僕は彼女の代わりじゃない! 最後は二人の絆に口付けを

市之川めい

文字の大きさ
28 / 49

探るには

しおりを挟む
 屋敷へ戻ると、久しぶりに帰宅している父上と母上が一緒に茶を嗜んでいる最中だった。丁度良いとばかりに、マシューも同席を願い出た。
 
「僕もご一緒させていただいてよろしいですか」
「あらマシュー。わたくしからの夜会の誘いはいつも断るあなたが。珍しいですこと」
「すみません」
「責めておりませんよ。紅茶でよろしくて?」
 
 ブレンダは側に控えている侍女に命じた。
 
「父上、ここ最近は特にお忙しいみたいですね」
「ああ。隣国に派遣していた調査隊が帰国したのでな。その対応に追われている」
 
 マシューは思慮深く頷いた。当然ながら報告会での顛末は、ギルバートから聞き及んでいる。だが父上は、自分が退出した後、マシューが呼ばれたなど知る由もないだろう。
 
「もしかしたら、全ては我が国の王位継承権のため――と聞きましたが……」
 
 顔が一瞬引きつったように見えたのは気のせいだろうか。マシューがこう言って反応を試してみたが、セドリックは、「様々な事態を予想して対応に当たっている」と何事も無いように返す。
 
「王妃様はダリス王国ご出身でいらっしゃいますよね。現在は治安の悪化が問題視されていますが、本来は暖かくて過ごしやすい平和な国だそうで。父上はダリス王国に行ったことがおありですか?」
 
 マシューはそれとなく父上もダリスに関わりがあるのか尋ねようとしたが、母上に遮られてしまった。
 
「もう。せっかく久しぶりに家族でのお茶の時間なのですから、仕事の話は嫌ですわ」
「すみません」
「ところでマシュー。今月末にも公爵家での夜会があるのだけど、いかがかしら?」
「勤務が入っているので……」
「あなたは今、衛生部所属でしたよね。屋敷にも満足に帰れないくらいですし、拘束時間が長過ぎないかしら」
 
 母上はマシューがハリーの診療所や王太子の寝室に泊まっていた事実を知らず、全て勤務だと思っている。
 
「旦那様。あなたからオーウェン先生に提言してみては? このままではまたマシューが倒れてしまわないか心配で……」 
「母上!」
 
 話が嫌な方に行ったので、慌てて割り込んだ。
 
「僕からオーウェン先生に話して休みをもらいますので大丈夫です。夜会へは喜んで母上のお供をいたします」
「あら! なら良かったわ。マシューに紹介したいと言われているご令嬢がいるの。服を新調する時間が無いのは残念だけど……楽しみだわ」

 気疲れした会話を終えるとマシューは自室に戻りソファーに腰を下ろした。深く寄りかかり頭をクッションに乗せ目を瞑った。
 マシューはすでに先ほどの返事を後悔し始めている。
 
 ――夜会に出席して令嬢を紹介するって言われたけど……そのまま婚約まで一気にってことはないよな? 王太子――ギルに伝えた方がいいのかどうか。怒るのか……それはないか。
 
 マシューは迷ったが、そもそもギルバートと自分がどういう関係なのか不明なので、最終的に言わないでおこうと決めた。この判断が後に過ちだったと気付くが、当然ながら今の時点では何も知らない。

  
「お坊ちゃま。久々に剣の訓練をなさいますか? 服を準備いたしますよ」
 
 マシューの世話をするため入室した侍従のウィルバーに問われ、体を動かせば頭もすっきりするだろうと思い早速用意してもらう。

 屋敷内にある訓練所で一刻ほど鍛錬した後、また部屋に戻り湯浴みをしてから再度ウィルバーを呼んだ。
 
「茶をもらえるかな」
「はいお坊ちゃま」
「ウィルバーと一緒に飲みたいのだが」
「いえ、私は結構でございますよ」
「少し訊きたいことがある。どうか座って欲しい」
「でしたらこのままお尋ねください」
 
