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外の世界は
血の思惑・1
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「じゃあ、行ってくるよ」
ユラは目の前にいる父・リエトがいる。リエトは複雑な面持ちだった。
「気を付けるんだぞ、外には黒天使がうろついているからな」
リエトは心配そうに言った。
天界には結界が張っており侵入はできないはずだが、外から幾つもの黒天使の気配があることから何らかの方法で結界を潜って侵入してきたことは明白である。
見習い天使のユラでも黒天使の気配は嫌でも感じる。
ユラは離れて暮らす母や兄、そして兄の幼馴染みが気になったので、様子を見に行くことにしたのだ。テレパシーで連絡を取ろうと思えばできるが、ユラの性に合わないので直接会いに行くのだ。
「分かってるよ、父さんも誰か来ても扉を開けるなよ」
リエトは「ああ……」と言った。
同じ頃、戦艦アルシエルでも一人の黒天使の少女・リュアレが天界に行こうとしていた。
「ごめんネじいちゃん、大変な時なのにじいちゃんだけに負担かけさせることをしテ……」
リュアレはミルトに謝った。リュアレはイロウにお願いして、一時間という制限時間付で天界内に入る許可を得たのだ。
「儂のことは気にせんでよいぞ、天使には注意するんじゃぞ」
ミルトは穏やかに言った。ミルトは孫の気持ちを尊重したいのだ。
リュアレは袋から薬草を取り出した。
「ボクが調合した薬、じいちゃんに預けるヨ、怪我して帰ってきた仲間に使ってあげテ」
戦艦には負傷して帰還した黒天使が大勢いて、救護班が忙しく動き回っている。
ミルトやリュアレが調合する薬草は回復手段の少ない黒天使にとって貴重な治療法なのである。
しかしミルトはリュアレから受け取らなかった。
「薬草は十分じゃ、それはお主が持っているとよい」
「でも……」
「お主が心配しなくても大丈夫じゃ、行きなさいリュアレ、お主にはやることがあるじゃろう」
ミルトは孫の名を呼んだ。リュアレは軽く頷く。
「帰ってきたらじいちゃんの肩に効く薬作るかラ!」
リュアレはミルトに言うと、背を向けた。
リュアレはある目的を果たすためにガリアの装置で天界に入ったのだった。
透明になるマントを全身に被ったユラは空から都心部の様子を眺めた。黒天使が襲撃したらしく、あちこちの建物が壊されたり、火が付いていて天使が水の呪文で消していた。
「ひどいな」
ユラは表情を歪め、小さな声で呟く。
いつも通っている場所なだけに、無惨な姿になっているのは胸が痛んだ。
天使に対する報復なのだろうか、それでも黒天使のやる事は理解に苦しむ。
「あいつらが無事だといいな……」
ユラはいつもイタズラで絡む三人の友人達のことが気になった。三人とも都心部に住んでいるからだ。
しかし、ユラは頭を振った。
「今は母さんと兄さんの様子を見に行かないとな」
ユラは頭を切り替え、三人が住む場所へと急いだ。三人の友達は大丈夫、だって様々な局面を乗り越えてきたから、何がなんでも生きてる。ユラはそう思うことにした。
空中を行き交いする黒天使を見て、透明になるマントを被っておいて良かったとユラは感じた。姿と気配消しの呪文は習ったものの上手く使えないため、今のように危険な状況にいる時は姿と気配を消してくれる透明のマントを使用する。
透明のマントは父・リエトがユラの誕生日に買ってくれたものだ。
携えているイタズラの道具を黒天使に投げつけてみたい所だが自殺行為なのでやめておいた。黒天使の危険性は兄の幼馴染みが二年前に怪我をさせられていることで証明されている。
イタズラ好きのユラもある程度の怪我は承知の上だが、大きなリスクを伴うことはしない。
「無事でいてくれよ」
ユラは声を抑えて、三人の身を案じた。
都心部を離れて静かに飛んでいると、女の声が耳に入った。羽根を止めユラは声のする方を向く。
