゃないですか。」
「そう言われれば…そうだけど。」
淡々と語るジャックに納得した反面、上手く言いくるめられた気もする。
「だいたい、知りたいなら俺じゃなくて本人聞けばいいじゃねぇですか。何を回りくどいことをしてるんです?」
「本人に聞けたら苦労してないって…。それに、俺だって本当はこんなアンジェラさんのこと探るような真似したくないし。」
「じゃあどうしてわざわざ俺に彼女のことを聞きに来たんですか。」
「それは…アダムがアンジェラさんのことを調べてほしいって。」
「…ふぅん。またどうして?」
「そこまでは知らない。聞いても教えてくれなさそうだったから聞いてない。」
「わざわざNo.2を使ってまで暴きたい秘密ねぇ。王様は一体何を考えてるんだか。」
ジャックは紅茶に口をつける。
ティーカップを傾けたところで眉を顰めた。
砂糖が溶けきっていなかったのか、ティーカップを一度テーブルに置き、ティースプーンでその中身をクルクルと混ぜる。
「お前、本当にアンジェラさんと接点ないんだよな?」
「ええ、全く。興味もないですね、あんな性格悪そうな女。」
「酷い言い草だな…。アンジェラさんは絶対そんなんじゃねぇし。」
「どうですかね。あんな顔した女はだいたい性格に難があるもんですよ。お前もいつまでも足踏みしてないでさっさとあの女諦めて次いったらどうです?」
「絶対諦めない。いつかきっと、振り向かせてみせる。」
「ほんと、口だけは一丁前ですよねぇ。行動に移さないと意味ないですよ。まぁ、せいぜい頑張ってください。ビビリ君。」
ジャックは砂糖だらけの紅茶を飲み干し、席を立つ。
いつの間にか山のように積まれていたスイーツは一欠片も残すことなく平らげられていた。
空っぽになった皿とノエルだけが残される。
これといった話は聞き出せなかった。
焔さんもジャックも空振り。
ノエルはどうしたものかと空を仰ぐ。
後はエレナとベル。
エレナはアンジェラと親しくしているから何か聞き出せるだろうか。
ベルはどうだろう。彼女がアンジェラと話しているところを見たことがない。
これといった成果は見込めないかもしれない。
あまり期待しない方がいいだろう。
アダムからの依頼のタイムリミットは指定されてないし、今日はここまでにしよう。
明日はこの国一番の祭、収穫祭だ。
王と女王、この国のトップ7が一同に会する数少ない機会だ。
エレナやベルと話すチャンスならいくらでもある。
今日は諦めて自分の仕事を片付けるとしようとノエルはカフェを後にした。
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