 使用人は主人と席を共にしてはならない。ウィルバーはもちろん、マシューも承知だ。その上で言っている。
 
「なら僕も立ったまま茶をいただくか」
「お坊ちゃまっ! お行儀が……奥様に叱られますよ!」
 
 驚いているウィルバーに、マシューは整った顔でにやりと笑いながら言った。
 
「ではあなたも座っていただけますね?」
 
 生まれた時から常に側にいて、祖父と孫のように見えるが実際は主人と使用人の間柄である。万が一誰かが部屋に入ってきてこの場を目撃されたら叱責は免れない――最悪解雇(もちろんマシューがそんなことはさせないが)という心配もあるだろう。恐縮しながら畏まっているウィルバーに申し訳ないと思ったが、話が長くなりそうなので、高齢な侍従を長時間立ったままでいさせたくなかったのだ。
 
「ウィルバーは僕が最近、あまり屋敷に帰って来ないのは知ってるよね。軍の任務でダリス王国との問題について調べているんだけど、僕は全然ダリス王国に詳しくなくて……ウィルバーは行ったことあったりする?」
「いえ、ございませんよ」
「そっか。そういえばウィルバーは僕が生まれた時から僕の世話をしてくれているけど、ずっと我が屋敷にいるの?」
「はい、こちらで働き始めたのは旦那様が中等教育学校で学び始められた頃でしょうか。ただ、その時は私は別の家に住んでおり、通いで来ておりました」
 
 直接父上の過去について尋ねても、この恭順な侍従は答えてくれるだろうし誰にも言わないだろうが、自然に聞き出したほうがウィルバーの心情的に楽だろう。どうやって話を持って行こうか考えながら会話する。
 
「そうなんだ。父側の祖父母は僕が生まれる前に亡くなったみたいだけど、ウィルバーは会ったことある? 父上は話してくれないし、どんな人たちだったのか気になって」
  
 ウィルバーは少し躊躇う表情をしたが、孫が祖父母の話を聞きたがるのは別段おかしなことではない。
 ウィルバーは茶を飲んで喉を潤してから古い記憶を辿るように視線を斜め上にし、ゆっくりと口を開いた。

 
「大奥様は旦那様が中等教育学校の終わり頃に、ご病気で突然亡くなられました。旦那によく似て金色の髪の毛と緑色の瞳をお持ちの――お坊ちゃまもでございますね、美しくて優しいご婦人でございましたよ。大旦那様は……今から三十年くらい前にお亡くなりになりました」
 
 ジェームズから聞いた話と一致する。実の祖父母なのに、両親、特に父上が口を閉ざしていたためマシューはそれまで聞いたことがなかった。
 母側の祖父母については現在も元気にしていて交流があり、母上は生家であるミロンズ伯爵家の屋敷にたまに帰り、一緒にお茶を楽しんでいる。
  
「お祖母様はご病気だとしても、お祖父様もなぜ早くに亡くなったのかな? 会ってみたかったな……」
 
 感傷に浸る孫を装い(もちろん大部分は本心からだ)、借金があったという祖父について訊く。
 
「旦那様が亡くなった経緯は……実は使用人の私たちも分からないのです。お亡くなりになったこと自体、数ヶ月後に知りました」
「え? どういうこと?」
 
 ――仕えている家の主人が亡くなったのをそんなに長く気付かないなんてことがあるのだろうか。
 
「旦那様は高等教育学校時代は寮に入られていらっしゃいました。大旦那様が会いに行かれた際に体調を崩されたらしく、それからは塞ぎ込まれることが多くなりました」
 
 ウィルバーは内容に反して遠い昔を懐かしむかのように、ゆっくりとした口調で続ける。
 
「旦那様が学校を終え戻られてからは、以前のように仲睦まじく会話されることもなくなり……結局大旦那様は領地に引き込まれ、侯爵家の執務は旦那様が代わりにされるようになりました。我々使用人は療養されていらっしゃった大旦那様が、それから領地で亡くなったと数ヶ月後に伺いました。ただ旦那様はそのことについて何もおっしゃいませんでしたので、詳しくは……」
 