水色の髪を一つに束ねた女の黒天使が黒髪の男黒天使と話をしていた。
ユラは目の前にいる父・リエトがいる。リエトは複雑な面持ちだった。
「気を付けるんだぞ、外には黒天使がうろついているからな」
リエトは心配そうに言った。
天界には結界が張っており侵入はできないはずだが、外から幾つもの黒天使の気配があることから何らかの方法で結界を潜って侵入してきたことは明白である。
見習い天使のユラでも黒天使の気配は嫌でも感じる。
ユラは離れて暮らす母や兄、そして兄の幼馴染みが気になったので、様子を見に行くことにしたのだ。テレパシーで連絡を取ろうと思えばできるが、ユラの性に合わないので直接会いに行くのだ。
「分かってるよ、父さんも誰か来ても扉を開けるなよ」
リエトは「ああ……」と言った。
同じ頃、戦艦アルシエルでも一人の黒天使の少女・リュアレが天界に行こうとしていた。
「ごめんネじいちゃん、大変な時なのにじいちゃんだけに負担かけさせることをしテ……」
リュアレはミルトに謝った。リュアレはイロウにお願いして、一時間という制限時間付で天界内に入る許可を得たのだ。
「儂のことは気にせんでよいぞ、天使には注意するんじゃぞ」
ミルトは穏やかに言った。ミルトは孫の気持ちを尊重したいのだ。
リュアレは袋から薬草を取り出した。
「ボクが調合した薬、じいちゃんに預けるヨ、怪我して帰ってきた仲間に使ってあげテ」
戦艦には負傷して帰還した黒天使が大勢いて、救護班が忙しく動き回っている。
ミルトやリュアレが調合する薬草は回復手段の少ない黒天使にとって貴重な治療法なのである。
しかしミルトはリュアレから受け取らなかった。
「薬草は十分じゃ、それはお主が持っているとよい」
「でも……」
「お主が心配しなくても大丈夫じゃ、行きなさいリュアレ、お主にはやることがあるじゃろう」
ミルトは孫の名を呼んだ。リュアレは軽く頷く。
「帰ってきたらじいちゃんの肩に効く薬作るかラ!」
リュアレはミルトに言うと、背を向けた。
リュアレはある目的を果たすためにガリアの装置で天界に入ったのだった。
透明になるマントを全身に被ったユラは空から都心部の様子を眺めた。黒天使が襲撃したらしく、あちこちの建物が壊されたり、火が付いていて天使が水の呪文で消していた。
「ひどいな」
ユラは表情を歪め、小さな声で呟く。
いつも通っている場所なだけに、無惨な姿になっているのは胸が痛んだ。
天使に対する報復なのだろうか、それでも黒天使のやる事は理解に苦しむ。
「あいつらが無事だといいな……」
ユラはいつもイタズラで絡む三人の友人達のことが気になった。三人とも都心部に住んでいるからだ。
しかし、ユラは頭を振った。
「今は母さんと兄さんの様子を見に行かないとな」
ユラは頭を切り替え、三人が住む場所へと急いだ。三人の友達は大丈夫、だって様々な局面を乗り越えてきたから、何がなんでも生きてる。ユラはそう思うことにした。
空中を行き交いする黒天使を見て、透明になるマントを被っておいて良かったとユラは感じた。姿と気配消しの呪文は習ったものの上手く使えないため、今のように危険な状況にいる時は姿と気配を消してくれる透明のマントを使用する。
透明のマントは父・リエトがユラの誕生日に買ってくれたものだ。
携えているイタズラの道具を黒天使に投げつけてみたい所だが自殺行為なのでやめておいた。黒天使の危険性は兄の幼馴染みが二年前に怪我をさせられていることで証明されている。
イタズラ好きのユラもある程度の怪我は承知の上だが、大きなリスクを伴うことはしない。
「無事でいてくれよ」
ユラは声を抑えて、三人の身を案じた。
都心部を離れて静かに飛んでいると、女の声が耳に入った。羽根を止めユラは声のする方を向く。
水色の髪を一つに束ねた女の黒天使が黒髪の男黒天使と話をしていた。
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