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マメ柴のシバ
それしまえるんかい!
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次の日、さゆりはシバと朝食を済ますと出かける準備に取り掛かった。
尻側にも穴を開けたトランクスを履かせ、なるべく腰回りがゆったりしたズボンを選んで着せる。
「シバ、ちょっとしっぽ振ってみて。」
そう言うと、シバのズボンの後ろがもこもこと動いた。
パーカーを腰に巻いてみるが、
やはり動いているのが良く見ればわかり、隠しきれそうにない。
少しなら良いが、ずっと人目につくような外出は無理かもなと思う。
そのままシャツを着せ、手足の裾をまくって調整する。
帽子を被らせようとした所で、シバが拒否を示した。
「それ嫌だ。」
「でも、被らないと。」
「どうして?」
「こっちでは獣人の耳は隠さないといけないの。」
「人間の耳は良いの?」
「そうだよ。」
「じゃあ、シバも人間の耳にする。」
何です?と思う間も無く、シバの耳がシュッと頭髪に引っ込んだ。
びっくりしていると、サイドヘアからにょきっと人間の耳が覗く。
「それ、引っ込められるの!?」
つい叫んでしまう。
「できるよ。」
「しっぽは仕舞える?」
「できるよ。はい。」
パーカーを外して腰回りを確認すると、確かにスッキリしている。
「何で今までやらなかったの!?」
「やってよかったの?」
やっちゃダメな理由なんてある!?確かにして良いとは言ってないけども!でも、まさかしまえるとは思わないじゃないですか!
やり場のない思いに浸っていると、
「それなくて良い?」
と帽子について確認されたので、頷いた。但しだ、
「絶対、ぜーったい!外で獣人の耳やしっぽは出しちゃダメだからね!」
「わかった。」
ほんとかよ…と一末の不安を覚えるが、とにかくこれで外出の障害はほぼ無くなったので嬉しい発見ではある。
目の前の生き物を改めて見てみる。
耳や恥部などの問題部分が解決されるとシバは完全にただの美少年だった。
アイドル雑誌どころか、海外のティーンブランドのカタログにでも載っていそうだ。
この愛くるしさなら長谷川も強くは出ないだろう。
いっそ女の子の格好で行けば、いや、でも変に目をつけられても困るか。
薮蛇になっても怖いので、小賢しい細工はやめてストレートに行くことにした。
「じゃあシバ、しっかり謝るんだよ。」
玄関前で念を押す。拒否こそしないものの、お通夜みたいな消沈ぶりである。
相当怖いのだろう。少し可哀想になって来たが、これもケジメだ。
長谷川の家の前まで来ると、意を決してインターホンを押した。
シバはさゆりの後ろにしがみついている。
スピーカーの応答はなく、いきなり玄関が開いた。
相変わらずの無表情なむっちりフェイスがドアの隙間から顔を出す。
「何?」
「あの、昨日はプリンありがとうございます。遅くなりましたが、今預かっている子がいまして、ご挨拶とうるさくしたお詫びを…。」
取り繕った愛想笑いで話すと、聞く耳を持ってくれたようで、ドアを更に開けてくれた。
すかさず玄関に近寄る。長谷川は出て来る気は無いみたいで、仕方なくさゆりの方が移動して話しやすい位置に立った。
「この子はシバです。外国の子で、事情があってしばらく預かってまして…。それで環境に慣れなくて少し不安定になって騒いでしまったんです。ほら、シバ。」
さゆりが促すと、シバが横から出て来てぺこりと頭を下げる。
顔が一瞬見えたが、半べそだった。そこまで怖いのか…と少し笑いそうになる。
「あんたが預かってんの?」
「ええ、まあ。」
「その年頃の男を?1人で?どんな事情?」
凄い突っ込んで来るのは何で?そんなに人に興味持つようなタイプじゃ無さそうなのに!?予想外の食いつきに面食らう。しかしさゆりとて無策じゃなかった。
「えと、この子のお父さんが、私の父と知り合いなんですが、日本に移住するため親子で来たんです。お父さんは今就活で大変なので、子供の方を私が預かってるんです。うちの両親は仕事で海外にいて預かれないので。」
少し苦しいが、何とかひねり出した言い訳だ。
「それに、こう見えてこの子まだ12歳なんですよ。外国の子は大きく見えるから…。」
「何処から来たんだ?」
「モルドバです。日本語は話せないです。」
「…あんたの彼氏じゃないんだな。」
「へ?違いますけど。」
「あんた、彼氏いるのか?」
「え、いませんが…。」
「そうか。じゃあこいつには?」
「…。」
「…。」
いや待てなんだ今の質問。待て待て。嫌な予感がして、早々に切り上げることにした。
「あの、本当にこれまで煩くしてすみませんでした。シバも落ち着きましたし、もう騒ぎません。こうして反省もしてます。」
シバは相変わらず半べそで頭を下げている。
「ああ、うん。それはもういい。ちょっと待ってろ。」
そう言って長谷川は廊下に設置されたキッチンの戸棚から例のパチンコの景品袋を取り出すと戻って来た。
「やるよ。」
と言ってシバに紙袋を寄越す。
シバはキョトンとしながらもそれを受け取った。
「じゃあな。」
長谷川はそう言うと、さゆりの返事も待たずに玄関を閉めてしまった。袋のなかは、市販の菓子類がいっぱい入っていた。
尻側にも穴を開けたトランクスを履かせ、なるべく腰回りがゆったりしたズボンを選んで着せる。
「シバ、ちょっとしっぽ振ってみて。」
そう言うと、シバのズボンの後ろがもこもこと動いた。
パーカーを腰に巻いてみるが、
やはり動いているのが良く見ればわかり、隠しきれそうにない。
少しなら良いが、ずっと人目につくような外出は無理かもなと思う。
そのままシャツを着せ、手足の裾をまくって調整する。
帽子を被らせようとした所で、シバが拒否を示した。
「それ嫌だ。」
「でも、被らないと。」
「どうして?」
「こっちでは獣人の耳は隠さないといけないの。」
「人間の耳は良いの?」
「そうだよ。」
「じゃあ、シバも人間の耳にする。」
何です?と思う間も無く、シバの耳がシュッと頭髪に引っ込んだ。
びっくりしていると、サイドヘアからにょきっと人間の耳が覗く。
「それ、引っ込められるの!?」
つい叫んでしまう。
「できるよ。」
「しっぽは仕舞える?」
「できるよ。はい。」
パーカーを外して腰回りを確認すると、確かにスッキリしている。
「何で今までやらなかったの!?」
「やってよかったの?」
やっちゃダメな理由なんてある!?確かにして良いとは言ってないけども!でも、まさかしまえるとは思わないじゃないですか!
