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マメ柴のシバ
哀しき青年
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間抜けな声を上げたさゆりにきみやが説明した所によると、
えりかのスマホにさゆりのスマホから着信があり、出てみればキャンキャン喚くシバだった。
さゆりに代わるように伝えた所、しばらくしてさゆりのうなされた声がしたので話しかけたら寒い、寒いとうわ言をつぶやいている。
これはまずいと思ったが、生憎学校の体育祭で休日勤務だった。
なのできみやに頼み、きみやが様子を見に来た所倒れているさゆりとパニック状態のシバを発見。
さゆりの看病をして今に至る。
と言うところまで把握して、さゆりは恥ずかしさに更に熱の上がる感覚がした。
とんでもなく無様な姿を晒したばかりか、尻拭いまでさせている始末である。
「すみません……ご迷惑を……。」
掠れて声にならない声を絞り出す。
「いいから、寝て。」
「あの……シバは?」
「寝てる。」
だるい体を起こして見てみれば、さゆりが倒れ込んだはずの布団にシバが横たわっている。
目元が赤く、泣き寝入りかもしれなかった。
そういえば、いつの間にかさゆりがベッドで寝ている。
運ばれたのだろう。
そのまま時計を見ればもう夜7時に差し掛かるところである。
「あの、もう大丈夫ですので。」
「わかった。えりかももう学校出るところだから俺は帰る。」
見ればきみやはイヤホンをしていて、多分マイクの音を聞いているのだろう。
全くブレない。
「きみやさんは本当にえりかさんが好きなんですね。」
「ああ。」
「片想いで辛くないですか?」
自分は一体何を言っているんだろう。
本当は心細いのに、大丈夫だと言ったらあっさり帰ろうとしだした男への意趣返しだった。間違いなく逆恨みなのだが。
さゆりのこういう所が、屡々過去の恋人の気分を害してきた。
「片想い?」
きみやの端整な顔がさゆりを見つめる。
本調子でないせいか、あまり彼に関する基礎が無いせいか、その顔から心情を読み取ることが出来ない。
「キスしたりとか、その先とか、したくなりません?」
さゆりはここぞとばかりに疑問だったことを聞いた。
好きな女を着替えさせたり風呂に入れたりして、平静を保てるものだろうか。
少なくとも、それはさゆりの知る範囲での男性ではなかった。
「その先って?」
かまとと?ねえ、かまととなの?察しの悪すぎるアラサー男子に、風邪が悪化しそうになる。
「いや、そら、まあ……。いや、なんでも無いです。」
さゆりは撤退を決めた。何が悲しくて、病床の無防備な姿を晒した上、「お前えりかとヤリたいんだろ。」なんてセクハラ発言をゴリ押さなきゃいけないのか。
さゆりにだって矜持がある。
「セックスって意味なら、好きじゃないんだ。母さんや、姉さんにされて、嫌だったから。」
えりかのスマホにさゆりのスマホから着信があり、出てみればキャンキャン喚くシバだった。
さゆりに代わるように伝えた所、しばらくしてさゆりのうなされた声がしたので話しかけたら寒い、寒いとうわ言をつぶやいている。
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「寝てる。」
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そういえば、いつの間にかさゆりがベッドで寝ている。
運ばれたのだろう。
そのまま時計を見ればもう夜7時に差し掛かるところである。
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見ればきみやはイヤホンをしていて、多分マイクの音を聞いているのだろう。
全くブレない。
「きみやさんは本当にえりかさんが好きなんですね。」
「ああ。」
「片想いで辛くないですか?」
自分は一体何を言っているんだろう。
本当は心細いのに、大丈夫だと言ったらあっさり帰ろうとしだした男への意趣返しだった。間違いなく逆恨みなのだが。
さゆりのこういう所が、屡々過去の恋人の気分を害してきた。
「片想い?」
きみやの端整な顔がさゆりを見つめる。
本調子でないせいか、あまり彼に関する基礎が無いせいか、その顔から心情を読み取ることが出来ない。
「キスしたりとか、その先とか、したくなりません?」
さゆりはここぞとばかりに疑問だったことを聞いた。
好きな女を着替えさせたり風呂に入れたりして、平静を保てるものだろうか。
少なくとも、それはさゆりの知る範囲での男性ではなかった。
「その先って?」
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「いや、そら、まあ……。いや、なんでも無いです。」
さゆりは撤退を決めた。何が悲しくて、病床の無防備な姿を晒した上、「お前えりかとヤリたいんだろ。」なんてセクハラ発言をゴリ押さなきゃいけないのか。
さゆりにだって矜持がある。
「セックスって意味なら、好きじゃないんだ。母さんや、姉さんにされて、嫌だったから。」
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