 亡くなった経緯は借金と関係があるのだろうかと考えながら、続けて質問する。
 
「その時、他に何か変わったことはあったりした?」
「いえ、私には……」
 
 そうだろう。命令に従うことだけを強要される一使用人が、主人の行動を怪しんで監視するはずもない。だがこの年老いた侍従は、「そういえば……」と思い出したように付け加えた。
 
「旦那様が寮から戻られて少し経った後でしょうか。とても綺麗な――おそらく異国のご令嬢が、何度かお見えになりました」
「え?」
 
 一瞬ゾーイ様かと思ったが、確か彼女は今三十歳くらいだ。歳が合わない。だが何となく引っかかる。
 
「異国のご令嬢って?」
 
 冷静に、だが無邪気なお坊ちゃまの雰囲気を保ちつつ返す。
 
「マルフォニア語ではありませんでした。その時はダリス語かなと思ったのですが……後から勘違いだったのではないかと思い直しました」
「どうして勘違いって思ったの?」
「それは……一般的にダリス王国は背が低く、どちらかといえばふくよかで、癖毛の特徴を持つ国民が多いと聞いております」
「うん、僕もそう聞いている」
「ですが――旦那様とお会いしていた方は背が高く細く、真っすぐに長く伸びた艶やかな黒髪と透き通るような水色の瞳で……聞いていたようなダリス王国の人ではないため私の思い違いだと。ただ、今まで見たことがないほど美しく高貴な雰囲気を持つ方だったので、とても印象に残っております」
 
 そのご令嬢は―― 
 マシューはある人を思い浮かべる。実際に会ったことはないので想像でしかないが――似ていると噂の息子のことはので容易だった。
 
「どんな内容だったか分かる? そんな綺麗な方なら僕も見てみたかったな」
「内容までは……」

 ウィルバーは申し訳なさそうな顔をする。
 
「来ていたのはその頃だけ?」
「全部で――三回くらいでしょうか。全て大旦那様が領地にお住いを移され、旦那様がブレンダ奥様と結婚なさるまでの間のことです。その内一回は私が取次ぎました。もちろん従者とで、ご令嬢とは会話をしておりません」
「そのご令嬢は父上の友人なの? それとも恋人だったってことは?」
「分かりません。同い年くらいではありましたが……」
 
 ウィルバーは首を横に振った。
 
「ただ……大変美しいお二人でしたから、お並びになっている姿はとてもお似合いでした」
 
 いくら現在はマシューに仕えている侍従であり、そのマシュー自身の家のことについてではあるが、本来ならば軽々と口を割ってはならない。仕事に誇りを持っているウィルバーにこれ以上言わせるのは心苦しい。

 マシューは茶を飲み干してから、「そっか。運動した後だからか喉が渇いているみたいだ。申し訳ないけど、もう一杯もらえるかな」と言って話を一度切った。
 ウィルバーが新しいお湯で再度茶を淹れながらマシューに言った。
 
「そういえばお坊ちゃま、夜会に出席されるそうで。奥様が喜んでいらっしゃいましたよ」
「うん、あまり気が進まないけど……行かないと母上にずっと言われるから」
「お坊ちゃまほどの剣の実力と容姿をお持ちでしたら、ご令嬢たちからのお誘いが絶えないでしょう」
「そんなことないよ。そもそも僕はあまり興味がないし」
 
 正確に言うと――以前は多かった。だがマシューが誘われても夜会に出ず、女性の噂も全くないため、段々と令嬢たちは諦め(呆れ)、最近はお誘いが減っていたのだ。
 
「あまりご結婚に興味がございませんか」
「うーん、そうかもしれない。だから令嬢を紹介されても困るし、夜会への出席はずっと断っていたのだけど……」
「でしたら今回はペイナンド公爵との会話をお楽しみしてはいかがですか? 公爵は旦那様と中等教育学校からのご友人で、この屋敷にもいらっしゃったことがあり、大旦那様や大奥様のこともご存知です。もしかしたら思い出話が聞けるかもしれませんよ」
 