やり場のない思いに浸っていると、
「それなくて良い?」
と帽子について確認されたので、頷いた。但しだ、
「絶対、ぜーったい!外で獣人の耳やしっぽは出しちゃダメだからね!」
「わかった。」
ほんとかよ…と一末の不安を覚えるが、とにかくこれで外出の障害はほぼ無くなったので嬉しい発見ではある。
目の前の生き物を改めて見てみる。
耳や恥部などの問題部分が解決されるとシバは完全にただの美少年だった。
アイドル雑誌どころか、海外のティーンブランドのカタログにでも載っていそうだ。
この愛くるしさなら長谷川も強くは出ないだろう。
いっそ女の子の格好で行けば、いや、でも変に目をつけられても困るか。
薮蛇になっても怖いので、小賢しい細工はやめてストレートに行くことにした。
「じゃあシバ、しっかり謝るんだよ。」
玄関前で念を押す。拒否こそしないものの、お通夜みたいな消沈ぶりである。
相当怖いのだろう。少し可哀想になって来たが、これもケジメだ。
長谷川の家の前まで来ると、意を決してインターホンを押した。
シバはさゆりの後ろにしがみついている。
スピーカーの応答はなく、いきなり玄関が開いた。
相変わらずの無表情なむっちりフェイスがドアの隙間から顔を出す。
「何?」
「あの、昨日はプリンありがとうございます。遅くなりましたが、今預かっている子がいまして、ご挨拶とうるさくしたお詫びを…。」
取り繕った愛想笑いで話すと、聞く耳を持ってくれたようで、ドアを更に開けてくれた。
すかさず玄関に近寄る。長谷川は出て来る気は無いみたいで、仕方なくさゆりの方が移動して話しやすい位置に立った。
「この子はシバです。外国の子で、事情があってしばらく預かってまして…。それで環境に慣れなくて少し不安定になって騒いでしまったんです。ほら、シバ。」
さゆりが促すと、シバが横から出て来てぺこりと頭を下げる。
顔が一瞬見えたが、半べそだった。そこまで怖いのか…と少し笑いそうになる。
「あんたが預かってんの?」
「ええ、まあ。」
「その年頃の男を?1人で?どんな事情?」
凄い突っ込んで来るのは何で?そんなに人に興味持つようなタイプじゃ無さそうなのに!?予想外の食いつきに面食らう。しかしさゆりとて無策じゃなかった。
「えと、この子のお父さんが、私の父と知り合いなんですが、日本に移住するため親子で来たんです。お父さんは今就活で大変なので、子供の方を私が預かってるんです。うちの両親は仕事で海外にいて預かれないので。」
少し苦しいが、何とかひねり出した言い訳だ。
「それに、こう見えてこの子まだ12歳なんですよ。外国の子は大きく見えるから…。」
「何処から来たんだ?」
「モルドバです。日本語は話せないです。」
「…あんたの彼氏じゃないんだな。」
「へ?違いますけど。」
「あんた、彼氏いるのか?」
「え、いませんが…。」
「そうか。じゃあこいつには?」
「…。」
「…。」
いや待てなんだ今の質問。待て待て。嫌な予感がして、早々に切り上げることにした。
「あの、本当にこれまで煩くしてすみませんでした。シバも落ち着きましたし、もう騒ぎません。こうして反省もしてます。」
シバは相変わらず半べそで頭を下げている。
「ああ、うん。それはもういい。ちょっと待ってろ。」
そう言って長谷川は廊下に設置されたキッチンの戸棚から例のパチンコの景品袋を取り出すと戻って来た。
「やるよ。」
と言ってシバに紙袋を寄越す。
シバはキョトンとしながらもそれを受け取った。
「じゃあな。」
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