 マシューは表情に出さないように気を付けて、何気ないように呟いた。
 
「うん。それに、夜会も行ってみたら意外と楽しいかもしれないしね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月
BL
《あらすじ》  カトラレル家の長男であるレオナルドは双子の弟のミカエルがいる。天真爛漫な弟のミカエルはレオナルドとは真逆の性格だ。  カトラレル家は懇意にしているオリバー家のサイモンとミカエルが結婚する予定だったが、ミカエルが流行病で亡くなってしまい、親の言いつけによりレオナルドはミカエルの身代わりとして、サイモンに嫁ぐ。  愛している人を騙し続ける罪悪感と、弟への想いを抱き続ける主人公が幸せを掴み取る、オメガバースストーリー。 《番外編 無垢な身体が貴方色に染まるとき 〜運命の番は濃厚な愛と蜜で僕の身体を溺れさせる〜》 番になったレオとサイモン。 エマの里帰り出産に合わせて、他の使用人達全員にまとまった休暇を与えた。 数日、邸宅にはレオとサイモンとの2人っきり。 ずっとくっついていたい2人は……。 エチで甘々な数日間。 ー登場人物紹介ー ーレオナルド・カトラレル(受け オメガ)18歳ー  長男で一卵性双生児の弟、ミカエルがいる。  カトラレル家の次期城主。  性格:内気で周りを気にしすぎるあまり、自分の気持ちを言えないないだが、頑張り屋で努力家。人の気持ちを考え行動できる。行動や言葉遣いは穏やか。ミカエルのことが好きだが、ミカエルがみんなに可愛がられていることが羨ましい。  外見:白肌に腰まである茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳。中世的な外見に少し幼さを残しつつも。行為の時、幼さの中にも妖艶さがある。  体質:健康体   ーサイモン・オリバー(攻め アルファ)25歳ー  オリバー家の長男で次期城主。レオナルドとミカエルの7歳年上。  レオナルドとミカエルとサイモンの父親が仲がよく、レオナルドとミカエルが幼い頃からの付き合い。  性格:優しく穏やか。ほとんど怒らないが、怒ると怖い。好きな人には尽くし甘やかし甘える。時々不器用。  外見:黒髪に黒い瞳。健康的な肌に鍛えられた肉体。高身長。  乗馬、剣術が得意。貴族令嬢からの人気がすごい。 BL大賞参加作品です。

無能扱いの聖職者は聖女代理に選ばれました

芳一
BL
無能扱いを受けていた聖職者が、聖女代理として瘴気に塗れた地に赴き諦めたものを色々と取り戻していく話。(あらすじ修正あり)***4話に描写のミスがあったので修正させて頂きました(10月11日)

【完結】最初で最後の恋をしましょう

関鷹親
BL
家族に搾取され続けたフェリチアーノはある日、搾取される事に疲れはて、ついに家族を捨てる決意をする。 そんな中訪れた夜会で、第四王子であるテオドールに出会い意気投合。 恋愛を知らない二人は、利害の一致から期間限定で恋人同士のふりをすることに。 交流をしていく中で、二人は本当の恋に落ちていく。 《ワンコ系王子×幸薄美人》

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

名もなき花は愛されて

朝顔
BL
シリルは伯爵家の次男。 太陽みたいに眩しくて美しい姉を持ち、その影に隠れるようにひっそりと生きてきた。 姉は結婚相手として自分と同じく完璧な男、公爵のアイロスを選んだがあっさりとフラれてしまう。 火がついた姉はアイロスに近づいて女の好みや弱味を探るようにシリルに命令してきた。 断りきれずに引き受けることになり、シリルは公爵のお友達になるべく近づくのだが、バラのような美貌と棘を持つアイロスの魅力にいつしか捕らわれてしまう。 そして、アイロスにはどうやら想う人がいるらしく…… 全三話完結済+番外編 18禁シーンは予告なしで入ります。 ムーンライトノベルズでも同時投稿 1/30 番外編追加

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~

大波小波
BL
 フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。  端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。  鋭い長剣を振るう、引き締まった体。  第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。  彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。  軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。  そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。  王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。  仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。  仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。  瑞々しい、均整の取れた体。  絹のような栗色の髪に、白い肌。  美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。  第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。  そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」  不思議と、勇気が湧いてくる。 「長い、お名前。まるで、呪文みたい」  その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。

【完結】愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

処理中です...